ユウコ「なんの反応もない。はむ」
調「もしかして私たちのことに気付いて、もう逃げたんじゃないのかな?あむ」
切歌「もひほうらろひへ、ほうはっへひひゅうはららっひゅつひはれふ?」
マリア「切歌、食べながら話さない。はむ」
最初の調査を切り上げて数分後、マリアたちはキャンピングカーで買ったハンバーガーを食べてながら再び草原地帯で調査を開始していた。
切歌「もしそうだとして、どうやって地球から脱出したデス?」
口に含んでいたハンバーガーを飲み込んで切歌は聞く。
調「それもそうか。確かに監視衛星が見つからないなんてことないだろうし…」
マリア「ステルス機能があれば話は変わってくるけどね」
スペースゴジラの降伏勧告以降、宇宙大怪獣帝国の動向を知ろうと各国は衛星を打ち上げていた。
その中にはすでに宇宙大怪獣帝国がスパイを送り込んだと予想して見張るための衛星も含まれていた。
それらを掻い潜るほどのステルス機能がなければすぐに見つかるはずだと考えていた。
ユウコ「………」
マリアたちの話を聞いていないのか、ユウコは端末の画面をじっと見ていた。
ハンバーガーショップで見たあの反応を気にしているのだ。
調「どうかしたんですか?」
ユウコ「え、あ、いえ。なんでも…」
調に呼ばれてユウコは驚いて、慌ててはぐらかした。
マリア「今回も収穫は無さそうね。仕方ないわ、一旦本部と連絡を…」
切歌「あーっ!!!」
切り上げようとした矢先、切歌が大声を出した。
調「どうしたの、切ちゃん?」
切歌「あんな所に!」
マリア「何があったの!?」
切歌「あんな所に…さっきのハンバーガー屋さんがあるデス!」
大声を出した切歌が見つけたのがハンバーガーショップであると聞いてずっこける。
マリア「こんな時にハンバーガーはどうでもいい!!」
切歌「はう…マリアママに叱られたデス……」
怒れるマリアに切歌はションボリした。
ユウコ「いえ、これは大発見です!」
対するユウコは言う。
「「「え?」」」
ユウコの言葉に3人は首を傾げる。
ユウコ「考えてもみてください!こんな人気が無い場所にハンバーガーなんて売れるわけないじゃないですか!!」
「「「あ、あぁーーーーーーーーーッ!!!!!」」」
ユウコに言われておかしいことに気付いて驚いていた。
マリア「追いかけるわよ!!!」
ユウコに言われてマリアはそう言うとジープのアクセルを踏み込んで、ハンバーガーショップのキッチンカーを追いかけ始めた。
ベロニカ「ん?」
キッチンカーを運転していたベロニカはサイドミラーを見るとジープが追いかけてきているのが見えた。
ベロニカ「あれは!?」
ジープに乗っているマリアたちが見えてベロニカは驚いた。
ベロニカ「リュグロー、スピード上げて!追われてるわ!!」
リュグロー『分かった!』
ベロニカがそう言うと車内の屋根にリュグローが顔を出して言うとキッチンカーのスピードが上がる。
マリア「スピードを上げた!3人とも、しっかりつかまってなさい!!」
スピードを上げたキッチンカーを見てマリアは3人に言うとシフトレバーを2、3、4、5と段階的に上げていき、スピードを上げる。
リュグロー『しつけいな、アイツら!』
食い下がってくるマリアたちを見てリュグローは言う。
ベロニカ「仕方ない。リリカ、ごめん!今、追われてるの!タイニーに繋いで!!」
スピードを上げてきたマリアたちをベロニカも確認して、スマホを取り出して、さっき連絡しあっていたリリカに繋がると『タイニー』なる人物に繋げてと言う。
マリア「切歌、調!乗り移る用意をして!もう少し近付いて制圧よ!!」
だいぶ近づいてきたのを見てマリアは切歌と調に言う。
「「了解!/デース!」」
マリアに言われて切歌と調はコンバーターユニットを出して言う。
マリア「もう少し…」
あと少しだと感じていると、突然視界が真っ白になって何も見えなくなってしまった。
マリア「なに!?」
突然視界が真っ白になってマリアは驚く。
マリア「くっ、視界が…!?」
何も見えないと思っていたら突然視界が戻り、目の前に巨木が迫っており、ブレーキを踏み込む。
急ブレーキで何とかジープは巨木と数cmのところで止まった。
マリア「逃げられた…」
何とか止まったが、周りを見渡すとキッチンカーはどこにもいなかった。
マリア「みんな、大丈夫?」
ユウコ「えぇ、私は…でも…」
切歌「よ、酔っちゃったデス…」
調「気持ち悪い…」
無事かと聞くとユウコは大丈夫だったが、切歌と調は酔ってしまったのか、顔が真っ青になっていた。
マリア「2人は大丈夫じゃなさそうね…」
ユウコ「でも、収穫はありました」
2人の様子を見てマリアは言うが、ユウコは笑っていた。
ユウコ「どうやら、あのキッチンカー自体が宇宙電波を出していたのかと思います。さっきも反応がありました。それと居場所なら分かります」
そう言ってユウコは端末の画面を見せた。
言われてマリアは画面を見ると丸い光が点滅していた。
マリア「まさかこれは…」
ユウコ「発信器です。さっき投げて付けました」
マリア「流石ね」
点滅していた光が発信器であると聞いて、マリアは言う。
発信器の反応を頼りにその場所に向かう。
マリア「ここねって、ここは!?」
たどり着いた場所にマリアは驚いた。
たどり着いたのは世界遺産にも登録されている一枚岩『エアーズロック』であった。
ユウコ「反応は中からしてるみたいです」
光の点滅がさっきより激しく光っているのを見て言う。
調「となると、エアーズロックを隠れ家にしてた?」
切歌「そうだとしたら大胆不敵デス!」
それを聞いて切歌と調は言う。
まさか世界遺産を根城にしているとは誰も思わなかった。
ユウコ「とにかく行ってみましょう」
ジープを降りて捜索を開始する。
エアーズロックに向かって端末を向けると光の点滅が激しくなった。
ユウコ「ここです。ここが入り口みたいです」
点滅を見てユウコは言う。
切歌「じゃあ、どこかにスイッチがあるんデスかね」
そう言ってエアーズロックに近づく切歌。
すると上の方から小石がパラパラと降ってきた。
切歌「デス?」
降ってきた小石に気付いて、切歌は上を見上げる。
?「ぬん!!」
モフモフの紫色の毛に覆われた姿をしており、目つきは子犬のようにやさしい怪人が勢いよく降下してきた。
切歌「デデデ!?」
怪人に驚いてマリアたちの方へ逃げようとした切歌だが、あっさりと捕まってしまった。
捕まった切歌を見てマリアと調はコンバーターユニットを、ユウコは護身用の銃を出した。
?「動くなッ!」
マリアたちの行動を見て怪人は叫ぶ。
?「この娘さんの頭に風穴開けられたくなければ、大人しくしておくことだ」
右足にあったホルスターから銃抜き、切歌の頭には銃口を向ける。
マリア「ここは大人しくしといた方がいいわね」
調「うん…」
ユウコ「そうですね」
抵抗しないと知らせるために構えを解いた。
?「すまんな」
その瞬間、怪人は銃をマリアたちに向けて発砲した。
銃口からは弾丸ではなく、小さな注射器が飛んでいきマリアたちの首に刺さった。
マリア「うっ!?」
調「これは…」
ユウコ「急に眠気が……」
注射器を刺さり、中身が注入されると倒れてしまった。
切歌「マリア、調、ユウコさん!」
3人が倒れたのを見て切歌が叫ぶと怪人は切歌を突き放した。
?「ほれ」
突き放した瞬間に再び発砲して、注射器を発射した。
切歌「この、ふにゃあぁ~………」
反撃しようとした切歌だが、額に注射器が刺さり中身が注入されて切歌はヘナヘナと倒れてしまった。
?「………」
倒れた4人を見る怪人。
4人とも寝息を立てて眠っていた。
ベロニカ「終わった?」
エアーズロックの壁が開き、中からベロニカとリュグローが現れて怪人に聞く。
?「おぉ、ベロニカ。あぁ、今終わったところだ」
聞かれた怪人は眠っているマリアたちを見ながら言う。
リュグロー『流石は元凄腕捜査官のザッカルだな』
ザッカル「なに、まだまだ若いもんには負けんよ。それに儂は倒さねばならん相手がおるからの」
リュグローはマリアたちを倒した怪人、『L85星人 ザッカル』に言うと、ザッカルは自信満々に言う。
ベロニカ「分かってる。それじゃあ、彼女たちを運んで」
リュグロー『こいつらをコロニーに入れるのか!?』
ベロニカの指示にリュグローは驚く。
ベロニカ「ここに置いていたら仲間を呼ばれてしまうわ。それならコロニーに置いていた方が安全よ」
リュグロー『ぬぅ…確かにそうだな…』
ベロニカに説き伏せられて、リュグローは言い返せなかった。
ザッカル「ほっほっほっ、リュグローも奥さんには敵わんようじゃな」
リュグローの反応を見てザッカルは茶化す。
リュグロー『うるさいぞ!!』
茶化されてリュグローは怒るのだった。