クリス「親戚がスタイリッシュだった件」   作:数多 命

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気持ちDMCゲームのムービーをイメージして書いてます。
なので割と駆け足で話が進みそうです。


その3

密林を生み出していた元凶『エキドナ』を倒した一同。

そこから更に進撃していくと、とある廃墟にたどり着く。

二課のオペレーターが、建物からバケモノ――――エキドナとの会話により、悪魔と判明した――――の反応が出ていると知らされる。

『念の為』と突入してみれば、次々と襲い来る悪魔の群れ。

中には人の手が施されたような、規則的な動きをする固体もいて。

この建物に対する不信感が募っていく。

そしてたどり着いたのは実験場らしき地下施設。

少し高い位置にある、分厚いガラスの向こうにいたのは――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ある、じぇんと・・・・?」

 

ガラスの向こう、誰がいるのかを見た翼が呆然と呟く。

隣に居る響も目を見開き、クリスもまた驚愕で動けなくなっていた。

 

「――――ここまで来るなんて、大したものだわ」

 

無数の傷で磨りガラスのように曇っている先。

バインダーに書き付ける手元から目を逸らさないまま、淡々と口を開くアルジェント。

 

「いえ、我々があなた達を侮っていたのかしら」

 

すぐに首を横に振り、落ちてきた小麦の髪を耳にかける。

 

「ルナアタックにフロンティア事変を乗り越えた猛者揃いだもの、警戒しすぎるに越したことは無かったということね」

 

そして再び、ペンを動かし始めた。

 

「・・・・嘘、だったというのか」

 

翼がわなわな震えている。

 

「あの時の笑顔も、歌も!全て嘘だったというのか!?」

「本心かどうかと言えば、NO。だけど手を抜いたわけじゃないし、あの時貴女に送った賞賛は間違いなく本心よ」

 

搾り出すような悲痛な問いすらも、切り捨てるように答えるだけだった。

 

「・・・・いや、そ、それよりも」

 

同じく固まっていた響が、指差す先。

アルジェントの観察対象らしい、アイテム。

真っ二つに割れ、激しく破損しているものの。

見間違うはずも無い『完全聖遺物』。

 

「ソロモンの、杖・・・・・!」

 

部屋の中央、何かの液体に満たされたポットの中に浮かぶそれ。

装者達、特にクリスにとって因縁深いものだった。

 

「・・・・それを使って、何をするつもりだよ?」

 

気になった響が一瞥してみれば。

いつになく険しい顔で笑みを浮かべた、クリスの姿。

全身から威圧を滲ませ、アルジェントを睨み上げている。

 

「ええ?なぁーにをおっ始めるつもりだよ?コラ?」

 

クリスの怒りに呼応して、右目がギラついている。

人間には出せるはずも無い威圧を向けられてもなお、アルジェントは涼しげだった。

 

「・・・・そうね、少しくらいならいいかしら」

 

ここで初めて、手を止めた。

バインダーから目を上げて、やっと装者達を見る。

 

「研究にも行き詰っていたところだし、いい気分転換だわ」

「言ってくれるじゃねえか、おい・・・・!」

 

睨む眼差しに微笑む余裕すら見せながら、アルジェントは恭しく手を胸に当てた。

 

「知っていると思うけど、『アルジェント』は芸名なの。本名は『アリシア・ルーチェ』、以後よしなに」

 

まずは一礼。

翼はやりきれない顔で見ており、クリスも未だ睨みつけている。

響はと言うと、思わず頭を下げ返していた。

 

「さて、何をやろうかということかしら」

 

アルジェント改めアリシアは、顎に手をあてしばし思案。

だが、すぐに考えは纏まったようで、小さく頷く。

 

「まず大前提として、これをお話しましょう。あなた達、『魔剣士スパーダ』という御伽噺を知っていて?」

 

急に出てきた御伽噺と言う言葉。

流石の面々もきょとんと呆け、首をかしげる。

互いに見合って、首を横に振る。

少なくとも響達には、聞き覚えの無い題名だった。

 

「ふふ、いいわ。日本ではマイナーらしいから」

 

そんな彼女達をバカにするわけでもなく、ただ微笑ましげに見つめた。

 

「さて、では僭越ながらあらすじをば」

 

再び恭しく一礼してアリシアは手を広げる。

 

「遠い遠い昔の話です。次元の向こうから悪魔の軍勢が攻め込んできました」

「下級ですら数十人を殺しうるほど強力な彼らに、人間は成す術もなく蹂躙されるのみ。滅びの時を、今か今かと怯えるばかりでした」

 

ありがちな始まりに、装者達はひとまず耳を傾けることにした。

 

「しかしそんな中、一人の英雄が立ち上がりました。彼の名はスパーダ、悪魔でありながら正義に目覚めた剣士でした」

「人間達には弱いながらも、悪魔には無い『愛』と『勇気』を持ち合わせていました。家族のために、友人のために死に物狂いで戦う姿が、スパーダの心を強く打ったのです」

 

アリシアは続ける。

この場に似つかわしくない、穏やかで優しい声。

 

「魔王の腹心にまで昇りつめる強さと、愛を備えたスパーダは無敵でした。無数の悪魔を薙ぎ払う剣の煌きは、いつしか人々の希望となっていました」

 

まるで寝物語のように語る。

 

「永い長い戦いの末、ついに魔帝に深手を負わせたスパーダ。彼は魔界に封印を施し、悪魔達が二度とこちらへ攻め込めないようにしました」

「こうして、人と悪魔の争いは終結したのです」

 

ここで、一区切り。

呼吸を一つ置いて、再び口を開く。

 

「戦いが終わった後、人々はスパーダに感謝を捧げ、その英雄譚を語り継ぎました。いつまでも、いつまでも・・・・」

 

これで物語りは終わりらしい。

称えていた微笑を薄れさせ、アリシアは閉じていた目を開いた。

 

「とまあ、これが民間に伝わっている話よ。現在はヨーロッパやアメリカを中心に語り継がれているわ」

「・・・・・なるほど、よく分かった」

 

話を聞き終えたクリスは、改めてアリシアを睨む。

 

「で?その話と今回の騒動に、何の関係があるんだよ?」

「・・・・察しているかもしれないけれど、この話は実話よ。今から約二千年前、実際に起こった出来事」

 

問いかけられたアルジェントは、何となく歩く。

 

「スパーダ本人の行方は分からないのだけれど、その子ども達の存在は確認されているわ」

「け、結婚してたんだ・・・・!」

 

驚くところが微妙にずれている響の声。

面白かったのか、アリシアは笑みを零した。

 

「さて、これは最近、数年前に起こった話。フォルトゥナという小さな田舎で、スパーダを神として崇める『魔剣教団』という宗教があるのだけど」

 

アリシアは人差し指を立て、話を切り替える。

 

「当時の教皇とその幹部達は、現代人の信仰の薄さを大いに嘆き。あるとんでもない行動に出るわ」

「とんでもない行動?」

「ええ」

 

翼のオウム返しに頷きながら、こちらを向く。

 

「この世に悪魔を呼び寄せ、人々を脅かすそれらを自分達が退治する。そんなマッチポンプで神の存在を認めさせようとしたの」

「ひっでぇなそりゃ」

「全くよ、大体主張もセンスがないわ。『真の楽園とは、破壊の果てにある。だからこの世を一度地獄に変える』だなんて」

 

やれやれと目を伏せ、肩をすくめたアリシア。

しかし、次に目を開けたとき。

その眼差しは、ぞっとするほど冷ややかなものに変わっていた。

 

「だけど、彼らの主張には一つだけ筋が通っているものがあるの」

 

装者達を見下ろし、睨みつけ。

強く、はっきりした口調で宣言する。

 

「――――この世界は一度、滅ぶべきよ」

 

それを聞いた装者が絶句したのを合図に、クリス達の周囲で物音。

何かが起動するようなエンジン音と共に、無数の何かが射出される。

一見剣のように見えたが、宙に放り出されたそれらは半ばまで分解すると優雅に羽ばたき始めた。

 

「確認されているスパーダの子供は三人。長兄のバージルに次男のダンテ、そして――――」

 

ふと。

アリシアが装者達の警戒を削ぐように口を開き、人名をいくつか述べる。

 

「末娘の、ソネット」

「――――ッ!?」

「それってクリスちゃんの!?」

 

再び目を見開くクリスを真っ直ぐ見返しながら、アリシアは淡々と告げる。

 

「この仮説が本当かどうか・・・・・」

 

当たり前だが、呼び出された悪魔はこっちの都合なんて考えちゃくれない。

次々に装者達を捕捉し、殺意を浴びせてくる。

 

「あなたの実力を見せてもらうわ、雪音クリス」

「ッ上等だ!!!」

 

生まれた困惑を振り払うように、クリスは雄叫びを上げた。




ところで、そろそろ例のアレを視野に入れているんですが(
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