やはり俺が人助けをするのは間違っている 作:雪だるまぱないの
それではどぞー!
「よー、あんたらがボーダー隊員ってやつか。ま、ここはひとつよろしくやろうぜ玄界の猿ども。」
現れた男はそう言った、なんて?みでん?よくわからん単語だらけだ。
「一応聞いてみるけど君の目的は?」
笑顔を崩さず金木さんが話しかける、順応能力高くない?あ、董香さんのせいか、納得。
「目的?俺はただここに飛ばされただけだ、目的なら上に聞いてくれ。」
「へぇ、上がいるんだ。そうなんだね。」
あ、分かったぞ。こいつ多分馬鹿だ、ペラペラ情報は喋るし正直ピリつくような感覚もしない、多分小町と直葉でも勝てるだろ。
「慶さん、ちなみにアレについての情報とかあったりします?」
「ん?あの人型か?大規模侵攻の時に何人か見たがそいつらは恐ろしく強かったな。でもあいつはそんな感じじゃなさそうだ。」
まぁどっちにしろ俺よりは弱いだろうけどな!と笑う慶さんは放置。なるほど、人型ってのが多分ボーダーで使ってるトリガーの元みたいなのを開発して使ってる感じか。つまり生産者なわけだ。
「俺が命令されたのはここにいるやつらの殲滅、ついでに良さそうなのがいたら連れ帰れってことだけ。目的に関しては知らん。」
それが目的って言うんじゃないのか…?それともその後に目的があるのか、まぁどっちでもいいけど。
「ちなみに…ここで殺されることはもちろん想定内だよね?」
どうやら金木さんがやる気みたいだ、なら俺やることないよね、よかった。
「は?アホか、想定外に決まってんだろ。俺がここで全員殺す、それだけだ。」
そう言って猿男(仮)はトリガーを解放する、しかし武器らしい武器は持たず周りに幾つもの円盤が浮いているだけだ。
「和人、アスナ、いつでも戦闘入れるように待機。出水とシノンは後ろからの援護、米屋と三輪は女子組守れる位置で頼む。慶さんと金木さんは何かイレギュラーがあった時によろしくお願いします。」
「わ、私も戦います!」
俺が作戦を伝え終わると藍が言う。
「バカか、金木さんクラスじゃない限りまだ正規入隊もしてないお前のトリガーじゃ無理だ。いいから下がってろ。」
「でも…」
藍が言いかけると慶さんがくるぞ!と叫ぶ。すると猿男(仮)の周りの円盤は地面の周りをクルクルと旋回するだけで特に何もしてこない。
「へぇ、何もしてこないんだね?」
「は?何言ってんだ、もう仕掛けてるぞ」
とは言うものの何も変化がない、傍目から見てもただ円盤が回ってるだけだ。
「ねぇお兄ちゃん、あれ攻撃して壊すとか…ダメかな?」
「んー、可能かどうかはわからんがとりあえずやって見るか」
「「アステロイド!」」
3×3×3で分割したアステロイドを小町と円盤に向かって放つ。が、やはりというか円盤の前でアステロイドは1発残らず消滅した。
「金木さん、今のどう思います?」
「んー、ブラックホールとかみたいな超重力とかで消えた、って感じではなかったかな。どちらかというとただ消えただけ。」
なるほど、ますます理由が分からなくなってきた。なんであいつは攻撃して来ないんだ?それこそほんとに消せるなら1発で全滅も出来るだろうに。
「なら俺がやってやるよ。金木さん、どうなってたかもう一度よろしくっす」
出水はそう言うと11×11×11でアステロイドを打ち込む。相変わらず化け物め、と思っていたらまた全てが消えた。
「仮説はいくつかたてられたけど、どうする?」
「それでいいんでお願いします。」
どうやら金木さんはなんとなくだが分かったようだ、さすが大学生。慶さんとは違うぜ。
「多分あれは文字通り消してる、であってると思う。ただこっちにそれをしてこないってことはトリオンじゃないと消せない、または質量が大きすぎると消せない。とかそんなところじゃないかな。」
なるほどな、つまりあれはトリオン限定のブラックホールなわけだ、ってことは対処法は簡単だな。
「なら小町と直葉ちゃんで突っ込みますよ!大きければ消せないんでしょ!」
「うん!いこう小町ちゃん!」
そ、単純に近距離戦でOKだ。消しきれない物量でぶつかればそれで終わり、なーんかあっさりしすぎだなぁ。
そう思っていると突っ込んでいた小町と直葉の姿が消えた、いや正確には宙に浮いた。
「やっぱ玄界の連中は猿だな、そんな弱っちいわけねーだろ」
小町と直葉は真っ直ぐに、重力に従って落下する。その先には先程の円盤が、なんかやばい!
するとその円盤からアステロイドと思わしきものが射出される、よく見るとサイズも形もさっき俺が打ったものだ。……クソ!ようやく能力が分かった!間に合うのか!
和人も走り出している、しかし間に合うことはなく。
アステロイドは小町と直葉を貫いた。
その場で小町と直葉の戦闘体は解除され地面に叩きつけられる。
「ほら、これでまずは2人な」
猿男が短剣のようなものを取り出し一閃、小町と直葉の首に向けて刃を薙いだ。
が、それは2人には当たることはなく地面を切り裂いた。
「大丈夫か、比企谷妹。」
「直葉ちゃんは無事だぜー!ハッチ、キー坊!あとは任せた!」
三輪が小町を抱き抱えてギリギリで回避していた、三輪も多少ダメージを食らったみたいだが戦闘体を解除されるまでには至らなかったようだ。
ちなみに直葉は水着の上に着ていたパーカーのフードに米屋の槍が突き刺さって宙ぶらりんになっている、お前それ一歩間違えたらアウトだぞ…まぁ米屋に限ってそんなミスはないだろうけども。
「ナイスだ三輪!普段なら殺してるけど今回は許してやる!」
「米屋、後で覚えとけよ。でもありがとう!」
さて、俺たちの大切なものに傷つけてくれたんだ。
覚悟は出来てるよな?
俺と和人は同時に猿男(仮)に向かって走り出す。
side金木
「太刀川さん、僕達も行きましょう」
「あー、ほっとけ。大丈夫だよあいつらなら」
「そーそー、和人くんとハチくんは極度のシスコンだからねー」
2人の援護に向かおうとすると太刀川さんと国近さんが僕を止める。
「それにね、今金木くんが言っても邪魔になると思うよ?あーんな状態になった2人に合わせられるのなんてアーちゃんだけだと思うし」
「あはは、あーなっちゃうと私でも無理かも…」
そう言われ2人の方を見ると恐らく何の打ち合わせをしてる訳でもないのに飛んでくるアステロイドを完璧に避けている、というかどちらかが当たりそうになるともう片方が蹴りを入れて当たらないよう無理やり軌道を変えている、しかし蹴られた方は蹴られたことなど意にも介さず体制を立て直しまた相手へと向かい走っていく。
「僕にはケンカしてるようにしか見えないなぁ…」
「でもあの二人はSAOでもこうやって生きてきたんです、あの二人が負けるところなんて想像すらできないぐらいですから」
「まぁ実際は俺にボコボコにされてるわけだけどな!」
慶さんはそう言って笑うがそれはあなたが強すぎるだけです。と言いたくなった。確かにあの二人なら大丈夫だろう、今回は手を出さず女の子達を守る役に回ることにするよ。
side八幡
「和人、上」
「ん」
「ハチ、当たるそれ」
「わり、てか呼び方SAOの時に戻ってんぞ」
これだけの最小限のコミュニケーションで敵の目の前まで近づくと流石に焦ったのか猿男(仮)の表情もかなりの焦りを見せる。
「なんでだ!なぜ俺のトリガーに当たらない!」
「「目線、バレバレだから」」
こいつのトリガー能力は恐らく攻撃、いや、運動エネルギーを保存する罠の精製、そして、それを当てやすくするためのワープホール的なものの精製ってとこだろう。この程度の罠、喜多川や冬島さんの方がよっぽど怖いわ。
「で、ついでに自分の周りにはワープホールはない、誤操作でもして自分の近くに相手を寄せたくないんだろ?」
じゃないとさっき三輪が小町を助けられたことに説明がつかない。
「それがなんだ!」
そう言って猿は自分の周囲の地面に円盤を這わせ、恐らく罠を設置する。
「やっぱ馬鹿だなお前、空中に配置しない時点で負けなんだよ、いや、できないか?」
和人が設置したグラスホッパーで俺は猿の真上に飛ぶその後自分でグラスホッパーを設置しすぐさま空中で方向転換、和人も同じことを繰り返し猿の周りをスーパーボールを弾いたように飛び回りグラスホッパーを踏むたびに加速度的に速度が上がっていきついには猿は目で追うことすらできなくなった。
「クソっ、お前ら!俺を舐めるなぁ!」
そう言って短剣をガムシャラに振り回す猿。しかしそれは俺たちに当たることは一切なかった。
「「こっちだよ、バカ」」
やっぱりこいつは馬鹿だわ、まだ安全策をとって自分の背後に罠を設置しないんだからな。
「なっ、てめぇ!」
そう言って後ろを振り返る猿。しかし完全に振り返ることはなかった。
猿の頭は綺麗に無くなっていた、シノンが撃ち抜いたのだ。さすがシノンさん、作戦話さなくてもわかってくれるとはな、まぁ分かんなかったとしても俺が殺したんだけど。
そして戦闘体が解除された猿が俺の前に転がる。
「ひっ、た、頼む!助けてくれ!」
「はぁ、命乞いか?お前バカな上にクソダサいとかほんと終わってるな。」
俺がそう言うと和人が下がる、どうやら女子組を見えない場所に引き離してくれているようだ。和人くんナイスです!
「お前は俺の、俺たちの大切なものに手を出したんだ。助ける義理なんてねぇよ。」
「た、頼む!聞きたいことならなんでも話す!だから、だから!」
こいつほんとにバカだな、自分でペラペラ喋ってんだ。もう聞くことなんてねーよ。
「…はぁ、そうだな。じゃとりあえず遺言ぐらいは聞いてやる、言ってみろ。」
「ひ、あ、いい、嫌だ!助け…
そう言った瞬間猿の首から上が飛び地面に転がる。
「あ、悪い。もう飽きたわ」
綺麗な白だった砂浜が真っ赤に染まっていく。こいつら血は赤いのな、八幡また偉くなった。
「さーて、これはとりあえず月島さんに謝るかな。さすがに所有物が曰く付きはヤバそうだし。」
いや、まてよ?そもそも月島さんがここに誘ったのが悪いわけだ。つまり俺は悪くない。NO謝罪だな。
…さて、帰るか。
と、踵を返すと藍がこちらに向かってくる。やばい!惨殺死体を見せるわけには!
なーんて、思ってるといきなり藍に抱きしめられた、ちょっ、藍さん?あのー、決して慎ましくない胸が!水着で強調されてる胸が当たってるんですけど!?
「…八幡先輩、大丈夫ですか?」
「え、あ、俺?俺は大丈夫だぞ、見ての通り怪我も…「そうじゃなくて!」
藍は声を大きくして言った。
「その、私たち…のためにその人、殺した…んですよね?八幡先輩…大丈夫ですか?」
あぁ、そういうことか。俺はまたSAO時代と同じことをやったわけだ、タイタンズハンドを潰すために何人か殺した、ラフィンコフィンを潰すために何人も殺した。その時も和人とアスナ、柚宇さんにしこたま怒られたなぁ…
「…藍、悪かった。でもな、俺はこいつを生かしておいてもし、お前達の命が危険にさらされるようなことがあれば俺は俺を呪うだろう、それにな。…今更1人の命を奪ったからってもう、何も思わないんだ。」
「それでも!八幡先輩1人で抱え込まないでください!そのための部隊員です、そのためのボーダーです、それに…そのために私もいます!だから、だから…」
…1度和人がナースさんに弱音を吐いているのを見た、SAO時代、殺した人の所属していたギルド員の名前も思い出せないと、ゲームだからと殺したと。
ナースさんは言った、君は自分が助けた人たちの事を思い浮かべることで自分を助ける権利があるんだよ。と
正直その時、俺は馬鹿馬鹿しいとすら思った。自分たちが救ったんじゃない、行動した結果がそれだっただけだ。別に俺たちじゃない誰かがしたところで結果は同じ、救っただ。
ならば『自分が助けた』なんて、ただの自己満足じゃないか。建造物を壊して街を救った気になっているヒーローと同じだ。
そう、思っていた…んだが。
「悪かった、助けられたやつの気持ちも考えずにな…ありがとう藍、俺はお前に救われたよ。」
きっとあのナースさんの言葉の本当の意味は『自分が助けた人の気持ちを考えてあげて』ということだったのだろう、そうすることで『今度は自分も助けられる方法を見つけてね』と、そう言いたかったのだろう…と思った。
「い、いえ。それなら…よかったです、でも本当にダメですからね!今回のようなことは…」
また沈んだ表情をする藍に、わかった、そう一言だけ告げて頭を撫でると藍は機嫌を取り直しついでに顔を真っ赤にした。
そして俺たちは海をあとにした。
ま、疲れたと思って寮に帰ると本部に呼ばれて今回の事の顛末のレポートを書けと言われた。
次回!八幡の社畜バンザイ!
やっべぇ!クソなげぇ!
しかも、なんか八幡がサイコパス見たいになってしまってる!