インフィニット・レギオン   作:NO!

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革命

「それにしても良く無事だったわね、貴方達」

 

 少し経った後、此所はモスクワにある某所――と言うよりも雑貨店らしき建物の中。そこは人の気配はない物の完全に無い訳ではなかった。

 そこには、壱夏と伍、さっき逢い、再会した少女が居た。三人はそこで避難しているが少女はイスに座りながら、目の間に居ながらもイスに座っている伍に話しかけており、伍は少女の言葉に伍は嬉しそうに応え、壱夏は少し離れた場所で街の様子を伺っていた。

 因みにだが伍は右腕にある遊戯を解除している。

 

「うん! ――それにしてもお姉ちゃんも無事でよかった」

「あらありがとう――良い子ね――あれ?」

 

 少女は何かを思い出したのか首を傾げる。そんな少女に伍は「お姉ちゃん?」と言いながら首傾げるが少女は伍や、不意に壱夏を交互に見ながら口を開いた。

 ――そう言えば、貴方達、名前は何なの? ――。少女の言葉に伍は瞠目し、壱夏は無言で少女を見ながらも溜め息を吐いた。理由は少女が二人の名前を知らない事と、あの時は偶然でありながらも単にぶつかっただけである為に、お互い紹介してはいなかったからだ。

 少女の言葉に伍は瞠目し続けているが少女は伍を見ながら微笑むと自分の胸に手を当てながら口を開いた。

 

「失敬だったわね? ――名乗る際は先ずは自分からだったわね? ――私は楯無、更識楯無よ――一応、IS学園の生徒会長やロシアの現代表をも務めているわ」

 

 少女、楯無は伍と、店の中から外の様子を伺っていた壱夏に対して自己紹介した。が、それには一部脚色――と言うよりも、素性を隠している様にも思えるが彼女は一応の表の事を話している。

 少女の言葉に伍は目を輝かせながら言った。

 

「す、凄い――っ! そんな人が――ううん、楯無お姉ちゃんは凄い人なんだね!?」

 

 伍は子供らしくイスから降りる形で立ち上がりながら楯無に言い寄る。伍から見ればそんな凄いとも言える経歴を持つ楯無を偉大と感じているのだろう。

 その年でロシア代表は珍しいと感じている。伍の子供らしい行動に楯無は少し困惑しながらも、クスッ、と微笑む。別に自慢したい訳や、鼻で笑う訳ではない――楯無は純粋に伍の行動と喜びに不意に笑みを零してしまったのである。

 喜んでいる伍に、楯無は彼に訊ねる。

 

「それよりも君、お名前は?」

「あっそうだった!? 僕は伍、五条(ごじょう)伍! 五歳で遊……」

 

 ――伍! ――。刹那、伍が遊戯と言いかけるのを壱夏が制止する形で遮らす。それを聞いた伍と楯無は壱夏を見やると、彼は腕を組みながら険しい表情を浮かべている。

 ――遊戯の事は言うな――。彼は伍にそう訴えていた。自分がILを扱えると言う事は彼、三上直属の部下の一人である事を半分教える様な物である。

 壱夏は伍に対して少々の怒りと、哀しみと気遣いが入り混じった様な視線を向ける。これには伍も少し肩を震わせるが哀しそうに俯くと、「ごめんなさい」と謝る。

 ――えっと、伍君で良いかしら? ――。楯無は伍の様子に戸惑うも壱夏は二人に近づくと、視線を伍の方へと向けながら彼の頭を撫でる――刹那、不意に口を開いた。

 

「俺は壱夏……」

 

 壱夏の言葉に楯無は「えっ?」と不意を突かれるが彼、壱夏は視線を楯無に向けながら言葉を続ける。

 

「俺は壱夏、一条(いちじょう)壱夏……伍の保護者で……これ以上は言わないでおく」

 

 壱夏はそれ以上は言わずに彼、伍を見ながら彼の頭を撫で続ける。伍は俯いているが楯無は壱夏の様子に不信感を感じた。

 ――彼は何かを隠している――。楯無はそう察知した。が、少女は単なる只の少女ではない――彼女は危険な仕事を受け持つ家計の跡継ぎであるからだ。

 しかし、彼女もまた二人には素性を明かしてはいない。彼女は彼等の正体を知りたいが素性を教える様な事はしていない。どう見ても矛盾しているとしか言いようが無いが仕方ないとしか片付けるしか無いだろう。

 刹那、壱夏はポケットに違和感を感じ、視線をポケットの方へと移しながら伍の頭を撫でていた手をポケットの方へと移動させると、手を入れ、ある物を取り出した。

 スマートフォンだった――壱夏はスマートフォンの画面を見る――壱夏は眉間に皺を寄せた。――どうしたの? ――。楯無は壱夏に訊ねるが壱夏は無言で二人から離れながらスマートフォンを軽くタップすると、それを耳に当てる。

 ――ピピッ、ピピッ――。今度は伍から音が聴こえ、伍は顔を上げ自分の右腕を驚きながら見て、楯無は軽く驚くと伍の右腕を見る。彼の右腕には何も無かったが伍は不意に壱夏に訊ねようと振り返る。

 ――巫山戯るな!! ――。壱夏の怒号がした。これには伍と楯無は肩を震わせるが壱夏は二人の様子に気付くと我に返り、直ぐに悔しそうに下唇を噛むと、彼等に背を向けるとその場を離れる様に歩きながらスマートフォンの向こう側にいる者と話を続ける。

 

「お、お兄ちゃん……? あっ……」

 

 伍は今だ右腕から音がなり続けている事に戸惑いを隠せないでいた。音の正体は恐らく、ILらしき物を見つけた零戦からの連絡だろう――伍はそれに気付きながらもどうすれば良いかで困惑している。

 出れば楯無に素性を明かす事となり、壱夏を困らせる――出なければ、何が遭ったのかを知らないままになる――伍は葛藤した。出るか出ないかで悩んだ。

 すると、壱夏が戻って来ると二人の元へと歩み寄る。

 

「お兄、ちゃん……?」

 

 伍は壱夏を見て少し怯える――彼は、壱夏は何故か少し怒っていた。別に伍に怒っている訳ではないが彼は伍の頭を撫でると、不意に楯無を見る。

 楯無は壱夏を見て一瞬、生唾を吞む。彼の視線に胸騒ぎを覚えた。――裏家業に身を置いているからこそ、彼が何かを言いたいのを察知した。

 彼は何を言うつもりなのだろうか? ――よからぬ事までには気付いたが彼が危険な人物かどうかまでは判断出来ない。彼が何者で何故、伍の保護者を名乗っているのか等の謎が幾つもある。

 未だあるかも知れないだろうが壱夏は口を開いた。――伍、遊戯を展開しろ――。彼の言葉に伍は目を見開く。壱夏の言葉を理解していない訳ではないが彼は、伍は不意に楯無を見る。

 楯無は伍が見ている事に驚いてはいないが彼、壱夏を見ていた。壱夏の言葉を理解していた。恐らく、何かに気付いたのだ。伍は楯無を見た後、壱夏を見る。壱夏は険しい表情をしているが伍を見続けていた。

 ――あっ、う、うん――。伍は壱夏の無言と、圧力を与える様な視線にたじろぎ頷くと、遊戯の右腕部分だけを展開する。

 ――えっ!? ――。楯無は伍の右腕にある遊戯を見て驚くが伍は右腕を左手で操作する。刹那、五つの映像が映し出される――伍と楯無は戦慄し、壱夏は目を細める。

 

『革命だ!! これより俺達の、男尊女卑の時代が訪れるぞ――!!』

『『『オオオオ――――ッ!!!!!』』』

 

 映像にはモスクワの至る所に男達の演説とも言える言葉とそれに賛同する男達が映し出されていた。五つの映像全てにだった。それだけでなく、上空には数十、否、百はいるであろうILを纏った男達がいた。彼等も演説を聞いているが何処か怒りに満ちていた。

 否、全ての零戦は二機のILを捜していた訳ではなかった――零戦は全て、上空にいるILは他にもいた為に見つからずに尾行するのと、それを連絡する為に時間が掛かってしまったのだ。しかし、問題はそこではなかった。

 

 ――革命だ――男達は、彼等はISにより酷い目に逢わされてきた者達であった。が、この映像は革命の瞬間を、男尊女卑の瞬間を捉えた映像に過ぎない。

 同時に、女尊男卑主義者の女性達をどん底に叩き落すには充分と言える程の物であった。伍は映像を観て震え、楯無は生唾を吞む。そんな中、彼、壱夏は何故か少し怒っていた。別に伍に怒っている訳ではない。刹那、壱夏は突然、伍の首に手刀を落とすと、伍は不意に気を失う。

 ――何を!? ――楯無は壱夏の行動に驚く。が、伍はそのまま倒れそうになるが楯無は伍を支えると彼、壱夏を睨む。幾ら子供に手刀を落としたとは言え、保護者当然の立場である壱夏の行動に怒りを覚えた。

 一方、壱夏は楯無を見据え続けていたが楯無は一瞬、生唾を吞む。彼の視線に胸騒ぎを覚えた。――裏家業に身を置いているからこそ、彼が何かを言いたいのを察知した。

 彼は何を言うつもりなのだろうか? ――よからぬ事までには気付いたが彼が危険な人物かどうかまでは判断出来ない。だが今は、伍を気絶させた事に怒りと疑問を感じていた。

 

「更識――伍を、彼を頼む――」

 

 ――えっ? ――壱夏の言葉に楯無は瞠目した。が、彼は楯無を他所に伍を見る。伍は楯無の腕の中で気を失っているが壱夏は哀しそうに目を伏せると、言葉を続けた。

 

「伍……お前と一旦、離れ離れになる――それだけじゃない……伍、お前が見た夢は恐らく、嘘でありながらも正夢かも知れないな……」

 

 壱夏は辛そうにそう言った後、建物内を出て行くように走り去る。楯無は彼を追いかけたかったが伍がいる為追いかける事は出来ず、彼を言葉で制止するも無駄に終わる形で彼は、壱夏は店を出ると、何処かへと走り去っていたった。

 

 

 

 そして数時間後、暴動は終わりを迎え、世界は女尊男卑から男尊女卑の時代を迎えつつあった。

 

 

 




 次回、約束(ここでお知らせです。自分は、NO!は暫くの間、口内の関係で四日程(予定で)入院致します。金曜日か最悪、日曜日までには更新致しますので、暫くお待ちください。
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