空母「信濃」へ捧ぐ 作:高津信暁
筆者は艦これの経験が浅いです。前から知ってはいたんですが、グッズや2次創作、mmdばかりで、本家のゲーム自体はまだ未経験、アニメもロクに見ていません。
ですのでこの物語は、周囲の艦これゲーム強者の皆様の経験談と、wikiやらまとめサイト、種々のプレイ動画などを参考に、膨大な資料と悪戦苦闘しながら書いています。途中の主人公のモノローグも、だいたい経験談を基にしています。
だから、「なんだその意味不明なの!!」と言うご指摘は、遠慮なくお願いします。
そして、この文章と先のプロローグは2017年の6月に構想でザッと書かれたものを基にした文章です。いろいろ改稿はしましたが、まだ反映できてない環境もあるので、ご指摘などバシバシお願いします。
空母「信濃」のスペックデータは、史実と他空母との比較で、3日間ほどかけて作り上げました。かなりピーキーな性能になってるなぁ、と思っていただければ幸いです。
それでは、どうぞ。
…うん、まぁ、これで俺の大体の紹介はおしまい。おしまいったらおしまい。
―――さっきの結末とか聞くな。俺は紹介式を終えた、それだけの事実で十分だろ。べ、別にシカトされたりとかしてないからな!?お、俺痛い子扱いされたりしてねーし!?…ほ、ほんとだよ?ボク、ウソ、ツカナイ。
コホン。いったんそれは置いといて、だ。俺は今から、
…さて。まずひとつ、もしお前らが
―――鎮守府は広し、これ即ち
やー、我ながらクソ間抜けな話、俺、鎮守府って普通の公立高校くらいの広さかなー、なんて思ってたんだわ。なっはっは、いやはやおおまぬけ。そんな話あるわけねぇじゃん。艦娘が日常を過ごす、今の時代の鎮守府ですら広いのに、それこそマジのWW2の時にそんなの造ったら、世界から大バカ呼ばわりされるわんなもん。
U☆S☆A『HAHAHA!!ジャポンはオモチャの戦艦で
英国紳士『ボクらはなんで、こんな間抜けな国と、最初に同盟を結んだんだろうね?』
とまぁこんな感じか。つまるところ、狭い鎮守府なんぞ造ったら、各国がこぞって、輝かしき日本海軍のことをバカにするだろうよ。そして戦争はより泥沼と化してゆき…―――あれ?…今、戦争終わった?もしかして、これこそが、真の「平和的解決手段」という理想だったのか?あの戦争は、日本がどうしようもなくバカだったから起こったのは周知の事実、でももし、日本が途轍もないほどの大バカだったら、逆に今以上に平和的に戦争が終結したってことなのか…?
閑・話・休・題。
―――すまん。お前らをこんなバカな独り言に付き合わせて悪かった。ムカっときただろ、「話はよ進めろや」って思っただろ?こんな文評価0か1じゃーって思ったろ?すまん、許してくれ。でも、聞いてくれ。弁解をさせてくれ。こっちにも事情があるんだ。独り言でも言わない限り落ち着けない、やむにやまれぬ事情があるんだ…。
…だって、
さみしい。
まぁ…正直なところ、これは俺への当然の報いって、考える奴もいるはずだ。つぅか絶対いるだろ。そりゃそうだろ。
それはまあ確かに、そうでしょう。俺は
ええ、そうでありましたとも!!!今更否定もしませんよ!!悪かったな親父ぃ!!
しかも俺は、NEETにとって垂涎の、いや、たとえNEETでなくとも、アニメマンガラノベ、そういったものに造詣のある者ならば等しく全員!!憧れてしまうだろう夢のイベント、「神様転生」を受けた
RPGにおける壁役の如く、攻撃を一身に受け、あるいはどこぞの誠君の如く、動画に登場するたびに死ね死ねコールが来てもおかしくはない!!…いや、やっぱ来るな。俺の豆腐メンタルは、死ね死ねコールに耐える自信がないと言ってる。せめてニートニートコールにしてくれ。ニート!ヾ( ̄^ ̄ゞ)( 尸ー ̄)尸_ニート!
っと、そんな話はどうでもいい!!(完全に自業自得)
結局のところだ…ここまでの仕打ちに、俺は、ひとつ言いたいことがある!!お前らにと、俺をこんな境遇にしやがったクソジジイに!!
俺は!!
ということでジジイのミスその⑥。
―――さて。
…これがどういうことか、俺が今から実演をもって見せてあげよう。その身に刻め、これが究極の
ンン゛ッ。あーあー、あーあーあー、てむてら●るちょむちょめぷ!…よし、いける。
…実際、鎮守府はクソ広い、と俺は言ったが、だからこそ「隅まで手入れが行き届いていない」のだ、と言い張るのは、見当違いも甚だしいのである。否定的に見過ぎだ。俺が配属されたこの鎮守府は、ひいき目を抜いても凄まじく綺麗な場所だ。
大正を思わせる
「…ああ、変わらん」
しかし忘れてはならない。俺は某スバル君以上の、リアリティ溢るる
―――もし俺が驚くとするならば、それは
「少し寒いな…」
日向と日陰の境界線を失った、静かな並木道をしばらく真っ直ぐ歩き、角を曲がる。
開けた先に見えたのは大きな空間。
見た限り、ここはグラウンドのようだ。普段ならば、努力家な艦娘たちが走り込みやら筋トレやら、ぱっぱほわほわやってるやってる。それこそエネルギッシュにふぁいおーふぁいおーって感じで、うーんとか言いつつもピャッとやってて。…擬音最高に意味不明だな。水金地火木どってんかいってレベルで意味不明だわ。あらやだ、Wordで赤線出ちゃいましてよ?
そこには不思議と誰もいないのも、前回と同じ。
そりゃ、変な奴が紹介された後に、走ろう!ってなる子はいないでしょ。それも男の艦娘、っつー超矛盾した奴が出て来たー、なんて、もう井戸端会議一直線コースですよね。女の子たるもの、コミュニケーションって大事だもんね。―――そう信じたい。むしろここまで条件が揃って、「相手にされない」ってのは俺真面目にやばい。何がやばいって色々やばい。
―――っと。…お、ふらふら歩いてるといいこともあるもんだな、大当たりだ。
「………………」
俺の真正面、花壇の傍にしゃがみ込んで、一心不乱に花を眺めているのは、ドイツから来た潜水艦、
あ、今となってはいい思い出です。…E5でRomaが落ちた??E6でグラ子が落ちた??大嘘つくなよ、そんなわけないだろ(目をそらす)。E6のS勝利とか無理だろあんなん。E2ですら普通にきつかったのに。( OwO)フジャケルナ!!
…すまん、また話がそれたな。
さて、考えてみよう。俺の目の前には4つの条件がある。まず公園がある、「俺的推し艦娘」とも呼べる破格的かわいさたるゆーちゃんがいる、花壇を眺めてる、幸いにもこっちに気づいてない、と来れば。
そーだ見つめるんだ!!
自分で言ってて悲しくなってきた。相変わらずニートって難儀な生き物よねぇ。
―――うん、でも………まぁ。ちょっと…。
いや、思うところはあるのよ?正直まだ話しかけんの怖いし。綺麗なバラには棘がある、って、ほんとよく言ったもんだよな。かわいい顔してねぇ…とか、ババ臭いこと思っていたりもする。―――でもさ。それでもだよ?
あんなかわいい子………話しかけて、みたかったりは…するよね…?
だってよ?
世界変わって?
―――
いーや男としてうんぬんかんぬんは、最悪この際どうでもいい。
―――そう、結論はひとつ。ゆかねばならぬは世の定め。
ということで、善は急げだ!!よし、早速話しかけよう!
ゆぅぅぅうちゃあぁぁぁぁぁん!!(小声)
「………………」
「―――。……。………。…あ、あー…………」
「………………(じー)」
「…あの…えぇと…」
「………………(じー)」
「…あ」
「………………(じー)」
「………………」
「………………(じー)」
―――は、話しかけれねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!
ほらこんなもん!!幼女相手にすら、圧倒的コミュ力の低さを発揮するのが俺ですよ!!さっきの会話見たでしょ!?(じー)って振らないと、どっちがどっちなのかまったくわからん!!この習性ばっかりは、世界を移ったところで変わりゃしないね!!泣きたい。
―――そう。悲しきかな、我らNEETは掲示板の上ではオラオラ系でも、ひとたび現実に戻ると、途端に小心者へとクラスチェンジしてしまう、まさに
でも、しょうがないじゃん。人を疑うことに長けた俺たちは、どんなにかわいくて性格のいい子でも、まず本性を疑ってかかるのが性なんだから。ひとたびかわいいキャラが出ると、すぐにスレ立ててあーだこーだ言いまくるのが俺らのジョブなんだから。
そもそも、あんないたいけな幼女に話しかけるとか、前の世界なら確実に案件だし。
―――でも、この世界にそんな案件取り扱うポリスメンはいない!俺艦娘だし!
サツいないと途端に勢いづく、まさに外道!!それがO・RE☆
「あー…すまない」
一言!そう、この一言で、俺の世界は変わるんだ!いよっしゃこれでい―――。
「ひっ!?…あ、あの…!な、なにか………なにか…!?」
―――。
―――………ほら、こんなもん…。
「い、いや…別に…」
「ひっ…!」
ゆーちゃんは、怯えながら、俺から、捕食者を前にした小動物の如く、離れてゆく。
それはもう、ものすごい…スピードで…。
―――逃げられたし。
―――………逃げられたし。
―――………………。
………………。
………泣いて、いい?
…。
いやー…好感度0スタートは厳しいよ…主に、俺のメンタル的に。
えぇはい。これが現実ですよ。世界変わったとこで変わりゃしないもの、あるよ。
―――うん、
ここで発揮しちゃいますか…それここで必要ですか…っ!?
いや、俺だって確かに、前はチビデブのクソッタレだったさ。学校行きゃいじめられるし、女の子からは「半径7キロ以内に入ってくんな」とか言われたし、小学生からは横通るだけで「うわー!でぶー!」って叫ばれたこともあったよ。純粋な俺は傷ついたさ…。
―――しかし、その一方で、それをどこか諦観をもって見る俺もまた、同時にいた…!!ネット世界で無駄知識ばっかつけるおかげで、変な言葉を山のように覚え!!知ったかぶっこいて世の中を見る目は、徐々に批判的に傾き!!あげく諦め悟り絶望し引き籠り!!結果、俺は
俺はまさに
で!!そんなニートこじらせたチビデブの俺が、こっちの世界に転生してきて。鏡見て、
まさかの
「―――はぁ。…庁舎に行くとしよう…」
おかげでモチベーションが下がりに下がる。なんて日だッ!
唾が不味い。景色に塗られかかっていた色が消えていく。胡散臭く見えてくる。もはや、転生スタート時に抱いていた希望は、1周目のうちに駆逐されていた。…なんせ、これ1周目も同じことやってたんだぜ…??あん時無邪気にも「ゆーちゃーんだぁー!!」って話しかけたらマジで憲兵呼ばれたからな。説教されたし。あれで俺の希望は殺された。俺の心は硝子なのに、なんて娘だよ…。
―――あらま、そう考えれば警察いるじゃない。うわー…艦娘逮捕する憲兵って、どこの世紀末だそれ…俺の立場ェ…。
やる気が起きない体を引きずり、俺は庁舎へ向かう道へと歩みを進める。あー眠い。超眠い。でも眠れない。理由は3つ。まず風がさみぃ。次にこの状況でそれをする胆力がない。ほんでラスト。待ち受けるは最高におもんないイベント。
提督との
もうね、「やだ、男と男のランデヴー?」だとかそんなこと思う余裕もないわ。やることはむしろ悪の組織がよくやる検査に近い。1周目んときに、よくわからん機械とかダーっと通されたりとかしたしな。正直拷問だろアレ。心理的に嫌すぎる。
―――ただまあ、無限ループ中の俺としては、ここでバックレるっていう選択肢が正解ってことも、大いにあり得るんだわ。なんせ
…真面目に言うなら、実際に、ここであえて間違った行動をとるメリットは、ある。
パッと説明すると、23日にすごい大きくルートを外れる行動(例えば庁舎を意図的に壊したり、
これはまー結構な賭けだな。賭けに勝てば1日を永遠に繰り返して正確なルートを導き出せるが、負ければそこから先は地獄の日々だ。「人殺しの艦娘」のレッテルを背負い、即刻廃棄処分だろう。しかも永遠ループ系ギャルゲーによくある「記憶はないけど想いは残る」的パターンだったら、俺は「なんか知らんけど嫌いな奴」ってなって、艦娘たちと一生仲良く出来なくなっちゃうし。それは無理。
…うん、こういうときは、まずは1周目の行動を振り返るが吉だ。それも出来る限り詳しく。まー、普通なら記憶はだんだん薄れていくはずなんだが、幸いなことに、
―――ジジイ…要するに、これを活用しろってことね…少なくとも1周失敗しないとわからんっていう分かりづらいヒントどーも…。
1周目の時は、えー、何々??『特に考えることなく普通に』向かったのか。なんてこったい、一番おもんない結論じゃないか。1周目の俺マジで馬鹿をこじらせてたのか。
今俺にとれるのは…うーむ、振れ幅が大きすぎてわからん。遅らせる、もいいし、無視する、もいいし…キチガイじみた行動をとりながら侵入するもアリだな…ヤンキーみたいに振る舞ってもいいし…おいおいおいマジでクソゲーじゃねぇか。
―――んん??あれ、なんだか、強烈な違和感が………あるぇー??
まぁいいや、とにかく今大事なことは、何であろうと
とりあえず、30分ぐらい庁舎登場を遅らせてみよう。バックレるのは、ループに慣れた3周目以降でいい。遅刻くらいなら別に
―――さて、そうと決まったらブラブラでもするかね。少し肌寒いけど、まーダイジョブだろ。
ほんじゃま、行ってきまぁ~す。
☆★☆★☆
―――ってて…暴力は反対じゃあ…。
…きっかり30分、集合時刻に遅刻していった俺は文字通りに殴られた。艦娘に。長門さんに。…もうこの時点で泣きたいし、何よりクソ痛かった。唸る轟音、「衝撃のォ、ファーストブリットォォォォォ!!!」って感じ。頬をえぐって来る感じ。ヒートパイルか。
しかも長門さん、一言目が「おい新参、提督のお手を煩わせるな!!」って。俺も言われたかったよその言葉。というか俺が言われるはずだったよその言葉。なんだろうね、殴られた頬よりも心が痛い。そして
…まぁでも収穫。この長門さんの行動は
その後は何も変わらず、1周目と同じように検査を受けさせられた。あれ何とかならんもんかね…CTスキャンみたいなの3つぐらい通されたし、スペックデータの確認されたし、途中麻酔かけられて眠らされたし…うん、何されたのかは知らない。知りたくもない。
あ、そういや俺のスペックデータ、クソ野郎が見せてくれたな。一応何かの役に立つと思ってメモっといたけど…。
耐久:75
装甲:92
回避:52
火力:82
対空:72
索敵:75
運:0 / 20
搭載:47
スロット:4(18,18,6,5)
速力:低速(約27ノット)
射程:中
燃料:95
弾薬:80
燃料+弾薬:175
装甲空母
一言―――「何 だ こ の 穀 潰 し 空 母」。
要するに「
加えて、割と最高峰の装甲92に対して、耐久は何故か75っていう微妙さに、対空索敵も特筆すべきところもなく。極め付けが運の欄に燦然と輝く「0」!!史実反映してるんだろうけど、大鳳ちゃんより低い初期運、しかも上げたところで翔鶴姉様改の初期運と変わらないという…。
しかして、この火力82っていうのには惹かれるものがあるな。これがまぁ、装甲92と並ぶ長所か。元戦艦の面目というわけだが…いわゆる「殴ったほうが早い空母」って、いい意味でイかれてやがる。こういう類の艦、俺は好きだ。「ロマン砲」は最高の名誉職だからな。ステラァァァァ出来るんなら本望よ…。
ただ、俺が効率厨提督なら、これを運用する気は一切ねぇな…余程愛着がない限り…。
持ってきてた装備も12.7cm連装高角砲を3スロに、あとは烈風と流星………マテ。
―――レップウト、リュウセイダト??嘘だろ??おいおいおい、結構豪華じゃねぇか…。
流用してバンバン使えるじゃん。ほっぽちゃん大喜びじゃん。ガエリオ狙いで引いたら三日月さん出ちゃいました!!ただし運はオルガ、みたいなアレじゃん。いやこのたとえ分かりづれぇな。
ていうか、この装備、これじゃまるで…。
…ほーん。要は、信濃がもともと
………。
……ん??で、でも、ちょっと、楽しそう…かな…??
んんっ。―――よ、よし。とりあえず俺の性能の話はこれまでにしとこう。正直、だんだんワクワクしてきちまった。やっぱ男はロマンだよなぁ…ロマンにワクワクしちゃうよなぁ…チマチマ追い詰めるよりか、リスキーでも一発ドカンと行きたいよなぁ…。
さて、次の行動であるが…って、もう午後6時過ぎか。道理で外が暗いと思った。変に体をいじられたからかは知らんが、腹も減って来たし、そろそろ飯にするとするかね。
ということで、レッツゴー、間宮食ど…ぅ………。
―――クソ、考えたら、この行動にも裏がありそうだなぁオイ。嫌なゲームだぜほんと…。
この鎮守府には、飯を食べられそうな場所が3つあるが、一考すると選択肢は4つある。
まずは言わずと知れた「間宮食堂」。
次にこれもよくある「食事処:鳳翔」。
そして「明石の店」。要は飯を自腹で買って部屋で食べるってアレだ。
最後の選択肢は残酷と言えば残酷だが―――「何も食べない」。
よし。いろいろ考えてみよう。
まず「間宮食堂」は、メモによると俺が1周目で選んでいるため、選ぶのは違うだろう―――と言いたいところなんだがなぁ…。先程、検査を受けるうんぬんのくだりで、1周目と別のを選んでいる以上、ここに影響していないとも言い切れないんだよなぁ…クソジジイ、頼むからヒントの1つくらいくれや…。
まあでも、切れる選択肢が一つある。最後の選択肢は「無い」。
いやパラメータ的に弾薬と燃料をあんだけ食う俺が、食わずに一日過ごすとかできる気がしない。わからなければ、一航戦の2人から一食抜いてみるのを想像してみてくれ。想像したくもないだろう??俺はタイプ:ビーストになった正規空母とか見たくないです。
つまるところ、一食抜けば俺も同じ未来をたどる可能性が大いにあるのだ。現に1周目で、俺は大和型姉妹と同レベルで食事を貪ってしまった。いやまぁ、姉弟だから当然ではあるんだが…あれでもまだ満腹感がないのは…ポテンシャルが怖い…。
ということで、ハナから上3つに絞られてたわけだが(くだりの必要性は聞くな)、うん、迷うね。どれも捨てがたい。間宮食堂は美味しかったし、鳳翔さんのとこで飲んだくれ友達作ってみたいし、旧ぼっちとしては3番目の選択肢も捨てがたい。対照実験的に、最初の選択肢以外を変えない方向でいってみるかな…いやでもなぁ~!!う~ん???
―――悩んだ結果、天の神様に頼ることにしました。
どちらにしようかな天の神様の言うとおり、っと。
おっと、これ22文字だから絶対最初の選択肢じゃないか。運命は決まっていたということか…。
まあいいや、何はともあれ今度こそ間宮食堂へレッツゴーだ。間宮カレーが俺を呼んでいる!!金ならさっきの身体検査のお礼として大量に貰ってるし、食えるだけ食ってやるぜ!!
☆★☆★☆
―――ふー、食った食った。満腹満腹。幸せ幸せ。
―――。
―――うん、幸せ。
―――でも、なんでだろうな。
―――ぼく…
………。
………なぁ、聞いてくれよ。食堂での俺の顛末。というか、喋らせてくれ。
まずな、食堂に入るんだ。その瞬間、艦娘が一斉に俺のことを怪訝そうな眼で見るんだ。これはまあ、いいんだ。前世で慣れてるから。ああ、そりゃそうだよな、ってなる。
今まで楽しそーに話してた六駆は静かになったし、夕雲型は黙って食事し始めるし、大和型姉妹は手を止めるし…挙句あの賑やかなことで有名な十六駆すら、食堂から静かにフェードアウトって…俺はバーサーカーか人類種の天敵かなんかですかね…言ってて悲しくなってきた。
これまではいいんだ、いいんだよ…でもな、いただけないのはその次。
―――いやマジで心折れたよ。話しかけたら怯えた目されたんだもん。俺が何かしたの??ってぐらい。いや初対面の奴には普通ビビるだろうけど、そこまで…??俺の顔にタトゥーでもついてたのかな…。
…後ろから出て来た間宮さんも、いちおう応対はしてくれたけど、すごい笑顔が引きつってたし。癒し担当から思いきし「引かれる」俺っていったい…。
―――…ここまでアウェーだと、何か作為的なものまで感じるね、はぁ。心当たりがいっぱいあるから何とも言えんけどさ。とりあえず、あのクソジジイ次会ったら絶対殺す。もう2周目にして口癖気味になってるけど、絶対殺す。
その後は…なんか、俺の周りの席が綺麗に空くという、
ああもうチクショウ、いったい何個諦めればいいんだ俺は。
…まぁいいや、とりあえず部屋に戻ろう。ここも選択肢かと思ったけど…普通に考えて、俺が外でいきなり野宿始めたりとかしたら、それこそガチの異端児だ。ボッチになると、他の選択肢でのフラグがほぼ立たない。こういうギャルゲーで、ボッチ=バッドエンドルートっていう類のもんは多いからな…酷い話だけどさ。
―――それに、今の伊良湖ちゃんの行動…
どうやら、あの時30分入室を遅らせたのは、他の艦娘の行動に、少なからず影響を与えているらしい。ということは、食事を食べる場所は別にどこでもいいのか…でも、30分入室を遅らせたのは間違いだったって説もあるな…うわー、分からん!
「自分の選択がキャラの運命を変える!!」ってギャルゲーあるけどさ…いざ自分がキャラ側になるとつらいもんだな…。しかも俺の場合、どこがいわゆる「ポイント」なのか、1周2周程度じゃさっぱりわからない上に、各ポイントでの選択肢自分で考えださなきゃいけないのか。どこぞのと〇メモよりもタチ悪いじゃんか。
そのうえ
話を戻そう。
―――ということで、俺は今から部屋に戻る。あの行動がもしここまで響いているとしたら、部屋に戻ってから、ないしは部屋に戻る途中で、たぶん1周目と違う何かが起こる。
もし何も起こらなかったとしても、「
加えて結果的に、俺は「30分入室を遅らせた」以外は、全て1周目と同じ行動をとった。
―――さて、これがどう転ぶだろうか。
そして1日寝てみるとしよう。日ごとにフラグがリセットされるのか、1日目のフラグが2日目以降にも影響を与えるのか。はたまた…先の行動は「大きな間違い」と判断されて、強制的に19日に戻らされるか。それすらも「未知」だ。
…ああ、
「本当、どうしてこうなったのだろうな…」
いっそ転生なんてしなかったほうがよかったのかもしれない。襲い来る圧倒的な理不尽に、俺はそれすら考え始めていた。
艦娘の営舎に続く、月明りのない暗い並木道を、黙って歩く。
会話はない。俺の傍に誰もいないのは言わずもがな、周囲の騒ぎ声すら聞こえない。夜戦大好きな皆様の喧騒とか、夕食を楽しむ艦娘たちの話し声すらも。時刻は午後7時半。冬至に近く夜が長くなったとはいえ、駆逐艦すら寝るには早い時間だ。
それなのに何も聞こえない…のは、やはり自分の知らないところで何かがあるのだろう。興味すら持たれずに、ナチュラルにハブられる俺は天性のボッチなのかもしれない。なんだろう、転生したのに全く救済されてないぞ俺。
特にイベントもなく目的地に到着。営舎前の案内看板をじっと見る。えーと、確か俺の部屋は…営舎3番館の322号室だな。
―――…遠いッ!!!!そう、遠いのである。なんとまさかの1番隅。北と西は森に囲まれてるし、庁舎まで500mもあるのだ。大手町駅かよ。しかも322号室は3階で、最も日当たりの悪い北向きの部屋。しかも長い期間空き部屋だったらしく、理由を尋ねたら大淀さんに「…なんでもありません」って目をそらされた。おい事故物件じゃねぇだろうなこの部屋。
なんだろうねこれ。俺の運0がバンバン出ちゃった結果ですかね。総統閣下もこの待遇なら激怒待ったなしだろう。
―――ただ、そんな軽口すらも、ここを通ると、どんどん消えていく。
この辺りまで来ると、いくらかの艦娘とすれ違うのだ。住居のそばとあって、彼女らは思い思いに楽しく会話している。ラフな格好の艦娘も多い。そして当然ながら全員美少女。まさにこの世の天国である。字面通りなら。
だが、彼女らも間宮食堂での艦娘と同様、俺を見ると気まずげに目をそらす、あるいは怪訝な眼で俺を睨むのみだ。そして、揃って口を噤む。快活な彼女らはどこへやら、だ。その異様な雰囲気に、俺は何も問えない。「俺が何かしたのか??」―――そんな言葉すらも、ただ嚥下するほかない。苦々しい唾と一緒に。
しかも恐ろしいのはこれだけではない。
―――
―――
―――キツい。精神が擦り減る。
おそらく、何周目に入っても、これは堪えるだろう。全然、慣れない。
―――ほんまなぁ…今後、俺が宗教を信仰することはないだろうよ…。
針の筵だった営舎前の庭園を抜け、3番館にたどり着く。明治・大正時代の趣ある、素敵な建物だ。ただ、後ろが林だからか、暗さと相まって少し物々しい。もし手入れが成されなかったならば、この建物は森に溶けていくだろう、と言えるぐらいだ。
中に入る。瀟洒なロビー。だがそれ以上に特筆すべき何かはない。庭園にはいくらか艦娘がいたが、このロビーには誰もいない、ぐらいか。
エレベーターに乗る。3階へ向かう。ここまでは最早ルーティンワーク。今の俺にとって、これは
322号室。鍵を開けて入ると、使い込まれた茶色と、毛布の白が基本色の、落ち着いた雰囲気の部屋。たとえるなら、スキー場の老舗豪華ホテルみたいな部屋だ。窓から見える景色は案の定森だけど、それでも森の新鮮な空気が入って来ると考えれば、全く悪くはない。むしろ、前世のボロアパートに比べれば圧倒的にマシだ。
―――スキマ風が通ってるのは気のせいだと信じたい。肌寒さ??知らない子ですね…。
もう見慣れた部屋をぐるり見渡し、ベッドにダイブ。重みできしむ音を聞き流し、今日の出来事を回顧する。
―――1周目は、この後普通に風呂に入って、1日のことを日記にまとめて、終わった。
うん、何も起こってないじゃんか。あの後1周目と何も変わってないぞ。1周目と変えた行動、この後に何も関わってこないじゃないか。あーあー、一回部屋に入っちゃったし、こりゃ流れを確認して終了って流れだね。ナンマンダブナンマンダブ。
―――というフラグを立てておこう。もしかしたら、この後、インターホン鳴らしてくる艦娘がいるかもしれない。「危機は予期しないときにやってくる」の法則だ。アニメだと、だいたい日常パートの次に急展開パートがやってきて、重要人物の誰かが死ぬからな。グワァァァァァ。
★☆★☆★
―――はい、ワクワクしながら待つこと3時間経過。マジ誰も来ねぇし、マジ誰もいない。平和で静寂そのもの。時刻は午後11時。吞兵衛っぽい艦娘の声が聞こえるぐらいになって来た。
あれー??おっかしーなー、何か俺、フラグ立て忘れたのかなー??あるぇー??
…諦めて風呂に入った後も何もない。シャワーの音最小限にして、インターホンの音聞いてたのに…テレビもつけずに、正座して絨毯の上待機してたのに…グスン。
―――だんだん眠くなってきた。どうやら「寝ろ」と脳がお怒りらしい。ふわー。欠伸が零れる。てか艦娘でも眠気ってくるんだな、何だこのテクノロジー。
いかん、本当に眠い…いろいろ気になるところはあるが、とりあえず今日はもう寝よう。2度目の11月19日、これにて終了です!!おやすみなさーい…。
【裏ルートへ進むか??】
【1.はい】
【2.いいえ】
【3.そんなことより夜戦だ!!ヒャッハァァァァァァァァァァ!!】