銃を使わないとある武偵   作:宗也

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第16筋 ヒーローは遅れてやってくる。えっ?遅過ぎ?

「戦術殻だと?そんな超能力は聞いたことないぞ!?」

 

「誰にも言ってねえもん。つーかこの超能力は俺だけのもんだし。」

 

俺は刀をくるくる回しながらジャンヌに言う。そこまで俺が炎を使えた事にびっくりしてんのか。

 

「それよりも風ちゃん!?何でこんなところに要るの!?理由を説明して!!」

 

「分かったから分かったから落ち着け白雪。そんなにぐいぐい顔を寄せてくるなよ。」

 

怒りながら白雪は俺の所にずんずんと歩いてくる。白雪の後ろを見ればアリアも説明しろと言わんばかりに俺を見てるし。

 

「ケースD7が発令されたのを見て、ジャンヌはここにいるだろうと予想して来た。そしたら案の定いたから様子を伺ってた。」

 

「様子を伺ってたなら加勢に来なさいよ!!」

 

「それなりの事情があったんだよアリア。そして白雪、何を怯えている?」

 

事情を説明したら白雪が泣きそうな顔で俺を見ていた。何で?俺白雪を泣かす言葉なんて言ったっけ?助けてスーパーキンジ君!

 

「それは出来ないな。」

 

「心を読むなキンジ。で、何で白雪は泣きそうな顔をしてるんだ?」

 

「様子を伺ってたってことは、あの、私の真の姿を見たってことだよね?」

 

真の姿?ああ、あの緋巫女か。

 

「バッチリと近くで見たな。」

 

「うぅ、風ちゃんだけには見せたくなかったのに。怖かったでしょ?恐ろしかったでしょ?」

 

「全然、寧ろ凛々しい白雪が見れて嬉しかったぜ?」

 

俺がそう言うと白雪はパアァという効果音が付きそうな笑顔を見せた。おいおい大袈裟な。

 

「はぁ、いいか白雪。俺は白雪がどんな姿を見せても嫌いにならないぞ。」

 

「本当に?」

 

「本当だ。それと白雪、白雪は何時も笑顔でいてくれよな。白雪の笑顔を見ると元気が出るからさ。」

 

俺は白雪にそう言った後、ジャンヌの方に向き直す。白雪の顔が赤くなって固まっていたけど、大丈夫かねえ。

 

「話は済んだか?」

 

「悪いなジャンヌ、待っててくれて。お前敵なのに気遣いも出来るなんて、いい人なんだな。」

 

「空気を読んだだけだ。お前の実力を見させてもらうぞ。」

 

ジャンヌはそう言って俺に向かって走ってきて、剣を振り下ろしてくるがそれを刀で受け流す。

 

「くっ、予想以上に重い一撃だな。」

 

受け流した後、ジャンヌに向けて刀を横に振るうが剣の腹で止められる。俺はパワープレイは苦手なんだよ。

 

「いい反応速度だ。だが注意力はないようだな?」

 

「何言ってんだよジャンヌ?」

 

「バカ風雨!!下を見なさい!!」

 

下、マジか。いつの間にか足元凍ってるし。

 

「お前の炎は白雪みたいに常時刀から出るものではない。これでチェックメイトだ。」

 

ジャンヌは俺の首元に剣を近付ける。俺の人生ここまでか。

 

「風ちゃん!!今助け「動くなよ白雪、遠山、ホームズ。動けばこいつの首を跳ねるぞ?」くっ!!」

 

「どうするのよキンジ!?アンタ何か出来ないの!?」

 

おーおー、焦ってる焦ってる。まあ、俺が人質に取られたから当然か。

 

「少しは助けを求めたり動揺したりしたらどうなんだ山本?」

 

「忠告どうもジャンヌ。けど、心配は無用だぜ?」

 

俺はジャンヌが白雪達の方を向いた瞬間に刀を足元の地面に刺し、そこから炎を出現させて氷を溶かす。

 

「何!?」

 

「驚いてる暇があったら逃げた方がいいぞ?」

 

刀を地面から取って空中に飛び上がりながら回転し、炎を俺の周りに出現させる。

 

「っ!!熱い!!」

 

ジャンヌはバックステップで逃げたが、少し炎を喰らったみたいだな。

 

「風雨!!アンタ逃げ出せるならすぐに逃げ出しなさいよ!!何でそうしなかったのよ!?」

 

「皆の慌てる姿が見たかったからな!!」

 

「後で風穴!!」

 

解せぬ。キンジは当然だという表情で頷いてるし、白雪はジト目で俺を見てるし、ふざけてもいいじゃないか。

 

「山本風雨、お前は危険な男だ。たかが衛生科のEランクに何が出来ると思っていたが、まさかここまでやるとはな。」

 

「そりゃどーも。じゃあ諦めてお縄に付いてもらえねえか?」

 

「そうはいかないな。白雪だけを連れ去ろうと思ったが気が変わった。山本、イ・ウーに来ないか?」

 

「あっ、宗教的な勧誘ならお断りなんで。」

 

もう実際にイ・ウーに行ったしな。ジャンヌはあのシャーロックから何か聞かされてないのか?

 

「なら、無理矢理連れてく「連れていけると思ってんの?」なっ!!」

 

ジャンヌが話してる時に俺は地面を強く踏んで高速の突きを放つ。だがジャンヌはギリギリの所で横に動いて避けた。

 

「ちぃ、当たったら丸焼きにしようと思ってたのにな。」

 

「お前武偵か!?そんなことされたら死ぬぞ!!」

 

「大丈夫、ちゃんと加減はするさ。」

 

突きを避けられ、まだ硬直が解けない時にジャンヌが剣を下から上に振り上げてくる。腕を斬る気か?

 

「風ちゃん!!」

 

「大丈夫だ白雪、ちゃんと避けれる!」

 

ジャンヌの攻撃を重心移動だけで避けた後、ジャンヌにボディーブローを放つ。

 

「がっ!!この!!」

 

「おおっと、危ない危ない。」

 

怯んだジャンヌは膝が付きそうになる前に俺に向けて剣を横に振るったが、それをバク転で避ける。

 

「はぁ、はぁ。」

 

「そろそろスタミナ切れじゃねえかジャンヌ?」

 

「何故だ?何故お前は超能力を使っても涼しい顔で居られる!?」

 

「知らんな。さて、これ以上長引くと待ってる人が退屈しそうだからな。終わりにするぞ?」

 

俺は刀を肩に担ぎながら言う。だってねぇ、アリアがそろそろ決めろってまばたき信号で送ってくるし。白雪は何か不安そうな目で見てくるしキンジはヒステリアモード解けてるし。

 

「ふっ、舐められたものだな。」

 

「舐めてるからそう言ってんだよ。」

 

俺はジャンヌに向かってそう言いながら指でカツェに合図を送る。上手くいけばいいんだがな。

 

「さて、行くぜ!!」

 

俺は地面に溜まっていた水を刀で掬い上げてジャンヌの目を眩ませる。

 

「小賢しい真似を!!」

 

ジャンヌは俺が掬い上げた水の中を突破して剣を振り下ろしてくる。ここまでは予想通り。

 

「小賢しい真似しないと勝てないんでな。」

 

「嘘を付くな。お前はただふざけていただけだろ?」

 

ジャンヌと会話しながら剣と刀を打ち付け合う。よし、今だ!!

 

「隙ありだジャンヌ!!」

 

「いつの間に!!」

 

ジャンヌは後ろから現れた俺にびっくりしてるな。これでジャンヌを気絶させれば勝ちだな。

 

「だがそれは読めていたぞ!!」

 

ジャンヌは背中から氷の弾を俺に放ってくる。ヤバイヤバイ!!

 

「間に合わねぇ!!」

 

急いで炎で溶かそうとした瞬間にジャンヌの剣が俺の胸を貫いていた。

 

「か、は。」

 

「ふざけているからだ。後で思う存分後悔するんだな。」

 

「風ちゃん!!風ちゃん!!いやぁぁぁぁぁぁ!!」

 

白雪は串刺しにされた俺の姿を見て泣いているのか。ちょっと悪いことをしたかな。そしてジャンヌ、俺は生きてるぞ?

 

「次はホー「悪いな、それはダミーだ!!」!!」

 

串刺し状態の俺から大量の水がジャンヌに降り注ぐ。ジャンヌが串刺しにした俺はカツェが作った水人形なんだよ。しかしよくできてたな。

 

「本物の山本は何処だ!?」

 

「ここだぜ、もう遅いけどな!!」

 

ジャンヌの後ろから飛び出し、刀でジャンヌの頭を叩き付ける。もちろん峰打ちだぞ。

 

「ばか、な。」

 

「時雨蒼炎流、俺がある剣術を参考にして作った技だ。攻式九の型だったかな。」

 

何故燕じゃなくて炎なのかって?いつかわかるさ。

 

「ジャンヌ逮捕よ!!」

 

「風雨、心臓に悪いからもうその技使わないでくれ。」

 

アリアが気絶しているジャンヌに対能力者用手錠を付けてる時にキンジがげっそりとした表情で言ってきた。

 

「えーどうしようかなー?皆の滅多に見れない表情が見れたしなぁ。」

 

「風ちゃんのバカーーー!!」

 

どわっふ、白雪が俺に向かって飛び込んで来た。まあ、心配かけちまったしな。

 

「悪かった悪かったから強く抱き締めなんでくいだだだだ!!」

 

骨折れる骨折れる!!ミシミシ言ってる!!あっ、でも柔らかい感触が。

 

「と、とりあえず説教とかは後で聞くからな。ここから出ようぜ?」

 

「逃げないでね!!」

 

「分かってるよ、じゃあキンジ、ジャンヌを運んでいってくれ。」

 

「何でだよ?」

 

「アリアが運べるわけないだろ。身長的に考え「風雨、風穴開けるわよ!!」現時点で開ける気満々について。」

 

開けるわよってガバメント撃ちながら言う台詞じゃないと思いまーす。

 

「俺は後始末があるからよ。」

 

「わかったよ。ほらアリア行くぞ?」

 

キンジは溜め息をつきながらジャンヌを運んでいった。その後ろからアリアと白雪が付いていった。

 

「ふぅー、さてカツェ出てきていいぞ?」

 

「ったく水人形を作れってあたしがいることをジャンヌにバレたらどうすんだよ?」

 

カツェが段ボールの中からひょこっと出てきたな。

 

「別に良くね?」

 

「良くねえよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、ジャンヌは綴先生の所に連れてかれたらしい。綴先生はジャンヌの態度を見て顔をニヤけさせていた。ジャンヌ、何があっても生きるんだぞ。

 

「いやー、今年のアドシアートは中々大変だったな。」

 

今は閉会式のチアのダンスを見てるぞ。アリアや白雪も出てるな。にしてもなんかな、白雪のおっぱいぷる~んぷる~んが凄いな!!

 

「山本!!何処見てんだ!?」

 

「いだだだだ!!耳を引っ張んなよカツェ。」

 

嫉妬か?嫉妬なのか?大丈夫だカツェ、俺は胸の大きい小さいは気にしないぞ!!

 

「にしてもようやく篭の中から出られたな白雪。」

 

「ん、何か言ったのか山本?」

 

「何でもねえよ。さて、この後カツェはドイツに帰るのか?空港まで送っていくぞ?」

 

俺がそう言うとカツェはきょとんとしていた。可愛いな、魔女姿のカツェもいいけど制服姿のカツェもいいな!

 

「いやドイツには帰らねえぜ。」

 

「まだ休暇が残ってるのか。じゃあ観光を楽しんでこいよ。」

 

「ん、まあそういうことにしておくぜ。」

 

そう言ってカツェは校門に向かって行ったな。なーんかカツェの言い回しが気になるけど、まさかな。

 

「風雨、さっきの子は誰だ?」

 

「キンジか、さっきの子が武者修行中に会った子だよ。」

 

「お前、ロリコンだったのか?」

 

「はっはー、何を言ってるのかねキンジ君?はっ倒すぞ?」

 

少なくともキンジには言われたくねえな。

 

「それよりジャンヌの様子はどうなんだ?」

 

俺がキンジにそう聞くと、キンジは冷や汗をかいていた。え?何?そんなにやべえの?

 

「聞かない方がいいぞ?」

 

「んじゃそうするわ。」

 

「じゃあ俺は帰るからな。風雨、もう少ししたら白雪が来るから待ってろよ?」

 

へいへい、あーあ、説教何時間コースかねぇ。今のうちに逃げよっかなぁ。

 

「風ちゃんお待たせ!!待った?」

 

「いやそんなに待ってねえよ。」

 

「良かった、じゃあ帰ろう!!」

 

「そうだな、色々あったから早く帰って寝たいな。」

 

俺が寮に向かって歩いていると白雪が俺の隣に来る。あーた女子寮はこっちじゃねえよ?

 

「白雪?女子寮はこっちの方向じゃねえよ?」

 

「そうだね。女子寮は確かにこっちの方向じゃないね。」

 

「いやそういうことを聞きたい訳じゃなくてな。もしかしてキンジの部屋に行くのか?」

 

「違うよ風ちゃん、風ちゃんの部屋に行くんだよ?」

 

はい?ワンモアプリーズ?何で白雪が俺の部屋に来るんだ?もう護衛は終わったぞ?

 

「今回の事件で分かったの、風ちゃんはいつも無茶をするからね!!一緒に居させてもらうよ!!」

 

「積極的過ぎやしませんかね白雪?別に学校で会えるんだから部屋に来なくてもいいだろ?」

 

俺がそう言うと白雪は涙目になっていた。泣くなよ!!

 

「そうなんだ、風ちゃんは私といるのが嫌なんだね?」

 

「そういう訳じゃねえよ!!ったく、居てもいいけど面倒事は起こさないでくれよ?あと風ちゃん呼びは止めてくれないか?」

 

「うん、分かった風ちゃん!!」

 

聞いてねえし、これ武藤が聞いたらとんでもないことになるぞ。

 

「はぁー、おっ、着いたな。」

 

さーて誰にも見つからない内にドアを開けて靴を揃え……えっ!?

 

「どうしたの風ちゃん?玄関で固まってたら入れな、この靴誰の?」

 

いやまさかな!!そんなことないよな!!あいつは俺の部屋は知らないもんな!!

 

「とと、とりあえず中に入ろうぜ?」

 

戦術殻使いすぎたか?いやー最近疲れてんな。居間のドアを開けたら誰かいるってことは「おっ!帰ってきたな!!」ドアクローズ!!

 

「どど、どうしたの風ちゃん?さっきから変だよ?」

 

「白雪、部屋間違えたみたいだ。」

 

「間違えてねえし!!何あたしの顔を見た瞬間にドアを閉めてんだよ!!」

 

カツェがドアを開けてきた。アレー?ナニコノコー?ボクハシラナイナー?

 

「「あっ!!」」

 

これから大変な日々になりそうだ。つーかカツェ!!お前ドイツに帰れよぉぉぉぉぉ!!

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