銃を使わないとある武偵   作:宗也

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第37筋 英国紳士、参戦!

イタリア フィウミチーノ空港

 

「ふう、ようやく着いたわね。」

 

「こ、ここがイタリアの空港なんですね!!」

 

飛行機に揺られて数十時間、ようやく着いたな。まあ飛行機の中ではほとんど寝てたけどな。

 

「折角の海外だから本当なら観光を楽しみたいところだけど、今回の目的は別にあるからね。」

 

ドイツの時みたいにはしゃがないで気を引き締めないとな!あっ、今は女装姿だぞ。入国してからすぐ着替えたぞ、服装は前日と同じな。

 

「風華先輩、白雪先輩達何処かに行きましたけど?」

 

「もうちょい緊張感持ってくれないかなぁあいつら!?」

 

俺だけ真面目になって馬鹿みたいじゃねえかよ!!

 

「理子さん理子さん!!このお土産キンちゃん達に買っていこうよ!!」

 

「ユキちゃん!?5箱も買うってちょっと買い過ぎじゃないかなぁ?」

 

土産は帰る時でよくね?ジャンヌとセーラが呆れた表情をしているぞ二人供。

 

「全く、遊びでイタリアに来たわけではないんだぞ?そうだろうセーラ?」

 

「…………。」

 

あれ?セーラが微動だにしねえな?どうかしたのか?

 

「セーラ?どうしたのよ?飛行機にでも酔ったのかしら?」

 

「山本、これは病院に連れていった方がいいんじゃないか?」

 

うむむ、ここで戦力が減るのは痛いな。せめて微動だにしない理由が分かればな。

 

「心配しなくても大丈夫ですよ風華先輩、ジャンヌ先輩。セーラはただ立ったまま寝てるだけですよ?」

 

「……クピー。」

 

「「器用だな!?」」

 

目を開けたまま寝るなよ!!しかも何でこのタイミングで寝たし!?

 

「大丈夫かしら?このメンバーで。」

 

「私も不安になってきた、これ以上の誤算が起きなければいいが。山本、貴様だけはまともでいてくれよ?」

 

へいへい、むっあの店気になるな。ちょっと行ってみよ。

 

「おお!ここの店のカフェラテ美味しいわね!!あとここのスイーツも美味しい。」

 

「言ったそばから誤算を起こさないでくれないか山本!?勝手にフラフラするな!」

 

なんか白雪達見てたらはっちゃけたくなった。悪気はないんだよジャンヌ?

 

「ジャンヌ先輩、ガンバです!!」

 

「カツェ、早く戻ってきてくれ。」

 

ジャンヌはため息をついた、そんなんじゃ幸せは寄ってこないぞ?

 

「誰のせいだと思ってるんだ山本?」

 

「白雪と理子のせいね。」

 

「自分を除外するな!!」

 

ハハ、ナニヲイッテルノカワカリマセンネ。

 

「皆お待たせ!!」

 

「んもぉ、ユキちゃん買い過ぎ。」

 

ようやく白雪と理子も戻ってきたか。じゃあセーラを起こすか。

 

「ほら、セーラ起きなさい。」

 

「……寝てないし、最初から起きてた。」

 

嘘つけ、寝息も聞こえたし鼻提灯も出てたぞ?

 

「じゃあイタリアで合流する人を探すわよ。」

 

「風ちゃん?イタリアの何処で合流するか手紙に書いていなかったけど大丈夫?」

 

……あっ。ま、まあなんとかなるでしょ(震え声)

 

「っていうか、何で理子もいるのかしら?」

 

「何でって、理子も飛行機のチケットを取ったからだよフウフウ!」

 

イタリアに行くのを伝えたのは2日前なんだが?まあ理子なら取れるか。

 

「風、何かスーツ姿の人が来る。」

 

おっ、ほんとだ。頭にシルクハットを被っていて、黒色のスーツを着ているな。いかにも紳士って感じだ。

 

「貴女達が風華と愉快な仲間達の人かな?」

 

「ねえその呼び方はなんなのしら?喧嘩売ってんのかしら?」

 

「風ちゃん!!気持ちは分かるけど抑えて抑えて!」

 

いやだってなぁ、初対面の人にあんな呼ばれ方したらねぇ。キレたくもなりますよ。

 

「ハハハ、すまないすまない。こう言った方が面白い反応が見られるよと依頼人から言われたのでね。」

 

「だからって、実行しますかね普通?」

 

この人雰囲気が少しシャーロックに似てるな?只者じゃなさそうだ。

 

「英国紳士の軽いジョークさ。それに、そんな言葉使いを淑女がしてはいけないよ。」

 

何だろう、俺ごく自然に女性として扱われてるんだが?

 

「それよりも、貴方は誰なんですか?」

 

「おっと、英国紳士とあろうものが自己紹介を忘れていたね。私はエルシャール・レイトン、ナゾを解くのが大好きなごく普通の大学教授さ。」

 

あぁ、だから手紙にE・Lって書かれてたのか。

 

「詳しい話は車で移動しながら話そう。付いてきなさい。」

 

そう言ってレイトンは出口の方へ向かっていったな。

 

「一般人をイ・ウー絡みの事で巻き込みたくはないんだが。山本、貴様はどう思う?」

 

「いいんじゃないかな?」

 

「真面目に答えろ!!」

 

痛い、チョップしなくてもいいんじゃないかジャンヌ。今の俺はか弱い少女なんだぞ?

 

「「「「それはない。」」」」

 

「心を読まないでくれるかしら?」

 

もっとか弱い少女を演出しなきゃ駄目なのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

車の中

 

「ふむふむ、君達もあの処刑に関わっているんだね?」

 

「まあそうなりますね。」

 

レイトンが運転して俺が助席、真ん中に白雪と理子とジャンヌ、後ろにセーラとライカが乗ってるぞ。

 

「ねえ風?風の鞄から変な匂いがするんだけど?」

 

「うーむ、ちょっと密封が足りなかったのかしら?セーラ、そこら辺に袋があるから匂いの元が入ってる袋を密封して。」

 

「わ、分かった。ってネバネバしてる!?」

 

「風華先輩!?一体何を持ってきたんですか!?」

 

何って、秘密兵器だよライカ。効くかどうかはわからんが、怯ませることは出来るものだよ。

 

「それで、レイトンさんは誰に何の依頼を受けたんでしょうか?」

 

「恐らく、君達も知っている人物さ。」

 

シャーロックしかいねえだろ。

 

(その通りだよ。風華君。)

 

(こいつ直接脳内に!?)

 

「シャーロック・ホームズ。まさか彼が生きていたなんてね。彼から依頼は受けたよ。日本から来る子達をサポートしてほしいとね。」

 

「おい、その名前を出すなよ!?」

 

聞かれたか?ライカはうとうとしてるから大丈夫、白雪は理子に説教中で今の話は聞いてないみたいだな。良かった。

 

「レイトン、その名前は白雪とライカの前では言わないでね?」

 

「おっと私としたことが失言だったみたいだね。気を付けるよ。」

 

冷や汗かいたぞ全く、おっ、カーナビが付いてるのか。情報収集も兼ねてニュースを見ますか。

 

「彼とは少し話をしたけど、とても有意義な時間だった。私はまだまだと思い知らされたよ。」

 

「ふーん、ぽりぽり、そふぇれ?レイトン教授はふぉのへひとひっへるほはらぁ?」

 

「理子さん、食べながら喋っちゃ駄目だよ?」

 

おいおい、あんまり散らかすなよ理子。この車は借り物なんだからな。

 

「風ちゃん、関係無いって顔してるけど風ちゃんもだからね?食べ物をこぼしちゃ駄目!」

 

「ふぁい。」

 

お母さんかよ白雪?そしてライカ、寝るのはいいけどセーラを抱き枕にするなよ。セーラがめっちゃ困ってるぞ?

 

「実に賑やかでいいね。さて、そろそろ情報交換といこう。まず君達がこの処刑についてどこまで知ってるのか教えてほしい。」

 

「と言われても、どこまで話せばいいのか正直分からないのよ。レイトンがどこまで知ってるのかにもよるしね。」

 

一から説明しなければならないのか、それとも部分部分を補足する程度でいいのか。

 

「それもそうだね。私が知ってるのは処刑される子の名前がカツェ・グラッセ、様々な大罪を犯したとして処刑される。あんな小さな子がね。」

 

「色々と質問したいことがあるけど、後の方がいいわよね?」

 

「そうしてほしい、処刑は明日の昼頃、バチカンの広場で公開処刑される。くらいしか知らない。」

 

うーん、まあイ・ウーに関わりがない人にとってはここまでが情報収集の限界かな?

 

「まずカツェ・グラッセがどういう人物なのか、調べても出てこなくてね。君達は何か知ってるかな?」

 

「カツェ・グラッセは魔女連隊(レギメント・ヘクセ)という組織に所属している。」

 

「ふむ、聞いたことがない組織だね。」

 

俺もイ・ウーと関わるまでは知らなかったからな。

 

「んへへ~、セーラの太股はモチモチ~。」

 

「へ、変なことを言うな!くっつくな!」

 

あーあ、寝ているライカに絡まれてるなセーラ。どうすることも出来ないからこっちに助けてという表情をしても無駄だぞ?

 

「……魔女連隊というのはどういう組織なのかな?」

 

「一言で言えばならずものの国家に高給で雇われているテロリスト部隊だ。」

 

「なるほど、これで一つナゾは解決した。カツェという人物は恐らく魔女連隊の隊長かな?」

 

すげぇ、まだ何も説明してないのに当てやがった。

 

「その通り、カツェは9代目連隊長。魔女連隊において重要な人物だ。」

 

「そうか、貴重な情報をありがとうジャンヌさん。」

 

「カツェちゃんがそんな組織にいたなんて。」

 

あ~、白雪にカツェの事を話すのはちょいとまずかったかな?今まではぼかして説明していたからな。

 

「白雪、大丈夫「助けたらちゃんと更正させないとね!」そうみたいね。」

 

「さて、今度は私から君達に質問するよ。君達は魔女狩り裁判(・・・・・・)というのを聞いたことはあるかな?」

 

「理子は聞いたことないなぁ~、ユキちゃんはどう?」

 

「ごめんね、私も聞いたことないかな。」

 

いやまあ、知ってたら相当な物知りレベルだぞ?

 

「ジャンヌは知ってる?」

 

「……知ってるが、私の口からは言いたくない。」

 

まあ、魔女狩りは今でも行われてるからな。

 

「魔女狩りとは、魔女とされた被疑者に対する訴追、裁判、刑罰、あるいは法的手続を経ない私刑等の一連の迫害を指すのよ。」

 

「風よく知ってるね。」

 

「たまたまよ。」

 

「本当かな風華さん?君はこの処刑を魔女狩りじゃないか(・・・・・・・・・)と予想して調べたんじゃないかな?」

 

鋭いな、まあアリアのお母さんの件と似たような感じだったから調べただけなんだけどな。

 

「その通りよ、カツェがいくらテロリストの組織の隊長だからといってあんなに罪を被せるのはおかしいのよ。」

 

強盗罪、殺人罪、殺人未遂罪、不法入国罪、傷害罪、遺棄罪、脅迫罪、略取・誘拐罪、強姦罪、騒乱罪、etc.

 

一つおかしいのがあるが、まるで罪のバーゲンセールだな。こんなのを一人に被せるのはおかしい。

 

「酷い、いくらなんでもこれは酷いよ!!」

 

「ユキちゃんは優しいんだねぇ~、大抵の人は同情とかせずに本気でこの罪を犯したと信じてるよ。」

 

「私はすぐに疑問に思ったけどね。さてここまでの情報を聞いて君達はどうしたい?」

 

そんなこと言われなくても決まってるさ。

 

「もちろん、助けに行くわよ?そのためにイタリアまで来たんだから。」

 

「君が国際指名手配されてもかい?風雨君(・・・)?」

 

っち、バレテーラ。まあバレてもいいんだけどさ。

 

「ああ、そのつもりさ。」

 

「そうか、なら仕方ない。私も手伝おう、何、私もそれなりの場数は踏んできたから足手まといにはならないよ。」

 

「サンキュー、レイトン。」

 

俺の意思だけでカツェを助けるって言ったけど、皆は、うん大丈夫そうだな。

 

「大切な人を失う悲しみは私もよく知っているからね。」

 

「何か言ったかしら?」

 

「独り言だよ。」

 

バッチリ聞こえたけどな。まあ追及はしないでおこう。

 

『続いてのニュースです。明日処刑されるカツェ大罪人についてですが、恐らく助けに来る人が現れます。』

 

「「「「「「…………。」」」」」」

 

『身長170cmくらい、体重60kg、性別は男、髪は黒色で少し跳ねており、顔は中性的で、日本で有名なアニメの家庭教師ヒッ○マンの山本というキャラクターの顔そっくりです。』

 

おいおい、これってまさか?

 

『名前は山本風雨、写真を載せますので、この人を見たら直ぐに通報を!!』

 

「ハハハ、風華さん。有名になったね?」

 

「こんな形で有名になんかなりたくねえよ!!」

 

しかも何で俺だけ!?ご丁寧に写真まで載せやがって!!女装してきて本当に正解だった。

 

『そして、その事を懸念して処刑時刻を明日ではなく、今日の夕方頃に変更します!!』

 

はいぃぃぃ!?何で!?

 

「夕方って、残り数十時間もない。どうするの風?」

 

「どうするもこうするも、全速前進で向かうしかないわよ!!」

 

なんで処刑時刻が変更されるんだよ!?そんなのはBL○NCHの尸○界篇で充分だっての!!

 

「とにかく急ぐわよ!!」

 

しかし、一体誰が俺の情報や写真をイタリアの奴等に送ったんだ?くそったれ!!

 


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