北欧神話のオーディンが冥界で悪魔達と和平をするらしい。
それを邪魔するロキという奴。
ソイツらに喧嘩を売り込んで神話体系と戦いたいのが俺達である。
ちょっと、喧嘩売ってくる。屋上に行こうや、久々にキレちまったぜ。
「フッ、イッセー。何時になく乗り気だな」
「取り敢えず、あの爺は俺の獲物だ」
「構わんさ。主神もいいが、トリッキーな神であるロキの方が面白そうだ」
オーフィスのパンチでいつも通り冥界に穴を開ける。
今回のメンバーは、俺とオーフィスとヴァーリと孫悟空。
この四人で何とかなるだろうという考えだ。
冥界に着くと、何やら気配がたくさん集まっている。
ヴァーリが言うには条約がどうのこうの若手悪魔を集めてパーティーしているらしい。
そこにロキが現れるはずなので早く行こうとのことだった。
「どうする」
「こうする」
建物に近づいて、思いっきり扉を殴り飛ばす。
会場の視線が俺達に集まったが、無視である。
「なんだ貴様らは!」
「今日がどういう日か分かっているのか」
「うるせぇ!」
ドンッ、と俺の覇王色の覇気が発生する。
それだけで、若手悪魔とやらが気絶する。
「い、イッセー君……どうして……」
「誰だお前」
「私だよ!死んだと思われてたけどグレモリー眷属として生まれ変わった元エクスカリバーの担い手であるイリナだよ!」
「そんな奴、いたか?」
「嘘だ、そんな、こんな汚れた身体にまでなったのに、鬱だ死のう」
若手悪魔の中に何やら俺の名を呼ぶやつがいたが勝手に気絶した。
まぁ、立ってるとは少しくらい骨が有るやつがいたな。
「ヴァーリ、どうしてここに」
「久しぶりだな、アザゼル」
「やはり貴様かロ……ロキ、じゃないッ!?」
「俺だよ、クソジジイ」
最初から覇龍というクライマックスの状態で戦闘態勢に入る。
寿命とか魔力とか気力とか、そんなものは仙人になれば解決する。
自然エネルギーとやらが犠牲になったのだ。
覇龍の犠牲に自然エネルギーはなったのである。
つまり、ノーリスクで覇龍である。
ちゃんと意識があればこれくらい気合でどうにかできる。
「何したんですかオーディン様!メッチャ怒ってますよ!」
「ちょっと、赤龍帝の女のケツを触った」
「エロ不注意!なんてことしてるんですか!セクハラで北欧神話を終わらせる気ですかぁ!」
「正直、スマンかった」
オーディンとかいう爺の謝罪に対して、遺憾の意である。
なんだお前、絶対舐めてるだろ。
「ブッ殺!」
『Boost!!』
時間を加速させて、オーディンに殴り掛かる。
相手は神だ、油断はしない。
「おっと、危ないのぉ」
「避けやがっただとぉ!?」
「遅いのぉ、赤龍帝とやら無駄な動きが多すぎる」
「あ、煽らないでください!お前、マジふざけんなよ!」
まるで俺がどこを狙ったのか分かっていたかのように、オーディンが先読みして移動し、攻撃を避けていた。
俺は先程までオーディンがいた場所を殴り、攻撃を躱される。
クソが、もっとだ!もっと、加速するぞ!
「俺がスローリィィィィ!冗談じゃねぇぇぇぇ!」
『Boost!!Boost!!Boost!!』
さっきよりも速い速度で俺は奴に殴り掛かる。
だが、それを難なく躱される。
フェイントを織り交ぜようと、何をしようと、まるで簡単に避けられてしまう。
腐っても主神、手強い相手である。
「本当に、遅いのぉ」
「ならこれならどうだ、ドライグ!」
『Bo『Bo『Bo『Bo『Bo『Boost!!』
加速に次ぐ加速、世界のスピードに追い付く。
世界と同じ速度、静止したと見紛う世界。
奴へと、殴り……いない!奴はどこに行った!
「終わりじゃ、赤龍帝」
「なんだと!?何故、貴様が動けている!」
「喰らえ、グングニル!」
オーディンとかいう爺が槍を振り下ろす。
すると、空から光が発生し俺に向かってきた。
ありえない光景である。
まさか、時間が止まったと錯覚するような高速の世界でそれを上回る速度で攻撃したというのか。
「ぐあぁぁぁぁぁ!」
「教えてやろう、何故避けれたか。それは未来が見えるからじゃ」
痛みに意識が飛びそうになる。
だが、その程度だ。
ヴァーリの拳に比べたら、こんなもの屁でもない。
「ほぉ」
「倒れるかよ、倒れるなら前のめりだ」
「面白い、ロキが来るまでの暇潰しになるかと思ったら……お主、一緒に来んか?お主は英雄の器だ、英雄の席を北欧神話は用意しておるぞ。お主の欲しいものをなんでも用意してやろう。実際、ロキの奴が面倒だし戦力があるには越したことはない」
「見下してんじゃねぇよ!何を勝った気でいやがる!上から目線で気に食わねぇ、だからブン殴る!お前を絶対、ブン殴る!さぁ、行こうぜドライグ!コイツが、俺達の新しい力だ」
『Bo『Bo『Bo『Bo『Bo『Bo『Bo『Bo『Bo『Bo『Bo『Bo『Bo『Bo『Boost!!』
限界まで右腕を倍加する。
ただ、一点に力を集め倍加する。
魔力も気も、右腕一本に注ぎまくる。
相反する力が、俺の右腕の中で暴れ狂うが関係ない。
壊れそうなほどに、壊せそうな気がするからだ。
「なんというエネルギーじゃ」
『甘く見たな主神オーディン、これが咸卦法だ』
「咸卦法、そんな物が……だが、当たらなければどうということは――」
俺は拳を振りかぶり、そして握っていた手を開いた。
その様子に何か見えたのかオーディンが焦る。
未来が見える故の察しの良さだ。
「異議あり!その条約――」
「ドラゴン破ァァァァァァァ!」
「えっ!?」
俺の手から赤いエネルギーが放たれる。
魔力も気も合わさった、相反するエネルギーがレーザーとなって放たれた。
殴ると言ったな、アレは嘘だ。
「ぐあぁぁぁぁぁぁ!」
「ぐあぁぁぁぁぁぁ!」
何もかも使い果たしたが、俺は満足だった。
よし、悪は滅んだ。
「イッセー、貴様ぁ!」
「なんだヴァーリ、俺は疲れている」
「俺の獲物を奪いやがったな!」
「な、なんだってー!?」
い、いつの間に俺はヴァーリの獲物を奪っていたのか。
もしやドラゴン破に巻き込まれたのか。
それは、正直すまなかった。
「フフフ、中々やるわい」
「ほぉ、腐っても主神。生きてるじゃないか」
「アレを食らって生きているとは、トドメを刺さなければ」
「待て!止まれ!二天龍で来るのは卑怯だと思うの!ちょっと試しただけで、マジになるのはズルいじゃろ!」
慌てるオーディン、しかし止まらない。
お前が、死ぬまで、殴ろうとするのをやめない!
「そこまでよ!」
「女は引っ込んでろ!」
「ひ、酷い!差別よ!」
「なんだその格好は、魔王の癖してドレスコードも知らんのか!恥を知れ!」
「やだ、なんなのこの二天龍、私に対して当たりが強い」
オーディンの前に、魔法少女のコスプレをした魔王が現れた。
クソ、外野がいたことを忘れていた。
よく見れば、空で孫悟空とタンニーンとかいうドラゴンが戦っている。
あちらもヤバそうである。
「どうする」
「こうする」
俺の質問にヴァーリが拳を掲げた。
なるほど、つまり押し通るって訳だな。
シンプルで素晴らしい、さぁ喧嘩である。
「な、なんじゃコイツら!身体が真っ黒になっていく」
「フッ、これがイッセーより学んだ技術。武装色の覇気」
「今の俺達は、全身が鋼鉄以上だ」
ただし、無駄な部位にも纏っているため消費が激しいのが問題である。
まぁ、短期間の戦闘なら問題ない。
「オーフィス!」
「オッケー」
オーフィスが冥界に穴を開ける。
「よし、全速前進だー!」
「うおぉぉぉぉ!」
流石に魔王四体と戦うにはレベルが足りないので、もっと修行してから挑むことにする。
今は、ただ逃げることだけ考えてまっすぐ走るのだった。