抱き枕な加賀さん。   作:Lost

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昨日寝てたら突然思いついて書いてみた。


全ての始まり

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皆さんは、寝る時に『何』をお供に寝るだろうか?

 

 

 

クマのぬいぐるみ?大好きなキャラのフィギュア?この前コンビニで買ったエ○本?それとも、この世で一番愛する人••••?

 

 

最後を選択したヤツは全員死刑にするとして、これら以外にも、多種多様な『睡眠のお供』がこの世に存在する。

 

 

 

その中で、俺はあるお供が無いと眠れないという一種の病気にかかっていた。

 

 

 

 

 

 

それは、『抱き枕』である。

 

 

わからない人にはわからないだろうが、これ、本当に眠れないのだ。

 

 

「私〇〇がいないと眠れないの〜」とか言ってペンギンのぬいぐるみ抱きしめてるようなヤツはただの甘えだ。それくらい俺の症状は重い。

 

 

 

勿論これは世間一般では病気なんて思われていない。むしろちょっとヤバイヤツとして引かれる。理不尽な世の中だ。

 

 

だが、そんなことを気にしていては、俺は毎日羊を12582匹数えながら朝を迎えることになる。だから俺は周りから人が居なくなろうとも、抱き枕を毎日ギューっと抱きしめながら寝ているのである。

 

 

 

そして、それは今日も•••••

 

今日も、なのだが•••••

 

 

 

 

 

「••••あのクソ野郎•••••」

 

 

 

 

俺は自室のオフトゥンの上で1人毒づいていた。

 

 

 

その原因は、俺のオフトゥンの上、そこに転がる、俺の唯一無二の親友である抱き枕にあった。

 

 

 

 

昨日の俺の誕生日。(ちゃんとしたリアルの)友人が、俺に誕生日プレゼントとして贈ってくれたのは、1枚の抱き枕カバーだった。

 

 

 

しかも、ただの抱き枕カバーではない。

 

 

そのカバーに描かれていたのは、世にも美しい美女だったのだ。

 

 

そう、世間一般のアニヲタ男子が、毎晩神聖なる抱き枕にあんなことやこんなことをしながら寝るためのカバー。

 

 

そんなものをわざわざ贈ってくるだけでなく、俺がちょっと目を離した隙に、俺の愛用の抱き枕に装着し、あろうことかア〇ンア〇ファでガッチリと固定していたのだ。

 

 

 

家にある抱き枕はこれ一つだけ。最悪明日に買いに行くとしても、少なくとも一晩、俺はこれを抱きしめながら夜を過ごすことになる。親父に見られようものなら即座に自殺するレベルだ。

 

 

 

だが、また羊を数万回数える気力もなく、体も、今夜一晩だけの付き合いにしておけと主張してくる。

 

 

 

 

改めて、俺は枕の中の美女に目をやった。

 

 

 

 

 

ショートの髪をサイドテールにして整え、その顔は、今まで友人が俺に見せてきたような、幼い少女のような可愛らしいものというより、大人びた凛々しさを纏っていた。

 

 

トップスは、昔の日本人が身につけていたような白い袴のようなものではあるが、下につけているのは、世間一般の男子諸君が見ればつい鼻の下を伸ばしてしまうような、超短い青のスカート。

 

 

そのスカートから伸びる美しい脚を惜しげもなく晒し、またその脚のほとんどを黒のハイソックスで隠されてるあたり、この絵師は男の性格というものをよくご存知なようである。そう、所謂ムッツリなヤツには、『全見せ』より『ちょい見せ』のほうが興奮するものである。

 

 

 

あ、俺はムッツリじゃないから。あくまで世間一般としての話ねアセアセ

 

 

 

「ま•••••今夜だけの付き合い、か••••名前も知らないけど、よろしくな」

 

 

 

明日には押入れに仕舞われているであろう、この抱き枕に最後のお別れをしつつ、俺は部屋の電気を消すと、いつものように枕に抱きついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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午前3時ごろ。

 

 

 

 

俺は、急に深い眠りから現実に引き戻された。

 

 

いつもなら、枕を抱いた状態から目覚めることなど皆無なのに、今の俺は、抱き枕を抱かずにオフトゥンに入った時と同じ状況に陥っていた。体の感覚こそ鈍ってはいるものの、頭はある程度思考できるような、そんな状況だ。

 

 

 

(あれ?やっぱり、いつもと違うと効果も薄れるのかなぁ••••••)

 

 

中身は同じとはいえ、恐らく僅か数ミリの厚みの上昇と、俺の中の正義の心が、この枕を抱きしめたまま寝るのを許さなかったのだろう。

 

 

(あのヤロウ••••絶対コロス)

 

 

この抱き枕カバーを渡した友人の処刑を確定させ、俺はもう一度眠りにつくべく、枕を一層強く抱きしめた。

 

 

 

 

 

 

違和感を覚えたのは、その直後だった。

 

 

 

 

いや、触り心地とかは同じ『布』ではあるのだが、なぜか枕特有の『弾力』がない。いくらギュッとしてもその形が崩れないのだ。

 

 

 

それに•••••なんだこの妙な感触は?

 

 

 

枕を固定するために足を絡みつかせるのが俺流ではあるのだが、何故だろう、今度は弾力こそあれ、絡みつかせている箇所が妙に細い。しかも、何故か動くたびに、カバーとは違う衣擦れの音が聞こえる。

 

 

そう、まるで••••靴下に足を通す時のような、そんな音を。

 

 

 

(え••••••何、コレ•••••)

 

 

 

嫌な汗が背中を流れる。

 

 

 

 

 

落ち着け、俺は『抱き枕』を抱いているんだ。寝る前にも確認したじゃないか。

 

 

 

 

けれど•••••いくらそう言い聞かせても、突然の事態のせいで体も目覚め始め、俺が今抱きしめているのが、明らかに抱き枕ではないという情報が脳にどんどん送り込まれてきていた。

 

 

 

もしかしてコレ•••••かなりヤバイ状況じゃね?

 

 

 

おそるおそる、抱き枕から離れる。

 

 

 

そして•••••この世に生を受け、早17年。その中で、一番の恐怖を覚えながら、部屋の電気を付けた。

 

 

 

 

 

 

いつもと変わらぬ、俺のオフトゥン。

 

 

 

だが、その上には、俺以外にも、もう1人の『人間』がいた。

 

 

 

流れるような美しい体のラインに、どんな男であってもつい見とれてしまうような、凛々しい横顔。

 

 

そう、さっきの抱き枕カバーに描かれていた、この世の男という男のハートを全て総なめに出来るほどのスペックを備えた美女。

 

 

 

 

そんな人が••••••俺のオフトゥンで寝ている。

 

 

 

 

事態を全く理解できぬまま、呆然と立ち尽くす俺。

 

 

 

 

え••••どういうこと••••?

 

 

 

俺は確かに『抱き枕』を抱いて寝ていたではないか。

 

 

 

しかし、目の前にいるのは、確実に抱き枕ではない。生身の人間だ。

 

 

 

つーか、俺の抱き枕どこいった?なんでこの女の人、俺の枕の代わりにこんなとこで寝てんの!?

 

 

 

 

てかお前、誰だよッ!?

 

 

 

 

そんな永遠に終わらない思考を繰り返し続ける俺。

 

 

 

 

そのせいで、電気がつきっぱなしであることをすっかり忘れていた。

 

 

 

 

 

目を瞑っている最中に強い光を当てられると、人間の反射神経のせいで瞼は開けられる。

 

 

 

どうやらそれは、抱き枕から変身?した人間でも同じであったようだ。

 

 

 

スッと音もなく開いた、美女の瞼。その美しい瞳が、俺を捉えた。

 

 

 

 

寝ている状態から、ゆっくりと半身を起こす美女。最早、俺にはこの事態を理解する能力を完全に失っていた。

 

 

 

 

目があったまま、数秒間見つめ合う女と俺。

 

 

永遠に続くのかと思われた、その時••••美女がゆっくりと口を開いた。

 

 

 

 

 

「航空母艦••••加賀です。あなたが••••私の提督なの•••••?」

 

 

 

 

喋った。この人、喋った。

 

 

 

嗚呼•••••世紀末••••••

 

 

 

「••••••ヒッ」

「提•••督?」

「ヒッ•••ヒッヒッ」

「???」

 

 

 

 

「ヒェェェェェェェェエ!!!!!」

 

 

 

 

これが、俺と彼女の、最初の出会いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




加賀って正義だよね
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