銃を使わないとある武偵   作:宗也

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今現在夏休みなので毎日更新出来てますが、あともう少ししたらまた不定期更新になります。

あとサブタイトルとかって付けた方がいいんでしょうか?


第22筋 金欠とブロッコリー

貴方は何も思い出していない(・・・・・・・・・・・・・)。」

 

何だ?この言葉が妙に頭から離れない。俺は記憶喪失にでもなってたのか?

 

そんなことはないはずだ、去年は武偵高校に入学してその前は、あれ?俺は何をしてたんだ?

 

父親は?母親は?駄目だ、いたということは思い出せるが、顔がぼやけた感じでしか思い出せねぇ。

 

そもそも俺は何処で何をしてたんだ?何処で生まれたんだ?白雪とはいつ知り合ったんだ?キンジともいつ知り合ったんだ?

 

そして、俺は何者なんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホテル部屋

 

「ッ!!」

 

あれ?なんかに見たことある部屋だな?確かここは。

 

「俺がドイツで泊まっていた部屋だな。」

 

確かイヴィリタ・イステルという人に会って、カツェみたいな服装をした集団にボコボコにされて、よく生きてるな俺。

 

「生かされたという方が正しいのかねぇ、しかもご丁寧に包帯まで巻かれてるし。」

 

第三者が巻いたのか?にしてもちょっと解れてるな、素人がやったのか?

 

「随分とうなされていたようだけど、ようやく目が覚めたのね。」

 

「誰だよ、お前?」

 

洗面室から女の子が出てきたぞ?見た目は十代前半か、ストレートの長い銀髪でコバルト色の目、何かジト目で見られてるのは気のせいか?

 

グレーのブレザーを着ていて、スカート丈はちょっと短いな、武偵の女性服のスカート丈と一緒だな。そしてニーソックスを履いていると、ロリコンが見たら発狂しそうな見た目をしているな。

 

「セーラ・フッド。」

 

「フッド、ロビン・フッドの末裔か?」

 

俺がそう聞くとセーラはコクンと頷いたな、マジかよ。ジャンヌの次はロビン・フッドかよ。

 

「風、何でお前は生きてるの?」

 

「初対面の人に言う台詞かよ、ん?この包帯はセーラが巻いてくれたのか?」

 

セーラはまた頷いたな、基本的に無口なんかねぇ。

 

「……数ヶ所の銃創、全身打撲、数十ヶ所の斬り傷、数ヶ所の刺傷、大量出血、それだけの傷を負って死なないっていうのがおかしい、風は何者なの?」

 

「何者って言われてもな、俺もわかんねえよ。」

 

人間なのか俺は?

 

「それで、何で俺の名前を知ってるんだ?そして何故俺を助けた?」

 

「名前は教授から聞いた。助けた目的はある依頼のため。」

 

ある依頼?まあ深くは聞かないでおくか。

 

「そうか、でも何で風なんだ?もしかして風雨って言えないのか?」

 

まさかな、そんなわけないよな。

 

「……うるさい。」

 

マジか、しかも若干顔を赤くしてジト目で睨んできたな。でも全然怖くないね!寧ろ可愛い!

 

「ところでセーラ、俺が倒れてから何日経った?」

 

「二日経ってる。」

 

二日か、って二日かよ!こうしちゃいられねぇ、早くイステルの奴に言われた所に行かねえと。

 

「包帯ありがッ!!」

 

めっちゃ痛ぇ!!なんだよ傷口とか塞がってねえのかよ!!

 

「いきなり動こうとしても無理、傷口がまだ塞がってない。生きてるのがおかしい。」

 

二度も言われたよこんちくしょう。でもいきなり動こうとしなければいいだけだ。

 

「ふぅ、さて乗り物とか探さねえとな。」

 

「その状態でハイデルベルグ城に行くつもり?死ににいくの?」

 

「死なねえよ俺は、それに白雪とジャンヌを見殺しにするわけにもいかない。」

 

武偵憲章第一章、仲間を信じ、仲間を助けよ。白雪とジャンヌは俺が助けに来ることを信じてるからな、ジャンヌは武偵じゃねえけど助けにいかないとな。それに、カツェも気になるしな。

 

「無理、風一人じゃ助けられない。」

 

「そんなもの、やってみないとわからな、ってなんだよその手は?」

 

まるで何かを差し出せっていう雰囲気だな。

 

「私は傭兵、風の依頼金次第で助けてあげなくもない。」

 

「傭兵ねぇ、どれくらいの金額を払えばいいんだ?」

 

「純金50kg」

 

「無理に決まってんだろセーラ!?」

 

どんだけぼったくる気だよ!?見た目の割に恐ろしいなこの子!?

 

「冗談、風の気持ち次第。」

 

「そう来るのかよ、ったく。」

 

ここで中途半端な金額を出すと助けてくれないんだろうな。俺の貯金が寂しくなるな。

 

「ほらよ、百万ユーロをポンっとくれてやる。」

 

「……それだけ?」

 

「後できっちり払う。それでも駄目なら、そうだなぁ。」

 

ロビン・フッドの末裔だから、まさかな。

 

「日本で育ててる自家製の野菜をセーラにやる。これでどうだ?」

 

うわっ、すっげー悩んでる。これ以上支払うとなると借金生活が始まるぞ。ピク○ン2の社長の立場にはなりたくねえよ。

 

「その野菜の中にブロッコリーは入ってる?」

 

「ああ、入ってるぞ。」

 

セーラはブロッコリーが好きなのか?

 

「ひとまずはそれでいい。後でこっちの提示した金額を払わなかったら風の頭を矢で打ち抜くから。」

 

ひとまずは納得してくれたようだな、良かった良かった。

 

「よろしくなセーラ。」

 

「……。」

 

だんまりかよ、ちょっとムカついたからいたずらしてやるか。

 

「今はセーラだけが頼りだからな、よろしく頼むぜ。」

 

「~~~~~ッ!!」

 

おおう、セーラの帽子を取って頭を撫でたらめっちゃ顔を真っ赤にしたな。結構可愛いとこあるじゃん、写真撮っとこ。

 

「気安く触るな!!」

 

「うぶぇ!!」

 

な、何か風で吹っ飛ばされて壁に激突したぞ。俺重症人だぞセーラ!!

 

「いだだ!!傷口が開いた!バックリと開いた!」

 

「風の自業自得。」

 

「撫でられたからって、そんなに怒るなよセーラ。もしかして嬉しか「それ以上喋ったら風の頭を打ち抜く。」はい、すみませんでした。」

 

顔の横に矢が刺さったからな、次は当てる気ですねちくしょう。でも顔が赤くなってたから図星なのか。こりゃいじりがいがあるな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、どう助けるつもり?」

 

「どうって言われてもな、何も考えてねえよ。」

 

あの後は包帯を巻き直してハイデルベルグ城へバイクで向かってるぞ。

 

「呆れた、それでなんとかなると思ってるの風?」

 

「なんとかするしかねえんだよセーラ。俺は人殺しとか出来ねえからな。」

 

俺が運転してセーラが後ろにいるぞ。しかし、また一人知り合いが増えたなぁ。そして俺の理性よ頼むから持ってくれよ。

 

「そう言えばセーラは風を操るのか?それと弓を使うのか。」

 

「風や気流を操る。弓は使うけど、矢筒にあまり矢がない。」

 

「なんだ?セーラって意外とおっちょこちょいな、って痛いから脇腹をつつくなよ。」

 

運転中だぞこっちは、事故っても知らねえぞ?

 

「風を助けるために使った。」

 

「そうか、そりゃ悪いことをしたな。なら俺の持ってる矢を使ってくれ。」

 

籠手から普通の矢を20本取り出してと、矢のサイズが合ってるかは知らん。

 

「……ありがと。」

 

「どういたしまして。」

 

さて、あと二時間で日が跨いでしまうな、その前にハイデルベルグ城へ行って白雪とジャンヌを助けねえとな!


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