目の前に現れたるは、太陽神アマテラス。
日本のソシャゲに一度は出るくらいにはメジャーな神である。
ちなみに、日中仕事しては引きこもってるのがデフォらしい。
「さすが、最古の引きこもり」
「ちょっと、聞き捨てならないんだよ!座って、そこに座って!」
両手で地面をてしてし叩く女に、渋々ながら俺は従う。
何ていうか、子供っぽすぎて威厳を感じない。
「人が気にしてることは言っちゃいけないんだよ!そういうところに怒ってるんだよ!分かんないかな、もー!」
「う、うっす」
「まったく、それで頼み事をするつもりだったなんてやる気あるのかな」
「勿論だ」
やる気はあるかい、勿論さ。
寧ろやる気しかない。
後顧の憂いを断つ所存である。
難しい言葉を使えば、それっぽい気がする。
「お、おう。で、でもそう簡単に頼みを聞くとか思うなよ!」
「何だと!」
「ひっ、急に大きな声出すなよ!びっくりするだろ」
「う、うっす」
何故だか下手に回ってしまう現象が起きていた。
馬鹿な、俺が素直に従うなんて……流石、メジャーな神様なだけあるかもしれない。
「そもそも、ウチには余裕はないんだよ」
「どういうことだ。日中しか働かないとか暇そうなのに」
「他の神話体系と違って、ウチは基本24時間労働だから!基本的に他所のことはスルーだよ!流石に、仕事の邪魔になったら抗議くらいはするけど、それ以外は仕事が忙しいの!」
「どういうことだ」
「だからウチは、ブラック神話体系なんだよ!他所の仕事まで回されたら、荒御魂待ったなしなんだよ!勝手にしろって話なんだよ!」
目の前で髪の毛をぐわんぐわんする太陽神。
スゴイ、愚痴ってるだけなのに後光が差してる。
キラキラが止まらないとはこのことか。
アンタ、今が最高に輝いてるよ。
「まぁ待て、流石にメリットを提示しないのは良くないことだと俺にだって分かる」
「ねぇ、帰っていい?出雲大社まで出張とか辛いんだけど、アニメの時間がそろそろなんですけど」
「仕事が増えないように、面倒事は俺が解決しよう。取り敢えず、日本から悪魔を駆逐すればいいんだろ?」
「ねぇ、聞いてる?」
「よし、そういうことでいいな」
「聞けよ!引き篭もるぞ、私が引き篭もったらスゲーんだからなぁ!」
「急にどうした?」
こんなにも美味しい話なのに、目の前の神様は納得が行かない様子で地団駄を踏んでいた。
まったく、何が不満なんだか。
仕事が減るんだから喜べばいいではないか。
「分かった、お前さては馬鹿だな!舐めやがって、日中なら三倍強いんだぞ!太陽の加護バリバリだかんなぁ」
『もっと威厳のある物だと思っていたが、こんなものなのか』
「そうか、スゴイんだな。流石、太陽神だ」
「えぇ……舐められてるのか本心なのか、分かんねぇ―」
すごく微妙な顔をする女を見て、俺は確信した。
コイツは太陽神である。
つまり、太陽は熱いのである。
ということは、熱くなるタイプだ。
怒りっぽいってことだ、納得した。
「おい、その頷きはなんだ。なんか、盛大に勘違いされてる気がするんだが」
「分かっている。では任せたぞ」
「分かってないよね。あと、任されても困るんだけど」
「そんなこと言うのも今のうちだ。もし従わないなら」
「な、何だよぉ……脅しには屈しないぞ」
「俺がすごく困るぞ」
「…………」
何言ってんだコイツと冷めた目を向けられた。
フッ、この事実には驚いただろう。
それほどまでに、俺は他に考えがないということである。
つまり、選択肢は一つしかないのである。
『いや、それはお前のことであって相手の事ではないのだが』
「後、断るなら勝負だ。勝ったら俺の願いを叶えてくれ」
「どういうことだよ!自由か、貴様!」
「何か問題でもあるか?強い奴に従う、シンプルだろ」
「何ていう脳筋理論」
脳筋だって、まったく何を言ってるのか。
これでも俺は理系だ。
論理的に考えて強い奴が正しいのは自明ではないか。
強い奴が好き放題した結果、俺は死にかけたのだ。
聖書の勢力だって、実力が高かったから好き勝手やっていたのだ。
つまり、強い奴には逆らえないことから勝負に勝ったら従うしかない。
実に論理的である。
「あぁ、うぅ、まぁ日本でドンパチされて都市とか滅ぶと面倒だし……まぁ、聞いてやってもいいよ」
「そうか、助かる」
「別に脅しに屈した訳じゃないんだからね!」
『はいはいツン……デレ?いや、普通に屈しただけ?』
見事交渉の末に両親の安全を手に入れた。
素晴らしい、やったぜ。
そして、しばらく観光して駒王街に戻るのだった。
家に帰ってからは、アーシアと意思疎通の訓練をしつつ修行である。
ドライグの力で重力を数乗して、筋トレである。
ドラグソボールでもやってたし、確実に強くなれるはずである。
親父達はアーシアを学校に通わせたいようだが、ピザだかビザだか何か難しい話をしていたので難しそうであった。
ある日のことだった。
日課である瞑想で、魔力を使った円と気を使った見聞色の複合を用いて周囲に異常がないかと探っていたら学校の方に反応があった。
まぁ、それほど強そうに感じないので、おそらく悪魔かなんかだろう。
ちなみに、魔力と気が合わさり最強に見えるが中々コントロールが難しい。
またある日のことだった。
夜中に学校の方で違和感があった。
まだなんかやってるみたいだが、ドンパチでもないだろうし問題ないだろうと思って寝た。
数日後、元浜と松田が遊びに来た。
コイツらの中でどういう風に考えたのかは知らないが、どうやら俺が学校に来ないから痺れを切らしたらしい。
俺は死んだことになっているし、身体はドラゴンだと腕を見せなが説明してやったら固まっていた。
更に、お前の学校は悪魔の巣窟だと言ったら、サキュバスはどこですかと聞いてきたので知るかと言っておいた。
だが、一番コイツらが驚いたのは、俺の背中から身を乗り出して様子を伺うアーシアだった。
金髪美女がどうのこうの、その後は発狂していて何を言ってるのか分からなかった。
取り敢えず、前屈みになってないで正気に戻れ。
正気に戻った元浜達を交えてゲームすることになった。
俺のクッパは最強だ。
だが、勝てない。
何故だ、何故なんだ。ドラゴンはスマブラでも最強、そのはずなのに何故だ。
クッパは亀だった、是非もないね。
まぁ、アーシアが楽しそうだったので良いことだ。
「俺、チラシから悪魔を呼び出して童貞卒業するんだ」
「ふっ、甘いな。俺は悪魔になってハーレムを作るぜ」
「なん……だと、その手があったか」
「そこに気付くとは我ながら天才だな」
何を馬鹿なことを言っているのか。
取り敢えず、日本語が通じないからと言ってアーシアの目の前で猥談とかレベルが高すぎてついていけない。
そんなことより筋トレしようぜ、お前ら重りな。
えっ、しない?なんで、楽しいのにな。
「そういえばあの噂、イッセー知ってるか」
「知らん」
「おい、何言ってるんだよ。学校に来てないんだから知るわけ無いだろ」
「あぁ、そうだったな」
元浜が思い出したかのように何かを言おうとしていたが、正直何も分からないので知らんと答えた。
そもそも、今日が何日かすら覚えてないのに、学校に通ってた頃のことなど覚えてない。
「あのグレモリー先輩を知ってるか?」
「あぁ、グレモリーだな」
「グレモリー先輩、結婚するってよ」
「先輩、学生結婚するらしいぜ。くぅぅぅ、人妻ってことだよな、エロいぜ」
「俺もあの身体を毎日抱きたいぜ」
「ふーん」
『えっ!?結婚するの、えっ嘘だろ!?』
自分の領地がとか言ってたグレモリーって悪魔の話かと興味なさげに聞いていたら、何故かドライグが驚いていた。
どうした、そんなに悪魔の結婚ってのは驚くことなのか。
。