ガンダム0082鉄黒の狼   作:木乃 薺

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久しぶりのジオン側の話です


ジャブローの古傷達

ジャブローの旧ジオン基地付近息を潜め、機体と共に鉄黒の狼部隊達は待機する

 

ケルゲレンにジャブローに残ったジオン残党兵を乗せる作業に他の連中が追われる中でクロウの新しい機体の調整が行われていた

 

クロウ「………白い……悪魔か…」

 

そのモビルスーツはジオンの名だたるパイロットや高性能なモビルスーツを葬ってきた、それに俺は乗るんだ

 

今まで連れ添ってきた高機動ゲルググは解体され、アモンの乗っていたイフリートモヒルとこの高機動ガンダムの部品に使われるのだそうな

 

そんな事を考えながら周りをもう一度見渡すと鉄黒の狼部隊ではない男がガンダムを睨むように見ていた

 

その男の身体には服の上から分かるほどの管が刺さっており、呼吸器を付けて、車椅子に乗っている死に損ないの兵士のようにも見える

 

だが、関係者以外はケルゲレンに乗り込むよう指示されている、それにガンダムに対して強い殺意や怒りを持ったジオン兵がガンダムと共に心中などされては空にいる博士が困る、そう思い、クロウは男に近づいた

 

クロウ「そこのお前、ジオン残党なら列に戻れ、警告は一回までだ、さっさと戻れ」

 

そう言うと男は車椅子を振り返らせてこちらを見て、少し残念な面持ちをし

 

男「はぁ……違うか……」

 

そう言って警告を無視し、またガンダムの方向を見た

 

クロウ「俺は、警告は一回までと言った」

 

そう言って拳銃を相手に向けると何かを一瞬で感じ取った、強い殺気のような何かを

 

ウェルター「おーい、ギニアス博士ー、探しましたよー」

 

ウェルター・サッチャーがこちらに向かって走って来て、クロウがギニアスという男に銃を向けているのを見て飛び上がり

 

ウェルター「ク、クロウくん!?なんて物を向けてるんだい!」

 

クロウ「ケルゲレンの列から離れ、敵兵スパイの可能性を考慮し警告を行ったが、警告に従わなかった為、銃殺が適切と判断した」

 

ウェルター「違うよー、新しく僕らと一緒にモビルスーツ開発に参加してもらうギニアス・サハリン博士だ、仲良くしてよ」

 

ウェルター・サッチャーは釘を指すようにクロウに言って

 

ウェルター「というか、博士、勝手に居なくならないでくださいよぉ、ここの基地、広いから探すの大変でしたよぉ」

 

ギニアス「………そんなに私を探していたなら車椅子に取り付けられたGPSを使えば良いだろう」

 

そう言って車椅子を動かし、こちらにギニアス・サハリンは近づいてきて

 

ギニアス「君がこの機体のパイロットのクロウ君か」

 

クロウ「……だったらなんだ」

 

ギニアス「この機体のジェネレーター出力は一機で従来のガンダム六機分に相当する、それ故の運動性能だ、この機体は必ず本国に持ち帰りジオンの技術の進歩の為に生かしたまえ」

 

クロウ「………了解した、ギニアス博士」

 

ギニアス「あぁ……任せたぞ……」

 

すると、ギニアスの額に汗が滝のように流れ落ちていくのがわかった

 

ウェルター「あ、ギニアス博士、お薬の時間ですから、向かいましょうか」

 

ギニアス「そうだな……また君と話が出来る事を楽しみにしておくよ……」

 

そう言ってギニアスは車椅子を押されながら奥へと向かうのだった

 

ギニアスの睨んだ白い悪魔と呼ばれたモビルスーツ、ガンダムはギニアスの傷をえぐりながらも冷めたような無表情で前を向いていた

 

クロウもそんな白い悪魔を同じように睨んで自室に戻った

 

アモン「………あれがギニアス博士か……フラッグ博士は一体彼を何のために宇宙へ上げる気なんだ…」

 

そう言ってアモンも急ぎ足で部屋へ戻った


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