魔法科高校の先導者   作:Shirasagi

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第二話になります!

一話と比べて、文字数は少なめですがら、楽しめたらと思っております!  

できるだけ早く投稿できるよう頑張ります!


友達

魔法科高校に無事?入学することができた僕は今まで張り積めていた緊張が途切れたのか、安心しきった様子でベッドの中で毛布に包まって眠っていた。

 

時刻は朝7時30分

 

ーーピピッ、ピピッ、ピピッ・・・・・

 

頭の上で目覚まし時計が鳴っている。今時珍しいアナログ式のものだ。

 

「う~ん・・・・・あと5分・・・・・」

 

昨日珍しく早起きしたせいか、何だかすごく眠い・・・・。目覚まし時計がずっと鳴りっぱなしだけど、止めるのも面倒でこのまま、僕は自然に止まるのを待っていた。

 

でも、

 

 

 

ドタドタドターーーーバタンッ!!

 

 

 

 

「アイチッ!いつまで寝ているの?もう朝よ、いい加減起きなさい!!」

 

勢いよく開けられたドアから、第二の目覚まし時計・・・・・ではなく、妹のエミが眉を釣り上げながら入ってきた。

 

未だに鳴り止まない目覚まし時計を止めると、エミは起きる様子がない僕を見下ろして「はぁ・・・・」と、ため息をついて、むんずと毛布を掴み勢いよく引き剥がした。

 

「早く、起きなさい!!」

 

「・・・・・っ!??」

 

毛布を剥ぎ取られたことで一気に寒さで目を覚ました僕。眠たげに目を開くと、両手を腰に当てて怒った表情で見下ろすエミと目が合った。

 

「んもう、昨日珍しく早起きしたと思った途端にこれなんだから!遅刻して真由美お姉ちゃんに起こられても知らないんだからね!!」

 

「ふぁ~~・・・・。おはよう、エミ」

 

「『おはよう、エミ』じゃないわよ!いつまで寝惚けているの?今、何時だか分かってるの?」

 

そう言ってエミは目覚まし時計を渡してきた。まだ頭の半分が眠っている状態で渡され、僕は仕方なく時間を確認してみた。

 

「時間・・・・?んーー・・・・・7時、30分・・・・・え?7時30分!?」

 

時計に表示された7時30分の文字に、僕は一気に目が覚めた。

 

「あぁ~~!!完全に、遅刻だあーーーー!!」

 

転げ落ちるようにベッドを降りると、僕は洗面所へ向かうため開けっ放しのドアから勢いよく出ていった。

バタバタバタ、と大きな足音を立てながら階段を降りる僕の後ろ姿をエミは呆れた表情を浮かべながら呟く。

 

「んもう、アイチったら!高校生になったんだから少しはしっかりしてよね!」

 

僕より二歳年下の妹のエミは、気が弱い僕とは違って、世話好きのしっかり者で、少し気が強いところもあるけど、すごく良い子だ。

周りから、あんまり似てないね。とよく言われいて、僕の世話を妬いていることから兄妹、ではなく姉弟じゃないか?って言われることもある。

だからか、昨日、達也くんと深雪さんのやりとりを見ていて、僕はちょっぴり羨ましく思った。

 

 

 

階段を降りて洗面所に駆け込んだ僕は、手早く顔を洗い、歯も磨いて、それらが終わると制服に着替えるため再び階段を駆け上がる。

僕が準備をしている間に、エミは自分も学校があるので玄関口で母さんに挨拶をしていた。

 

「じゃあ、お母さん。行ってきまーす」

 

「行ってらっしゃい。途中、車に気を付けるのよ」

 

「はーい。アイチー、遅刻しないよう気を付けなさいよー!」

 

あはは・・・・・。エミったら・・・・・相変わらずというか、これじゃあどっちが上だか本当に分からないや・・・・・。

エミの言葉に僕は苦笑すると、ハンガーに掛けてあった白いブレザーに袖を通す。

机の上に置いてあったCADをブレザーのポケットにいれて、鞄も持って僕は部屋を出た。

 

「母さん、おはよう!」

 

「おはよう、アイチ。今日は随分とお寝坊さんだったわね」

 

リビングに入ると、キッチンで僕の弁当を作りながら母さんが挨拶をした。丁度、弁当も作り終えていたので、青い弁当包みに包まれた弁当箱をダイニングテーブルの上に置いて、母さんは優しい笑みを浮かべる。

本当だったらゆっくりと朝ごはんを食べたいところだけど、今はそんなことをしている時間がない。

時計を見ると、一刻も早く家をでないと遅刻してしまう。

 

カップに注がれたミルクを急いで飲み、トーストの上におかずのベーコンエッグを載せ、さらにその上に再びトーストを載せて即席サンドイッチを作ると、片手にサンドイッチ、もう片方の手に弁当箱を持つと玄関へと向かう。玄関口に置いた鞄の中に弁当を入れて、靴を履く。

 

「ごめん、母さん!明日はちゃんと早起きして朝ごはん食べるから!」

 

「あらあら、そんなに慌てると危ないわよ。気を付けて行ってらっしゃい」

 

「うん。行ってきます!」

 

勢いよく家を飛び出すと、サンドイッチを食べながら、真っ直ぐある場所へと向かった。

僕の家がある後江市から高校がある八王子までの通学手段は隣町とはいえ電車しかないので、プラットホームを駆けキャビネットと呼ばれる一人乗り用の電車に乗った。

キャビネットに乗る時点で朝ごはんのサンドイッチを食べ終えていたので、駅に着くまでの間、端末を開いて予習として履修したい授業について調べることにした。

このデータは、入学するにあたって真由美お姉ちゃんから今後の参考になるようにって、貰ってあったものだ。

 

普通の教科はもちろん、魔法に関する授業がたくさんある。中には魔法実技なんてのもあり、僕は改めてすごいところに入学したんだなって実感した。

僕が通っていた中学は公立の中学校だったこともあり鞄のなかに教科書やノート、鉛筆が必需品だったが、魔法科高校では教育用端末の普及により、それらを持ち歩く必要はなくなった。

通学用の手提げ鞄を持っているのは、中学の時の癖が抜けきれてなくて、手ぶらだと何だか心配なので筆記具とノート数札、それと、朝、母さんが作ってくれた弁当が入ってある。

 

カリキュラムを読み進めていると、僕を乗せた電車が低速レーンへと入っていく。もうすぐ駅に着く合図だった。

端末の電源を切ってポケットにしまう頃に、魔法大学付属第一高校前駅に到着した。

電車を降りて、プラットホームと階段を降りて、僕はひたすら走る。

駅から高校まで、ほぼ一本道とはいえそれなりに距離はある。

どうして、寝坊なんてしたんだろう?と、途方もないことを考えながら走っていると、

 

「おっ、お前もひょっとして遅刻か?なら、俺と同じ遅刻仲間だな」

 

僕の右隣で、同じく走っていた男子生徒に突然声を掛けられた。制服のエンブレムをみると、達也くんやエリカさん、美月さんと同じ二科生であることがわかった。

 

「えっと・・・・君は?」

 

「おっと、自己紹介してなかったな。俺は1―Eの西城レオンハルト。レオって呼んでくれ!」

 

「僕は1―Aの先導アイチです。あの僕もアイチって呼んでくれるとうれしいな」

 

「OK、アイチ。同じクラスじゃねえけど、ヨロシクな!」

 

走りながら僕とレオくんは簡単ながらも自己紹介をした。レオくんは僕が一科生と分かって最初は驚いていたけど、すぐに態度を変えることなく僕と接してくれた。

魔法科高校に入って、また一人友達ができた。

 

その後、学校に着くまでの間、僕はレオくんと話をした。どこの中学を通っていた、とか、どこの部活に入りたい、とか、将来、何になりたい、とか・・・・話を聞きながら、僕はこの高校に入ることができて、初めて嬉しいって思えた。

 

 

 

 

 

門を通り過ぎ、校舎へ入ると僕は教室に向かうためレオくんと別れた。

 

レオくんはもっと僕と話をしたいって、昼休み一緒にランチを食べようと話を切り出してきた。

特に予定とかないし、お弁当だけど、それでもいい?って僕は言いながら一緒に食べることを了承することにした。

今まで友達がほとんどいなかったから、そんな約束ができて、寝坊するのも捨てたもんじゃないな。

 

など考えつつ、僕は教室に入った。

時計を見て、遅刻でないことにホッとした僕は端末に表示された自分の席を見つけて、鞄を机の横に掛けて席についた。

 

「おはよう、アイチくん。今日は随分と遅かったわね?遅刻するのではないか、心配したのよ?」

 

椅子に座って静かに息を吐き出していた僕は名前を呼ばれたので顔を上げて声の主を探した。すると、僕の左隣の席に二人の女子生徒と会話をしていた深雪さんが僕に向かって微笑んでいた。

僕は声を上擦らせながら、何とか挨拶を返す。

 

「あっ、み、深雪さん!おはようございます!えっと、これはその・・・・別に寝坊とかそんなんじゃなくって・・・・」

 

深雪さんが僕の隣にいる!?こんな美少女と席が隣同士だけでも緊張するのに、話しかけられて僕の心臓は緊張で張り裂けそうだ。その証拠に、無意識に僕は自分で「寝坊した」って、暴露してしまっている。

 

「先導くん、それ自分から寝坊したって言ってるもんだから」

 

「でも、真面目そうな先導くんも寝坊するなんてなんか意外だな~」

 

顔をトマト並みに真っ赤にさせた僕を深雪さんと話していた二人の女子生徒がじっと見つめている。

まだ名前も知らない二人の顔を僕は困った表情でいると、

 

「あっ、自己紹介をしてませんでしたね。私、先導くんと同じクラスの光井ほのかって言います」

 

「同じく、クラスメイトの北山雫。よろしく、先導くん」

 

「あっ、こちらこそよろしく。光井さん、北山さん。えーっと、ところで何で二人は僕の名前知ってるのかな?」

 

光井さんと北山さんの自己紹介が終わって、僕は何で二人が僕の名前を知っているのか訊ねた。

すると、二人は顔を見合わせてクスッと小さく笑い合い、

 

「先導くん、知らないの?」

 

「このクラスで先導くんのことを知らない人は、多分いない」

 

「え?ど、どういうこと?それ・・・・」

 

僕は二人が言っている意味が理解できず首を傾げると、その様子を見ていた深雪さんが代わりに答える。

 

「『先導者(ヴァンガード)』、この世界に初めて"魔法"という言葉を確立させた伝説の魔法師。アイチくんの御先祖様のことをほのかたちは言ってるのよ」

 

そう、僕の両親は父さんも母さんも魔法師ではない。妹のエミももちろんそうなのだが、どういうわけか僕にだけ魔法の才能があった。というのも、なんでも母さんの御先祖様が今、深雪さんが説明したとおり、約百年前、人類滅亡を企てた組織をたった一人で壊滅したと言われているとてもすごい人なのだ(真由美お姉ちゃんが言うには)。

 

「『先導者(ヴァンガード)の奇跡』たった一本の剣で人類滅亡の危機を救った英雄。今ではただのお伽話として認識されているけど、アイチくんが現れたことでそれがお伽話などではなく実際に起きたことだと改めて確認されたのです」

 

「へ、へえーー・・・・・そうなんだ・・・・・」

 

深雪さん・・・・・その話、僕、初めて聞きました。確かに『先導者の奇跡』は、僕が小さい時から知っている物語で、今では小さい子向けに絵本になったり、中には漫画化されてたりもしている。

 

「私も、小さい時よく読んだな~『先導者の奇跡』。お話に出てくる“先導者”がスッゴくかっこよくて!!」

 

「うん。たった一人、一本の剣型デバイスで世界を平和へと導いた英雄。魔法師を目指す者なら誰だって憧れる」

 

あー・・・・・、そういえば真由美お姉ちゃんの双子の妹たちも光井さんや北山さんみたいに『先導者の奇跡』、スッゴい好きだったな~~。その主人公に憧れて魔法師になることをあっさりと決めちゃうくらい。

 

こんなキラキラと目を輝かせながら語る二人を見て、僕はどう反応したら良いか分からず、困ったような笑みを浮かべる。

 

「先導くんって、魔法師の間では『先導者の再来』なんて呼ばれてるもんね」

 

「ーーッ!?うえぇ!!?な、なんでそれ知ってるの??」

 

目の前で、光井さんの口からその呼び名で呼ばれた僕は、あまりの恥ずかしさにこの場を逃げ出したくなった。

“先導者の再来”、僕は魔法師の間でそう呼ばれている。その理由としては、僕のご先祖様がさっき言ったように『先導者』と呼ばれた伝説の魔法師であって、僕もご先祖様に匹敵する魔法力を秘めているからだった。

僕はこの呼び名がスッゴく苦手である。

 

 

だって、『先導者の再来』なんて恥ずかしいでしょ!!

 

 

僕は顔を真っ赤に染めてなんで知っているのか理由を尋ねると、北山さんが代わりに答えてくれて、

 

「さっき、深雪から聞いた」

 

「ごめんね、先導くん。実は昨日、先導くんのことについてお兄様から聞いたの」

 

と、申し訳なさそうに謝りながら、深雪さんは説明してくれた。

なんでも、達也くんは僕が自己紹介をした時から薄々気がついていたようで、家に帰ったあと、“知的好奇心”というやつで、僕のご先祖様についても更に調べ上げた・・・らしいのだ。

その中には、もちろん、僕が幼い頃、テロリストに誘拐されたことも、七草家との繋がりについても含まれているが、それらについては光井さんや北山さんには話してない、とのことだ。

 

「そ、そうなんだ・・・・・」

 

ご先祖様については、どっちみち知られてしまうし、七草家との繋がりも真由美お姉ちゃんと一緒にいれば、いずれ気がついてしまっただろうし、僕としては知られたとしても何の問題はないけど・・・・・でも、“知的好奇心”だけで、そこまで調べ上げてしまう達也くんの恐ろしさと凄さを感じて、僕は苦笑した。

 

入学したばかりで、不安だらけの高校生活を送るかと思っていたけど、達也くん、深雪さん、エリカさん、美月さん、レオくん、それに光井さんと北山さん、こんなに友達ができるとは思いもよらなかった。

 

 

 

あれから、深雪さん、光井さん、北山さんと談笑をしているうちに、ホームルーム開始のチャイムが鳴り、深雪さん、光井さん、北山さんは自分の席へと戻っていく。

教室のドアが開き、中にこのクラスの担任と思われる人物が入ってきて、入学のオリエンテーションが始まった。初めは、この魔法科高校のシステムについての説明を受け、授業について、そして、一科生と二科生について、詳しく説明してくれた。

 

僕は入学前、真由美お姉ちゃんから魔法科高校について事前に聞かされていたけど、改めて聞いてみると、どれだけこの高校の中で格差が生まれているのかがよくわかる。

 

“ブルーム”と“ウィード”、真由美お姉ちゃんは説明をしながら、この格差をいずれどうにかしたい、無くしていきたい、と辛そうに言っていたのを僕はふと、思い出した。

 

一科生のクラスには担任教師がついているけど、二科生のクラスになると担任はおらず、全ての授業はモニターで行われる。

 

 

こんなところにも差別があることに、僕は何だか心が痛くなってきた。

 

ーーなんとか、ならないのかな・・・・・?

 

そう思いながら、僕は昨日、真由美お姉ちゃんから受けた生徒会への誘いを本気で受けることを決意しつつ、教師の話を真面目に聞いた。

 

 

 

 

 

 

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