インフィニット・レギオン   作:NO!

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 今回は少し早めの投稿です


驚愕

 ――ふぅ……――。あれから一時間後。ここはIS学園の校庭。そこはとても広く、体育の時間には必要不可欠な場所であった。しかし、そこには十蔵と千冬や真耶を含めた数人の教師がいた。

 彼と彼女達がそこにいるのかと言うと、何かを待っていた。それは……。――あっ、あれは!? ――。刹那、全員が全員、上空に何かの轟音が聴こえ、空を見上げると真耶が叫んだ。

 空から一機の全身が黒いヘリコプターが飛んでいた。ヘリコプターはどんどんと校庭へと降下して行くのと同時に、微かに激しい風が校庭に吹き荒れ、十蔵や千冬達は風に怯むと共に少し離れる様に後退る。

 その間にヘリコプターはどんどんと降下して行くと同時にプロペラはどんどんと減速して行き、最後は校庭に着陸すると共に眼前に停止した。

 刹那、ヘリコプターの扉から一人の青年が降りてくる。黒いスーツを着ているが何処か凛としている。そう、彼は拓陸であった。

 

「轡木十蔵と言う方は何方だ? ――貴方ですね?」

「あっ、はい……君は?」

 

 拓陸は十蔵を見て直ぐに気付くが、彼は自分の胸に手を当てる。

 

「申し遅れました――私は拓陸、六条(むじょう)拓陸と申します――三上さん直属の部下の一人です」

 

 ――なっ!? ――。彼の言葉に十蔵達は驚きを隠せない。何故なら目の前にいる青年は、この学園の生徒達とは年が近い様にも思えるのと、彼が三上の直属の部下である事に驚きを隠せないでいた。

 こんな年端もいかない青年が部下である事に驚きでしかないが拓陸は彼等を他所に十蔵に言う。

 

「早速ですが本題に入ります――十蔵殿、私達と共に来て下さい――無論、貴方一人である事はお伝えしましたがヘリで迎えにきました」

「あっ、うむ――それよりも三上さんは何方に? ――本当に食事だけですか?」

 

 十蔵は怪訝そうに訊ねると、拓陸はたじろぎもせずに答えた。

 

「仰る通り、食事だけです――無論、貴方を危険な目には遭わせません――その代わり」

 

 拓陸は懐に手を入れると、ある物を取り出し、それを十蔵に差し出す。黒いアイマスクであった。

 

「これをお着けになって下さい――幾ら食事とはいえ、場所を知られたら困りますので」

「なっ……そう言う約束は聞いてないぞ!?」

 

 千冬は怒るが真耶は慌てて宥める。

 

「……判りました。では着けましょう」

 

 十蔵は拓陸からアイマスクを受け取ると、それを目元に着けた。視界は遮られる代わりに全体が暗闇に包まれる感覚に陥ったが声や音だけが頼りであった。

 十蔵はそう思っていたが、拓陸が何かを言うのと同時に十蔵は音や声を頼りにしながら歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 どのくらい経ったのだろうか? ――十蔵は今、とある場所の通路を歩いていた。ヘリコプターに乗った後、そのまま何処かに降りるのと共に拓陸になすがままに歩いている。

 とは言え、拓陸の手に引かれるように歩いているがどのくらいの時間が経ったまでかは判らなかった。エレベーターや扉の開く音等が少しばかり何度も耳にした。そして、扉の開く音が聴こえ、十蔵は拓陸に中に入る様に言われると、こう言われた。

 ――着きました、ではアイマスクを外して下さい――。彼、拓陸の声が聞こえた。十蔵はそれを取る。少しの間、否、それ以上に長くたった様にも思えた。

 が、今は目の前がぼやけて見えるが十蔵は徐々に視界が回復して行くのを感じた。同時に拓陸は「アイマスクを……それと私の役目は此所までです」と言った後、アイマスクを十蔵から優しく取り上げると、そのまま部屋を出て行った。

 

「……うん……なっ!?」

 

 刹那、十蔵は驚いた。目の前には広めのテーブルがあり、自分が座るであろうイスがあるが向かい側にもイスがあった。否、あるかどうかは判らなかった――それもその筈、イスがあった事に気付いたのはそこにはある人物が座っていたからであった。

 その人物は、拓陸とは同い年ぐらいで、黒いスーツを身に纏っている壱夏であった。

 ――き、君は、お、織斑君!? ――。十蔵は彼を十春と勘違いした。が、壱夏は織斑と聞いて怪訝な表情を浮かべるが直ぐに凛とすると立ち上がり、頭を下げる。

 

 「お待ちしておりました――IS学園の最高責任者にして、現理事長の轡木十蔵様――」

 

 壱夏はそう言うと、険しい表情を崩さずに顔を上げると、言葉を続ける。

 

「私は三上直属の部下の一人、一条壱夏と申します――三上さんの代わりとして、貴方と食事するよう言い渡され、貴方と食事を共にする者です」

 

 壱夏はそう伝える中、十蔵は驚愕し続けていた。彼、壱夏がIS学園にいる唯一の男性操縦者、織斑十春と瓜二つであったからだ。幾ら似ているとは言え、彼が十春ではないかと思ってしまった。

 逆に彼に良く似た者は他にもいるかも知れないが邂逅する確率は限りなく低いのと、偶然逢う事も困難に等しい。では彼は何者だろうか? 十春とは瓜二つだけの人物か、単に似ているだけの人物なのだろうか? 十蔵はそう思うのと同時に驚きを隠せないでいた。同時にまた、壱夏も最初は驚きを隠せないと共に此所にいるのには理由が有った。

 それは革命が起きた日、彼は伍や途中で偶然に逢った楯無と共に建物内に避難していたが三上からの連絡が入り、三上から『伍を置いて日本へと来い』と命令されたのだ。

 これには壱夏も怒るがそれ以上に怒っていたのが三上が伍を蔑ろにし、肆狼や玖牧、参流が計画の為に動いている事を伍に勝手に教えた事に怒りを隠せないでいた。

 伍が壱夏に言わなかったのは、壱夏に言えば奴を殺すと脅してきたからであった。これには伍は壱夏に言えなかったのと同時に、伍の優しさを利用した三上には怒る物の、三上は気にもせず、彼に命令したのである。

 日本に来たのもIS学園の十蔵と食事をするだけであり、三上には内緒にしていたがバレたのと同時に、伍は楯無に任していた。伍は楯無に任せた物の、壱夏は三上の命令に背く事は出来ないでいた。

 何故なら、三上は彼と食事をする事は彼や他の者達を巻き込む形で殺されてしまうと、脅してきたが為に……。

 

「驚いているのも無理は有りませんが、三上さんは多忙の身であると共に今は表に姿を現せる事は出来ません――」

「あっ――いえ、それよりも何故貴方が?」

 

 十蔵の言葉に壱夏は眉間に皺を寄せると、理由を述べた。

 

「三上さんが現れると、ある彼女が現れ、彼女は三上さんを殺しかねないのと同時に、周りを巻き込むからです」

 

 壱夏はそう思うと頭を抱える。彼は彼女、あの者の性格を見越しての事であった。と言うよりも、彼女ならやりかねないだろう。彼女なら三上を犠牲にすると共に周りをも巻き込む。

 彼女の性格上、身内や親友以外には心を開かない為、他人が犠牲になろうとも関係ないだろう。三上はそれを危惧すると共に彼、壱夏に代役を頼んだのは、壱夏を見れば彼女は迂闊に手を出せないのと、壱夏ならば十蔵との話を上手く進める事が出来ると考えたのだ。

 もし攻めても、壱夏が返り討ちに出来るのと、彼が死んだら彼女は哀しみに暮れるのと同時に、親友に何をされるのかは判らないのと、親友は一生後悔すると踏んだからである。

 逆にまた、壱夏は彼女を押さえる為の駒に過ぎないのと、伍を連れてこなかったのは彼が仲間であるのと同時に誘拐されてしまう危険もあると三上が言ってきたが為に……。

 壱夏は三上の命令に納得出来ないのと同時に伍を思い葛藤したが、伍を守る為とは言え、彼を楯無に任せてしまった。自分は保護者失格だ――壱夏はそう思っていたが我に返ると顔を上げ、十蔵に対し、促す。

 

「取り敢えず座ってください――料理は拓陸に頼みましたので、来るまでの間、立っているのも疲れるでしょからね」

 

 壱夏の言葉に十蔵は「うむ」と言いながら頷くが不意を突かれてしまっていた。彼が十春とそっくりであるだけでなく何処か違和感を感じていた。

 しかし、今は壱夏の言葉に頷くしか無く、十蔵は彼が座っているイスの向かい側にあるイスに腰を下ろすと、辺りを見渡す。

 室内は洋室であるが外部との接触を遮断しているのと、高級そうな場所であり、幾らぐらいするのかも判らない。

 十蔵は室内は洋室である事は気付いていたがそれ以上に驚いているのが、目の前にいる壱夏にだった。彼はその間にイスに座っていたが何処から見ても十春にしか見えない。

 否、それ以上に彼は十春とは違い、違和感を感じ続けていた。彼からは何か危険な雰囲気が醸し出されている。憎悪、怒り、そう言った負の言葉としか言えない感情を醸し出している。

 十蔵はそう読み取れる事が出来たのは彼が、壱夏が自分を恨めしそうに見ているからであった。自分は彼に何もしてない。が、十蔵は汗を流す事は出来なかった。

 汗を流すよりも学園の未来を心配しているからであった。そして、彼、三上は壱夏に何を伝え、壱夏は何を言うのかを――刹那、壱夏は瞑目すると軽く頷くと、そして彼、十蔵に言った。

 

「轡木十蔵様――貴方を呼んだのは他でもありません――三上さんは――いえ、三上は、ある者を学園の者として向かい入れて欲しい、とのです」

 

 壱夏の言葉に十蔵は驚きを隠せない――が、彼、壱夏は十蔵に対して、険しい表情を崩さなかった。そして、室内は重苦しい雰囲気に包まれていた。そして、それは長く続いた……。

 




 次回、正体
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