なので肩肘張らず読んで下さい
そこは、とても大きな山の上
遥か天まで届かんという高さを誇る山の上にて一つの大きな岩が置かれていた
この岩は仙石と呼ばれ仙人の力が込められし岩と呼ばれ不思議な力が宿るとされていた
山の上の岩は何百年と言う時間をそこで過ごし、山に住む猿たちによって管理されていた
そんな岩にある時、大きくヒビが入る
ビキッ!ビキビキッ!!
そのヒビは岩全体に広がりそして岩は砕け、中から同じ大きさの卵が現れた
猿たちはその様子を見て不思議に思いさの卵に触れた
すると、卵は割れ中から見たことのない姿をした猿が生まれたではないか
その姿は長い漆のような漆黒の髪をたなびかせ、その身体はまるで鋼鉄のように固く硬い印象を受ける筋肉に包まれ、その顔はこの世の全てのものを凌駕するが如くの美貌と野性味を感じさせた
そしてその後ろには猿の尾が動いていた
猿達は知らなかった、これがなんと呼ばれる存在なのか
その尾は自分達の同類であるが、それ以外が自分達からはかけ離れていた
しかし、自分達が崇めていた岩より産まれた存在、つまりは自分達の上位存在ではないかと猿達は思考に至った
そこから取る行動はただ一つ、崇拝という行為であった
said主人公
それは突然であった
中国のかつてかの有名な孫悟空が産まれたとされる花果山に大学の研究の一環で訪れた時のことだ
三大奇書と呼ばれる『西遊記』
その歴史的側面と物語としての側面、伝説としての側面からの研究をアプローチするべく赴いたのであったが、着いた途端に問題が発生した
そもそも、花果山は火山群のうちにある島の山の一つであり、花果山自体も火山の一つである
つまりは火山としての活動を花果山が始めてしまったのだ
着いた途端に起きた問題に現地の案内人も慌てだしてしまいしまいには自分一人が取り残されしまった
そして火山からマグマが溢れ出す
決してマグマ自体の流れとは早いものではない
しかしそのマグマが溢れ出す際には毒ガスが発生したりするのだ、それが今の状態である
意識が朦朧としてくる、肺が苦しい、体が痺れて動かなくなる
倒れ伏し、意識がなくなる瞬間に見たのは眼前に見えたマグマだった
(おそらく、骨も残らないな)
それが最後の瞬間だった
said end
仙石から産まれたその存在は辺りを見渡し困惑した
それもそのはずだった、なぜならさっきまで『自分は倒れてマグマにのまれた』はずだったのだから
そう、この生まれ落ちた存在は先程ののまれた学生だったのだ
しかし、産まれた存在は学生そのものではない
学生だった存在とは全く違う存在なのだ
生前の学生は今のように長い黒髪ではなくミディアムショートに揃えていたし、身長もパッと見ただけでも生前より10センチ以上は伸び180はある
身体つきもフィールドワークをしていたが今のようにムキムキではなかった、少なくとも腹筋はシックスパックに割れてなかった
そして何よりの違いは腰から生えているこの尻尾
こんなものは生えているわけがなかった
自分の今の状況を把握することに勤めることにした
現状では自分の周りには礼拝のポーズを取る猿達
その数は100はくだらない
恐らくは自分を畏怖する対象と見ているようだ
しかし、猿にそこまでの知能が存在するものなのか?
通常見慣れないものを見たとして警戒をしたり逃げたり威嚇をするのはわかる、しかし崇拝するという行為を猿が行うなど聞いたことがない
それに、自分がおかしな状況に巻き込まれたのは理解できるが自分はあの時に確実に死んだはずだった
例え何かしらの理由があって生きていたのだとしても現状に至った理由がわからない
だがしかし、今この猿を除いた景色には見覚えがある
そう、死ぬ前に来た花果山の島だ
「一体俺に何が起きたんだ?」
確かめるように声を出した瞬間猿達は一斉に顔をこちらに向けて来た
そして1匹の猿が前にでて来た
「あなた様は今しがた岩より産まれたました」
猿がそう告げる
それに対して驚愕した
この猿は今言葉を理解してそして返答したのだ
つまりはこの猿は普通の猿ではない
一体この猿は何なんだ?
「お前達は何だ?」
「私達はこの地に昔より住む猿の一族でございます。」
猿ではあるらしい
しかしわからない、普通の猿ではないが・・・
だか最低限敵意は見えない
とにかく今は状況の整理をする為にこの猿に話を聞くしかないか
「ここは花果山であっているのか?」
「左様でございます、この地は花果山でございます。古くより我ら一族の里でございます」
「やはり花果山なのか・・・俺は岩より産まれたと言っていたな?」
「はい、今しがた我らが御神体より産まれいずりました」
「御神体・・・?」
花果山の山の上で岩より産まれた存在
その上猿達によって崇められる
もしや、俺は・・・
かの西遊記の主人公とも言える存在
斉天大聖孫悟空になってしまったのではないか?
だがしかし、そのような事があり得るのか?
現状ではそれを示唆させる条件が揃っている
考え事をしていると奥の方から猿達が果物などをもってやってくる
そしてそれを俺の前にお供えしていく
「我らが美猴王よ何卒これをお納め下さい」
そう言うとまたもや拝礼のポーズを取る猿
恐らくはこの猿はこの群の長なのだろ
先程より代表して述べるのはこの猿のみの所を見るとそう捉えられる
兎に角今は供えものを食べて見ることにした
見た感じではバナナや桃といった果実が多く
この火山群のどこからもって来たのかと不思議に思う
兎に角一つを取り食べて見る
「・・・美味い」
その果実はどれも今まで食べたどの果実よりも甘くフルーティーだった
思わず目の前に供えられた果実全てを食べきってしまうほどに
そしてあらかた食べ終わった頃には周りの猿達も減り始め残っているのは最初から周りにいた猿と目の前の長猿のみになった
「して美猴王様、あなた様はここで如何様な事を成し遂げるおつもりでしょうか?」
長猿は俺が一息ついたのをみてそう述べた
恐らくは俺と言う存在がここで暴れられたりしないように下手に出ていたようだが元々俺はそのような事をするつもりはなく、むしろ今の状況を利用したいと思っていた
「特にはない、俺も今先程産まれた身だからな、強いて言うのなら自身についての把握をするところからだな」
「そうでございますか、ならば我らに危害を加えたりなどは行うと言うつもりは・・・?」
「ないな」
「それは、安心しました」
そう言って安心したと言わんばかりにため息をつく長猿
すると長猿はこちらに向き直り言った
「それでは美猴王様、何かしら用がございましたら我らにお申し付けを、できうる限りの対応を致します」
「感謝する、何かあったら呼ぶとする」
「いえいえ、それでは我らはこれで」
そう言って周りにいた猿達と共に下がっていく長猿
そしてこちらも今まで感じていた緊張をほぐし一息つく
兎に角は現状餓死したり殺されたりはしないようだ
実際物語としての西遊記では孫悟空は始め猿達に美猴王と呼ばれていたはず、やはり自分は孫悟空になってしまったようだ
だが、もし本当に孫悟空になったと言うのならラッキーなのではないか?
そもそも、孫悟空とは1匹の妖怪である
しかしその力は斉天大聖を名乗れるほど強く
実際に神や冥界の閻魔を相手に波乱万丈を行うも採取的には斉天大聖と言う仏門の一人として崇められるほどの存在だ少なくともちょっとやそっとでは死なないはず
今後はどうしていくのかだけは考えなければいけない
そう思いつつ腹が満腹になったせいもあり眠気が襲って来た
その眠気に身を委ね俺は眠ることにしたのだった