以前書いていたものを少しだけ手直ししただけのうえ、続きは仕上がっておりません。
恋愛がしたい
事の始まりはマスターのそんな言葉が響いたせいだ、と言うのは少しかわいそうだろうか。
ふと今回の騒動を振り返るとそんなことを考えてしまうが、マシュ嬢辺りは黒幕が悪いに決まってる!という事だろう。
当然その通りだとは思う。だが、あまり納得はいかないのが本心である。
うん、まぁ、今回はそんな話な訳だが…一先ずはその起こりについてだけ話しておくとしよう。
「「「…は?」」」
唐突なその言葉に、意味不明とばかりに言葉が漏れる。
「何でまた唐突に?」
「カルデアには女性的な娯楽が少なすぎると思うのです」
アンデルセンの書斎で暇を潰していた諸葛亮と錬金術士は二人で顔を見合わせるが、言葉を交わす暇もなく城の主は持ち前の毒舌を発揮しようとしていた。
「娯楽を求めているというのであれば、恋愛しなくとも愛だの恋だのという話なら英霊達から聞いてみてはどうだろうか?」
「だって皆の話ってドロドロし過ぎてて食傷気味なの!」
続いたマスターの発言にアンデルセンも押し黙る。
そうして流れる数瞬の沈黙に、皆の心中に、「あー、なるほどな――」という言葉が滲んでいたのは言うまでもない。
「つまり、恋愛がしたいというのではなく楽しめる娯楽が欲しいのか」
一先ず状況整理とばかりにそう口にするが、本質的な理解は諦め気味である。
「馬鹿か貴様は、そういうのは女同士で話せばいいだろう」
「もうやったよ!それに、アンデルセンって死ぬまで初恋を大事にしてたって聞いたよ?」
「なっ!?」
毒舌、撃沈。
最近になってこのマスターは、どこから仕入れたのかサーヴァントへの(不要なことも含めて)理解を深めようと知識を蓄えてきている。
このまま納得させずに言いくるめるのは不可能だろう。
「…エルリック卿は別としても私は遠慮させてもらっていいか?生憎と英霊の記憶までは引き継いでいなくてね。元々女日照り、恋愛というものとは縁遠くてね」
そうと気づいてか焦った孔明が雑な梯子外しを仕掛けてくる。身を切らせるなら周りだけでいいと判断したようだ。
「うーん、でも私とおんなじ現代の価値観を持ってる孔明先生の話は聞いてみたいなー」
ちらっ、とこちらを窺う視線はマスター、――ではなく孔明のものである。
どうやら焦りから策がおざなりにすぎたらしい。自業自得である。
しかし放っておいて後で意趣返しされるのも困る。
「マスター、無理に他人の慕情について掘り返すのは酷と言うものだ。それに誰にだって思い出したくない記憶や口にだし難い事というのはあるものさ」
仕方なし、と助け船を出すがこれで納得しなくとも孔明がどうこうなるだけだ。
まぁ、たまには孔明がババを引けばよいだろう。
「ほう、つまり貴様にも懸想を抱いた相手が居たということか」
「卿は一途なことで有名だったからな。どうせ話を聞くならこういう相手から話を聞くべきだと思うがね」
前言撤回。
こいつら俺のことを売りに出しやがった!
アンデルセンがトスを上げて孔明がスマッシュ、見事なコンビプレーだがババを引く身としてはたまったものじゃない。荷馬車どころか騎士王のソリでドナドナならぬパドるパドる、である。
「そうだ!マスター。ここは成功者に話を聞いてみてはどうだろう?」
「成功者?」
矛先を変える為ならば何でもする。自分の身が賭かっているなら尚更だ。
それにマスターもかなり抽象的に文句を言ってきたのだから俺の話に拘りが有るわけでもないだろう。一先ず興味のありそうな話題をふってみる。
「例えばだが、夫婦円満で有名な英霊の話を聞く訳だよ。いくらメロドラマのような話が間に入ろうが最後はハッピーエンドな訳だから、君のお眼鏡にも叶うのではないかな?」
「確かに。あんまり意識して聞いたことなかったかも」
「だろう?」
我ながら悪くない言い分である。
後ろの方から小さく感嘆の声が聞こえてくるのに腹が立つが、今はこの場を凌ぎきったことを喜ぶことで目を瞑ろう。
「でも、夫婦円満な英雄って誰?」
空気が凍る。
そういや、居たっけ?
ちらりと後方の二人に視線を送るが我関せずを貫いている。
「(…おい、目をそらすな裏切りもの共)」
「(俺は知らんぞ。あの時代の脳筋どもが女を大事にするとは思えんしな)」
「(悪いが諦めろエド。君が生け贄になれば済む話だ)」
「…エミヤ、とか?」
「「(それはどうなんだろう…)」」
「え!エミヤって愛妻家だったんですか!?」
「まぁ、(どのルート出身か知らないから)妻がいたかは分からないが、結構な(一大ブームを巻き起こす位の)大恋愛をやったらしいとは聞いたな」
我ながら苦しい言い訳だったが彼だって現代のサーヴァントである。もしかしたら
その想いが天に通じたのか、その言葉に満足したのか、ターゲットはエミヤに絞られたらしいことがわかる反応をマスターは返してくれた。
善は急げとばかりに礼を言いながら去っていく台風を見送って、読みさしだった本を手に取る。
「…HF出身っぽいし大丈夫だろう」
黒い何かが苦手の様だし、それに聞かれて困る話でも無いだろう。
「鬼め」
「策士だな」
「…私は、言葉は鏡を見てから発するべきだと思うね」
そう自分のなかで折り合いを付けていると、後ろから野次のような何かが飛んでくるが無視だ無視。
改めて思う。
どうしてこれがあんな結果に繋がったのか、未だに分からない。分からないからやってしまったとも言えるが…『俺は悪くない』と口にするしかないだろう。
次回予告!
何気ないマスターの発言が、良からぬ輩を焚き付けた!
「シナリオ脚本担当、アンデルセン」
「音響小道具担当、エドワード」
「アドリブ指導、諸葛孔明」
「「「黒幕、パラケルスス!」」」
「え、えぇ…」
「先輩、どうしましょう。何やらイベントの様ですがオチがバラされてしまいました」
「まぁ、カエサルかパラケルスス位しかやらなそうだもの」
「メタな推理は止めていただこう!」
「これは罰ゲームであり我々の意思は殆ど介入していない!」
「だから楽しむ位の気概でいたまえ!」
突如開催されるイベントにマスターはどう立ち向かうのか!
「特異点を作成するために聖杯を用意した!」
「何やってるの!?」
「怪血ドラ娘のリサイタルを聞くことを条件に聖杯の欠片を譲り受けた!」
「俺が魔力を補強し」
「そして私が錬金した!」
「何故君たちはこういうときばかり協調性を発揮するんだ…」
「つまりクリアすれば聖杯をもらえる訳だね?滾る!」
「先輩!?」
「では、マスターも乗り気のようなのでこれより我らの舞台を開始する」
「なお、演出の協力はドクター雷電にお願いしている!」
「安全な電気は交流なのだ!」
黒幕サイドはほぼ明かされた!
誰が味方か誰が敵か、マスターは(下らない)真実にたどり着けるのか!?
「忙しいのだわ、忙しいのだわ!」
「ナーサリィ?」
「素敵なお茶会に遅れてしまうわ」
「今のは私たちへのメッセージでしょうか?」
「うん、後を追うしかないね」
「見失った…みたい」
「未だにカルデアとは連絡がつきませんし、どうしましょうか」
可愛らしい兎にイカレた帽子屋!
舞台はまさかの不思議の国!?
「お困りかい?可愛らしい主人公樣?」
「ロビンフットさんですよね?いや、しかし…」
「何で猫耳なんて着けてるの?」
「剣に長靴、俺はしがない野良猫ですよ」
「ふむ、ではこのエミヤ印の携帯食料をあげましょう」
待て!次回!
なお、内容には変更がある場合があります。
続きは…多分書くと思うけれど、何時になるかは分かりません。
では。