「隊長、街は惨事と化しています!」
ISを纏っている女性は、ある者に対して、焦りを隠せずにそう呼んだ。隊長――それは、他のISとは違うISを纏っている少女に言ったのだ。
「何故、このような事に……!?」
少女は街の惨状を見て、苦虫を噛み締める様な表情を浮かべる。街の至る所は男達の暴動の巣窟と化している。数日前まではいつも通りの光景だったのに今は見る影も無い。
あれはまるで暴徒――怒りを吐き出す暴徒としか言えなかった。しかし、ISと言う女性にしか扱えない兵器が生まれた――それが、ISが原因かも知れないが今はILと言う、ISを凌駕し、男性にしか扱えない兵器が誕生した。
ILはISとは違い、力もあり、数を上回る――それはILは世界各地の軍事工場にトラックで運搬された形で現れた。最初は怪しんだが門を守っている兵士から見ればだが見た目はISだと思うし、何より調べる意味でもチェックする上、調べない訳にはいかなかったのだ。
突然とは言え、男性達から見ればそう言った行動は珍しくもない。が、その所為で軍事基地は今、大混乱に陥っている。軍事基地にいる男達もまた、暴動を起こしているのだ。
しかし、軍事基地が大混乱に陥っているのと別にもう一つ、軍事基地は壮絶な制圧戦が繰り広げられていた。理由は、軍事基地には男尊女卑主義者ではない者達が少なからずいたからである。
彼等は暴動を起こす仲間達を止めるべく奮起している。それにラウラ達が街に来たのは、彼女達は軍事基地にいる男尊女卑者ではない者達から此所は俺達がやるから、お前達は街にいる者達を止めてこいと命令したのだ。
街は暴動と化している男達で溢れているが基地でも対立が起きていた。街の方にまで回す事は出来ないのと、警察だけでは足りず、此所はISで制圧するしか方法は無いと判断したからである。因みにラウラには他にも部隊の仲間が居るが、暴動を制圧する為に部隊を分断し、各方面に当たらせていた。
「取り敢えず隊長! 早く他の所へと行って閃光弾を散撒きましょう! あれを止めるのは……!」
「私もそれには気付いてる!!」
近くにいる女性の言葉に少女は怒りを隠せずに言い遮る。少女もそれに気付いてるが彼女自身はこの任務に何故か違和感を感じていた。
少女の言葉に女性は少し下唇を噛むが少女は女性達の方を見ながら言った。そして先の爆発音は閃光弾であり、男達は気を失っていた。
「此れより他の場所へと向かう! この私、ラウラ・ボーデヴィッヒに続け!!」
少女、ラウラは女性達に命令すると、彼女はその場を離れる様に突き進む。それを見た女性達は慌てて彼女を追いかけると、彼女達はその場を離れる様に向こうへと言った。
「な、何て事を……」
そんな少女達を物陰から見ていた玖牧は愕然としていた。が、彼は男達が閃光弾によりも気を失っているのを見て更に下唇を噛む。幾ら男達が悪いとは言え、此れは流石にやり過ぎであると感じていた。
ラウラ達のしている事は間違いではないのと、間違っている事にも気付いていた。しかし、最悪の場合、死者が出るのも可笑しくはないが彼は神に仕える身であり、そう言った行動には怒りと哀しみしか沸かなかった。
「これでは最悪の場合……っ、仕方、ありません!」
玖牧は首にぶら下げている十字架を片手で握りしめながら瞑目した。
――懺悔――。玖牧は十字架を握りしめながら瞑目しながら呟いた。刹那、彼の十字架は白く輝き始める。とは言え、握りしめている手が光っていると言い換えれば良いだろう。
そして玖牧の周りからは黒い霧が立ち込められ、霧は彼を包み始める。霧は消えないが彼は腕で払拭すると、彼はILを纏っていた。
全身が黒く、それで何処か牧師の衣装を模しており、両肩には哀しい表情を浮かべながら血の涙を流している人の顔があった。が、彼は頭には西洋の騎士を沸騰させる様な兜を被っていて、後ろには天使の翼の様にも思える白い両翼が、ウィングスラスターが浮いていた。
そう――それこそが彼のIL、懺悔である。しかし、今は説明している暇はなかった。彼はラウラ達を追いかける為にILを動かしながらその場を離れた。
彼等が離れた後、そこは閃光弾により気を失った男達が寝転がっていた……。
「取り敢えず、此所も何とかなったか……」
その頃、ラウラ達は離れた場所で男達を閃光弾で気を失わせる任務を遂行していた。しかし、彼女は男達を見て未だ苦虫を噛み締める表情を崩さなかった。
いくら任務とは言え、人を傷付ける行為は躊躇しないが何故か怒りややるせない気持ちがわき上がる。此れは誰のせいなのか? と。ラウラはそう思いつつも、他の場所へ行こうとした直後。
「隊長!? 後ろから何かの一つの機体反応が!!」
「何だと!?」
ラウラ達は一人の女性の言葉に驚きを隠せずに女性を見やる。女性の言葉にラウラは訊いた。
「何だ!? ISか!? それともILか!?」
「いえ――否、ISではありません!!」
女性の言葉にラウラ達は瞠目した。ISではない? ――だとすれば、それは一つしか無い。そして女性は言葉を続けた。
「判りません!! しかも此方に接近してきます!」
女性はそう言いながら後ろを見る。ラウラ達も後ろを見る――後ろには何も見えないがラウラ達は驚く中、ラウラはすぐさま冷静になると、女性達に命令する。
「お前達は引き続き作戦を遂行しろ!」
「えっ!? ですが隊長はどうするのですか!?」
「私は……未確認らしき機体の相手をする!!」
ラウラはそう言いながら後方へと向かう。後ろから仲間達の声が呼び止める声が聞こえるが、ISを動かしているからか、それともラウラ自身が隊長としての危機を感じたか、それとも部隊を気遣ってか、それとも単にラウラ自身が無断的な行動をしているのかは判らない。
判るとすれば、危機を感じたと言い換えれば良いだろう。軍人気質の彼女から見ればそう思えざるを得なかったのだろう。ラウラは戻る。
どのくらいは成れたのかは判らないが一キロにも満たないだろう。
そんな中、一機のISらしき物を纏っている者が近づいてくる事に気付く。――あれは!? ――ラウラは此方へと接近して来る者に気付き、レールガンで攻撃する。
が、そのISらしき物を纏っている者は玖牧である。玖牧はラウラの攻撃に気付くと、紙一重で躱し、そのまま横へと移動する。ラウラは「っ!?」と下唇を噛むと、レールカノンを移動する玖牧へと向けて撃ち続ける。しかし、彼は紙一重で躱し続けると、手にある物を展開する。
一丁の狙撃銃であった。彼は狙撃銃をラウラに向け、一発の銃弾を放った。銃弾はラウラに命中――しなかった。ラウラに当たる直前、何かが銃弾を弾いたのだ。
これには玖牧も仮面を着けているが驚いており、ラウラは不敵に笑う。
「AICだ! だが説明してる暇はない! お前は私が倒す!!」
ラウラはそう言いながらレールカノンを玖牧目掛けて撃ち続ける。彼は何とか躱し続けているが何れ命中する事は目に見え、そして何も変わらない事に気付いていた。
玖牧は無言で狙撃銃を片手で持ち変えると、ある武器を展開する。一個の閃光弾らしき物であった。彼はそれを片手で持つと、それをラウラ目掛けて軽く投げる。
刹那、閃光弾は微かに光りながら爆発し、四散した。ラウラは驚いてはいないが不敵に笑う。
「何だそれは!? それにそんな物で
私とシュヴァルツェア・レーゲンの前では無力だ! そしてくら!」
ラウラはレールカノンで玖牧を撃とうとしたが、レールカノンからは何の反応もなかった。
――なっ!? ――。ラウラはレールカノンが何の反応もない事に気付き驚くが不意に玖牧から目を逸らしてしまう。刹那、玖牧はそれを突く様にラウラ目掛けて急接近した。
――っ!? ――ラウラは玖牧の行動に驚くが急いで何かをしょうとした。が、それも何故かエラーするかの様に出来なかった。ラウラは再び驚く中、彼はラウラの腹を軽く殴る。
――つぐっ!? ――ラウラは腹を殴られ微かな痛みを感じるが、徐々に意識が遠のいて行くのを感じた。そして何故かISが解除されると同時に意識を失うが彼、玖牧は直ぐさま狙撃銃を解除する形で消すと、ラウラを優しく抱き抱える。
彼女は気を失っている――しかし、彼女は辛そうな表情を浮かべていた。が、玖牧は彼女を見てある事を思う。
「哀しい――何故こんな年端もいかない少女をもISに乗せるのですか? ドイツ政府は――っ」
玖牧は下唇を噛んだ。幾ら操縦者とは言え、こんな少女にISを与える政府に怒りを感じた。が、それ以上に彼はラウラを連れて、ある場所へと向かうためにILを使ってその場を離れた。
次回、切願。伍、壱夏への切なる願い。