ファミリーレストラン
あれから特に何もなく過ごしたぞ。まあ、キンジが生物の小テストで理子と何かやらかしたのと、学校に獣が現れたくらいだな。
その獣はレキが武偵犬として飼ったらしい。その時にキンジはレキを下着姿のまま公道を走ったらしい。よく逮捕されなかったな。
「そうなんだ、理子さんが帰って来たんだね。」
「お陰で男子も女子も騒ぐ騒ぐ。事情を知らない人達は気楽でいいよなぁ。」
授業が終わった後、白雪とジャンヌとセーラとファミリーレストランに来てるぞ。一応武偵高から離れた所に来てるから誰にも会わないはず。
「でも何でこの時期なんだろう?もっと早くに帰ってこれた筈だよね?」
「まあ、深く考えても答えは出ねえな。」
キンジとアリアに泥棒をやらせる。大切な物でも盗まれたのかねぇ。
「ところで風ちゃん、セーラちゃんが野菜をたくさん食べてるけど大丈夫なの?」
「もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ!!」
セーラはサラダバーの所にあるブロッコリーを取ってきてむしゃむしゃ食ってるぞ。確かにここのファミレスのブロッコリーは美味しいけどな。
「大丈夫かセーラ、ブロッコリー食った分は払わないといけねえんだぞ?」
「もぐも……えっ?」
セーラがギョッとした表情でこっちを見てきたな。面白いからサラダバーの事は黙ってよう。
「すでにブロッコリーが置いてある容器二皿分食べたからな、高く付くぞ?」
「聞いてない、白雪本当?」
「風ちゃんの言ったことは嘘だよ。あそこにある野菜はどれだけ食べてもいいんだよ?でも野菜ばかり食べても駄目だからねセーラちゃん。」
事実を教えるなよ白雪、セーラがこっちを睨んでるじゃねえか。
「白雪、事実を教えるなよ。GJ!」
「何がGJなのか、風の考えてる事はいまいち分からない。」
ジト目のセーラを見れたからな、あれ?ジャンヌは何処に行ったんだ?
「や、山本。これは何だ!?野菜が大量にあるぞ!?」
「それはサラダバーって言ってな、事前にメニューに組み込んでおけば自由に取ってきて食べられるんだよ。量に制限はないぞ、現にセーラがめっちゃ食べてるからな。」
そう言い隣にいたセーラの頭をポンポンってすると若干顔を赤らめたセーラに睨まれたぜ。可愛い。
「そ、そうなのか。日本のファミレスというのは凄いものなのだな。」
ジャンヌは感心したように頷いてるな。ぶっちゃけ俺にとっては必要ないからいらないんだよな。
「それで、あの機械は何だ?」
「あれはボタンを押すと飲み物が出てくるんだよ。全部飲み放題だからな。」
「飲み放題?」
「いくらでも飲んでも良いってことだよジャンヌ!」
ただ、節度は守ってだけどな。ミックスジュースを作ろうとは思うなよジャンヌ?
「本当にいくらでもいいのか山本?」
「そうだが?」
「じゃあ、100リットル飲んでもいいのか?」
「……いいんじゃねえの?」
飲めるならだけどな。
「飲めるわけがないだろう。お前は馬鹿か?」
「馬鹿ってなんだよジャンヌ?馬鹿って言った方が馬鹿なんだぞ馬鹿野郎!」
「野郎とは何だ!!野郎は抜かせ!!」
えっ?ジャンヌ何言ってるんだ?
「えーとジャンヌ?野郎を抜かしたら馬鹿しか残らないよ?」
「うっ!!」
あっ、ジャンヌが拗ねた。白雪、そういうのは分かってても言っちゃだめだぞ?
「ご、こほん!山本、白雪、お前らは理子を見てどう思う?」
強引に話を切り替えてきたなジャンヌ。
「私は理子さんはいつも元気な人だと思うけど。」
「なるほど、山本はどう思った?」
「何かとおしゃれにこだわる、そして何かを必死に変えようとしている風に見えるな。いつも元気なのは周りの人達に何かを悟られないようにしてるからと思う。」
あくまで個人の見解だけどな、ん?ジャンヌと白雪は何を驚いてるんだ?
「風ちゃん、人の事よく見てるんだね!」
「普段はそんなによく見てねえよ。」
普段から見てたら疲れて生活どころじゃなくなる。
「山本は心理学者にでもなる気か?山本の言う通り、理子はあることを得るために必死になって変えようとしている。」
「自由の為だろ?」
「風、何で知ってるの?」
「色々と調べたからな。」
方法は教えねえぞ?犯罪すれすれの事をしたからな。犯罪者になりたいっていうなら教えてやるが?
「理子はな、少女の頃は監禁されて育ってきたんだ。今のあいつからは想像出来ねえけどな。」
俺がそう言うと、白雪は言葉を失ったような表情になってジャンヌは顔を俯かせたな。知ってたんだな。
「理子が未だに小柄なのは、ロクに物を食べさせてもらえなかったから。」
「知ってるのか雷電!?」
いだ、ふざけたらセーラから足踏まれた。真面目に話すとしますよ。
「衣服に強い拘りがあるのは、ボロ布のような物しか着ていなかったから。」
「そ、そんな!!でも理子さんって怪盗だけど高名な一族なんでしょ!?何で!?」
「リュパン家は理子の両親の死後、没落しているんだよ白雪。使用人たちは散り散りになり、財宝は誰かに盗まれたんだ。」
俺はそこまで話してコーンスープを飲む。うん、ここのファミレスのコーンスープうまし。
「そ、その後はどうなったの?」
「セーラ、説明よろしく。俺はここまでしか知らん。」
「何で私が、没落した後は親戚を名乗る者に養子に取ると騙されて、フランスからルーマニアへ渡った。」
「そこで理子は監禁されたのだ、ある人物によってな。」
ある人物?どんな人物なんだよ?
「『無限罪』のブラド、イ・ウーのNo.2だ。種族は吸血鬼だ、普段は紅鳴館に住んでいる。」
ブラド、なーんか何処かで聞いたことあるな。あっ、アリアが言ってたな。
「気を付けろよ白雪、特に山本。ブラドは世界中に下僕がいて、それぞれが直感に似たもので行動をする。」
「ブラドが危険だと直感で思ったら下僕に襲われる。風、お前は特に注意しろ。」
指示じゃなくて直感かよ、にしてもジャンヌもセーラも俺に警告してくるな。まあドイツでドンパチしたから目は付けられてもおかしくないな。
「それにしても詳しいなジャンヌ?」
「ブラドは理子が倒したい相手でもあるし、私も出来れば倒したい。」
「ジャンヌの一族は3代前..、双子のジャンヌ・ダルクが初代アルセーヌ・リュパンと組んで戦い、ブラド本人に引き分けている。」
マジか、ジャンヌにも因縁がある相手なのか。
「ブラドの姿はどんなんなんだ?」
俺がそう言うとジャンヌは眼鏡をして紙に絵を描き始めたな。見えないのか?
「ジャンヌって眼鏡掛けるんだね!」
「普段は掛けてないぞ?ただ、少し乱視気味だから絵とかを描くときは眼鏡を掛ける。よし出来たぞ!」
どれどっ!!じゃ、ジャンヌ?真面目に描いたのか?
「こういう見た目だ。○で囲った所はブラドの弱点である魔臓がある場所だ。」
「「「……。」」」
「奴は吸血鬼でありながら銀の弾丸は効かない、デュランダルで刺されても死なないらしい。」
あぁ、ジャンヌは絵が下手くそなんだな。まるで幼稚園児が描いた絵だな。
「イ・ウーで聞いた情報だと、奴は魔臓が4つあり、4つを同時に破壊しないと倒せないらしい。」
「ジャンヌ、ごめんな。絵が下手くそって気付いてやれなくてごめんな。」
「私が代わりに特徴を聞いて描けば良かったね。気付けなくてごめんねジャンヌ。」
「ええい!本当にこのような見た目なのだぞ!お前達信じてないな!?」
いや、その絵がブラドです。って言われても、信じようがねえよ。
「大丈夫だ、ジャンヌもきっといつか絵が上手くなるさ!ファイトだ!」
「ぐぬぬぬ!!」
「話が進まない。ジャンヌ、事実は否定しないで認めて続きを話して。」
「お前も酷いなセーラ!?」
まあ、俺も絵心ないし、お互い頑張ろうぜジャンヌ?
「ごほん、ブラドは理子を拘束することに異常に執着していてな、檻から自力で逃亡した理子を追ってイ・ウーにきて、理子と直接対決をして理子は負けた。ブラドは檻に戻すつもりだったが、成長著しかった理子に免じて、ある約束をした。」
「約束?約束って何ジャンヌ?」
「ああ、理子が初代リュパンを超えるほど成長し、それを証明できればもう手出しはしない。とな。」
初代を超える、なーるほど。だからハイジャックの時に初代を超えなきゃならないって言ってたのか。
「胸糞悪い、ジャンヌ、理子はブラドが約束を守ってくれると信じてるのか?」
「恐らくな。」
約束なんか絶対守るわけねえだろ。まあ、理子は信じざるを得ないんだろうな。
「それとブラドは鬼って言われてる。」
「鬼……ッ!!」
な、何だ!?鬼って聞いた瞬間に頭に痛みが走りだしたぞ!?
「風ちゃん!!大丈夫!?」
「あぁ、大丈夫だ白雪。痛みは治まってきた。」
「いいか、ブラドに会ったら戦わずに逃げろ。」
冗談ではないな、ジャンヌが真剣な眼差しで視てくる。吸血鬼相手に真正面からぶつかったりしねえよ、多分。