現実逃避行奇譚   作:アウリス

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4話目。2年も空けていたのはただ飽きていただけだったから。あはは。笑えるね?


猜疑

もう日付なんて役に立たない。

AM5時00分

 

決して生き物全てが滅んだのではなく、ここは別の世界的などこかだということ。

その証明として、ここにまだ名前を聞いていない少女だけが存在している。その他は何もない。ここはいわばアニメや小説で見かける設定世界。

現実で起きる訳が無いと思っていたが、今既に体験しているのだろう。

何故こんなところに来てしまったのか。

何故こんなことが起こってしまったのか。

「もう、帰れないのか…」

いつも通りに朝早くに目が覚めた。目覚まし時計は設定していない。

「ふぅ……」

しばらく天井を見てから、体を起こした。

「……」

ベッドに目をやると少女はまだぐっすりと眠っていた。

「どれ、朝食作るか、と…。まぁ主に米しかないが」

あくびをして、炊飯器を開ける。中は空だった。

少女を見て、昨晩の食いっぷりを思い出す。

「あぁ、そうだった。買いに行かないと…いや、誰もいないから、金はいらないか。調達だなこりゃ」

ベッドの足元の上着を手に取った瞬間、少女の足も引きずってしまい目を覚まさせてしまった。

「んん…。ん?あれ、どこか行くの?」

「うん、まぁね。ご飯とか冷蔵庫の中とか空っぽでね。すぐ持ってくるから待っててくれるか?」

上着を着て、リュックサックを背負う。

「えー、私も行きたーい」

「だめだ。ここにいろ」

「うん…」

少女は口を尖らせて小さく頷いた。どうやら機嫌を悪くさせてしまったみたいだ。

「あー、それじゃあ暇つぶしにテレビ観ていいから。ほら、リモコン…と待てよ。確かつかなかったよな」

念の為テレビの電源やゲーム機の電源を確認したがやはりつかなかった。俺の行動に少女は瞬きして首を傾げる。

「ここね、なんかテレビ全部つかないんだよ?レンジとか使えるのにおかしいよね。ふふーん」

「なんでテレビだけなんだ……」

ゲーム機もどうやらテレビみたいな括りに入っているようだ。この部屋には女の子が暇をつぶせるものがない。数秒考えた結果。

「仕方ない、一緒に行こうか。ついでに散歩もしよう」

「えっ?いいの?一緒に…いいの?」

少女の表情は一気に明るくなり、きらきらと目を輝かせている。俺にはこの少女の目が眩しく見えて体が軽くなったような気がした。

少女は玄関にかけこみ、靴を履きドアノブに手をかける。

「よーし、レッツゴー…んぐっ、あ痛ぁっ!」

ドアノブを回したはいいが鍵が閉まっていることを知らず顔面からドアに直撃する。反動でそのまま尻もちをついた。

「はは、そんな慌てなくていいから。よし、行くぞ」

鍵を開けて、ドアを開く。

景色は相変わらず。静かで昨日と何の変化もなし。唯一画面が映るスマートフォンを手に取り画面を確認する。

《08:36:74:90,56007》

「いや分からん。8時36分か?」

隣を歩く少女をよそに独り言でツッコミを入れる。

「ん?なになに?今8時?」

突然喋り出したので少女が興味津々で画面を覗き込む。

「まあ、多分な」

画面を見ていても特に変わりなかったのでポケットにしまった。少女はふーん、と一言。

気がつけば食料調達そっちのけで街中を歩き回っていた。

 

 

PM0時0分

 

商店街がある大通りに出た頃、歩くペースはしだいに少女の方が先を行くようになった。

30代とはいえここまで体力が落ちていたことに驚愕している。

「若いっていうのは羨ましいなぁ」

はたして息を切らし、今にも倒れそうな俺は年寄りなんじゃないだろうか。

思考回路だけはどうも若いらしく、目の前を歩くようになった少女の事を考えていた。

(若いといえばだが、何故彼女は年齢体格の割にあんなに無邪気な子供のような性格をしているんだ。元からあの性格だとしても子供らしすぎて不自然だ。でもそれも悪くない)

立ち止まって少女の体を舐めるような視線で見つめていたせいか少女が不審にこちらを振り向く。瞬間にまだ若い思考回路を停止させた。

「あ、もしかして疲れた?そういえばずっと歩きっぱなしだもんね」

「はぁ…はぁ…少しここで休もう。後、まだ朝ご飯がまだだったろ。休むついでに済まそうか」

「はーいっ!じゃあおじさんは待ってて!私がご飯取ってくる!」

近くにあったベンチに座り、ひと息つく。少女は辺りの店へ調達に向かったようだ。座っていても見える位置にいてくれている。実にありがたい。

そして少女の後ろ姿を見て再び若い思考回路が復活する。

(外見にはあまり気にかけなかったが、膝裏辺りまで髪が伸びている。10年もいればそりゃあれだけ伸びるか…。前髪もさっきから邪魔そうに横に分けている。長すぎてホラー映画に出てきそうだな。でもあれはあれでいい。……あの制服。おそらく高校のもの。制服というのはまあまあだが、悪くない。)

「よいしょっと」

気がつけばドサリと足元いっぱいに食べ物を置いていた。

「うわぁ…」

明らかに生では食べられないものもあり、どこから手を付けようか迷ってしまう。

「ふぅ。よっし、食べよ!いただきます!」

少女は満足気にきゅうりをかじりはじめた。

「い、いただきます」

俺はクリームパンとピザパンを2つずつ食べて空腹を満たした。

それからはまた静かな街中を歩き、日が暮れるまで歩き続けた。

 

 

 




(ミスはないはず。)
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