私/俺のヒーローアカデミア   作:真暇 日間

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入学前
わたおれヒロアカ1


 

 産まれた時からなんだか変な気分だった。自分が自分でないような、自分ではないところに他の自分がいるような、今の自分とは別に自分が存在するような、そんな奇妙な感覚。

 何でそう思うのかはわからない。しかし、なぜかそう思えてしまうのは……多分、この記憶のせいなんだと思う。

 

 その記憶によると、私は転生者とか言われる類いの存在であるらしい。ただ、頭の中に自分だけが自由に入ることのできる図書館があるような感覚で、人格も感情も意思すらも存在しない。そんな状態で転生者と言えるのかどうかわからないけれど、きっとそういう感じなんだろう。

 そして、そんな私の頭の中の知識には無いものが今私の生きている世界には存在している。

 

 個性と呼ばれるそれがいったい何なのか。私にはわからないけれど、とにかくそういうものが存在しているのは確かだし、世界の人間の八割以上が個性を持っていると言うことも知ることができた。

 

 ───そして、私の頭の中に存在しているこの知識が、個性によるものではないかと考えた私が色々試してみた結果、私にしか見えない半透明の板のようなものが私の前に現れた。

 その板には、私の全てが記されていた。

 

 名前、性別、秒単位での年齢、0.1mm単位での身長及びその推移、0.1g単位での体重及びその推移、ABO及びRh血液型、血液組成、血圧、骨密度、骨の長さ、骨の太さ、食事内容と時間、必要な栄養素と多い栄養素、筋肉の最大張力、瞬発力、持続力、限界強度、腱の強度、視力、動体視力、視細胞の数、密度、神経伝達速度、反射速度、etc.そういった様々な、それこそ無数の項目に数字が振り分けられ、今もそれぞれ複雑に変動し続けている。

 その中で一際目を引くのが、唯一変動している数字とは別枠で数字がくっついている『知識量』と、10000/10000と上限に達していることを示している『経験値』と言う二つの項目だ。

 

 試しに『経験値』と言う文字を指先でつついてみると、溜まっている経験値を他の項目に振り分けることができると言うことと、私自身の個性のレベルを上げることができると言う表示が現れた。個性が強くなることには惹かれたけれど、こう言うのの場合はレベルが上がると経験値は手に入りにくくなるのが基本。だから今回は10000の経験値の全てを『知識量』に変換してみると、『知識量』の別枠の数字が(+100)から(+200)に増えた。増加量はどうやら経験値100につき1らしい。

 と、そこまで考えた時点で頭の中に私が知っているはずの無い知識が流れ込んできたのを感じ取った。同時に『知識量』とは別にある『思考速度』や『知識』と言う項目の数字が一度に増加し、経験値が一度に入ってくる。

 ただし、『知識』の項目の数値が大きくないのに一度に知識量を増やしたために、相当の無茶をしていると言う扱いになっているらしい。このままだと私の頭が焼ききれて、廃人になってしまうかもしれない。

 即座に今入ってきた経験値を『知識』に振り分ける。相当の無茶をし続けているらしい今、後から後から経験値が湯水のように入ってくるため困らない。困ったことがあるとすると、『知識』の項目の数字は1増やすのに1000の経験値が必要で、増やしても増やしてもなかなか頭痛が収まらない。それに加えて知識量に知識がゆっくりと追い付き始めると、経験値の入りが緩やかになっていくのがわかった。

 頭痛はもう殆ど感じなくなった。しかしゆっくりと経験値は入ってきているし、新しい知識の事もある。二歳児の脳に無茶なことをした気がするが、何もわからなかったのだから仕方無い。痛みの代わりに押し寄せてきた睡魔は、一度に脳を酷使したせいで来たものだろう、なんて考えながら、意識は一旦闇に落ちた。

 

 

 

 数日後。知識の整理が済むと同時に、私はこの個性についてを人に言うときには嘘をつくことにした。いや、嘘をつくとわかると言う個性があるらしいからもっと正確に言うと、全てを正直に話すのはやめることにした。

 この個性は、およそ人間にできることであれば何でもできるようになる可能性を持っている。経験値の項目を見たときの個性のレベル上げをすると、確かに経験値の量は少なくなる代わりに一度に溜めておける経験値の最大量が増えて、その最大量に見あった項目が解放される仕組みだと言うことがわかった。

 そして今表示されている項目には、今の私ができることの全てに加え、個性の有無を一切考えない状態の人間のできることならばおよそ網羅しているようにも見えるからだ。

 

 これでもしも個性のレベルをあげたらどうなるのか。それはまだわからないけれど、とにかく今はまだ上げないでおこうと思う。

 ただ、これでは普通の人間がどのくらいの数字なのかはわからない。わからないけれど、とりあえず『知識量』の数字に初めから振り分けられていたのが100だったことを考えて、100が20歳くらいの一般人の平均と言うことにして普段から使うような項目……特に『知識』や『頑健』と言った範囲の広い項目の数値を+100まで上げてからレベルを上げることにする。

 いったいどれくらいかかるかはわからないけど、逆に言えば時間があればできるはず。だったらやるしかない。

 

 とりあえず、筋トレしよう。どうも変動している数値と固定された数値の合計が低ければ低いほど、その行動をすることで得られる経験値は多いみたいだし。

 

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