銃を使わないとある武偵   作:宗也

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第13筋 気になる人とは案外すぐ再会するもんである

「あー、鬱になりそうだ。帰って寝たいだらだらしたい働きたくないでござる!」

 

こっちに戻ってきた後、登校したら蘭豹先生にもの凄く怒られた。

 

「働くも何も、今はGW中だろ。しかもここ俺の部屋の中だぞ?」

 

「あっ、そうだったなキンジ。忘れてた。」

 

まあ、酒という賄賂を渡したら酒瓶で数回殴られるだけで済んだけどな!

 

「あー、暇だ!!どっか出かけていい?」

 

「駄目に決まってるだろ風雨?お前今は謹慎中なんだぞ?」

 

そうなんだよ、GW中は謹慎期間だと蘭豹先生が勝手に決めやがって外に出れねえんだよ。

 

「謹慎?なにそれおいしいの?」

 

「頼むから大人しくしてろよ。ボディガードする身にもなってくれ。」

 

そう言ってキンジは頭を抱え込む。大人しく?それは俺に死ねと言ってるようなもんだ!

 

「アリアと白雪がいない貴重な時間なんだから、俺の体を休ませてくれ。」

 

アリアは多分レキの所にいるんだろう。白雪はアドシアードの打ち合わせみたいなもんに参加しに行ったぞ。

 

「はいはい、ロリコン根暗スケベ野郎は苦労するんだねぇ。」

 

「何だよそのあだ名は!?誰が決めたんだ!?」

 

「俺が今さっき思い付いた。中々いけてるだろ?」

 

「何処をどう判断していけてると思ったんだよ!!」

 

あー面白え、やっぱりキンジを弄るのは楽しいな。GW中外に出れねぇからな。

 

「にしても、あいつは元気にしてるかねぇ。」

 

「あいつって誰の事だ?」

 

キンジは麦茶を飲みながら聞いてきた。おっと、ここでイ・ウーの事について話したらヤバイな。

 

「武者修行先で知り合った人だよ。」

 

言葉は荒くてすぐに人を追い掛ける。そして時々ドジを踏むけど、年相応の反応をする魔女だな。あいつは元気かねぇ。

 

「ん?何で俺はあいつの事を考えてるんだ?」

 

「どうした風雨?お前まさか彼女でも出来たのか?」

 

いやいや、そんなわけないじゃないか。いやあるのか?うーむ、このもやもや感は一体何だ?

 

「俺彼女とか出来たことねえからな。キンジもだろ?あっ、現在進行形でアリアという彼女が居たか!」

 

「お、俺はアリアのパートナーなだけだ!!彼女とかじゃねえよ!!」

 

キンジ、顔を赤くして言っても説得力ないぜ?モテる男は辛いだろうねぇ、アリアしかり白雪しかり。

 

「まっ、後ろから刺されないように気をつけな。」

 

「どんな状況だよそれ?ところで風雨。お前武者修行で何処に行ったんだ?」

 

「色々有りすぎたから忘れた。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じでGW中はキンジと駄弁り、白雪が帰ってきたら三人でわいわいしていたな。ただ、時々白雪が携帯が鳴ったらすぐに返信していたけど。

 

「まあ、その事についてはキンジが解決してくれるさ。」

 

そして今はアドシアード当日。まあ、アドシアードは武偵のイメージアップを図るために行われている行事だ。ここの高校偏差値40だしな。

 

「でも、イメージアップなら普通の体育祭みたいなもんにすりゃいいんじゃねえかな?」

 

徒競走とか幅跳びとかそんなんじゃねえもん。普通に銃を使うからな。それでいいのか教師達?

 

「ふわぁ、暇だなぁ。」

 

一応競技に出ない生徒は受付とか競技の審判とかの役割が与えられるけど、俺はその時いなかったから何も無し。

 

「何もしなくていいのはいいんだが、こうも退屈だとなぁ。あーあ、何か起こらねえかな。」

 

まあ、そんな都合よく起こるわけ「おい風雨!!お前聞いたか!?」なんだよゴリラ?

 

「ここにすげえ奴が来てるぜ!!」

 

「うるさいゴリラ(武藤)、発情すんな。」

 

「てめえ!!轢いてやる!!」

 

武藤は俺にラリアットをしてくるが甘いな!!そんな攻撃見え見えだ!!

 

「そおい足払い!!」

 

「うごぎげ!!」

 

おおう、武藤が顔面から地面に激突しやがったよ。痛そうだなー。

 

「落ち着けよ、バナナやるから落ち着け。あっ、それとも草の方がいいか?」

 

「俺は人間だ!!」

 

おいおい、そんなに興奮すんなよ。ドラミングとかするなよ?

 

「それで、すげえ奴とはどんな奴なんだ?」

 

「超絶美少女が来てるんだよ!!しかも黒髪!!今すげえ話題になってるぜ!!」

 

「あっ、そう。」

 

美少女が来たくらいで大袈裟な。まあ、非モテの武藤からしたらビックニュースなんだろうな。

 

「なんだよ反応薄いな、お前も見たいんだろ?恥ずかしがんなって。」

 

「どーでもいい。美少女が来たくらいで大袈裟なんだよ。そりゃアドシアードなんだから来る事もあるだろ。」

 

「そうか、ならもう1つとっておきの情報を教えてやる!!」

 

武藤のとっておきはなぁ、凄くどーでもいい話ばっかなんだよな。無視するか。

 

「まるでお嬢様学校に通ってるような高級な制服を着て右目に眼帯も着けてるんだ!!」

 

右目に眼帯、そして黒髪。まさかな、そんなまさかな。

 

「武藤、そいつの髪型ってなんだ?」

 

「お前も気になってきたか?お前も男だな!!良かったぜ、風雨はホモ疑惑がかけられていたから安心したぜ。」

 

おい誰だ俺にホモ疑惑をかけた奴は?吹き飛ばすか切り刻むか凍らせるから出てこいや!!

 

「武藤、とりあえず後でブッ飛ばす。」

 

「なんで!?っと髪型の話だったな。美少女の髪型はおかっぱなんだよ!!しかも神崎さんと身長はそこまで変わらない!!」

 

んん!?俺はそいつに似た知り合いを知ってるぞ?頼む、頼むから人違いであってくれ!!

 

「そして極め付きに魔女が被っているようなとんがり帽子を被っている!!」

 

おいぃぃぃぃぃ!!完璧にあいつじゃねえか!!何しに来てんだよ!?

 

「こうしちゃいられねえ!!風雨に話したら無性に見たくなってきた!!じゃあな風雨、美少女は校門前にいるから見てくるぜ!!」

 

そう言って武藤はテンションmaxな状態で走っていった。落ち着け俺、落ち着け。ドイツ人は狼狽えない!

 

「ふぅー、まあ世界には73億人の人がいるんだ。人違いって事もあるからな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

校門前

 

「すげえ!!本物の魔女みてえだ!!」

 

「なあなあ!!魔法とか撃てんのか!?杖からビームとか出せんのか!?」

 

「君と契約して魔法少年にならせてよ!!」

 

「あーもう!!お前らなんだよ!?一辺に話し掛けてくんな!!」

 

チクショウメェェェェェェ!!やっぱり美少女ってカツェの事かよ!!

 

「最高だな!!なあおい風雨?どうした風雨?」

 

本当に何しに来たの?日本でテロでも起こすつもりなのか?何で堂々と校門から入ってきてんの?馬鹿なの?死ぬの?

 

「いや、何でもねえよ武藤。俺ちょっと競技の方を見てくるわ。」

 

俺がいることをバレたら大変な事になる。ここは段ボールを被ってやり過ごすし「あっ!やっと見付けたぞ!!」バレた!?

 

「何こそこそしてんだ!!あたしはお、お前に会いに来たんだぞ!!」

 

「お、おい風雨?まさかお前、あの魔女っ子みたいな美少女と知り合いか?」

 

「あんな子知りません。あの子は少し頭がお花畑が咲いている子じゃないか?」

 

カツェ・グラッセとかいう女の子なんて知りません。あんな可愛い子なんて知りません。

 

「ほーう、てめえ折角会いに来てやったのにそんな態度を取るのか?」

 

あっ、カツェが俺に向かって歩いてくる。やめて、来ないで!!周りの男子からの目線が痛いから!!

 

「い、いやこれはあれだよ。俗にいうツン=デーレという奴だ!!」

 

「ふ、風雨。お前いつこんな美少女とのフラグを建築しやがった!?答えろ!!」

 

そんな血の涙を流しながらこっちくんな武藤、知らねえよそんなの。

 

「キンジだけじゃなく風雨もリア充かよ!!」

 

「「「ヒャッハー!!リア充は消毒だぁぁぁ!!」」」

 

カツェとはただの友達だっての!!こうなると本当に手が付けられなくなるな!!

 

「や、山本!?あいつらが凄い剣幕でこっちに向かって銃を撃ってくるぞ!?」

 

「とにかく、こうなった武偵の男達は手がつけられねぇ!!逃げるぞ!!」

 

「ちょ!?や、山本!?」

 

俺はカツェをお姫様抱っこして武藤達から逃げる。ちくしょう、今ならキンジの気持ちが少しわかるぜ!!

 

「風雨が裏切った!!絶対轢いてやる!!」

 

「風雨死ね死ね死ね死ね死ね!!」

 

「パルパルパルパルパルパル!!」

 

「そんな、魔法少年になりたかった。目からビームとか出したかった。」

 

おい最後の奴、それ魔法少年関係ねえだろ。


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