「ふむ、やはり日本の飲食店は素晴らしいね。」
「何で、ディナーの場所が居酒屋なんだよ?」
俺とシャーロックは今、居酒屋の個室にいる。せめてカウンターにしろよ、ある意味ラスボス的な奴と二人っきりになんなきゃいけねえんだよ。
「好きなものを頼むといい。大丈夫、お代は僕が持つよ。」
「んな事言われてもな。はいそうですかってなるわけねーだろ普通。あっ、店員さんすいません、メニューに書かれてあるもの全てお願いします。」
「じゃあ僕も彼と同じものを。」
シャーロック、お前もどんだけ食べる気だよ?ここの居酒屋の食い物無くす気か?
「君と同じく3日間何も食べていなかったからね。」
「ちなみに理由は?」
「TRPGに夢中になってしまってね。あれは中々に面白いゲームだ。」
おいこら、名推理を持つシャーロックが推理ゲームやるなよ。すぐ結末に辿り着くだろ。
「敢えて分からないふりをしておくのさ。あとは他の人の推理の妨害かな?」
「シャーロックとTRPGをした人、絶対涙目だろ。」
って何か俺の考えている事を読まれるな。なんでだ?
「僕の推理力が常軌を超えてるからだよ。そして、卓越した推理は何時しか推理越えて予知に変わる。僕は条理予知(コグニス)と呼んでいるよ。」
「予知ねえ、じゃあこれからの事も分かるのか?」
俺はいつの間にかテーブルに置かれてあった料理を食べながらシャーロックにそう尋ねる。
「もちろんだとも。でも、それを言ったらつまらないだろう?」
「それもそうだな。何が起きるか分からないからこそ面白い。」
俺とシャーロックは一旦そこで話を切って、次々に運ばれてくる料理を食べていく。3日間何も食べていなかったからどんどん入るな。
「まるで吸引力の変わらない、ただ一つの掃除機みたいだね。」
「だから俺が考えている事を予知すんなよ。」
「ついからかいたくなるんだよ。ところで風雨君、君に一つ良いことを教えよう。」
良いこと?まーた予知とかで見たものか。ってか良いことって何だ?
「もうすぐ君に彼女が出来るよ。」
「ブッッッフォォォォォ!!」
いきなり何を言い出すんだ!?流石に動揺するわ!!
「しかも同棲が出来るだろう。その時を楽しみにしたまえ。」
「んなもんに予知を使うな!!もっとましな事に予知を使えよ!!」
「暇つぶしに推理したまでだよ。思った以上に推理するのが大変でいいトレーニングになったよ。」
もっと違う方法でトレーニングしろよ。
「さて、これから君達は色んな困難にぶつかる。僕から役に立つ物をあげよう。」
そう言ってシャーロックは俺に籠手みたいなものを渡してきた。
「君は自分の能力を使う時、いちいち武器を取り出したり、しまったりして面倒じゃないかな?」
「まあ確かに面倒ではある。」
「この籠手を左腕にはめれば、君がこの武器が使いたいと念じたら自動的に出てくるようになる。逆にしまいたいと念じたらしまえる。」
何その四○元ポケットみたいなもの。どうやったらそんなもの作れるんだよ?
「その籠手は属性毎に色を変える。だから赤色にして、俺の左腕が真っ赤に燃える!!なんて遊びはしないようにね?」
「誰がするかそんな中二臭い遊びを!!」
「もしくは静まれ!!俺の左腕!!とかもやらないようにね?」
なんでシャーロックはそんなネタを知ってるんだ?
「日本のアニメは素晴らしいからね。」
「はぁ、まあいいや。それで、この籠手は着脱可能なのか?」
「その籠手は一度はめたら2度と外れないよ。」
ちょっと待てぇぇぇぇぇ!!今なんて言いやがった!?
「大丈夫、蒸れないように設計してるし、消臭効果を搭載している。汚れも拭けば落ちる仕組みにしてるよ。」
「そういう事を聞いてるんじゃねえよ!!何で最初に説明しないんだよ!?」
「最初に説明すると、君は絶対に着けないと推理したから説明しなかったんだよ。」
すべてお見通しかよ。弄られるのは好きじゃねえんだよ。
「ところで、アリア君は元気かな?」
「元気だ。ただ、我が儘で自分勝手だからすげー迷惑してるけどな。」
「それを優しく受け入れるのが英国紳士ってものだよ。」
俺ジャパニーズピーポーだからそんなの知らね。
「元気なら何よりだ。さて、そろそろお開きの時間だね。」
そう言いシャーロックはレジに向かう。丁度全メニュー食べ終わった所だしな。
「それじゃあ風雨君、また暇が出来たらディナーにでも誘うよ。」
「これっきりにしてくれるとありがたいんだかな。」
「そうなるように祈っておくといいよ。」
会計を済ませ、シャーロックは俺に微笑んだ後、いきなり消え去った。つーかまたディナーに誘う気満々だなあれは。
「あっ、帰り道わからねぇ。」
あの後、なんとか寮に帰ってこれた。そして、また数日間寝てしまった。その後、学校に登校してクラスの扉を開けた瞬間に皆が叫び声を上げた。何故だ?
「ギャァァァァァ!!デタァァァァァ!!」
「悪霊退散!!悪霊退散!!悪霊退散!!」
「南無阿彌陀仏!!南無阿彌陀仏!!」
お前ら、俺を幽霊扱いしてんじゃねえよ。ちゃんと生きてるわ、足生えてるわ。
「風雨!!生きていやがったのか!!」
「人を勝手に殺すんじゃねえよキンジ。」
「風雨!!生きていやがった!!とりあえず轢いてやる!!」
後ろから武藤がドロップキックしてきたから、足を掴んでジャイアントスイングで教室の隅に投げ飛ばす。
「うぶえあ!!」
「風雨君、無事で良かったよ。」
「不知火、お前本当に冷静だな。」
「風雨君は何をしても死なないと思ってるからね。」
その後、クラスメイトからどうやって生き延びたのか詳しく聞かれた。まあ、適当に答えたけどな。
「それよりも、キンジ。お前らはあの後どうなったんだ?」
「かいつまんで話すと、あの後は空港に着陸出来なかったから空き地島を使って着陸した。」
「なるほど、大方空港側が否定したんだな。それで空き地島に着陸したと。」
今は放課後、俺はキンジと寮に向かって歩きながら俺が飛行機から飛び出た後の話をキンジから聞く。
「クラスメイトの人達の力を借りてだけどな。空き地島には照明が何もなかったから、あいつらが照明器具をありったけ持ってきてくれたおかげで着陸出来たんだ。」
「へぇー、で、その右腕に巻いてある包帯は?怪我でもしたのか?」
「流石に止まれなかったから、風力発電の装置の柱に飛行機の羽をぶつけてスピードを殺した。」
すげー強引に止めたな。相変わらずヒステリアモードになったキンジのやることは予想の斜め上を行くな。
「その後、アリアとも正式にコンビを組むことになった。あんな奴と組みたくないのに。」
「そう言ってる割に嬉しそうな顔をしてるぞキンジ?さてはお前、アリアに振り回されるのが嬉しいんだろ?このロリコンめ。」
「何でそうなる!?俺はロリコンじゃねえ!!」
説得力が皆無だぞキンジ?アリアでヒステリアモードになれるんだから、立派なロリコンだろ。
「まあ安心しろよキンジ。警察には通報しないでおくからさ。」
「安心出来ねえよ!!」
「その話は置いといて、今日はキンジの部屋でゲームしたいんだがいいか?」
久しぶりにやりたいゲームがあるからな。
「嫌だって言っても来るんだろ?勝手にしろ。」
「それよりもキンジ、お前の部屋からアリアと白雪の声が聞こえるんだが?」
「あいつら、何やってるんだ?」
そう言ってキンジは先に玄関の扉を開けて部屋に入った。待て待てって。
「んぎぎぎ!!なんなのこいつは!!」
「キンちゃん達の前からいなくなれ!!この泥棒ねこ!!」
アリアと白雪がキンジの部屋の中で鍔迫り合いをしていた。なぁにこれぇ?
「お前ら、何してるんだ?」
「あっ!!キンちゃんさま!!」
そう言って白雪は鍔迫り合いを解除してキンジに向けてジャンピング土下座をした。速い土下座だ、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね!!
「それに、部屋が見るも無惨な姿になってるな。これアリアと白雪がやったのか?」
「キンちゃんごめんね!!キンちゃんに取り付く悪い虫を退治してたらこうなったの!!でも大丈夫!!もうすぐ悪い虫を浄化出来るから!!」
「私は虫なんかじゃないわよ!!」
「うるさい害虫!!キンちゃんと恋仲になったからってすごく羨まし…じゃなくて羨ましい関係になるなんて!!」
おい白雪、言い直す必要あったのか?しかも俺空気になってるんだけど?
「こここ、恋仲!?違うわよ!!あたしはキンジと恋仲じゃないわよ!!」
「噂によればキンちゃんとキスしたんでしょ!?」
「おい待て白雪!!その噂誰から聞いたんだ!?」
さあ~て、誰なんでしょうね~?(ゲス顔)
「ちょ!!ちょっと待って!!大丈夫だったからもも問題ないわよ!!」
「何が問題ないのよ!?キンちゃんとキスした害虫には天罰を下さないと!!」
白雪はそう言い制服から分銅を取り出し、アリアに向けて放とうとする。だが、その前にアリアは顔を真っ赤にしてどや顔をしていた。何してんだこいつ?
「子供は出来てなかったから!!」
アリアの衝撃的な発言を聞いた白雪は目を回しながら気絶した。アリア、お前そっちの知識も小学生か!?
「もしもし警察ですか、知り合いのロリコンが小学生相手ににゃんにゃんしてたんで至急逮捕してください。」
「ちょっと待て風雨!!何さらっと警察に通報してるんだ!!」
「何よ!!こっちは結果が出るまでヒヤヒヤしてたんだからね!!」
「ったく、アリア、お前一度キンジに赤ちゃんの作り方を教えてもらえ。」
さて、白雪を起こすか。何して起こそうか、鼻でも摘まんでみるか。
「キンジ!!赤ちゃんの作り方を教えなさい!!」
「何で俺が教えなきゃならねえんだよ!?」
「いいから教えなさい!!」
後ろで痴話喧嘩か、それにしても白雪起きねえな。
「おーい白雪?おーきーろー。」
「う、ん。この声は、風ちゃん!?風ちゃんなんだね!?」
「まそっぷ!!」
白雪が俺の声を聞いた瞬間に飛び起きて抱き付いてきたんだが?
「生きてるよね!?足生えてるよね!?本物だよね!?」
白雪が俺の体をペタペタ触ってくる。何この状況?
「風ちゃんは無茶し過ぎだよ!!昔からいつもそうだったんだから!!大体病院から抜け出して……。」
やばっ!!これ説教が始まる!!
「キンジ、助けて。友人なら助けてくれるよな!!」
「アリア、夕飯買ってくる。」
「ちょっと待ちなさい、あたしも付いていくわ。」
あっ、これ見捨てられるパターンですねわかります。
「風ちゃん、今日という今日は許さないんだから!!正座!!」
「白雪~?説教はここじゃなくても「せ・い・ざ!!」ハイ。」
涙目で怒る白雪の表情には勝てなかったよ。というわけで、二時間正座のままで白雪に説教されました。
この物語の白雪はヤンデレ成分は少な目かつ弱めに設定してます。ヤンデレは好きじゃないんです。実体験済みで、とんでもない目に合いましたので。