4:因果は巡ってくるもんだ
美咲エリ。魔法少女プリティ☆ベルの主人公。
もう一人主人公がいるが、たぶん出現しないから無視しよう。
この子も高町なのはと同じ髪型。
更に魔法少女。
しかし普通に魔法を使う訳じゃない。
使うのは召喚だ。神代の軍勢を率いる。杖はリィン・ロッドと言い、召喚器として存在している。
エリちゃんがいうには、こいつはバグっているようで溜口が過ぎる。
そして彼女が主人公という事は、異常な能力を持っていることだろう。
実際そうである。彼女の世界は、悪魔・天使・人間の世界がある。
割愛するが、彼女が使用する魔力はあまりにも膨大。
そのためプールにバケツで水を注いでも、中々満杯にならないという現象に陥ってしまう。
この仕様ゆえに、最終兵器扱いされている。
原作での扱いは子供としての扱いをしており、むごいシーンや悪影響を与える大人のアレな状況現場を護衛によって、
視覚や聴覚を極限まで低下させている。
またよく勉強する様に言われたので、経済学・戦史等を読むようになった。
何も知らない子供である彼女は、スポンジのように吸って己のものとする。
しかし最終的にどこから知識を得たのか、物事の順番というものまで理解した。
結果妄信した主義に陥った教師を精神的にぶっ壊したり、教室の生徒達に物事のありようを伝えることもやった。
つまりスケジュール完全管理系少女と化した。
こっちの現実も勉強をしっかりしていて、ある程度原作と同じようになってしまっている。
だが確実に現実の方が、女性的に成長していると思われる。
何せ同年代の子が、常に隣にいるからだ。
あー、それでも、少女漫画と専門書の数が==(同じ)なので、書籍毎の考えを己の考えとして固定化していないだろう。
結局専門書も自分の知識と考えを使って書いているので、ある程度の嘘が混じっている。
それを上手く見分ける能力が出てきたと思える。
「浩にーちゃん、ごろごろしないで。邪魔」
「あ、うん」
僕は掃除機の切っ先で突かれた。結構痛い。
そのまま転がって縁側に落ちる。
段差が痛い……。
っと、僕も間伐しないといけない。
お父さんから、11時から一緒にやろう、といわれているんだ。
着替えないと。
「ちょっとお兄ちゃん」
「ん?」
起き上がろうとすると、目先には仁王立ちするなのはがいる。
「着替え、早く持ってきてよね。主に白!」
「わかったよ」
僕は上半身に着ている服と下着を脱ぐ。
「え、あ、お兄ちゃん……」
「ん?どした?」
僕は脱いだ服と下着を適当にくるんで、なのはに渡す。
「え、ううん。なんでもない、なんでもないよ」
「? よくわからないけど頼むよ、なのは」
「うん!」
よかった。なんか茫然としたてし、顔も赤かったから熱かなって思った。
でも元気そうでなによりだ。空元気かもしれないけどもね。
―
(本当の私のお兄ちゃんと違って、浩二君の裸を見るとどきどきしちゃう……。
どうしてなんだろ?)
―
僕は長袖長ズボンを装着する。夏だからイラガ等に刺されない様にするため。
後は枝葉が刺さって、痛覚を刺激しないようにするからだよ。
漆だとかぶれるけどねー。
「よーし、浩二。この桃と林檎と梨の木で、道路側に出ている奴を切っていってくれ。
それとついでに向こうの枇杷と山桜桃、アケビの回収な」
「おっけー!」
僕は間伐用のハサミを持って、中型脚立を道路側に立てて切っていった。
お父さんは竹の伐採や一定以上の高さに伸びた枝を切る作業に移った。
お母さんは草抜きだって。
しばらくやっていると、太陽もほぼ真上に近づいてきた。
流石に麦わら帽子・軍手・手ぬぐいを首に巻きながらの作業は、汗だく状態になるし何より喉が渇いた。
それに腕も疲れたし、ちょっと休憩しよっかな。
僕は脚立を少し移動して、出入り口の門の近くに配置。
そのまま家に入ることにした。
「あっつー」
帽子を脱いで手拭いで顔や首回りの汗をふき取っていると、何か音が聞こえた。
視界不良でわからないけど、視線をちゃんと確保することでわかった。
それはなのはが二回目の洗濯物を外に出して、物干し竿に服等をつりさげていたんだ。
「ん……良い匂い……今回も良い分量だ……」
ドクンッ
僕はそのなのはの表情に見とれてしまった。
何で見とれたのかわからない。そこになにかがあったんだろうなぁ。
「あ、お兄ちゃん!」
僕に気づいたなのはが、洗濯物を干すのを中断して駆け寄ってきた。
「終わったの?」
「いんや、ちょっと喉が渇いたから、お茶を拝借しに」
「じゃあ、私が持ってくるね。縁側で待ってて」
「わかった」
僕は縁側に座る。
チョキンチョキンというお父さんの小気味良い、伐採音が聞こえる。
エリとお母さんはどこ行ったんだろ?
玄関に新聞の塊が縛り上げられていたから、月曜日の新聞紙や紙パックの片付けかな?
すると屋内でとんとんと足音が近づいてくるのが分かった。
「おまたせ、お兄ちゃん」
「ありがとう、なのは」
お盆から結露付きの冷たいコップを貰って、冷たい緑茶を頂く。
あー、冷たさが五臓六腑に染み渡るんじゃ~。
「ふぅ」
「おっさんみたい」
「あはは。そういうなのはは、仕事疲れで帰った伴侶を労う主婦みたいだぞ?」
「そ、そうかな?」
「うん」
「……」
「……」
長い頭髪を分散しない様に先の方をリボンで括っている。
そしてその髪を耳の後ろに動かすその一連の動作は、年齢関係なく女性らしく艶やかだった。
「ありがとう、なのは。元気出たよ」
「ぁっ。うん、頑張ってね」
「なのはも、暑いけど頑張って。
なのはが洗濯ものを担当しだしてから、服を着るのが楽しくなってきたんだ。
誇りを持っていいんだよ?それくらい頑張ってるってこと、知っているんだからさ」
僕はなのはの頭を撫でる。
なんでだろう、晴れやかな気分だ。やる気マックスだべ!
新たな手ぬぐいを片手に、残りの樹木の枝葉を間伐した。
間伐は2時ぐらいで終わらせた。
「浩にーちゃん、いい加減来ないと片付けちゃうよ?」
終わった瞬間エリちゃんが、脚立の下から話しかけてくる。
時期が良い時に声をかけてきた。
「大丈夫、終わったよ。エリちゃんもお疲れさま」
「うん、お勤めご苦労様!じゃなくて、昼ご飯どうするの?」
「食べる食べる」
「早くしてよね」
僕は脚立と道具を仕舞って、家の中に入る。
丁度いい風と土壁の御蔭で、汗が飛ぶ思いだ。
おっと早く着替えないといけない。
またエリちゃんに叱られる。
―――
4時。
僕は哲也と公園に来ている。
この公園の遊具は、公園と外との境目である樹木の傍に林立している。
そのおかげで砂地が中央を含めて、公園の大部分を占めているんだ。
これにより魔法陣を描ける。
受賞の為とこれからの為、いろんな魔法陣を描く。
遅延発動、罠、二重起動、フェイク魔導布陣。
魔法陣は紙等を媒体に一回しか使えない。
でも発動が早くていいが、威力が低い。
逆に魔導布陣は魔導陣と同じく魔力を流さないといけない代わりに、何度でも使用可能。
基本性能もほぼ同じで、発動が遅く威力や効果が高い。
ただ布陣系は広範囲の多数の対象に、同じ効果を付与することが可能である。
しかし多量の魔力が必要だ。
基本的に上記のような効果を発揮する。
それでも工夫次第で、紙にかいた魔法陣を何度も使う事は可能だ。
「哲也、多分そろそろだと思うよ」
「だろうな」
ザザッザッ
コンッ
コン
魔法陣を発動しようとしたけど、その前に位相結界が周囲を包んだ。
哲也の隼が、哲也の左腕に止まる。
「遠方。南30キロ程か」
「位相空間って、そんなに大規模だったんだね」
この公園から南30キロから、速度110キロでこちらに向かっているらしい。
これがまたアニメの敵なのかと思うと、若干気が滅入る。
「……避けろ、浩二!」
!?
僕は後ろへ飛び退く。
そのまま尻もちをついて、地面に落ちる。
「あだっ!」
僕は哲也の聲で行動したけど、何が何だかわからなかった。
一瞬だけ黄色い何かが見えたんだけど、正体は分からず仕舞い。
僕は痛む尻もちをさすりながら、土をズボンから払う行為をする。
この空間だと砂は、何かを破壊しないと出現しない。
それでも僕はやってしまう。
「来たぞ、奴らが!」
空中に浮く、その漆黒に翻るマントとその長い金髪のツインテール。
更に右手に見える、その斧らしきもの。
<BREAK>
「フェイト・テスタロッサ・ハラオウンだ!」
「OK!絶縁系魔法陣展開!」
「良かった。手間が省けた。これで問答無用で、君たちを葬り去れる」
機械のように淡々という彼女の聲は、僕らを驚愕の色に染め上げさせる。
以前の様に同じ格好・体躯で、この場に出現してきた。
更に異質な位にまっすぐな本人の意思が見える。
つまり今の彼女は、ナニカに捕らわれていないということになる。
その速度と攻撃性能のままだと、敗れる可能性がある。
死ぬ可能性がある。
そう思うと脚がずっしりと重くなる。
彼女が振るってくる魔力で練られた飛び刃は、僕らの周辺を傷つける。
大小の石がきれいに真っ二つになる。
それを尻目で見て、寒気が全身を覆う。
「反射!」
「魔導士でもない人が、私達に勝てるわけがない」
魔法を反射してもその頃には、同じ座標に彼女がいるわけがない。
だからさっさと回避されて、近距離から迫ってこられる。
この場合だと僕らは対抗できない。
それでも勝機は常にあるんだ!
「重力!」
「ぐっ、この重さはっ……!」
僕は無尽蔵に生み出す力を、”重力”に変換させる。
零時迷子による無限の重力エネルギーに、その場から動けなくなるくらい身体が過重化する。
フェイトはその場から動けないようだ。
「哲也!」
「やっている!これでどうだ!」
地面に仕込まれたフェイク魔導布陣を発動させる。
彼女達のように、色とりどりに光り出し回転するわけじゃない。
それでも浮かび上がりホログラムの様に、空中に描かれ処理を実行する光景は華やかだ。
しかしその光景は固定化した相手への一撃としてしか、見る事自体がない。
固定砲台として、この布陣は最高のモノだと思う。
『六重六芒星型:16次元複合反転魔導布陣』。
効果:構成しているDNAや分子構成を魔力粒子に変換し、別物質に転換する。
または周囲の物質全てを魔力粒子に変換し、純魔力による圧迫攻撃をする。
これの発動と共に、魔法陣を使って哲也の回復力向上を促す。
僕は今現在不死身だから大丈夫。
それでも痛みをうければ発狂するし、死ぬことに渇望するかもしれない。
拷問とか嫌なんだよなぁ。
魔導布陣が輝き、処理が終わる瞬間何者かが割り込んできた。
魔導布陣の輝きでその誰かが分からないまま、対象の拘束を破壊し彼女を奪われてしまう。
「大丈夫?フェイト」
「うん……綾香……」
爆撃音はない。対象が居なくなったのと同時に、その輝きは潰えた。
その代わりその奪った人物がわかった。
黒い魔女帽を被った少女。実に露出度が高く、寒そうな服装をしている。
その子が持つのは、大きな目を持つ鎌。
「えーと、貴方達がクリエイター?」
「だからどうした」
哲也とその少女の間は、かなり離れて居るはず。
それなのに聲が届き、威圧感も半端じゃない。
こんなキャラは初めてだよ。
いや、この子は因果関係でみて、エリちゃんの友人だ。
「えーとね。とある人と手を組んで、私達の世界を救うために動いているんだけど、
その成就の為には貴方達を殺さないといけないんだって。
だから……死んで?」
<テケリ・リ>
杖がそう言うと、僕らの近くに高速で何かが近づいてきた。
不定形で瞳がたくさんある何か。それは僕と哲也を、鋭利と化した肉体で攻撃してきた。
あまりの速度に、追いつけなかった。
ズシャッ
恐怖のひと時。僕は目を閉じる。
怖かった。その予想もしない激痛に耐える為、その未来のために身構えないと精神が砕け散ってしまいそうな気がしたんだ。
でもそんな時は来なかった。
目を開けると、そこには何もいなかった。
「あーあ、その鳥を先に始末しておくんだった」
隼。哲也のだ。悠々と空を駆けている。
まさかと思った。隣を見る。すると哲也は口角を上げる。
つまりこういう時の為に、自由闊歩させていたんだ。
こうみると笑いが込み上げてくる。
そして新たな戦争の始まりだと告げる一幕の開けに、狂喜を持って迎え入れる自分が居た。
「妙味。闘争こそ、我が糧なり!」
僕は魔法布陣を発動させる。
一度切りの大規模魔法陣。
『4次元円方陣型:∞重層位相魔法布陣』
効果:位相結界を破壊する。または位相結界を作り上げる。
この位相結界を破壊した。
そして現実世界に表れた彼女らに、日の目を見せる。
「うーん。クリエイターは殺してもいいって言ったけど、現実世界は壊しちゃいけないっていってた。
だから、ここは帰るね」
僕らはほとんど何もせず、彼女達を見送った。
「……哲也」
「何だ?」
「本山にエリちゃんとなのはを連れて行っていいか?」
「杖を使った戦闘は、槍を含め棒術がある。それを習わせたいんだな?」
「ああ」
すると哲也は見たことのない『印』を組む。
香木を使わない、陰陽術。『印』や札を使う事で、魑魅魍魎の類を操る事ができる。
「………本山は許可した」
「何時行ける?」
「すぐにでも来てほしいとのことだ」
「わかった、明後日な」
「その時は迎えに行こう。詳しい事は明日話す」
「解った。皆には僕が言っておこう」
本格的に生命がやばいので、家族を巻き込んだ戦争を行う事にする。
それと戦闘は本山か、先ほどの公園にしておく。
場所を決めて置けば、魔法陣による要塞を作って置けるからだ。
しゃーなしだね。
――
「「遅い!!」」
「ごめんごめん」
「ごめんで済むと思ってるの!?」
「何かあってからじゃ遅いんだよ!もう何か起こった後っぽいけど!」
帰宅したのは19時。
公園周辺に魔導布陣や魔導陣・魔法陣・魔法布陣を敷いていたら遅くなった。
途中で思いついた組合せをやっていたら、哲也と議論を重ねて臨床試験を行わずぶっつけ本番で使うという馬鹿をやらかした。
ははは。いやぁ、やっぱり楽しいや。
まあ、これが日常であればよかったんだけど。
とにかく今は砂だらけ・ボロボロになった服を見た、玄関にいたお子様によって説教をされている。
お父さんやお母さんは、この様子をほほえましく見ている。
僕は非日常であり日常な今が好きだ。
だけどそれが続くほど、この世界は壊れていく。
だから僕は世界に反逆するよ。
受肉というものが良いか悪いかわからないけど、それが安全性を確立していない今は信じることはできない。
もしそれで世界の崩壊を止める事ができるのなら、致し方ないとあきらめて受肉させず戻す。
だって、それしか止める方法がないってことなんだからさ。
彼女たちには、彼女達の世界がある。
この世界にとどめさせるのはよくない事。
それにどうせ忘れるんだ。だからぎりぎりまで壊してしまう寸前まで一緒に居て、彼女達を戻せばいい。
一週間で記憶の消失、という憂き目を見る。
いや杞憂であっていいのかもしれない。
恨み言とか呟かれるかもしれない。それでもただの泡沫と化すんだ。
だったら最後まで、我儘を通して良い道理だってある筈さ。
僕は二人から解放される。
二人が居ない時、お母さんたちに哲也の所にお泊り会をして、夏休みの自由研究を終わらせに行くと告げた。
そうしたらお母さんたちは、その日働き先から休みを言い渡されたんだと。
根回し早いな!
まあ、それでもいいさ。
僕は僕の為にやるよ。
「なるほどな。よし、頑張ってやってこい、浩二!」
「うん、お父さん!」
あー、宿泊道具も確保しないといけないなぁ。
とにかく自室の方で、二人に説明しておかないといけない。
そうじゃないと、学校の友達と遊びに行ってしまう可能性がある。
「お兄ちゃん!」
「浩にーちゃん!」
「「お風呂入ろ!」」
見事なハーモニーだなぁ。
二人への説明は、お風呂に入ってからでいいか。
――
「ふぅ、温かかった」
「そうだね。そういえば、私達に話したい事って何?」
エリちゃんたちにほのめかした事を、ここで聴いてくれるのは幸先が良いよ。
ちゃんと空気を読んでくれる。
僕は電気を蚊帳を用意しながら、二人に対して話す。
「実はね、明後日自由研究の為、哲也の家に行くことになったんだ」
「「え……」」
二人の顔が驚愕の表情から、色が抜け落ちて行った。
反応するなら、次の言葉を聴いてからにしてほしかったんだけどね。
「それでね、二人も来ない?」
「「行く!」」
「即決でうれしいよ」
食いつきがよかった。いやあ、こういう方法で提示するのは最高だね。
僕は蚊帳を用意できたので、電気を消すことにする。
別に障子や窓を閉めればいいじゃないかって話なんだけど、経年劣化で隙間ができているんだ。
だから蚊が入ってくる。別に蚊取り線香でいいじゃないかと思うんだけど、臭いがつくから嫌と二人に言われた。
そう云う訳で納屋から、蚊帳を取り出してお父さんに取り付け方を習ったんだ。
今では10分あればできるようになったよ。
電気を消すことで、障子と窓の隙間から月光が差し込んでいるのがわかった。
非常にきれいだ。
暑いから敷布団を用意して、三人で頭を北に向け無い様にして寝ている。
僕は基本的に上半身は下着で、下半身はジャージの長ズボンを穿いている。
なのは達もお腹を壊さない程度に薄着になっている。
まあ、朝起きると僕の布団に二人して入ってきているから、寒さとか関係ないんだろうなぁ。
……こういう日常は、いつまで続くんだろうか。
先行きは不安ばかりだ。
おやすみなさい。