戦姫絶唱シンフォギア PROJECT G   作:ダラケー

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第709話 降り立つ

響「う…うーん…」

 

目を覚まし響が見たのは見慣れたS.O.N.G.の医療施設の天井と不機嫌そうな顔をしたクリスだった。

 

クリス「よ、随分と派手にやられたな」

 

開口一番にクリスは言う。

 

響「クリスちゃん…戦闘は?」

 

気絶してたのか響は戦闘の状況を聞いた。

 

クリス「アタシらの負けだ。帝国軍に3ヶ国とも奪われちまった」

 

響「そんな…」

 

クリスから3ヶ国を守れなかったことを聞いて響はショックを受ける。

 

響「リルくん?」

 

ふと隣のベッドを見るとリルが眠っているのが見えた。

 

クリス「ロシアで大敗したらしくてな、例の新型ミサイルにやられたらしい。リル自身も右腕を完全に折られてたみいだからウチで治療することになったんだ」

 

響「そうなんだ…」

 

リルですら例の新型ミサイルの前に負傷したことを聞いて、響はそれ以上なにも言えなかった。

 

 

 

S.O.N.G.はイギリスから撤退し、イギリス海峡を挟んだフランスの軍港に停泊していた。

 

停泊している本部発令室にて弦十郎は中井防衛大臣とリュグローの2人とモニターで通信していた。

 

中井『先ほど、イギリス、ロシア、オーストラリアの3ヶ国が降伏したと報告がありました』

 

中井が冷静に言いつつも余裕の無い声で、イギリス・ロシア・オーストラリアが降伏。

 

事実上、帝国の占領国になったことを伝える。

 

弦十郎「やはり…」

 

帝国軍の新型艦『レーゲン級ミサイル重巡洋艦』と新型ミサイル『破壊重力ミサイル』に3ヶ国で反撃に出たS.O.N.G.、地球怪獣軍団、レジスタンスの策は打ち砕かれたのを目の当たりにして、ある程度予想していた弦十郎は言う。

 

リュグロー『これで、帝国軍は本格的な陸上戦力を送り込んでくるな』

 

自身の策の失敗で、帝国軍が占領した3ヶ国を足掛かりに本格的な地上戦力を投入・地上侵攻作戦を可能になったことを呟く。

 

オーストラリアは太平洋やインド洋などの侵攻、ロシアは広大な土地に加えて西にはヨーロッパ、東には日本大陸州と陸続き、イギリスはこのフランスを含めたヨーロッパやアフリカなどが目と鼻の先で存在していた。

 

弦十郎「リュグロー氏、先の戦いで現れた帝国軍の艦艇は何なのかご存じありませんか?」

 

レーゲン級と破壊重力ミサイルについての情報は無いかと弦十郎は聞くが、リュグローは首を横に降った。

 

リュグロー『こちらも知りたいくらいだ。恐らくは新型艦はミサイル艦艇なんだろうが、新型兵器は…』

 

中井『現状、先の戦いに出現した帝国軍艦艇を『ハンマーシャーク』と呼称して各国が警戒を強めています』

 

ある程度の予測は立てていたのか中井と共に言う。

 

弦十郎(警戒を強めたとしても、あの攻撃を受ければひとたまりもないんだがな…)

 

実際に破壊重力ミサイルの威力を知っている弦十郎はそう思っていた。

 

リュグロー『地上戦力が本格的に送り込まれることを考えると帝国軍の二大猛将の1人が間違いなく直々に指揮を執るはずだ』

 

弦十郎「帝国軍の二大猛将…」

 

ヴァロルドと双璧をなす猛将が地上軍を指揮するだろうと聞いて冷や汗が流れる。

 

直径1000Mにもなる惑星間弾道弾を囮にしたケルベロス作戦を遂行し、こちらが反撃に出ることを予期した上でレーゲン級と破壊重力ミサイルを前線に配備していたヴァロルドと双璧をなす猛将が現れると聞けば冷や汗が流れるのは必然的だった。

 

リュグロー『そいつの名は『ザウラー』。帝国軍の二大猛将の1人で、陸上軍全ての指揮権を持っている』

 

リュグローの口から宇宙大怪獣帝国軍地上軍総司令官である『恐竜戦士 ザウラー』の名が出された。

 

中井『そのザウラーとはどのような人物なのですか?』

 

リュグロー『宇宙のヴァロルド、陸上のザウラー。ヴァロルドが宇宙の鷹なら、ザウラーは陸の獅子と呼ばれている。奴の最も得意としている策は電撃戦だ。重駆逐戦車やトーチカ破壊用の大型砲などの重兵器で敵に風穴を開け、機動戦力でその傷口から突入する』

 

中井に聞かれてザウラーの異名・得意とする戦略を伝える。

 

弦十郎「となると徹底死守ほかありませんな」

 

かつてナチスドイツが繰り出した機甲部隊の高い機動能力を活用した戦闘教義で、『電撃』のように迅速に短期間で決着を付けたる『電撃戦』に対抗するために重要拠点を徹底的に死守せざるを得ないと考える。

 

リュグロー『あぁ。だが、相手は帝国軍の二大猛将の1人だ。どんな策で来るかは予想できない…それに、あの新兵器みたいなのを出されれば勝ち目はないだろうな』

 

中井『ともかくは敵に戦略的イニシアティブが掴まれている限り、こちらが不利なのには変わりありません。早急に対策を講じねばなりません』

 

帝国軍が圧倒的有利な状況になっているから急いで対抗策を講じねばならなかった。

 

それも帝国が地上戦力を整える前にだ。

 

弦十郎「しかし、帝国軍は確かに地上戦略の足場を手に入れはしましたがどうやって大軍を送り込んでくるのでしょうか?」

 

ふとした疑問を弦十郎は聞く。

 

リュグロー『大型転移装置だ。恐らく3ヵ国を制圧した艦隊は予め組み立てるだけでいい状態の転移装置を設置している頃だ。それを使って冥王星から直接この地球に地上兵力を送り込んでくるだろうな』

 

弦十郎の質問にリュグローはそう答える。

 

リュグロー『だが、まだ時間はある。今のうちにこちらも打てる手を打っておくだけだ』

 

ここまで良いようにやられ続けてきたのだから反撃に転じたいと考えるリュグローだった。

 

 

 

その数週間後、宇宙大怪獣帝国軍占領国・ロシア首都・モスクワ。

 

地球人類が築き上げた文明の後は跡形もなく吹き飛ばされ、今は帝国軍の軍事施設が立ち並んでいた。

 

その中でリング状の巨大な装置が設置されていた。

 

リングはまるで巨大な壁の如くそびえ立っていた。

 

するとリングが突如内部から光りだすと巨大な山のようなものが出現した。

 

巨大なΨ型の船体で、先端には3連装砲塔を備え、キャタピラで走行するそれは、地上戦艦であった。

 

帝国軍兵士A「転移完了!」

 

帝国軍兵士B「ツェアシュテールングの船体に異常無し!」

 

地上戦艦『ツェアシュテールング級地上制圧戦艦1番艦 ツェアシュテールング』の艦橋にて兵士たちの報告が上がる。

 

ザウラー「ココガ地球ノ大地カ……」

 

艦長席にてザウラーが呟くように言うのだった。

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