インフィニット・レギオン   作:NO!

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乱入

 此所はIS学園内にあり、近くにもある第一アリーナ。そこは今、アリーナ席にある満員御礼とも言える程、女子生徒や女性職員達で溢れ返っていた。

 理由は一つ――彼女達は、これから起こる一大イベントを今か今かと待ち構えている。そのイベントとは織斑十春――男性操縦者の晴れ舞台であるからだ。

 相手はセシリア・オルコット――イギリスの代表候補生にして専用機持ちの一人。何方が勝つのかは誰にも判らない。セシリアか勝つと思っている者達も居れば、十春が勝つかも知れないと言う者達も少なからずいる。

 何方が勝とうが関係ないが両者にとっては賭けでもあった。クラス代表――何方がか勝てばそれに就く事が出来るのと、自分が強い事を照明出来る。

 賭けでもあり力を見せつける事が出来る――まさに死地に近く、十春とセシリア達から見れば緊張が走り、疲労感が溜まるだろう。

 

「うわぁ〜〜凄い数だな」

 

 此所はアリーナ全体を見渡せる実況室――そこにはアリーナの所々にあるカメラでアリーナを観ている十春と箒、そんな二人とは違い当たり前と言わんばかりで観ながら腕を組んでいる千冬が居た。

 箒と千冬は兎も角、十春は腹や四肢が少し露出しているISスーツを着ていた。

 

「それはそうだ十春――お前の晴れ舞台であるのと同時に一大イベントだからな――それに篠ノ之、何故お前が此所に居る?」

 

 千冬は箒を見ると、箒は「私ですか!?」と自分を指差しながら戸惑う。

 

「そうだ――まあ、別に良いがそれよりも未だ来ぬのか?」

 

 千冬は少し眉間に皺を寄せる。三人は此所にいるのは、ある理由があった。

 それは十春の専用機が来るのを待っていた。十春の専用機は政府が用意し、倉持研究所が造った物――只のISではない――それは千冬が使っていた専用機の後継機でもある。

 しかし、その専用機は未だ到着していない――普通なら前日に到着しても可笑しくなかったのだが性能を最大限に上げる様に政府が言った為に遅れてしまったのだ。

 出来る事なら早くしたい――三人はそう思っていた。そうしなければアリーナ席に居る者達の中から苛立を隠せない者達が現れ始めるだろう。

 十春やセシリアの両選手を腰抜けと言うだろう。刹那、この実況室を出入り出来る扉の方から僅かだが――否、どんどんと誰かの足音が聴こえて来る。

 そして、扉が開き、三人が扉の方を見やると、そこには肩で息をしている真耶がいた。彼女は汗を流している物の三人を見る。その表情には戸惑いがある物の彼女は息を整えると三人を見る。

 

「お、織斑先生――き、来ました!」

 

 その言葉に十春と箒は驚き、千冬は溜め息を吐く――そして真耶は、言葉を続けた。

 

「お、織斑君の専用機である、ISが!」

 

 

 

「これが、僕の専用、機?」

 

 ここは第一アリーナのピット。そこには十春、千冬、箒、真耶の四人が居た。彼等が目にしているのは、十春が目にしているのは一機の待機状態のIS。

 白を基準としつつも何処か寂しそうにしゃがんでいる様にも思える。誰かを待っている様にも思えるが持ち主を捜している様にも思える。

 十春は機体を見て驚く中、真耶は説明する。

 

「それが織斑君のIS――白式です」

「白、式……」

 

 真耶の言葉に十春は驚きながらも白式に手を伸ばす――触れた。が、十春は様々な思いに駆られる。白式は、これからの自分の相棒でもあり、苦楽を共にする。自分の身を守り、いざという時に共に戦う時になる。

 逆にまた、ISに触れていなかったらどうなっていたのだろうか? 自分は別の学園で学校生活を送っていたのだろうか、親友達と他愛も無く、そして新たな友達を作っていたのだろうか?

 全ては後の祭りだが今は白式が自分の相棒ともなるISに驚きと困惑しかなかった。自分はもう、戻れぬ道へと行ってしまったのだ。

 

「織斑――否、十春――そのISは、否、お前はそれを見てどう思う?」

 

 千冬の言葉に十春は「えっ?」と言いながら千冬を見る。彼女は十春を心配していた。教師としてではなく、姉としてだった。

 彼女は危惧していた。彼が、十春がISの力に溺れないかを。ISは扱い易いだけでなく、強大な力を秘めている。扱う者は限られているが力に溺れる者は後を絶たない。

 その為、扱う者によっては力を制御し、溺れる者達もいる。千冬はそう言った者達を少なからず見て来た。力に溺れた者は破滅する事をも知り、誘われる事も知ってる。

 出来る事なら十春には力に溺れて欲しくない――教師として生徒を心配し、姉としても妹を心配していた。そんな千冬に十春は驚くが不意に哀しそうに俯く。

 

「ごめん……俺には判らない――でも、自身無い事は自身無い」

「そうか……だがこれだけは忘れるな」

 

 十春は顔を上げる――千冬はまだ哀しそうであったが哀しそうに微笑む。

 

「お前は私の弟だ――それにお前は力に溺れる事が無い事を祈る――それだけは信じたい」

 

 千冬の言葉に十春は瞠目した――が、直ぐに微笑みながら頷く。

 

「ああ――それに俺は勝つよ……オルコットなんかに負けない」

「そうか……その粋だ!」

 

 千冬の言葉に十春は頷くと白式を纏い始めた。

 

 

「どうだ織斑? 着心地は?」

 

 千冬は、白式を纏っている十春に訊ねる。彼は白式を纏っているが別の意味でも感想を述べていた。――ISとは、こうも着心地が良いのか悪いのかも判らない――。

 十春はそう持っていた。ISを纏うのは二回目だが何処か違う。自分の専用機ともなると、こうも違うのだろうか? と。ISは全て同じだと思っていた。

 専用気持ちともなると、こうも違うと感じた。しかし、千冬は彼に非情な事を言いつける。

 

「済まないが織斑。それは完全な状態ではない」

「えっ? 如何言う事ですか?」

 

 十春の言葉に千冬は言葉を続けながら腕を組む。

 

「それは完全な状態ではないのは、それがIS自体が持ち主となる者に対して、完全な状態になる為にインストールが要る――まあ、せいぜいジ十分くらいだろうな」

「えっ、それって……見完全な状態で戦えと言うの!?」

 

 十春は驚くが千冬は「それしかない」と言い放つ。これには十春は頭を垂れるが不意にピットに設けられたモニターを観る。

 モニターにはアリーナの様子が映し出されているが一機のISが待機していた。そのISは蒼を基準とした軽装型のIS。背中には四基のウィングスラスターが浮いてるが持ち主は、専用気持ちはセシリア・オルコット――十春の相手でもある。

 彼女は不機嫌そうにアリーナの上空にて待機しているが手には大型の狙撃銃があり、彼女の主力武器でもある。十春はセシリアを見て何も言わずに溜め息を吐く。

 ああ、これは完全な状態で戦う事は出来ず、それまでは逃げるしか方法は無いのか、と。十春はセシリアに対してどう戦えば良いのかを考えた。

 彼女は恐らく遠距離での戦いを得意としているだろう――ならば接近戦に持ち込めば、何とか勝てるのかも知れない。が、どうやって接近すれば良いかで悩んだ。

 無理に接近すれば、負けるのは目に見えている――十春はセシリアに対してどう戦えば良いかを考えている中、警報が鳴る。

 

『異常事態発生!! 上空から未確認機体接近! 繰り返す! 上空から未確認機体接近!!』

 

 警報と共にアナウンスが鳴る。十春や箒、千冬や真耶は警報に驚くが、アリーナ席に居る者達もざわつき始める。

 

 

「な、なんですの!?」

 

 セシリアも突然の事で困惑する。刹那、アリーナ中央の上空から何かの割れる音が聴こえた。セシリア、アリーナ席に居る者達が一斉に

上を見やった直後、一機のISらしき物が浮いていた。割れた音はガラスであり、ガラスの破片は落下していくが、彼女達が見ているのは、ISらしき物である。

 そのISらしき物は全身装甲であるが軽装型であり、全身が黒く、禍々しく、人の骨の様な物が露になっていた。彼の顔は見えない――頭部には下顎の無い人の骨の頭部らしき物が被られており、後ろには腰まで伸びる髪の毛があった。

 顔もマスクで覆い隠されていた。が、目元は見える様になっていた。

 が、何処か不気味で気色悪い――セシリアやアリーナ席にいる者達、そしてピットに居る十春達はそう思っているがISらしき物を纏っている者はセシリアを見てかすかに呟いた。

 ……乱入……。そう呟くと共に彼はセシリア目掛けて攻撃を仕掛け始めた。




 次回、瞬殺
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