クリス「親戚がスタイリッシュだった件」   作:数多 命

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成人式ははずせませんよね!(目玉ぐーるぐーる


その4

アリシアに制御された悪魔の群れが、クリス達に襲い掛かる。

地面を潜行する魚型と、空中を旋回する鳥型。

さらに時折地面を流れる高圧電流に苦戦するものの。

悪魔の射出装置を破壊することで、どうにか新手の出現を阻止。

残りの悪魔達も順調に討伐していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおおおおおお―――――ッ!!」

 

ガラスに出来たかすかな皹。

それを見逃さなかったクリスは徐にミサイルを展開すると、それに飛び乗って突っ込んでいく。

無機物が割れる、賑やか過ぎる騒音。

破片が飛び散る中、黒煙の中から躍り出たクリスは銃口をアリシアに突きつけた。

 

「油断大敵だな」

 

一方のアリシアは腕を組み、じぃっとクリスを見つめるだけ。

やがて、呆れたようにため息をついた。

 

「――――ええ、全くだわ」

 

参ったなと言いたげに見えて、その実呆れた目を向けて。

手のひらで、合図。

 

「油断大敵ね」

「――――ッ!?」

 

風を切る音。

振り向いたクリスは次の瞬間、『壁』に激突した。

 

「ご、は・・・・・・!?」

 

呼吸が詰まった刹那に、新たに二つ。

相手の得物は槍。

一方は腕とわき腹の間を縫うように、もう一方は右肩に突き刺さる。

 

「がああああああ――――ッッッ!!!」

「く、クリスちゃ・・・・うっわ!?」

「ぐ、離せッ!!雪音ェッ!!」

 

残りの悪魔に応戦していた響達も、同じ個体に取り押さえられた。

余った数体が、悠然とアリシアの傍に控える。

羽を広げたその姿は、一瞬天使と見間違えそうなほど美しかった。

 

「ぁ、ぐぅ・・・・!」

「魔剣教団の話はしたでしょう?これは彼らの研究データを流用して生み出したものなの」

 

苦しむクリスへ歩み寄り、白銀の鎧を指すアリシア。

 

「理想も方法もナンセンスな連中だけど、ええ、これだけは認めてあげてもいいわ。私は結構好きよ」

 

どこか嬉しそうに、恍惚とした様子で。

降りたった鎧の顎元を撫でた。

 

「・・・・は・・・・・そんでよぉ・・・・おめーは結局何を知りたかったんだよ?」

 

痛みをどうにか抑えたクリスは、歪ながらも不敵に笑う。

 

「まさかこれだけやっといて、何にも分かりませんでしたなんて言わねぇよなぁ?」

「・・・・」

 

アリシアは黙したまま凝視するのみ。

沈黙を肯定と受け取ったクリスは、喉を鳴らして嗤い出す。

 

「はは、悪モンってのは手際がなっちゃいねーな。フィーネを見習えっての・・・・」

「・・・・・そう急くものではないわ」

 

元からそうするつもりだったのか、それとも挑発されたからか。

アリシアが手をかざすと、そこへ先ほどまで戦っていた鳥型が一体。

剣型となって収まる。

 

「――――ッ!」

 

握り締めるや否や、その切っ先を突きつけて。

クリスの、胸元へ――――

 

「・・・・・ぁ・・・・あぁ・・・・・!!」

 

幅広の刃が、小柄な体を貫く。

床に伏せられていても、口から零れる血が見えて。

 

「雪音エエエエエエエエエ――――――ッッッ!!!!!」

「クリスちゃん!やだ!!ねえ!?クリスちゃん!!」

 

翼の咆哮が、響の悲鳴が。

部屋中にこだまする。

一方のアリシアは突き立てた刃を非情に抜き放ち、一瞬流れる血を見送ってからクリスを観察する。

クリスは束の間、弱々しくアリシアを睨んでいたが。

やがて糸が切れたように項垂れて、動かなくなった。

 

「・・・・・見当違いだったかしら、我ながら不要な殺生だなんて」

「アリシアアアアアアアア!!貴様あああああああ――――ッッ!!!!」

 

物憂げにため息をついたアリシアの耳に、翼の怒号が届く。

見下ろせば、身を跳ねんばかりに暴れて拘束から逃れようとする装者二人。

こちらを射抜く目は怒りに燃えており、自由にすればどうなるか容易に想像がついた。

 

「まあ、シンフォギアが手に入っただけでも良しとしましょう・・・・連れて行きなさい」

「離して!離してェッ!!クリスちゃあああああああん!!!!」

 

アリシアの指令に鎧達が頷き、まずは暴れる二人を取り押さえようとする。

一つ、また一つと加わる重みに、動きが封じられていく。

それでもなお、二人は抵抗をやめなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これからどうなるんだろう。

どこへいくんだろう。

本当に死んだのなら、自分はどちらへ逝くのだろう。

閻魔様はどんな捌きを下すだろうか。

・・・・・どう考えても、天国行きは難しそうだった。

そういえば、あの元歌姫は『世界を滅ぼす』と宣言していた。

仲間達は強いが、だからこそこういった事態には弱い。

きっと、十全を発揮できずに無力化されていることだろう。

そうなれば、後はアイツの望むがままだ。

――――そっか。

このままだと、全部無くなるのか。

手を繋ぐバカみたいな温もりも。

不器用な先輩風も。

汚れを拭ってくれた恩人も。

あの時食べたあんぱんの味も。

やっと見つけた、帰る場所すら。

 

(ああ、それは困る)

 

そう。

それはとっても困るし、とっても寂しいし。

何より嫌だ。

ああ、そう考えると何だか腹が立ってきた。

奥底の方が鈍く震えて、熱い熱い『熱』を生み出す。

感覚が戻ってくる。

光が戻ってくる。

腕がある。

足がある。

そうだ。

まだ、何も失っていないのなら――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・っ?」

 

感じた鼓動にアリシアは振り返る。

目を向けたポットの中には、未だ破損したままのソロモンの杖。

気のせいだったかと思ったが、何故か胸のざわつきが収まらない。

何かあるのかと、思案して。

 

「―――――困るんだよ」

 

聞こえた声に、振り返る。

 

「あたしの大事なモン、なんもかんも・・・・」

 

いつの間にか息を吹き返したクリスが、苦しそうに呼吸している。

彼女が息を続けるたびにはっきりする鼓動。

液体の中で浮遊しているソロモンの杖が、淡い光を纏う。

 

「好き勝手、されたら・・・・!」

 

上がった顔。

真っ赤に染まった両目が、射抜いて。

 

「――――困るんだよッッッ!!!!」

「ぁ・・・・!?」

 

爆ぜる。

クリスの『力』と、ソロモンの杖。

鎧達は壁にたたきつけられ、動かなくなる。

同じく抵抗できず吹っ飛んだアリシアは、無事だった一体が受け止めた。

 

「何が・・・・!?」

 

蒸気に包まれる実験場を、固唾を呑んで見上げている。

真っ白な水の粒子は、しばし不規則に動いていたが。

やがて、一部に目に見える変化。

何かが出てこようとしている。

明滅する照明をバックに、現れたのは。

 

「――――」

 

何か、弓のようなものを握り締めたクリスだった。

だったの、だが。

爛々と光る真紅の目、低く遅く繰り返される呼吸。

そして何よりも目を引いいたのは、彼女の背後に控える。

薄紅色の、透明な魔人。

 

「クリス、ちゃん・・・・?」

 

呆然と呟く響の声。

翼も静かに息を飲んでいる。

味方である彼女達すら、その変化に戸惑っているようだった。

いや、それよりも。

アリシアには、もっと信じられないことがある。

 

「ソロモンの杖・・・・魔術でも錬金術でも解析がやっとだったそれを、どうやって・・・・!?」

 

クリスが携えている『弓』。

形状こそ大いに変わっているものの、見間違えるはずもない。

あれは先ほどまで自分が修復を試みていた、ソロモンの杖。

 

「・・・・知ったことかよ」

 

アリシアの疑問を、クリスは切って捨てる。

先ほどとは逆の立ち位置で、アリシアを見下ろす。

 

「てめぇらにも事情はあるんだろう、滅ぼしたいって思うなりの理由があるんだろう・・・・けどな」

 

動く。

『弓』を上げ、ゆっくり弦を引く。

弦を張る手元に『力』が集まり、一本の矢を生み出した。

鏃の向く先は、当然アリシア。

 

「あたしのモンに手ぇ出すなら・・・・ブッダだろうがキリストだろうが、許さねぇ・・・・!」

 

どこかおぼつかない目線は、それでもしっかり標的を捉えていて。

 

「覚えとけッッッ!!!!」

「――――ッ」

 

ついに放たれた一射は、アリシアの予測を超えた速さで辿りつき。

爆発。

思わず目を伏せた響が、顔を庇いながら目を開ければ。

天上に大穴が開き、瓦礫が崩れているのが見える。

ならばアリシアはと視線を下ろすと。

 

《・・・・・ええ、そうね》

 

――――天使が、いた。

腰から一対の羽を生やし、巨大な突撃槍を振り切っていた。

羽毛に覆われているかと思いきや、所々鱗である部分もあり。

彼女の姿が、悪魔に由来するものであることを十二分に語っていた。

 

《覚えておきましょう。閻魔刀を持つネロだけ警戒するのは、危険だわ》

 

あてつけのように『危険』の部分を強調した彼女は。

生き残った鎧を引き連れ、天上の穴から撤退していく。

 

「ゆ、雪音ッ!!」

 

アリシアの追跡を忘れたわけではないが、それよりも仲間の安否が気がかりだった。

翼はいの一番に飛び出し、響がその後に続く。

駆け寄ってみれば、自分の体を見下ろして呆然としているクリスが。

先ほど負ったはずの傷は、どこにも見当たらなくて。

 

「――――は、はは」

 

気遣わしげな視線を受ける前で、唐突に。

乾いた笑い声。

 

「ははは・・・・ははははははは・・・・!」

「雪音・・・・」

 

労わるように背中を撫で始めた翼を見上げて。

クリスは今にも泣き出しそうに笑いかける。

 

「あたし、どうしたんだろうな?」

「・・・・ッ」

「クリスちゃん・・・・」

 

縋るような疑問への、的確な回答は。

この場の誰も、持ち合わせていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

New Item!!

 

ダビデの弓

クリス専用の装備。

破損したソロモンの杖が、クリスの『力』を浴びて変質した姿。

持ち主たる彼女に様々な恩恵を授けるが、果たして吉と出るか凶と出るか・・・・。

 

 

New Skill!!

 

デビルトリガー

クリスのみが使用できるスキル。

攻撃、耐久が上がる他、体力の回復も出来る。

 

スナッチ

標的へ光のワイヤーを伸ばし、引き寄せる能力。

通常時にも使用でき、DT時は射程が延びる。

 

アローレイン

矢を高く打ち上げ、前方に雨あられと降り注がせる。

発射から着弾までタイムラグがある。

通常時でも使用可能。

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