現実逃避行奇譚   作:アウリス

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2話目です。どうぞ。


起動

4月9日 AM6時00分

 

アパートの一室にて、俺は目覚まし時計のけたたましい音とともに目を覚ます。

「はぁ…」

ため息を一つ。

「今日も出勤日か。どうしようかな」

あー、と唸り、しばらく天井を見つめた。

「休むか」

スマートフォンを充電器から抜き、会社に休みの電話をかけた。

プルルル……ツー…ツー…

「…?」

おかしなことに、電話は繋がらなかった。

「今日って休みだっけか?」

電話が繋がらないことにはどうしようもないので、ひとまずいつも通りにコンビニへ行くことにした。

いつものズボンを履いて、Tシャツ着る。そして、財布とスマートフォンを持参。

「……」

今日は珍しく誰ともすれ違わなかった。それどころか、まるで人がいないような場所にいる感覚がして胸騒ぎが治まらない。

コンビニの自動ドアを通る、がぶつかった。

「いてぇ。」

自動ドアは作動していなかった。

「おいおい、どうなってるんだ」

ガラス越しに店内を覗くと中はめちゃくちゃに荒らされていた。店員は見当たらない。一体何があったのかと、ドアを無理やりこじ開けて中に入った。

「ひどいな。ほとんどもぬけの殻だ。おにぎり一つもねぇ」

店内は主に食品系の物がなくなっていた。雑誌や日用品はそのまま地面に放り出されている。

「こ、これ警察に電話しないと、まずいよな」

コンビニから出て、警察に電話をかけた。しかし、繋がらない。

「警察も繋がらないのか?」

画面を見ると電波はある。でも繋がらない。しばらく画面を見ていると、電波の所が突然圏外となった。

「んん?なんだ?いきなり圏外かよ。どうなってんだ…。あ、時間と文字もおかしくなってやがる」

時間は《00:25:47:88,56007》と表示され、文字は変わらず日本語、でも支離滅裂で意味が分からない。《ようこそゲストありがとう新しい運命、ここでは人になれる》

本来なら、現在地名と天気予報と時間が表示されているはずのホーム画面だが、一変してしまった。

「こ、壊れた…じゃないよなこれ」

携帯を再起動させるも、変わることは無かった。

何回か、再起動を繰り返す内に空はさっきより明るくなっていた。

「……」

携帯は諦めてポケットにしまい、無言で歩き出した。

ひたすら家々を見て回る。そして公園、道路、交差点、他のコンビニ、スーパー、高台から街を見渡す。

胸騒ぎはしていたものの、それは今となっては心臓が強く脈を打っていて呼吸が乱れるほどとなった。

確信した。

「人どころか、鳥も虫もいない…」

突然の出来事。

「ははは、これは夢か。夢だな!こんなのありえないもんな!」

信じられるわけがなかった。たとえ確信だろうとこれは夢に違いない。

笑いながら夢中で自宅に駆け込んだ。

「はぁっ、はぁっ。はは……そうだ、いつも通りにサボってゲームして1日過ごせばいい…!」

慌ててテレビをつける、がつかない。テレビゲームをやるのでゲーム機を起動した、が起動しない。コントローラーを持って画面に向き合う。向き合っても真っ暗なままの画面、動作しないコントローラーとゲーム機。

「あぁ、こうしてれば…きっと、夢から覚める」

しんと静まり返る部屋。

「覚めるわけねぇ…か。いや、そもそも夢なんだ。あ、寝れば逆に覚めるとか…?」

コントローラーを投げ捨てて、ベッドに寝転がる。

いつも寝ていたベッド。いつもは自分のことを責めていたが、今回ばかりは焦りで何も考えられなかった。ただ、これが夢と信じたいが為に、眠りにつこうと必死だった。

「……っ!」

(これは夢なんだ。こんなことはありえない。偶然こんな夢を見たに違いない。こんな現実味のある夢なんてあってたまるか。早く眠らないと。)

しばらくして、眠ることに成功した。

こうして、彼の一日は終わった。

 

 

 

 




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