「風雨、お前マジで許さねえ。」
「おこですかキンジ?激おこぷんぷん丸?」
「風雨のせいで風邪引いたんだよこんちくしょう!!」
キンジが東京湾に落とされた翌日、ものの見事に風邪を引きました。ざまあ!!
「キンちゃん大丈夫!?お水持ってくる?お腹空いてない?汗拭いておく?暑くない?」
「白雪、そろそろ出掛けないと学校に遅刻するぞ?」
「そうだったね!!キンちゃん何かあったらすぐに連絡してね!!」
白雪は時計を見てハッとして慌てて出ていった。俺?俺は有給休暇を取った!
「風雨、学校に行かなくていいのか?」
「行かねえよ。有給休暇取ったからな!!」
「要はサボりじゃねえか、ゲホッ!!」
わーお苦しそうだな。まあ、俺は風邪なんて引いたことないんでその苦しみはわからないけどな!
「風雨、あれ買ってきてくれないか?今あれを切らしているんだ。」
「あれならあるぞ。ほれ。」
「サンキューってこれ風邪薬じゃねえか!!俺は薬は効きにくいんだから意味ねえよ!!」
あっ、そうだった。キンジは何故か薬が効きにくいんだったな。
「悪い悪い、こっちの方だったな。」
「これだよこれ。これを首にぐるっと巻き付ければ風邪なんてすぐに治らねえだろうが!!何で長ネギなんだよ!?」
「キンジキンジ、あまり叫び過ぎると熱が上がるぞ?」
「お前風邪治ったら覚えておけよ?」
キンジはジト目で俺を睨んでくる。うわー、野郎のジト目を見ちまった。
「とまあ、おふざけはこの辺にして。これだろ?特濃葛根湯。」
「ふざけてる自覚はあったのかよ。」
だってねぇ、人生は面白可笑しく生きないと。
「ん?何か電話が来た。キンジ、安静にしとけよ。」
さあて誰からかな?番号を見ても知らない番号だし、ちょっと部屋から出て電話するか。
「もちもち?」
「やあ風雨君。元気にしてたかな?」
おいこら英国探偵、人のギャクをスルーすんなよ。
「はいはい元気ですよ。同居人が風邪引いたけどな。」
「風雨君には移らなかったんだね。馬鹿は風邪を引かないということわざは本当なんだね。」
「おい迷探偵シャーロック、誰が馬鹿だ。」
「英国紳士の軽い冗談だよ、君も紳士なら軽い冗談くらいは受け流すべきだよ。」
「へいへい、それで何で電話してきたんだ?」
俺がシャーロックにそう言った時にインターホンが鳴った。おいおいまさかねぇ、取り敢えず玄関のドアを開けてみるか。
「やあ!」
バタン!!
「風雨君、ドアを急に閉めないでくれるかな?」
「いや、杖を持った不審者が目の前に現れたら普通に閉めるだろ。」
つーかこんな近距離で電話を掛けてくるなよ!!
「ひどいなぁ、ちゃんと一般人っぽく振る舞っていた筈なんだけど。」
「お前のような一般人がいてたまるか!見た目が青年の人が杖を持っていたら怪しむだろ。それで何の用なんだ?」
「ここで話すのもあれだ、下に車を止めてあるからそこで話そう。」
うわぁ、これ俺を車の中に閉じ込めて誘拐する気なんじゃねえか?まあいいや、断ったらなにされるか分からないもんな。イ・ウー☆の頂点だし。
「風雨君、ウー☆の星はいらないよ。」
「無表情で考えていた筈なんだけど、何で読まれてんの?」
「僕の条理予知は何にでも使えるからね。」
その条理予知をくだらないことに使わないでほしいもんだな。
「取り敢えず移動しよう、ここだと何かと目立つからね。」
シャーロックはそう言い1階に向かって飛び降りた。おい階段使えよ。
「はあ、行きたくねえな。」
「それで、俺に何の用なんだ?」
あの後、俺も飛び降りて車に乗り込んだよ。てっきり高級車にでも乗ってくるのかと思いきや普通の車だったよ。
「まあまあ、ドライブしながら話すよ。」
そう言いシャーロックはエンジンを付けて車を発進させる。片や普通の高校生、片や世界最高の犯罪組織のトップ、うわシュールな絵が出来上がってんだろうな。
「ところで風雨君、学校はどうしたんだい?」
「面倒だからサボった。まあ今日は行かなくてもいい日だったからな。それでシャーロック、この車は何処に向かっているんだ?」
「ん?イ・ウーの本拠地だけど?」
そうかそうか、イ・ウーの本拠地か。
「って降ろせぇぇぇぇぇぇ!!これ誘拐じゃないか!!何平日の朝から堂々と誘拐しようとしてんだよ!?」
「誘拐とは人聞きの悪いことを言うね。これは立派な誘拐(スカウト)だよ。」
「漢字ぃぃぃぃ!!それアウトだろ!!」
誰か助けてくれ!!そうだ携帯で電話をすれば!!
「ちなみにこの車は強力な電磁妨害が備え付けてあるから電話しても意味ないよ。」
「だったら飛び降りて、ってドアも窓も開かねえ!!」
「さあ、楽しいドライブをしようじゃないか!!」
シャーロック!!謀ったなぁぁぁぁぁ!!
「ああ、空はあんなに青いのに。で、さっきスカウトとか聞こえたけどどういう意味だ?」
「意外に切り換えが速いね。そうだね、風雨君をイ・ウーにスカウトしに来たんだ。」
もしかして、シャーロックが俺の所に来た理由って。
「勿論、スカウトしに来たんだ。大丈夫、誰にも見付からないように計画したからね。」
「そういう問題じゃねえよ。でも何で俺なんかをスカウトしに来たんだ?」
「実はね、君とディナーを嗜んだ後、ある人物に君の事を話したら是非見てみたいという人がいたんだ。」
シャーロック、どんな事を話したんだ?
「詳しくは本人に訊ねてみてくれないかな。それと風雨君、前に僕が君の今後について話したことをおぼえているかな?」
「確か、もうすぐ彼女が出来るし同棲も出来るだろうだったな。てっきり白雪の事だと思ってたんだが?」
「星伽の子ではないよ。大丈夫、君の好みに合わせた子だから。きっと気に入るさ。」
それも条理予知で推測したのかよ。本当にどうやって推理したんだよ?
「それは言えないな。それを推理するのにかなり時間がかかったからね。まあそんな訳で風雨君を拐いに来たわけだよ。」
「教授のやることかよそれ。それでイ・ウーの本拠地って何処なんだ?」
「悪いね風雨君、ここから先は見てはいけないからしばらく眠っててもらうよ。」
どういうこッ!!シャーロックになんか変なガスを掛けられた!!あ、れ?だん、だん、意識が、遠く。
「おやすみ風雨君。」
「って普通の人ならなるんだろうけどな。あいにく俺は薬が効きにくい体質でな。」
眠るわけねえじゃん。はっはー残念だったなシャーロ「薬で駄目なら物理だね。」何処からその発想が飛びうげぇ!!
「それ、英国、紳士、のやること、かよ。」
「延髄切りはやり過ぎたかな?じゃあもう1回睡眠ガスを吹き掛けよう。おやすみ。」
絶対泣かせてやる。シャーロック。
「うっ、いってぇ、延髄切りはねえだろ。しかもあの狭い車内でどうやったんだよ。」
ここは、知らない天井だ。テンプレだな。
「見たところ、何処かの部屋らしき所だが。」
しかもご丁寧に布団で寝かされていたんだな。さて、ここが何処なのか慎重に探索してみ「うぅん、すぅすぅ。」what?
「……これは夢だな。シャーロックの奴、夢の中まで何か仕掛けたのか。」
いやー、俺はキンジみたいに女たらしじゃねえよ。決して隣に右目に黒い眼帯を掛けた黒髪おかっぱ頭の女の子が寝てたから焦ってる訳ではありませんよ?
「ここはあれだ。クールに立ち去るぜ。」
起きんなよ?絶対起きんなよ?フリじゃないからな!!
「ん?何か嗅いだことのない香りがする。」
あっ、起きちまった。体を起こして俺の方を見てきた。
「……!!な、ななな!!」
おお、みるみる顔が赤くなっていくな。ちょっと可愛いじゃないか。って見惚れてる場合じゃねえな!!
「えっと、Could I say and dream?(いい夢見れましたか?)」
「ま、まさかさっきまで隣で寝ていやがったのか?」
「わーお日本語上手だな。まあその通りだな。けど大丈夫だ、俺もなんだか知らない内に寝かされてたから何もしてない。」
うん、何もしてないからな!!寝顔が可愛かったから写真を数枚撮った以外は何もしてないぞ!!
「せ、せせ、せせせ!!」
けどおかっぱ頭の子は更に顔を赤くしてわなわなと震えていた。あっ、これもう駄目ですわ。
「責任取りやがれーーーーーーー!!!」
「どうどう落ち着け!!落ち着いて、頼む落ち着いてくれ、いや落ち着いてくださいお願いします!!」
駄目だ、必死に弁解しても聞く耳を持ちやしねえ。それよりも、何かおかっぱ頭の子の周りに水が浮かんでるんだが?
「あ、あたしは初めてだったんだぞ。それを、よりによってこんな知らない奴なんかに!!」
ちょっとぉぉぉ!?何この子盛大に勘違いしてんの!?あれだよ、君が考えてる事は何もしてないからな!!
「こりゃ説得は駄目だ!!となれば一時撤退!!」
「逃げんなてめえぇぇぇぇぇ!!!」
シャーロック!!お前の仕業だろ!!俺をおかっぱ頭の子の隣に寝かせたのは!!
「そうだよ。言っておくけど、君寝てる間にあの彼女を抱き締めていたからね?」
嘘だ!!そんなことはない、よな?
「事実から目を背けない方がいいよ風雨君。さあ彼女との異文化交流を楽しんでくれたまえ。」
放送使って答えるんじゃねえよ!!本当に絶対泣かせてやるからな!!
はい、原作よりもかなーり先にある人が登場しました。誰かは分かったかな?