私/俺のヒーローアカデミア   作:真暇 日間

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わたおれヒロアカ10

 

 オールマイトが雄英で教師をやっていると言う話が広まり、マスコミ達が校門の前でたむろしていたけれど、私には関係ないのでガンスルー。爆弾魔? それゲンスルー。あるいはかっちゃん。

 色々聞かれたけど、私も結構忙しいからね。オールマイトが個性を渡した相手も探さなくちゃいけないし、それ以外にも雄英の訓練施設内ならおよそいつでも個性を使った訓練ができるって話だから、色々と大っぴらにできなかった派手な技の訓練もしたいしね。

 そう言った理由もあって報道陣には見つからないようにすり抜けてきた。ちょっとした強風で機材がいくつかおかしくなったらしいけれど、原因は強風であって私じゃないから大丈夫。問題ない。

 

 そして突然学級委員長を決めると言う話になったけれど、正直私はやる気が無い。だからってかっちゃんは論外だ。だってかっちゃんは人を率いると言う事に全く向いていないし、はっきり言って大多数に好かれる性格をしていない。そういう所から面倒な事は起きてくるわけだし、人には向き不向きってものがある。いくらやりたいって言われても、できないだろうなぁ……。

 ただ、口は悪いし態度も粗暴だし色々と問題は多いかっちゃんだけど、任された仕事はすっごいマメにやるんだよね。めんどくせぇだのだるいだの言いながらも毎日花壇の花に水をあげたり、かったるいとか言いつつ毎日学校の金魚に餌をあげてたりね。

 

 そう言う訳で私は八百万さんに票を入れておく。ちょっと思い込みが強くてちょっと立ち直りが遅くて一度失敗すると突然凄く臆病になってしまう人らしいけど、ちょっと余裕があればしっかり頭も回せるみたいだし、それでいて正しくないことを正しくないとちゃんと言える人。うん、いい人だよね。

 ただ、頭が固いって言う欠点もあるんだけど……今の時点だったらまあ仕方がないんじゃないかなとも思う。高校生だしね?

 

 ちなみに八百万さん以外だったら飯田くんに入れてたかな。真面目すぎて色々問題も出そうだけど、それでも平時においてはいい委員長になりそうだとは思うしね。

 入れなかった理由は……まあ、コインの神様を恨んでね。ダイスの神様でもいいよ。

 そんな感じで委員長が決まってお昼。クックヒーローと言うだけあってランチラッシュの作るご飯はおいしい。しかも出てくるのは早いし値段も安い。凄いね。

 これの真似はちょっと無理かな。だって私お金無いし、早さと美味しさだけならともかく安さについては雄英のバックアップがあってこその物だと思うし。物理的な結果を真似するだけならそれなりにできるとは思うし、それに特殊な個性が必要になるんだったらコピーする個性とか奪い取る個性とかを新しく取ればいい。まあ、残念ながらかなりの反動がある個性じゃないと今の私じゃ取れないんだけど。

 鑑定解析は普通発狂するし、秘密倉庫は普通なら入れられて十から二十kgくらいでキャパシティをオーバーすると骨折脱臼筋断裂で済めばまだましな状態になっちゃう。対個性は自分のもの以外の全ての個性を無効化する、ただし物理現象を伴わないものに限る。物理現象ありでも関係なく無効化できる物だったり、あるいは対象を私じゃなくて他の誰かに向けることで個性を封じることができたりするんだったらまだ他に使えるんだろうけど、対象が私個人のみな上に物理現象に対しては無力だからね。一般的には外れ個性と言われるだろう。

 だからこそ私は身体を鍛えたわけだしね。上から脂肪付けて隠してはいるけど鍛えすぎて腹筋割れちゃってるくらいには。

 それに、個性に頼らないで自力でできることに関しては自分でやる癖をつけたおかげで、他にも色々できるようになった。エネルギーや光を素手で掴んで投げ飛ばしたり、形の無い物に形を与えて投げ飛ばしたり、形の無い物を固める時に何かを間違ったのか気功とか言うよくわからないけど便利な技を使えるようになったりしたしね。

 気功の中でも特に軽功にはお世話になっている。色々しまいすぎて重くなった身体で動けているのは間違いなく軽功のおかげだ。じゃなかったら床とか地面が耐えられないからね。気功万歳。

 

 と、そこで突然警報が鳴り響く。どうも校内に誰かが侵入してきたと言う事らしいけれど、校内に侵入してきたマスコミと言うかマスゴミじゃなくて、マスゴミから離れた所でこそこそ行動しているあっちの方が重要だと思う。

 ……まあ、今のところ私にもかっちゃんにも関係なさそうだし、別にいいかなほっといて。どうやら目的はオールマイトらしいし。

 

 でも、五月蠅い中で食事をするのは好きじゃないんだよね。だからさ―――

 

 黙って?

 

 

 

 

 

 うるせぇのが響き渡ったと思ったら、そのすぐ後に凄まじい重圧が降りかかる。ぎゃあぎゃあと騒いでいた奴らも一瞬で冬の虫ケラのように黙り、一部は呼吸すらも止まりかけている。

 ……だが、俺はこのくらいなら慣れている。これはまあ多分デクだろう。まるで全身を氷の刃で貫かれたような、身体を縦に両断されたのを見せつけられているような、首が落とされた直後に首の無い自分の身体を見せられているような、『死』そのものが自分の身体を奪い取っていくような、そんな感覚。デク曰く気当たりの亜種で、闘気とか覇気ではなく殺気でやるとこんな感じになるんだそうだ。

 ちなみに俺は殺気はよくわからないからデク曰くの闘気と覇気の混合で似たようなことができるくらいにはなっている。今もそれで自分の身体を守っているわけだしな。

 

 チラリと見てみれば、デクは気当たりを続けながら普通に食事を続けているが、それ以外の全てが完全に固まっているようだ。窓の外で騒がしかったマスメディア共も完全に固まっていて、それを押しとどめていた教師も呼吸こそ止まっていないもののかなり苦しげな表情を浮かべているのが見える。

 ……仕方ねぇか。ったく、デクは時々周りが見えなくなるから困る。その度にわざわざこの俺がフォローしてんだから、何とかしてほしくなる。

 

 俺とデク以外に動くものが存在しないこの場所で、全速力で食事を終わらせた俺は食器を持って立ち上がる。この場にいる全員の視線が向かないままに意識だけがこっちに向いているのを感じながらその全てを無視して食器を片付けて、それから一瞬デクに視線を向けてから大袈裟に指を弾いて音を響かせる。

 それに合わせてデクが気当たりを引っ込めれば、まるで俺がこれをやってたように見える訳だ。

 かなりの人数が喉を抑えて咳き込んでいる中、俺は悠々と歩いて外へと向かう。咳き込んで涙目になりながら俺を見上げている奴らには、俺が魔王か何かにでも見えているんだろう。実際には俺はちょっとばかし色々できるだけの人間で、魔王はデクだけどな。

 

 ……で、そのデクだが、どうもピンポイントでどこかに気当たりを向け続けているらしい。流石にどこに向いているのかはわからねぇが、どこかに向いているのは確実だ。デクの気当たりの向かう先にどんな奴が居るのかは俺の知ったことじゃねぇが、まあ死んどけ。

 

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