地球人が地球怪獣軍団と同盟を結び地球連合軍を発足した頃、宇宙大怪獣帝国は地球連合軍が宇宙船すら持っておらず、宇宙にまで迎撃出来ないことを良いことに、冥王星を大本営とした艦隊が次々に銀河系内にある地球以外の惑星である水星、金星、火星、木星、土星、海王星を占領、各惑星基地を建造し、軍を再編、地球への降下作戦準備に入っていた。
銀河系第4惑星・火星。
火星の広大な赤い荒野である土地と崖の壁を利用した発射口がある建築物が建造されていた。
宇宙大怪獣帝国地球攻略軍第4前線火星基地『ガニメデ』である。
ガニメデにはすでに数百万規模の艦と数万体の宇宙怪獣が出撃命令を待っていた。
この基地と艦隊を任せられているのが宇宙大怪獣帝国六王の1人にして、リーダー各『宇宙大怪獣帝国第一位大将 暴君怪獣 EXタイラント』である。
EXタイラント「ふむ…」
人間形態のEXタイラントはガニメデの司令官用の小部屋で艦隊と地上部隊の編成とこれから降下する地球側の国家の戦力を確認していた。
EXタイラント「地球軍には洋上船はあれども、宇宙船は無しか…」
これまで2度も地球に送り込まれた先遣隊(元宇宙大怪獣帝国第六位大将 異形生命体 サンドロスの軍団、妖艶宇宙女王 レディベンゼン星人の工作部隊)からの情報資料を目に通して、地球側が本当に宇宙船を持っていないことにEXタイラントは落胆していた。
EXタイラント「ザウラー司令の言葉を借りるなら"つまらん戦"になるな」
資料を机に置き、一息ついていた時だった。
EXタイラントの机の端に置いている通信機が着信音を鳴らした。
EXタイラント「俺だ」
通信機の通話をオンにして応対するEXタイラント。
通信兵『タイラント将軍、大帝陛下より指令であります!』
EXタイラント「読み上げろ」
通信兵『"第一次降下作戦を開始せよ。目標はカスピ海及び黒海の沿岸部"!』
スペースからの命令を通信兵は読み上げるとEXタイラントは立ち上がった。
EXタイラント「そうか。すぐに副官のジャミラを呼べ」
通信兵『はっ!』
通信兵にそう指示を出すと通信を切った。
数分後、EXタイラントのいる司令室に1人の女性が入ってきた。
両腕を包帯で巻き、腰まで伸びた赤い髪、黒い目に黄色い眼孔がある女性―『宇宙大怪獣帝国参謀大佐 ジャミラ』が入ってきた。
ジャミラ「お呼びでしょうか、将軍」
宇宙大怪獣帝国の敬礼で、ジャミラはEXタイラントに聞く。
EXタイラント「我が大帝のご命令が下った。我が火星軍団は総力を持って地球へ降下し地球軍を撃滅する!火星にいる軍を直ちに出撃させろ!!」
ジャミラにEXタイラントはスペースの指令を伝え、全軍の出撃を命じた。
ジャミラ「はっ!!」
全軍出撃を聞き、ジャミラは再度敬礼して返事をする。
その数時間後、スペース大帝の命を受けた6体の宇宙大怪獣帝国軍最強宇宙怪獣である六王の一角、EXタイラント率いる第一次地球降下作戦艦隊こと火星軍団はガニメデ基地よりただちに出撃。
出撃した艦隊の中で一際巨大な船体を有する現宇宙戦艦は宇宙大怪獣帝国大艦隊総旗艦にして、現在の第一次地球降下作戦艦隊総旗艦にしてEXタイラントが座乗艦とする『ギルヴァスター級弩級宇宙戦艦3番艦 エルジェラー』である。
その周辺にはエルジェラーの後を追うように無数の艦隊が同航していた。
それぞれ戦艦や重巡洋艦などの攻撃力を重視した艦で構成された攻撃艦隊
軽巡洋艦や駆逐艦、雷撃艦などで構成された雷撃戦隊。
空母を中心に構成された機動艦隊などの艦隊である。
さらに後方からは地上部隊を収容した惑星揚陸艦を乗せた母艦が続く。
その数は宇宙駆逐艦・巡洋艦・空母・戦艦・揚陸艦・母艦を合わせて約150万隻に上る。
地球側の戦力を軽く超える圧倒的大艦隊である第一次地球降下艦隊は地球へ向け前進する。
ジャミラ「将軍。全艦隊ジャンプ可能域に到達しました」
艦隊が火星本星からある程度離れた時、エルジェラー艦橋にて同艦の艦長でもあるジャミラがEXタイラントに言う。
EXタイラント「よし。全艦に回線を繋げ」
ジャミラ「分かりました」
EXタイラントに言われてジャミラは通信兵に全艦隊に回線を繋げるように指示を出した。
回線が繋がるとジャミラはEXタイラントの方を見て頷いた。
それを見たEXタイラントは頷き返すと1拍置いて喋り出した。
EXタイラント「我が忠勇なる帝国軍兵士たちに告げる!我が艦隊はこれより地球を攻撃する!目標はカスピ海及び黒海沿岸部!目的はこの地域一帯の地下資源と洋上交通遮断にある!また、ヨーロッパと中東地域攻略の前線基地確保である!我らの偉大なる大帝に反逆した愚か者共に我らの力を思い知らせてやるのだ!!」
EXタイラントの演説を聞き、各艦の艦長を始め各部隊の将兵の指揮が上がる。
EXタイラント「全艦、ジャンプせよ!!」
演説を終わらせたEXタイラントは全艦隊にそう指示を出す。
すると艦隊の宇宙艦艇の艦尾に光る部分―機関部分が黄色い色から紫色に変わると速度が上がり、前方の空間に穴のようなものを空けると中へ突入する。
1隻が入ると穴は消えるが1隻、また1隻と自身の前の空間に穴のようなものを空けると中へ突入し、穴と共に消えていった。
僅か数分で艦隊は全てその空間から消えた。
EXタイラント率いる第一次降下作戦艦隊が地球へ向かっている頃、大帝であるスペースがいる宇宙大怪獣帝国銀河方面軍の大本営である基地『プラート』がある。
プラートは冥王星のクレーター内に作られており、航空機の発進する滑走路や宇宙艦艇が停泊するドッグ、宇宙怪獣や宇宙人たちの泊まる宿舎があった。
基地内部にある司令室にスペースはいた。
ヴィズ「閣下」
そのスペースのいる部屋にヴィズが扉をノックする。
スペース「入れ」
スペースが言うとヴィズは扉を開けて入ってきた。
スペース「ヴィズか。何ようか」
入ってきたヴィズに何の用で来たかと聞く。
ヴィズ「閣下、第一次降下作戦の艦隊及ビ地上部隊ガ間モナク降下ポイントニ到着シマス」
スペース「そうか。第一次降下艦隊に伝えろ。位置に着き次第、降下作戦を開始しろとな!」
ヴィズの報告を聞いてスペースはそう指示を出す。
ヴィズ「ハッ!!」
スペースに言われてヴィズは敬礼する。
この2時間後、地球のカスピ海及び黒海に向けて第一次降下作戦が開始されることになるのだった。