第一話『異変』
今思えばさして恵まれたとは言えない平々凡々な人生でした。でも優しい双子の兄や親に恵まれた幸せな人生だった。
最後の最後に1番楽しい時間を過ごせて楽しかったよ。でも望むならもっと皆と一緒にいたかった。もっと生きたかったな…
まだまだもっと色んなことが出来ると思ってた。輝けると思ってた。
それでも私は精一杯輝くことができた。
幸福な時間は瞬く間に過ぎる―――
そして、命の灯火がまもなく消えようとしている。
目を開けると真っ白で清潔な部屋。
ベッドの上で私は真っ白病院服に身を包み、いくつものチューブやコードに繋がれ静かにその時を待つ。
後悔がないわけがない。
数え切れないほどの未練、やりたかったこと、思い残すことがある。
でもその中で一つだけ上げるとすれば、
私が居なくなったあとのMorfonica(モルフォニカ)、そして兄や幼なじみと組んでいたConcerts(コンチェルツ)だ。
私はもうこの世から離れなければならない。
願っても、喚いても、嘆いても、
居たい居たいまだ死にたくない死にたくない死にたく無いと願っても、
この世界には居られない。
皆は私の「願い」を叶えてくれるだろうか?
ーーーーー
20××年 2月。
まだ春には遠い雪が溶けだす頃、倉田ましろは死んだ。
の末期癌であった。
倉田ましろは隠し通した。
自身の身体がボロボロになっても、余命宣告された期限を超えても走り続けた。
しかし限界を超えた先にあるものは生でも希望でもない。
ただ1つ、全ての生ける者たちが平等に行きつく先だ。
親を除いて、仲のいい友人も長年連れ添った幼なじみも誰も気づいていなかった。
ただ1人、彼の双子の兄の倉田美雪を除いて、、、
ーーーーー
倉田美雪は気づきながらも見て見ぬふりをしていた。幼なじみに聞いても特に変わりないと言うから気のせいだと自分に言い聞かせていた。
最初の異変はまだ夏が続く、セミが五月蝿く鳴く季節だった。
羽丘学園、花咲川学園での合同文化祭でのライブが終わった後だ。
Concertsの出番が終わり、メンバーと共に舞台袖に引き上げた時だ
歓声とメンバーの興奮が止まぬなか、1人息を切らしている者がいた。
「ましろ、大丈夫?疲れてないか?」
「うん、大丈夫だよ、お兄ちゃん!」ハァハア
他のメンバーは異変に気付いてない。 些細な問題と見過ごすこともできた。
今思い返せばなんと愚かなことだったのだろうか。
笑顔は変わりなかったがどこか違和感を感じた。
ましろは自分の心情を悟られぬように笑顔で誤魔化した。
しかし、美優は倉田ましろの双子であり兄だ。
生まれた時から一緒にいて自分の半身とも言えるような妹、それほど長く付き合っていれば嫌でも分かってしまう。僅かな表情の変化さえも垣間見ることができるのだ。
「やっぱり体調が悪いのか?」とましろの顔を心配して覗き込む。
「も~、お兄ちゃんは心配性だな。大丈夫だよ。」と微笑みながらましろは返す。
返って来る言葉は変わらない。
ステージの光が逆光となってさしこんで来ているので彼女の表情をはっきりと読み取ることができなかった。
この時に気づいておけばと思うが歴史に『もしも』は無い。
この時の彼女はバックから聞こえる歓声とは反対に、酷く悲しそうな笑顔をしていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
簡単に設定集
登場人物
・倉田ましろ
Morfonica&Concertsボーカル。双子の妹で兄が大好き。高校1年の末にステージ4の末期癌で死亡。
・倉田美雪(オリ主)
Concertsドラムでリーダー。
倉田ましろの双子の兄で用紙はましろと瓜二つ。
ましろの死後はConcertsボーカルとなる…
幼なじみ1
・氷川紗夜
Roselia&Concerts ギター。倉田兄妹の幼なじみで氷川日菜の双子の姉。
幼なじみ2
・氷川日菜
Pastel Palettes&Concerts ギター。ましろの死後はConcertsドラムとなる。
幼なじみ3
・北沢はぐみ
ハロー、ハッピーワールド!&Concerts ベース。北沢精肉の娘。
幼なじみ4
・羽沢つぐみ
Afterglow&Concerts キーボード。羽沢コーヒーの娘。
・Concerts(コンチェルツ)
幼なじみ同士で結成した(Afterglow的なw)バンド。倉田美雪以外は全員他バンドと兼任。
ドラムの倉田美雪をリーダーにボーカル倉田ましろ、キーボード羽沢つぐみ、ベース北沢はぐみ、氷川紗夜日菜のツインギターの6人バンド。
ましろの死後は美雪がボーカル、日菜がドラムとなる。
一応全員幼なじみで仲良し。
さよひな氷河期はあったがギターではなくまた別の原因で仲悪いのが酷くなった設定です。