やはり俺が人助けをするのは間違っている 作:雪だるまぱないの
効果については...まだわからないかもですね!
割れた空から3体の近界民が現れる。3体の近界民は俺たちのいる川を囲うように立ちふさがる
「なんでだ!?こいつらは千葉か東京にしか現れないんじゃないのか!?」
「絶対にそうって訳じゃないみたい、今までも何度かはあったみたいだし...」
和人の質問に綾辻が答える、にしてもおかしいだろ。仮にもここにはボーダー隊員が10人近くいる。敵国は送り込む位置を選べないわけじゃないだろうしここに送り込まれた意味があるはずだ。
「小町!直葉!換装したら川にいる中学生を全員逃がせ!綾辻と歌歩は高校生を頼む!」
とりあえずまずは一般人の避難からだ、考えるのは後でいい。
「米屋、出水、三輪!こいつらの情報は!?」
「いや、初めて見るな。」
「新型だと思うぞ。」
「あぁ、俺も見たことがない。今本部に確認をとる。」
見たところ3mほど、腕は長く前傾姿勢をしている人型。頭には兎の耳のようなものもついている。
「もし未確認なら負担はデカイが3人でそれぞれ1体ずつ頼む!和人、俺達は逃げ遅れた奴らを逃がすぞ!」
「何言ってんだよ、俺も戦うぞ!」
俺の言葉を振り切り戦おうとトリガーを構える和人。三輪達はすでに戦闘に集中している。
「アホか!お前と俺のトリガーはまだC級の試供品だろ?そんなもんで戦って役に立つとでも思ってんのか!?せいぜいあいつらの足を引っ張って終わりだ!」
「くっ...分かった。」
渋々納得した和人に綾辻達の方を任せ小町の方へ向かう。どうやら中学生はあらかた避難が終わっているようで直葉と小町が指揮をとっている。
「小町!全員集まったのか!?」
「あ、お兄ちゃん!あと5人ほどだけど、オリエンテーリングから戻ってないだけみたいだから...」
オリエンテーリングなら山側か、川に近づくことはないだろうが念のため行ってみるか。
「わかった、そっちは俺が行くから小町と直葉は生徒の安否確認続けてくれ!もしまだいない奴がいるようなら連絡しろ!」
「「了解!」」
とりあえず綾辻に連絡をとり安全を確認する、どうやら高校組は全員無事みたいだ。ついでに米屋、出水、三輪と連絡が取れるようにしたいと言うと内部通信も繋げてくれた。さすが綾辻、できる女は違うぜ!
俺は昔の記憶を頼りにオリエンテーリングのコースへ走る、どうにも嫌な胸騒ぎが止まらない。
side和人
八幡の指示に従い綾辻達の所へと向かうとすでに避難は完了していた。
「八幡はあぁ言ったけどやっぱり俺は...」
少し立ち止まり迷うがすぐにトリガーを起動し三輪たちの元へ向かう。例えC級のトリガーでもやれることはあるはずだ。
間もなくして現場に到着する。すると目の前に広がっていたのは...
「...俺に勝負を挑んだのが間違いだったな。」
鉛玉(レッドバレット)をしこたま打ち込まれ地面にひれ伏したまま全く動かない新型
「アステロイド+アステロイド、ギムレット。」
徹甲弾(ギムレット)を弱点と思われる目に何発もくらい目に風穴の空いた新型
「うわっ、全く刃通んねぇ。...と、思うじゃん?」
1度は腕に止められたと思われた槍の穂先がヌルリと動き、目を貫通され完全に行動停止した新型が転がっていた。
ほんとに援護いらなかったな、これがA級の実力なのか...
「こちら三輪、千葉村にて新型を捕獲。処理をお願いします。」
「いぇーい、俺の勝ちな槍バカ!」
「くっそー!て、これお前の方が有利だろ!こいつ全く刃が通んねぇんだけど!?」
米屋と出水なんてどっちが先に倒せるか対戦までしてたのか、これは本格的に邪魔しなくてよかったな。なんて思っていると...
『ザザッ...こちら八幡、出水、米屋もう終わったか!?』
「お、ハッチー。こっちは終わったぜー...あ?マジ!?...よし、わかった。いくぞ弾バカ!秀次とキー坊はその新型見張っといてくれよ!なんか動きがあったら通信頼むわ!」
「あぁ、任せておけ。」
「待ってくれ!俺も...」
そう言おうとした時にはすでに米屋と出水は駆け出していた。
side八幡
森に向かって走り出したその直後4人組の中学生に遭遇した、なんだ?やけに慌ててるが...
「大丈夫か?何があった?」
「あ、ボーダーの...方ですよね...お願いします!まだ1人...私たちを逃がすために.....ーーちゃんが!」
そう言われた瞬間俺はさらに奥へと駆け出していた。もしかしてとは思っていたが別の場所にも出てたのかよ!
「こちら八幡、出水、米屋もう終わったか!?」
『お、ハッチー。こっちは終わったぜー』
できれば、程度に思っていたがもう終わってたのか、流石にバカでもA級ってわけか。
「こっちにも恐らくネイバーがいる!俺のトリガーじゃ多分無理だろうからすぐに来てくれ!」
『あ?マジ!?よし、わかった。いくぞ弾バカ!』
これで何とかなるか、最悪あいつらが来るまでの時間ぐらいは稼げばいい。問題はその子がどこにいるかだが...
「.....けて!」
ん?声が聞こえたな、多分こっちの方だと思うけど、って、いた!
その子は今にも襲われそうだ、すでに新型はその長い腕を振り上げている。
間に合うか!?
「誰か助けて!」
新型が腕を女の子に向かって振り下ろす。その瞬間に女の子に向かって飛び込み女の子を抱えて横に飛ぶ、しかし完璧には避け切れずに俺の足に腕があたりトリオンが漏れ出す。
「大丈夫、もう大丈夫だぞ。よくあの子達を守ったな。」
俺がそう言うと女の子は泣き出しただただ頷いていた。危ないからどっかに隠れてろ、と言うと女の子はふらつきながらも走り出す。
すると新型が俺の方に向かってくる。さすがにこの足で持ちこたえる自信は正直ないぞ...
孤月を構え応戦しようとするがやはりC級のトリガーで受けられる訳もなく孤月は砕かれそのまま俺の肩に腕が直撃する。痛くないけど痛い気すらしてくるぜ。
トリオンも大量に漏れはじめさすがにやばいか、と思った矢先もう一方の腕が俺の横腹に直撃すると同時にトリオン体が解除された。
「くっそ、戦闘中に悩み事なんてするもんじゃないな...」
さて、どうしたもんか。俺に残されたのは能力も不明のブラックトリガー、これを使って仮に能力が発動したとしてもこの距離じゃあの子に被害が出ないとも限らないしな...
「お兄さん!危ない!」
不意に声が聞こえ俺は反射的に横っ飛びに避ける。すると寸前まで俺がいた場所が深く凹んでいた。...こんなもん生身じゃくらえないなぁ。
しかし女の子が声を上げたせいで再びネイバーの狙いが女の子に変わる。
それはまずい、どうする...使うか?これを...でも、もしもの事があったら...。
いや、どちらにせよこのままじゃ2人とも殺される。
だったら、俺は信じるしかない。これを自らの命と引換に残してくれた昌彦さんを。
決意し俺は女の子の方へと走る。
「くっそ、っ間に合え!んで何とかしてくれ!トリガー起動!」
しかし見た目にもやはり変化はない、なんとか女の子とネイバーの間に割り込むことだけはできたがこのままじゃ2人とも殺されて終わりだな。
そう思った俺は咄嗟に女の子を隠すように抱きかかえ、
「守ってやれなくてゴメンな」
小さくそう呟いた。
あぁ、終わったな。
そう思った俺は覚悟を決め目を閉じた。