インフィニット・レギオン   作:NO!

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革命
暴動


「ウリヤァァァ!!」

「オラアアァァァッ!!」

 

 あれから更に翌日、全世界は今、惨劇と言った地獄絵図と化していた。理由は世界中にいる男達が武器を手に暴動を起こしていた。

 ある者はバットや鉄パイプ等で近くにある物を叩き壊し、窓を割る等の行動を起こしていた。またある者達は数人掛りで車を転覆させたり、物を奪うと言った行動を起こしていた。

 其々が皆、狂った様にも思える様な行動を起こしているが無理も無い――彼等は女尊男卑により苦しまれ、そして肩身の狭い思いをして来たのだ。

 ISが誕生してからの今日まで、彼等は苦虫を噛み締める思いで過ごして来たのだ。彼等はの怒りは暴動と言う形で鬱憤を晴らしている。

 近くにある物に八つ当たりと言う形で破壊行動や略奪行動をしている。が、ISがある時点で既に鎮圧される危険があるのかも知れないが彼等はもう、ISと言う物は怖くなかった。

 否、既に過去形としても片付けられるだろう――理由はISを超える物が存在した。インフィニット・レギオン――通称、IL。その兵器が、否、兵器用や日常用と言った武器にもなれば娯楽や災害と言った多方面での活躍も期待されている。

 

 しかし、それは男性にしか扱えない――それは男性達を歓喜させ、女性達を絶望へと追いやってしまう。そして事の発端は三上の中継が終わる直前だった。

 三上の中継は全世界が釘付けとなり、その後中継が終わる数分前、異変が起きた。それは、全世界にある軍事基地にいる男性自衛隊員達が突然、ISらしき物を扱える様になったのだ。

 それはILであるが彼等はどうやって手に入れたのかは、三上が全世界に中継を入れてる間――否、三上はその前に部下にILの機体が積んだトラックを運転し、それを全世界にある軍事基地に運搬する様に言ったのである。

 部下と言っても金で雇った者達ばかりであるが彼は、三上は自分が全世界に対して中継で釘付けにしている間に運搬する様に言ったのは、三上自身の賭けであった。

 ILは男性にしか扱えないが普及する方法はこうするしか無いと考えたらしい。どう見ても無謀としか言いようが無いが、何故か上手く言った。

 何故なら三上は、人の心理を利用したのである。人は何かをする時に集中すると、他の事には目に入らない――。ゲームをしても、携帯を弄っても、パソコンをしていても人は何らかの理由が無ければ他の事を気にもしない。

 彼はそこを突いたのだ――人間の心理を突いたのだ。中継を流したのは警戒を自分へと向ける為にそうしむけたのだ。最も、彼が自分に集中させたかったのだ、ある人物に対してだった。

 

 しかし、それが結果で、原因で暴動が起きてしまう。街のあらゆる所の機能は完全に停止し、交通機関は愚か、仕事をしょうとする者達は誰一人いない――街のあちこちは崩壊し、ゴミが散乱し、道路には夥しくも夥しくない数の男達が歩いている。

 世界は崩壊した――誰もが、そう思った。そして――女尊男卑は崩壊し、革命と言う意味で男尊女卑が生まれた、と。

 

 

 ――ひでぇ……――。そんな中、此所はロシアの首都、モスクワ――今の時間帯は朝の七時であるが国自体は明るい物の、街自体も明るく、騒がしい。

 何故なら男達は未だに暴動を起こしている。昼夜問わず、暴れている。そんな彼等を五階建てアパートの一室にある窓で見ていた壱夏は苦虫を噛み締める様に見ていた。

 惨くも痛々しい――それどころか、今までの鬱憤を晴らす為の様な行動とも捉え、我慢を放出する様な行動とも捉える事が出来る。逆にまた、壱夏は無表情になると、不意に身を翻す。

 ――いい薬だ、因果応報だ――。壱夏は女性達に対してそう思っていた。女尊男卑主義者に当てはまる事だが非女尊男卑主義者もいるだろう。

 彼女達には悪いが仕方ないだろう。壱夏は無慈悲な事を考えながら瞑目した。刹那、扉の叩く音が聴こえ、壱夏は目を開けると、扉を叩いたであろう者を敢えて知らない様に訊ねる。

 ――誰だ? ――そう訊ねると、扉の向こう側にいる者が応える。

 

「お兄ちゃん――伍だよ」

「伍か? ――入ってこい」

 

 壱夏が言うと、扉が開く――開けたのは、向こう側に居たのは伍であった。彼は酷く怯えていた。恐らく、外の暴動に怯えているのだろう――壱夏は哀しそうに微笑むと、軽く手招きする。

 ――お出で――そう伝えてた。伍は解ったのか無言で壱夏の元に駆け寄り、壱夏に抱き着く。壱夏は伍の行動に戸惑っていないが彼は伍を優しく抱き締め返すと、彼の頭を撫でる。

 伍は震えていた――子供らしく外の暴動に怯え、怖いと感じている。だが、窓を閉め切っているにも関わらず外からは男達の怒りの声が絶えないように聴こえて来る。

 普通の人なら、女尊男卑主義者の女性達から見れば恐怖でしかない。彼も例外ではないが壱夏は彼に優しい口調で訊ねる。

 

「どうした伍? ――まさか怖いのか?」

「……うん、怖い……」

「そうか……だが大丈夫だ、俺がいる――だがな、自分の身は自分で守れる様にはしろな?」

「うん……でもお兄ちゃん――大丈夫かな……」

 

 伍の言葉に壱夏は「何が?」と訊ねると、伍は辛そうに顔を上げ、壱夏を見上げる。伍は潤んだ瞳で壱夏に言う。

 

「玖牧さんと肆狼おじさん――それにあの人も……」

 

 伍の言葉に壱夏は瞠目するが沈黙した――外から聴こえてくる騒がしい音に耳を傾けている訳ではない――伍の質問にどう答えていいかも解らない訳ではない。

 彼は只、伍が何故そう言った事を言ったのかは直ぐに理解出来たのだ――その質問は三上からの命令であり、誰も伍を気遣い、伍に告げ口していない。

 だとすれば――そう言った事を言ったのは……壱夏は心配になり、彼に問い掛ける。

 

「伍、それは誰から訊いたんだ?」

 

 

 

 その頃、此所はメルヘンのような風景と町並みが有名で、過去の悲劇の産物としてもベルリンの壁が一部遺っているので有名な国、ドイツ。

 その国も今、男達による暴動が起きていた。メルヘンの国としても、静かな街が騒がしくなっている。辺りは破壊され、炎が立ち込められ、街の機能さえも停止している。

 最早崩壊は目前――誰にも止められない訳ではないが今はそう言った状況では無駄に等しいだろう。

 ――っ……! ――。そんな彼等を物陰から見て苦虫を噛み締めた様な表情を浮かべている者がいた――私服姿の玖牧であった。

 彼は今、牧師の仕事をしながらも街の様子を伺う為に一人、我を忘れている男達がいる危険な場所へと来たのだ。しかし、目の前を背きたくなる様な惨劇に言葉を失っていた。

 

「此れ程とは……いえ、仕方ないと片付けるしかないのですか……」

 

 玖牧は男達を見て辛そうに言葉を述べる――彼は男達の行動に何処か怒りと哀しみを感じていた。怒りは迫害されたが故と、哀しみは彼らの辛い気持ちをも表している。

 彼等は加害者であるが被害者でもある。暴動を起こしている時点で被害者であるが過去は被害者だったのかも知れない。玖牧はそう思いながらも物陰に隠れるとシャツのエリ部分の中に手を入れると、ある物を取り出す。十字架のネックレスであった。

 理由は彼自身が牧師としての自覚を持ち、彼自身が間違った道へと進まない意味でも、彼がそう言い聞かせる意味でも肌身離さず持ってる物である。

 しかし、それは彼の専用機でもあるIL『懺悔』の待機状態の物でもあった。彼は十字架を握りしめると、ゆっくりと目を閉じると、微かに呟く。

 

「神よ――今一度、否、何度も汚す行いをするであろう私を許したま……」

 

 刹那、上空から大きな音が聴こえ、玖牧は瞠目すると、物陰から顔を出しながら空を見上げる。そこには、三機の迷彩柄のISを纏ってる女性と、中央には他のISとは違い、軽装的だが黒を基準としており、両側には大きな球体がある物の右側には大きなレールガンらしき物が装備されてるISを纏っている者がいた。

 しかし、玖牧はそのISを見て、絶句した。彼は中央の他のISとは違うISを纏っている者を見て絶句していたのだ。何故ならその者は十代前半くらいの腰まで掛かる長い銀髪に、紅い瞳が特徴的であるも左目は眼帯で隠している小柄な少女であったからだった……。




 次回、対決
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