俺はドラゴンである   作:nyasu

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そんなドラグソボールみたいな事を言うドラゴンがいるのか

山を降りた俺は久しぶりに街にいるからか、感慨深い思いに浸っていた。

そう、数分前まで……。

 

「オラ、舐めてんじゃねぇぞ」

「クソが、うぅ……」

「目障りなんだよ、いつもいつも俺の女の回りでコソコソしてやがってよぉ。だが、もう我慢の限界だぜ。兵藤が死んだ今、誰もお前らなんざ守らねぇからなぁ」

「黙れ、一誠は!アイツは死んでなんかいねぇ!」

 

山から降りた俺は、公園で不良達の喧嘩を見つけた。

暇だし、見てくかと思ったらなんと知り合いの喧嘩だった。

ソイツらは、元浜と松田という。

よく俺に群がる女の尻を追い回して、なんでか分からんが付き合いの会った連中だ。

いわゆる腐れ縁ってやつなんだろ、多分。

 

『ほぉ、世界線は違えど変わらぬものはあるのだな』

「何を言ってるんだドライグ?」

『此方の話だ』

 

元浜と松田を袋叩きにしているのは、どこかで見たことあるような男達だ。

たぶん、何時かの喧嘩した相手かなんかだと思う。

一度殴ってから見なくなったはずなんだけどな。

 

「そうだ、アイツは俺達と女体を追求する約束を守るまで死ぬはずがないんだ」

「そんな約束した覚えがないんだが」

「兵藤のパシリどもがウゼェ!俺の女の裸を見たんだ、死に晒せや」

 

腕組みながら全体の流れを見て把握した。

つまり、アイツらが覗いた彼女の腹いせにやってきたらしい。

でもって、その彼氏の男にボコボコにされているようだ。

うん、アイツらが悪いわ。

 

「けど、複数人はズルいだろ」

「誰だ!俺の邪魔を……」

「よぉ、お前らがうるせぇから地獄のそこから蘇ったぜ」

「兵藤!?だって、死体も残らないくらいの事故に巻き込まれたはずじゃ……」

 

良く分からないことを喚き立て、そして動揺する不良達に俺は首を傾げる。

確かに血だらけにはなったが、生きてるんだけどな。

取り敢えず、殴ってから考えることにして適当にしばき倒す。

あっ、やべっ、力加減を間違えて骨とか折れたっぽい。

まぁ、人間は骨がたくさんあるから大丈夫だ。

 

公園に、ぶっ倒れた不良達が寝転がる光景が出来上がっていた。

そして、拳法家を探すついでに飯でも食べようかと考えていた俺に向かって元浜達が驚きの声をあげていた。

 

「ほ、本当に一誠なのか」

「おう」

「お前、なんだよ!葬式までして、びっくりしたじゃねぇか!」

「葬式、誰の?まさか、俺のかよ」

 

元浜達が言うには俺はそれは酷い状態になるくらいの事故にあったらしい。

現場には血痕とタイヤ痕があり、轢き逃げされたとのこと。

両親は病院で遺体を見せられて、そのまま火葬したそうだ。

そのまま火葬するくらい、身元も分からないくらい酷い状態だったらしい。

 

「取り敢えず、お袋と親父に会いに行ってくるわ」

『グレモリーの奴らが事故死に処理したのだろう』

 

グレモリー、確かここらをシマにして仕切っている悪魔だったか。

日本神話の奴らに正面から喧嘩売る、悪魔って種族の奴らだ。

なるほど、俺のことを勝手に殺したのはソイツの仕業か。

許せねぇなぁ、グレモリーって奴!

 

俺は顔も知らないが、ここら一帯を自分の物だと言ってやがる悪魔のことを考えながら街を歩いていた。

まぁ、家まで帰ろうとしていたとも言うがそんな時にシスターを見つけた。

 

「アウチ!?」

「おぉ、顔から転けたぞ。おい、姉ちゃん大丈夫か?」

「うぇ!?あ、うっ」

 

地図を持っており、そしてオロオロしている。

しかもシスターの格好でよく見えてなかったが、髪は金髪。

間違いない、外人さんだった。

 

「あぁ、何言ってるか分かんねぇんだよなぁ」

「エ、エクスキューズミー」

「ノーノー、アイムイングリュシュノー、スピークジャパンオンリー」

「ノー?」

 

首を傾げる外人さん。

うむ、俺の英語の成績では英語が通じていないようだった。

おい、どうにかしろドライグ。

 

『肉体言語というものがあってだな』

「なるほど、分かった」

 

取り敢えずボディランゲージで意思疎通を図る。

彼女は地図をビシビシ叩く。うむ、ここに行きたいってことなんだろう。

教会だし、間違いなかった。

まぁ親に会う前だが付き合ってやるとしよう。

その時、くぅと小さいが音がした。

顔を真っ赤にしてお腹を抑えるシスター。

 

「ははは、なるほど腹が減ったんだな」

「あうっ……」

 

まぁ、金なら先程手に入ったのでファーストフードでも食わせてやろう。

一番近い飲食店だしな、コンビニはちょっと遠いしな。

 

『おい相棒』

「なんだドライグ」

『ソイツとは仲良くした方がいい。ソイツは聖職者だ』

 

何を言ってるのか、そんなことは見ればわかる。

しかし、ドライグは無駄な事は言わない。

きっと、何か意味があるのだ。

 

『お前は強くなりたいんだったよな。拳法だけではない方法があるんだ』

「なんだって」

『それはな、宗教だ。聖職者は強いんだ。そのアーシアから宗教を学べば強くなれる』

「そ、そうなのか」

『そのほうが原作に関われるしな』

 

原作って?それとアーシアってのはこの子の事だろうか。

 

『えっと、ソイツは有名人なんだ。ドラゴン界でも有名なやつなんだ』

「そ、そうなのか!?」

『あぁ、あるドラゴンなんかパンツを所望するくらいにな』

「そんなドラグソボールみたいな事を言うドラゴンがいるのか」

 

ギャルのパンティーをくれという奴は実在したんだ。

びっくりである。

とはいえ、二度とあんな目に会うのは、理不尽に屈するのは嫌なので俺は強くなるべくアーシアという彼女と喋ることにした。

正直、何を言ってるのか分からなかったが最終的にハンバーガーの食い方が分からないってことはわかった。

 

「クソ、英語が分かんねぇから宗教が分かんねぇぞ。取り敢えずキリスト教なんだろう、キリストって言ってたし」

「あー、アリガトウゴザイマス?」

「す、すげぇ!日本語だ」

 

英語が喋れない俺と違って、アーシアは簡単ながら日本語が出来た。

そりゃそうだ、日本に来るんだからある程度は勉強してるんだろう。

俺だってサンキューくらいは言えるさ。

ともあれ、ハンバーガーのお礼を言ったアーシアと教会に向かうことにした。

 

『相棒、わかるか?』

「何が?」

『フッ、修行が足りないな。上を見ろ』

 

俺はドライグに言われて上を見る。

そこには、此方に向かって光の槍を向けるいつぞやの女がいた。

 

「チッ、気付かれ――」

「破ァァァァ!」

 

俺は気を手のひらにあつめて女に向かって放った。

そう、ドラゴン波である。

俺の手から飛び出す赤いレーザーは、女を丸呑みにした。

残ったのは黒い羽が一枚、チッどうやら逃げられたらしい。

 

『いや問題ない、アレは倒したのだ』

「なに、転移したのではないのか!?」

『堕天使は倒すと黒い羽をドロップするんだ』

 

驚愕の真実に驚いていると、アーシアが何か言ってきた。

すまない、何を言ってるのか分からない。

 

「えぇ、マジかよ。おいおい、一発ってどうなの?計画ご破産ってやーつじゃないのこれ、ヤダー」

「むっ、誰だお前」

「おいおい、お前ってもしかして赤龍帝?いいだろ、名乗ってやる。我こそは踊り狂う聖職者!フリード様でござんすよ」

「聖職者、強いな」

 

声がした、声のした方には塀の上に立った白髪頭の神父がいる。

なんで塀の上にいるとか、なんだそのライトセイバーとか、エアガン持ってるとかツッコんだら負けな気がする。

なんてメンタルの強い人なんだ。

あとコイツと向かい合っていると、なんだか首の後ろが落ち着かなくなる。

なんか違和感というか、気になって仕方ない。

しかし、それもふとした瞬間になくなった。

 

「やめだやめ、ちょっと試そうと思ったが殺気にも動じないとか相手になんねぇわ。割に合わねぇ」

「殺気、今のが殺気だったのか?」

「その程度かって言いたいのかよい。まぁいいわ、トンズラさせてもらいますわ、じゃあバイビー」

 

発言がいちいち変な、取り敢えず変なやつだった。

しかし、今のが殺気か。

漫画じゃみんな、殺気ッ!みたいな感じの事を落ち着かなくなったら言ってたのか。

やはり聖職者は只者じゃないみたいだ。

 

『相棒、もう教会に行かなくていいぞ』

「えっ、なんでだ?」

『アレだ、家に連れてけとアーシアが言ってるんだ』

「お前、英語が出来たのか」

 

やっぱりドラゴンはスゴイ。俺の相棒は最強なんだッ!

ドライグの言葉を信じてアーシアの言うとおり、家に連れて行くことにした。

アーシアがオロオロしていたが、なんでだろう。

まぁ、細かいことは気にしなくていいだろう。


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