前回が長めだったので今回は短めです。
最初から想定してましたがやはり倉田ましろと倉田美雪の兄妹が多く出がちですが話しが進むにつれほかのメンバーも出てきます。
ーーーーーーーーーー
時は少し遡り20××年 2月
「ましろ!」
「ましろちゃん!」
「しろ!!」
倉田ましろを呼ぶ声が、CiRCLEのなかに響き渡る。
名前を呼ぶが返事はない。
代わりに荒い呼吸が聞こえてくる。急いで救急車を呼びほんの数分程度できた救急車に運ばれてゆく。
病院で両親から倉田美雪に伝えられたのは耳を覆いたくなるような現実だった。
彼女はステージ4の末期癌であること、体中に転移していて去年の9月時点で余命3ヶ月で入院が勧められていたが拒んだこと、メンバーや兄には本人の意志で伏せていたこと。
ましろから全く聞いたことない言葉の数々だった。
人のいい彼女のことだ、俺に心配させたくないから隠していたのだろう。
昔からそうだ。自分より他人を優先して、自分は不安で押しつぶされそうだったはずなのにずっと笑顔で…
ーーーーー
そこから1週間ほどが経過した。
俺は目を覚まさないましろの傍にずっと居た。
寝食を忘れ看病をし傍でずっと見守っていた。
彼女の顔は白銀の髪と相まっていつもより白く、生気のない者の色をしていたた。
本当に死んでいるのでは無いのかと思い手を握ると、ひんやりと冷たい、が暖かい。
しかし、隣にいるはずの彼女が無くなっていくような、そんな気がした。
どうして言ってくれなかったのだろう・・・。
言ってくれたらもっと何かしてやれたのに。
ずっと一緒だと思ってたのに…
死が2人を分かつまで一緒だと思っていたのに、一人ぼっちにされるのは寂しいよ・・・
貴女がいればこの世界じゃないどこでもよかった。
奈落の底でも地獄でも。
貴女が居ない世界で生きても意味なんてない・・・
そんなことを考えているた。
すると彼女の瞼が動いた気がした。
「ごめんね」そう呟く彼女。
俺の気持ちに気づいたのだろう。
謝罪なんて聞きたくなかった。
「どうして・・・ どうしてなにも言っくれなかったの?ずっと一緒だと思ってたのに・・・」
えへへ…と力なくわらうましろ。
もっと話したいことはあった。
どうしてと聞きたかった。
でも今だけは・・・今だけは何も言わずましろの言葉を聞こう。
後悔しないように。
「わたしね、幸せだったよ。こんなわたしが素敵な家族に友達、大好きなお兄ちゃんに恵まれて。
わたしね、皆みたいに何か得意だったり秀でたりしてないから、MorfonicaとConcertsでボーカルで、先頭に立てて本当に…本当に幸せだったの。
この前のライブもあんなにいっぱいのお客さんがいて嬉しかったなぁ…
きっと長い夢を見ていたんだね。」
貴女が俺たちを引っ張ってくれたからバラバラの本来仲良くなるはずの無い皆がひとつの目標に向かって行けた。
俺はただただうなづくことしか出来なかった。
「でも叶えられるなら武道館、行きたかったなぁ・・・」と彼女は呟く。
瞼が重くなってきたのだろうか、彼女はまた眠るのだろう。その前に伝えなければならない事がある。
「その夢はきっと俺が叶えてみせるよ。」
ましろは目を見開き「本当に?」と聞く。
俺は何も言わず頷く。
安心したように微笑んだましろは
「そうなんだね… よかった
約束だからね、指切りげんまん。」と言う。
俺は涙でぐじゃぐじゃになりどう答えたのか覚えていない。でも彼女は安心しきった顔で再び眠りにつく。
彼女の瞳が再び開くことは無い。
再び俺を写すことは無い。
その笑顔を見ることは無い
その声を聞くことは二度とできない。
そうわかった途端涙が溢れてくる。
俺は貴女にーーー