とはいったものの、流石に表舞台に出るのはまずい。
あそこにいるカルデアの所長らしき少女にばれでもしたら、嫌なくらいに問い詰められることは明白だからだ。
ではどうするか?
決まっている。裏方に回るのだ。
「ジャンヌ、魔術かなにかでばれない程度に援護することはできるかい?」
俺の横で凛々しくたたずんでいるジャンヌは、俺の一言を聞くと、静かに微笑むと、こう口を開いた。
「はい。可能ですよ。少々威力は落ちますが......」
そう言うと、遠くにいるスケルトンどもに対して、ジャンヌは左手に携えているレイピアらしき剣の剣先から、比較的小さめのオレンジ色の火の玉を打ち出した。
無論、彼らは焦っているのか、すぐに気づくことはない。
多少数を減らせればあのサーヴァントらしき紫髪の少女がすぐさまいなしてくれるだろう。まぁ、いなしてくれないのであればそこまでだったということなのだが。
そうして俺が思考している間も、ジャンヌは機会を見てスケルトンに火の玉を撃ち込んでおり、作業は順調にこなしているようだ。
しかし、ジャンヌの魔力は俺の魔力と直結している。
つまり、俺の魔力に差し支えが出るようであれば.....まぁ、ジャンヌのことであるから、彼女の性格的に俺が気づく前にすぐさま取りやめを提示してくれるだろう。
なんともまぁ、過保護なサーヴァントだな。
と静かに心の中で思いながらも、彼女のおかげで自分が生き残っていることは紛れも無い事実であるため、思わず、なにもできない自らの力の無さに辟易してしまう。
「マスター、いかがでしょうか?」
その澄み切った声が鼓膜に届いたことで、思考が一気に現実へと引き戻される。
慌てて、彼らのところを見ると、なるほど。敵が絶妙な数へと調整されていた。
「すまない。少し考え事をしていて.....」
そういってジャンヌに対して謝罪するが、ジャンヌはてんで気にした様子は無く、お気になさらず、と優しげに返答し。
「ひとまず、そろそろおいとましよう。あの数なら、十分やれそうだ」
そうジャンヌに言葉を投げかけ、俺達はこの場をあとにした。
もっとも、ばれていないか俺の心はビクビクしていたが。
「敵が減ってる?」
そのことに真っ先に気がついたのは、カルデアの現所長オルガマリーであった。
自分たちは焦っていて気がついていなかったが、この数の減りようはマシュ一人だけが戦っているにしては、とても減りすぎているのだ。
「所長?どうかなさいました?」
敵が十分に減ってすこしばかり心に余裕が出来たのか、立花がオルガマリーに話しかける。
「いえっ、なんでもないわ。ほら、藤丸!さっさとマシュに指示をなさい!油断大敵よ!」
今は言うべきではない。
彼らには、余計な負担をかけるべきではない。
そう、オルガマリーは判断したのであった。
それが正しいかは、まだわかりはしないが。