銃を使わないとある武偵   作:宗也

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最初は三人称視点からスタートします。寝不足気味の中書いてるので変な所があるかも。


第38筋 魔女っ子救出!

バチカン とある広場

 

この広場は普段は観光客や家族連れの人達が集まる場所だが今日は違った。世界中から集まった人達で溢れ返っていた。

 

「静粛に!!これより大罪人であるカツェ・グラッセの処刑を開始する。」

 

裁判長らしき人物がそう叫ぶと、一人の少女が大男に囲まれながら姿を表す。

 

「この者の罪はとても多く、そして重い。」

 

カツェの姿は白装束を着ているだけであり、顔や露出している腕や足に複数の火傷の跡、切り傷など付いていた。これを見る限り、どのような拷問を受けていたか想像は容易い。

 

「世界を崩壊させようとする企み、これは何としても阻止せねばならない!!」

 

裁判長らしき人物が声を荒らげると、見物人達が騒ぎ始める。

 

「最近の事件も、全てはこの罪人が企てたものだ!!事件で何人の人が死んだ!?何人の人が傷付いた!?果たしてこの罪人を生かすべきか?いや断じてない!!」

 

「そうだ!!そうだ!!」

 

「殺せ!!殺せ!!殺せ!!」

 

見物人達は狂乱し、早く殺せと叫ぶ。それを聞いた裁判長らしき人物は一瞬だけニヤリと悪微笑んだ。

 

「許される筈はない!!よって、ここで公開処刑をする!!」

 

その声と同時にカツェは周りにいた大男によって木の柱に縛られる。抵抗などしても無意味、誰も助けに来ないとカツェは悟った。

 

「(あたしが死ぬことによって、レギメント・ヘクセの皆が助かるなら安いもんさ。)」

 

いつか殺される時が来る。それが早まっただけと、カツェは周りの風景を見ながら考える。

 

「(いつでも死ねる覚悟はしてるさ。)」

 

そう思い、カツェは目を閉じる。だがその瞬間に目から涙が流れ落ちた。

 

「(あれ?なんであたしは泣いてんだ?死ぬのは怖くない、はず、なのに。)」

 

自問自答していると、カツェはある数日間を思い出していた。自分がテロリストの軍隊の隊長というのを忘れる事が出来た日。

 

「(くそが!!なんで、どうしてこんな時にあの風景を思い出すんだよ!?覚悟が揺らぐだろ!!)」

 

自分をまるで妹のように接してくれた人、真面目だが何処か抜けている人。そして、一緒にいて楽しいと感じた人。

 

「(ああ、そうか。これが、走馬灯ってやつか。本当に見れるもんなんだな。)」

 

四人で楽しく話をしながら食事をする風景、ワイワイ騒ぎながらゲームをした風景。そして、自分の事をたくさん見てくれた人の顔。

 

「(白雪、ジャンヌ、悪いな。あたしはもう二人の顔を見ることは出来ないぜ。)」

 

カツェが走馬灯を見ている間にも処刑は進んでいく。カツェの周りに燃えやすい木が設置され、裁判長らしき人物が松明を持って近付く。

 

「(ああ、あいつと喧嘩別れしたみたいに別れたのは失敗だったぜ。)」

 

初めて気になった男、その男に謝ることが出来ない事がカツェのいつでも死ねる決意を揺らがせる。

 

「(もう一度、風雨に会いたかった。)」

 

「大罪人カツェ・グラッセ、最期に言い残す事はあるか?」

 

裁判長らしき人物にそう聞かれてもカツェは何も言うことが出来なかった。

 

「(誰か、助けて……。)」

 

「ふん、忌々しい魔女め。これより処刑を開始する!!」

 

裁判長らしき人物はそう言い松明を設置されてある木に放り込んだ。その瞬間に火は燃え上がり、カツェは炎に包まれた。

 

「(…………あれ?)」

 

だがここでカツェは疑問を感じた、火が燃え上がって数十秒は経過している。その頃には自分の体の何処かから火傷の痛みが感じる筈。

 

「(熱くない?それより、寒い?)」

 

有り得ない、寒いという感覚は火に囲まれてる中では感じない筈、カツェは恐る恐る目を開ける。

 

「ん?誰か大罪人を守ってる奴がいるぞ!!」

 

カツェの目の前にいたのは、カツェの周りの火を凍らせた人物がいた。

 

「な、何やってんだよてめえ!?」

 

カツェの声に反応して槍を持っている人物はカツェの方へ振り向いた。その人物は、カツェが謝りたかった人物だった。

 

「見て分からねえのかよ?」

 

「そういう事を聞いてんじゃねえよ風雨!!今すぐ逃げろよ!!殺されちまうぞ!!」

 

カツェがそう叫ぶと、風雨は呆れた表情をして槍を地面に突き刺し、燃え上がっている火を全て凍らせる。

 

「き、貴様!?自分が今何をしているのか分かっているのかね!?」

 

「ギャーギャーうるせえよ。少し黙ってろ。」

 

裁判長らしき人物の言葉を無視して風雨は槍を地面から抜き、回し始める。

 

「お、おい風雨?何する気だ?」

 

「何って、カツェを縛っている柱を壊すんだよ。」

 

「バカ野郎!!いいから逃げろ!!あたしを見捨てて日本に帰れよ風雨!!」

 

カツェは必死に風雨に訴えかけるが、風雨はカツェの言葉を無視して槍を回すのを止める。

 

「いいから、黙って見てろ。」

 

そう言い風雨は地面を思いっきり踏んで槍を柱に突き刺した。その瞬間、柱は粉々になり、その余波と爆風で周りの氷も吹き飛ばす。

 

「何やってんだとか、今すぐ逃げろとか、帰れとかごちゃごちゃうるせえんだよてめえはよ。てめえの意見は全部却下だ。」

 

そう言い風雨は力なく倒れるカツェを横抱きにして抱える。

 

「言うのが遅くなったな。助けに来たぜカツェ!!」

 

「……礼なんか、言わねえぞバカ風雨。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風雨side

 

さて、処刑からカツェを助けることは出来たしあとはあれだな。

 

「ところでよ風雨、これからどうすんだ?かなり目立っちまったから周りの奴等の目を眩ませる方法なんかあるのか……。」

 

「逃げる。」

 

「はぁ?風雨今なんて言った?」

 

あっ、カツェが唖然とした表情になった。この表情も久し振りだな。

 

「聞こえなかったのかカツェ?逃げるんだよ、エスケープすんだよ。」

 

「無理だぜ!!ここの広場には数え切れない程の武装したシスターがいるんだぞ!?それにそのシスターを仕切る奴もいるんだぞ!?」

 

「じゃあ全員ぶっ倒してとんずらするだけだ。」

 

カツェと言い争ってると武装したシスターに囲まれた。あらら、剣とかフレイルとか火炎放射機とか、物騒な物持ってんな。

 

「ほら見ろ!!囲まれちまったじゃねえか!?」

 

「大丈夫だって。」

 

そろそろだな。あっ、奥の方にいるシスターが吹き飛ばされていってるな。セーラが狙撃してくれてるのか。

 

「風ちゃん!!こっちに来て!!」

 

よし、セーラが狙撃してくれて、怯んだ隙にライカがトンファーでシスター達を無効化してくれてる隙に逃げますか!!

 

「逃がすな!!」

 

あれ?何か俺を囲んでるシスターの数が増えたんですけど!?奥の方にいるシスターは減ってんのに!!

 

「く、来るぞ風雨!!今のあたしは風雨の邪魔になるだけだからあたしを置いていけ!!」

 

「自ら犠牲になるなカツェ。大丈夫だって、このグミを食べればな。」

 

カツェの口に星形の黄色いグミを強引に入れる。よし、飲み込んだな。

 

テテテテレッテテテ~テテテテテレッテテテ~テ

 

「お、おい風雨!?何か頭の中で変な曲が流れているし、体が虹色に光ったんだが!?」

 

「さっきカツェに食わしたグミはスー○ースターの効果が得られるグミだ。」

 

「お前なんていう物持ち歩いているんだよ!?」

 

備えあれば憂いなしだよ、だからシスターがカツェに攻撃しようとしてるけどカツェに何かが触れた瞬間、シスターを吹き飛ばしているぞ。俺は気合いで耐えてます。

 

「さて、俺も食べないとな。ペロペロキャンディーを、うまうま!」

 

デーデッデデッデッデッデデデデデ!!

 

「食べてる場合かよ!?って風雨の体も光始めたぞ!?」

 

「さあて突撃突撃ィィィィィ!!」

 

全速力で駆け抜けて白雪と合流じゃい!

 

「そのペロペロキャンディーは何だよ!?」

 

「これもな、食べた人に無敵を付与してくれるペロペロキャンディーなんだよ。ちなみに、うら、うら、うら何とか商店で買ったぞ!!」

 

相変わらず頭の中で流れる音楽がうるさいけどな。シスターが吹き飛んで行くぅ!!

 

「風ちゃん遅いよ、待ってる間に周りのシスター倒しちゃったよ?」

 

「すまん白雪、さてジャンヌ達が脱出の乗り物の所で待機してるから合流するぞ!!」

 

 




風雨がペロペロキャンディーを食べた時に流れる音楽が分かったらその人は恐らく作者と同年代です。

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