銃を使わないとある武偵   作:宗也

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夏休みが終わってしまった、なので不定期更新になります。


第30筋 吸血鬼の容姿って結局何が正解なのだろうか?

「てめえがどれほどオレと戦えるか楽しみだぜ!!」

 

「せいぜい余裕ぶっこいてろ、てめえはブッ飛ばす!」

 

俺はすぐさまポケットから手榴弾を取り出し、ピンを抜いてブラドの顔面に投げ付ける。

 

「そんなもの効くかぁ!!」

 

ブラドは腕で手榴弾を弾き飛ばしたな、その隙に足元に近付いて両足を斬る!

 

「ぐぬっ!?」

 

よし、ブラドは両膝を着いたな。その時に両目を斬り払う!

 

「小賢しい野郎だ!!」

 

ブラドは俺をブッ飛ばそうとラリアットをしたきたが、目が見えないのか誰もいない空間にラリアットをしていた。

 

「まずは一つ!」

 

一つ目の魔臓があるところに向けて突きをして魔臓を潰す。よし、あのマーカーは本当に魔臓の位置を指しているんだな!

 

「やるな、オレの両足と両目を斬って一時的に行動不能にしてから弱点の魔臓を狙う。理に適ってるが、詰めがあめえな。」

 

「どういうこッ!!」

 

何!?刀が抜けねえ!!野郎、筋肉で俺の刀を抜けないように押さえ付けてんのか!!

 

「そうらブッ飛べ!!」

 

「やばっ!!」

 

ブラドがアッパーカットをしてきやがった!反応が遅れたから避けれねぇ!

 

「ゴブッ!!」

 

腹にもろにアッパーカット喰らっちまった!

 

「ガバッ、ゴホッゴホッ!!」

 

ブラドにブッ飛ばされて倉庫の壁に激突した。くそ、たった一撃受けただけでこんなにも痛てえのかよ!

 

「オレのアッパーカットを喰らう瞬間に、後ろに飛んで威力を流したか。出来損ないの癖にはやるが所詮出来損ないだ。」

 

くそ、ブラドの両足と両目の傷が回復してるなもう。やっぱ本格的なダメージを与えるには魔臓を狙うしかねえな。

 

「オラオラどうしたぁ!?久し振りにこの姿になれたんだ、もっとオレを楽しませろぉ!!」

 

「うるっせえよ!!戦術殻 炎!!」

 

前方に直進に進む炎を放つ。様子見は無しだ、ここから全力で行くぜ!!

 

「炎か、小賢しい!!」

 

ブラドは拳圧で炎を消火しやがった、デタラメだなこんちくしょう!

 

「戦術殻 氷!!」

 

刀を籠手にしまって槍を取り出し、ブラドの体に槍を刺す。

 

「オイオイ、その程度か?オレにお遊びは通用しねえぞ!!」

 

ちぃ!ブラドの内部から凍らせようと思ったけど、駄目だったか!

 

「なあ鬼の出来損ない、お前はトマトを握り潰せるか?」

 

「そんなこと聞いてる暇があんのか!?」

 

でもブラドの体に穴は空けれたな!槍を籠手に戻して、空いた穴に手榴弾を突っ込む!

 

「っぉ!!」

 

爆風から逃れる為にバックステップをしたけど、若干巻き込まれたな、でも軽い火傷なら行動に支障はねえな。

 

「……ククク、一つ教えてやる。オレは人間の頭をトマトのように握り潰せるんだぜ?」

 

「くうっ!!」

 

ブラドの野郎!拳圧の突風で俺の動きを封じて来たか!ヤバイ、ヤバすぎる!

 

「戦術殻 風!!」

 

ブラドに頭を掴まれる瞬間に竜巻を発生させてブラドを離す。あ、危なかった。

 

「ふん、悪あがきが。だが気が変わった。てめえは殺さずに4世と同じ檻に入れてやる。」

 

「檻、だと!?」

 

「てめえと4世、出来損ない同士が交尾して子を生めば少しはましなものが出来上がるだろうよぉ!!」

 

さっきから聞いてれば、好き勝手なこと言いやがって!

 

「戦術殻 炎。」

 

「また炎かぁ?そんなもの放ってどうすんだぁ?」

 

「こうすんだよ!!」

 

ブラドに向けて進む炎にダッシュで追い付き、炎の真ん中まで進む。

 

「自殺かぁ?ゲハハハッ!!やっぱりてめえは出来損ないだ!!」

 

「自殺なんかするわけねえだろ、時雨蒼炎流。」

 

炎を周りに纏った俺がブラドに向けて突進する。炎を纏って剣術を放つ、これが時雨蒼炎流だ!

 

「特式十之型、名前はまだねぇ!!」

 

「ぐおおっ!!」

 

ブラドの体に突っ込み、デカイ穴を開ける。よし、これなら再生にも時間がかかるだろ!

 

「ククク、クククククク。」

 

「何が可笑しい!?」

 

「てめえは何にも分かっちゃいねえんだな。いくら攻撃しても魔臓を破壊されねえ限りオレは倒せねえぞ?」

 

んなことは百も承知だ。それに同時に4つ破壊しなければならないこともな!

 

「ああ、魔臓を破壊しねえと倒せねえのは、知ってる。こっちは4つ目の魔臓の位置を探してんだよ。」

 

お陰様で見付けたけどな!

 

「見付かったか?けど見付けてもてめえは4つ同時に攻撃する手段がねえんだろ!!」

 

「っち、確かにその通りだッ!!」

 

ブラドが俺の頭を掴もうとしてきた為、横っ飛びで避ける。掴まったら終わりだ。

 

「だからてめえは出来損ないだ、グハハハッ!!」

 

だけど、俺の目的はここから生きて帰ること!別にブラドを倒さなくても(・・・・・・)いいんだよ!

 

「オラオラァ!!逃げろ逃げろ小鬼がぁ!!」

 

「ッ!!」

 

ブラドが俺の頭を掴む為に手を伸ばしてくる。それをバックステップ、サイドステップ、バク転などで回避する。

 

「逃げ足は速いな、だがこれならどうだ?」

 

ブラドが右腕で地面を叩く。その振動は地震並みか!動けねぇ!

 

「けど、だからッ!!」

 

な、何だ!?いきなり両肩に鋭い痛みを感じたぞ!?

 

「よーし、よくやった下僕供。どうだ出来損ない?オレは部下を直感で操れんだぜ?」

 

ブラドの部下の獣に噛まれたのか、気配も何も無かったぞ!?

 

「このッ!!さっさと離れろ!!」

 

俺は左肩を噛んでる獣の腹を殴り、右肩を噛んでる獣の頭を掴んで投げ飛ばす。

 

「オイオイ、下僕と遊ぶのもいいが、オレを忘れんなよ?」

 

「っがぁぁぁぁぁ!!」

 

ブラドが右腕を振り下ろしてくるのを、両腕をクロスさせて受け止める。

 

「んぎぎ!!このクソ野郎がぁぁぁぁ!!」

 

手は抜けねぇ、一瞬でも抜いたら潰される!!

 

「左腕も忘れんなよ?」

 

「どっ、ぼっ!!」

 

左腕で殴り飛ばされたのか?気付いたら地面を転がっていたぞ?

 

「ハァ、ハァ、ハァ。」

 

やべぇ、意識が朦朧としてきた。しかもブラドの攻撃を受け止めたから両腕がイカれちまった。

 

「もうそろそろ限界か?出来損ないの割には楽しめたぜ?しぶとさならてめえは優秀だ。」

 

ゴギリッ!!

 

何してやがる?風力発電の装置を地面から引っこ抜いて使わねえ部分はへし折ったぞ?

 

「てめえには礼として串刺しにしてやるよ。人間を串刺しにすんのは久し振りだな。」

 

「ああ、そうかよ。」

 

喋るのも、きついな。血を流しすぎたか。全身から血を流してるもんな。

 

「それと、オレは吸血鬼の弱点であるニンニクや十字架も効かねぇからよぉ?」

 

「そうかい、だが「ヒステリアモードは時間が経てば解ける。だから時間が経てばブラドも居なくなると思ってんのか?」!!」

 

こいつ!俺の考えを読んでやがったのか!

 

「てめえが生きてる間に解ければいいなぁ?」

 

「それまで、生き延びればいいだけの話だ!!」

 

両腕はイカれた、平行感覚もぐちゃぐちゃだ。けど、武偵憲章10条、諦めるな、武偵は決して諦めるな。両足はまだ動く。まだ呼吸は出来る。まだ心臓は動いている!

 

「時雨蒼炎流 攻式三之型 遣らずの雨!!」

 

俺は落ちてある刀の柄を蹴り飛ばし、ブラドの顔面に刀を刺す。

 

「まだそんな気力があるか、いい加減楽になれェ!」

 

「楽になんのは、てめえだブラド!!」

 

最後の気力を振り絞って、ブラドが怯んだ一瞬の隙を狙って手榴弾が入った袋を取り出して蹴り飛ばす。

 

「ぐおおおおおお!!!」

 

蹴った瞬間にピンが外れ、ブラドに当たった瞬間に大爆発を起こしたな。

 

「ゼェ、ゼェ、ゼェ。」

 

今の内に、遠くへ逃げねえと!!

 

「ククク、あめえよ。」

 

「グハッ!!」

 

な、何が起こった?俺は何で地面に埋もれてる?

 

「ゲゥバババババババ!!!惜しかったな、4つの内3つの魔臓は今の爆発で破壊されたなァ。」

 

ブラドの持ってる風力発電の棒で叩き付けられたのか。

 

「ちく、しょう……。」

 

クソっ、俺はまだ死ねねえんだよ!死ぬわけにはいかねぇんだよ!

 

「さっさと絶望したツラ見せろォォ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャンヌside

 

「……きて。」

 

誰だ?私の事を起こそうとしてるのは?

 

「起きて、ジャンヌ。」

 

「セーラ、か?」

 

私が顔を上げれば困惑した表情のセーラがいた。何故困惑しているのだ?

 

「何で玄関の前で寝てるの?」

 

玄関の前?そうだ!!

 

「セーラ!!山本を見なかったか!?」

 

「見てない。風がどうかしたの?」

 

「山本が、ブラドに戦いを挑みに行ったんだ!!」

 

私がそう言うとセーラも驚愕の表情を浮かべた。山本一人ではブラドに勝てない、何故挑みに行ったんだバカ!

 

「何処に行ったかわかるジャンヌ?」

 

「いや、それを聞く前に山本に気絶させられた。」

 

誤算だった!!いや、悔やむより早く山本を見付けないと!

 

「ん?ジャンヌ携帯が鳴ってる。」

 

「こんな時に誰だ!?」

 

小夜鳴先生?まさか病院に運ばれたのか!?とにかく出なければ!!

 

「もしもしジャンヌさん?夜分遅くに申し訳ありません。ジャンヌさんに伝えておかなければならないことがありまして電話しました。」

 

「伝えておかなければならないこと?」

 

「山本君が住んでいる寮の近くの倉庫に行ってみてください。では。」

 

近くの倉庫に何が、まさか!!

 

「セーラ!!」

 

「分かってる!!」

 

無事でいてくれ、山本!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小夜鳴が言っていた倉庫

 

「そん、な。」

 

「……ッ!!」

 

何故だ!!何故ブラドに挑んだんだ!?

 

「このおびただしい量の血、おそらく風はもう。」

 

「白雪に、なんて伝えればいいんだ!?馬鹿者!!」

 

遠山や神崎、皆になんて伝えればいい!?

 

「串刺し、物語の本の通りね。」

 

「私は、大馬鹿者だ。もっと早く目が覚めてさえいれば!!」

 

私が倉庫で見たのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十字架に張り付けられ、人間が流していい量の限界を超えた血を流して、胸の真ん中に巨大な棒が刺さっている山本がいた。


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