戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第675話 宣戦布告

マリアたちがオーストラリアの調査に向かい、謎の宇宙人・ザッカルやベロニカたちに奇襲されて捕らわれてしまった頃、S.O.N.G.本部は国連の本部があるアメリカ合衆国のニューヨークの港に停泊していた。

 

弦十郎「もうすぐ帝国の出した猶予時刻か…」

 

腕時計を見ながら弦十郎は呟く。

 

マリアたちからの音沙汰が無くなって時間のみが過ぎてゆき、宇宙大怪獣帝国の出した24時間という刻限が迫っていた。

 

マリアたち4人から連絡が途絶えて、すぐに翼を急いで派遣しており、その連絡待ちをしていた。

 

翼以外の他の装者を向かわせたかったがあまり戦力を割くわけにもいかないと判断して、危険が高いが、翼だけを向かわせている。

 

藤尭「それにしても、スペースゴジラか…ガウくんの息子っていうのは本当なのかな」

 

友里「そうね。容姿から見てもガウくんと瓜二つだったし…」

 

ガウと瓜二つの姿をしていたスペースを思い出して、藤尭と友里は話す。

 

弦十郎「相手がなんにしても、ガウの息子を名乗ってはいるが、事実かどうかはまだ…」

 

?『風鳴司令』

 

話していると、発令室のメインスクリーンに1人の男性が映し出された。

 

眼鏡をかけ、スーツの右襟に議員のバッジをつけていた。

 

弦十郎「中井防衛大臣!?」

 

日本領海に突如として出現した旧日本海軍軍艦『戦艦 大和』を名乗る謎の不審船による事件『自称大和事件』にて協力した日本国防衛大臣『中井』に驚く。

 

弦十郎「防衛大臣が、いったい何用ですか?」

 

中井『風鳴司令、心して聞いてください。先ほど、国連会議にスペースゴジラからの返答の有無を聞く内容の通信がありました。そこで我々地球人類はスペースゴジラ率いる宇宙大怪獣帝国と戦争状態に入りましたッ!!!』

 

弦十郎「な、なんですと!?」

 

中井の言葉に弦十郎は驚き、声を上げてしまった。

 

ことの発端は今から十数分前のことである。

 

 

 

国連議会ではいまだに各国の意見がまとまらず、主戦派と降伏派が激しく争っていた。

 

主戦派の主な国家はもちろんアメリカ、ロシア、イランなどの反応兵器と核兵器を持った国々である。

 

降伏派は南アフリカ共和国をはじめ、非核保有国が中心である。

 

国連の中で、超異常現象などに見舞われた日本は中立の立場にあった。

 

もし開戦となれば、戦力が大幅にダウンしているアメリカに代わり、ロシアなどと共に国連主力の戦力として扱われる。

 

それを日本政府は望まず、第二次世界大戦後に戦争をしないと決めている日本にとって、宇宙からの侵略者とはいえ、専守防衛を破るわけにもいかない。

 

しかし、多くの侵略者・超異常現象に見舞われていた日本にとってはアメリカなどと共に立ち上がって戦うと宣言もしたいが、専守防衛の理念を破るわけにはいかず、中立という立場になっている。

 

(護国災害派遣法(以後:護災法)というのがあるが、あれは日本国内だけの話であって国連として関わる場合はほとんど機能せず、加えてパヴァリア光明結社統制局長であり、人類のプロトタイプのアダム・ヴァイスハウプトが引き起こした事件にて神の力を吸収してしまい、変異した響(モンスター・ヒビキ)を攻撃した件を始め、護災法は怪獣軍団の配下にある怪獣たちにまで攻撃をしてしまう恐れがあり、かなり改正されており、今はほとんど機能していないと言っても過言ではない)

 

そんな時だ、国連議会の中央に突如、スクリーンが映し出された。

 

スペース『ご機嫌いかがかな、地球人諸君』

 

映し出されたスクリーンからガウに似た少年である宇宙大怪獣帝国大帝『スペースゴジラ』が映し出された。

 

スペース『そろそろ約束の時刻となった。既に我が軍は集結し終えている。答えを聞かせてもらおうか』

 

スペースの問いに誰も答えられなかった。

 

相手は数千万隻以上の宇宙艦艇と数十万以上の宇宙怪獣たちが戦力となっている軍勢である。

 

とてもじゃないが、今の地球にそれらを止めるだけの手立てや戦力はなかった。

 

スペース『沈黙は、降伏ということでいいのかな?』

 

各国の国連代表者たちを見渡しながらスペースは聞く。

 

スペース『あぁ、そうだった。1つ言い忘れていた。貴様らが降伏するのには条件がいくつかある。それらを吞んでもらう』

 

西アフリカ代表「条件?」

 

スペース『条件は以下の通りだ』

 

そう言うとスペースは降伏の条件を画面に表示する。

 

 

 

1.地球圏は大怪獣帝国の領土となり、地球本土を含む各惑星に帝国前線基地を置き、その費用は各国の予算で賄う。

 

2.地球に住む知的生命体は、男女問わず帝国軍に奉仕する。

 

3.地球に住む知的生命体は人権などを含む権利を帝国に譲渡し、隷属する。

 

4.地球各国政府の上に帝国の統括府を置き、統治する。

 

5.地球怪獣たちは全て帝国の戦力として輸送艦に乗艦する。

 

 

 

米国代表「ふざけるな!こんな条件吞めるわけがない!!」

 

実質の降伏条件とは名ばかりの奴隷宣言に米国代表は声を荒げて言う。

 

スペース『ほう…』

 

米国代表「そのような条件を呑んで降伏するくらいなら、我がアメリカは全力で戦うだけだ!」

 

露国代表「そうだ!こんな条件を受け入れてなるものか!!」

 

アメリカに続き、ロシアも反発して言う。

 

スペース『そうか。ならば、戦うことが貴様ら地球人の総意だな?』

 

米国代表「それは…」

 

スペースに言われて黙ってしまう。

 

ここのところアメリカは度重なる超異常現象を独自に解決しようとして行動を起こす度に裏目に出ており、国連での信頼はほとんどない。

 

また、怪獣たちと関係でも他国は旨く付き合っているのに対し、アメリカはいまだに軋轢がある状態であった。

 

さらにロシアもアメリカのような二の舞はしたくないと内心思っており、地球の総意かと聞かれれば何も言えなかった。

 

?「そう取ってもらっても構いません」

 

『!?』

 

反論できないアメリカやロシアに代わり、そういう人物がいた。

 

国連での日本国代表である『斯波田』事務次官であった。

 

斯波田「貴方方は今まで我々が戦ってきた侵略者と全く同じだ。圧倒的戦力を見せつけて、脅し、侵略した惑星の生命体のことを考えていない。そのような者たちにこの星を、私たちの自由を奪われてはならないのだ!」

 

スペースに向かって力強く言う。

 

この言葉を聞いて、南アフリカを中心とした降伏派もその眼の色を変えていた。

 

スペース『そうか。ならば、戦うがいい!その身をもって知ることになるだろう、我ら、宇宙大怪獣帝国の恐ろしさをな!!』

 

斯波田「そちらも覚悟して頂きたい。地球人の持つ、無限の可能性を、その強さを!!」

 

スペース『フン…それは楽しみだな』

 

斯波田の言葉を聞き、スペースはそう言い残して通信を切った。

 

 

 

中井『これが、国連での経緯になります』

 

弦十郎「なるほど…」

 

中井からことの末端を聞いていた弦十郎はいう。

 

中井『戦力と言えるのは我が日本とロシア、それて欧州諸国。最大戦力はあなた方S.O.N.G.とミレニアムゴジラ率いる怪獣軍団です』

 

弦十郎「………」

 

中井の言葉に弦十郎は"やはり"という顔をした。

 

現状、各国軍は先の『異形生命体 サンドロス』率いる『怪獣兵器 スコーピス』により戦力がダウンしており、アメリカを除けば、ロシアや日本、ヨーロッパ諸国ぐらいがまだまともな戦力を保持している。

 

そして最大戦力ともなれば、超異常現象に立ち向かっているS.O.N.G.にいる響たちシンフォギア装者とリル率いる怪獣軍団ぐらいしかないのである。

 

中井『そこで、風鳴司令。怪獣王であるミレニアムゴジラにこのことを報告してもらいたいのです』

 

弦十郎「分かりました、こちらから開戦の件は伝えておきます」

 

中井『それと、もう一つお伝えしていただきたいのです』

 

弦十郎「なんですか?」

 

中井『日本国並びに国際連合は、2代目怪獣王 ミレニアムゴジラ率いる怪獣軍団と軍事同盟を結ぶことを提案したい!』

 

弦十郎「!?」

 

中井の提案を聞いて弦十郎は自身の耳を疑いそうになりながら驚くのだった。




国際連合から降伏を断られ、宣戦を布告したスペースは艦隊総旗艦であるガルバスターの艦長席に座っていた。

スペース「ウィズ、六王と二将軍に伝えろ。各艦隊、作戦にしたがい地球以外の太陽系惑星を直ちに占領せよ!容赦はいらん、軍事・民間衛星基地問わず邪魔は全て排除しろとな!!」

笑みを浮かべながらスペースは後ろに控えていたウィズに言う。

ウィズ「はっ!」

指示を聞いたウィズは拳を握った右腕を胸前まで持っていく宇宙大怪獣帝国の敬礼をすると、踵を返して艦橋から出て行った。

スペース(さあ、楽しもうぞ兄者。王座を掛けた戦いを!)

スペース「ククク…クハハハハハハッ!!!!!!」

艦橋のモニターから映る地球の映像を見ながらスペースは笑うのだった。

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