MUGENの海原の果てへ 作:MUGEN厨
pixiv、ニコニコユーザー:ムンムさん
夏の暑さが刻一刻と近づいている。
梅雨の空模様はなかなかに手強く、空は曇天が我が物顔で支配し地には張り付く様な湿気が充満している。
そんな中でも風と夕立の活躍により一日の快晴が訪れるのだ。
梅雨の湿気に参っていた艦娘たちは、快晴ながらも程よい微風の吹く海原を駆ける者もいれば、自室で趣味に精を出す者と様々だ。
これはそんな日の一幕。
食堂…
普段は活気にあふれる交流の場も今は片付けに追われる者たちしか残っていない。
「………」
「………」
今回の主役たちを除けば…だが…
向かい合うは二人の艦娘
鎮守府最古参にして初期艦である駆逐艦『叢雲』
鎮守府の情報屋こと重巡『青葉』
駆逐艦と重巡洋艦
通常であれば青葉の方が幾分か年上の容姿であり、叢雲は大人びているとはいえそれは駆逐艦娘の域を出ない…はずなのだが…
『改めてみると…叢雲さんて本当にグラマラスな人ですねぇ』
『愛宕さんや高雄さんとタメ張れるんじゃないでしょうか?』
作品鎮守府においての叢雲には当て嵌まらなかった。
始めに口火を切ったのは叢雲だった。
「それで・・・司令官の事が知りたいから私を取材したいですって?」
「はい!」
「いきなり遠征の合間に呼ばれたから来てみれば・・・。そんなの本人に聞けばいいじゃないの?」
「いや~、私『誰とでもフランクに』を心掛けてはいますが、どうも司令官は近寄りがたくて」
「まっ、たしかに私から見てもそういう雰囲気は出していると思うわ。私はそれが良い所だと思うけど」
「司令官の事、随分と慕っているようですね?」
「そりゃまぁ・・・って、もしかしてもう取材始まってたりする?」
「おっと、気付かれましたか。ノリでいい情報について口を滑らしてくれると思ったのですが残念です」
「アンタ、そういうところ直した方が良いわ。だから何時までも古鷹さんに苦手意識を持たれるのよ」
「うぐ・・・痛い所をついてきますね・・・」
「まぁ、それはそれとして。改めて取材お願いします!!」
「話せる範囲で良ければね」
叢雲への取材は甘味処「間宮」へと移り続けられることとなった。
「なにこれ!おいしい!」(´~`)モグモグ
叢雲は返事を返しながら間宮のパフェを頬張っていた。(青葉の取材料の前払い)
口に入れた途端に咲く笑顔の花は、暁的に言うなら『一人前のレディー』である彼女の隠れた一面である。
『う~む、普段の叢雲さんからは考えられないような蕩けた笑顔ですねぇ』
普段は気の強い女性として知られている叢雲のギャップを青葉メモリーに保存しつつ青葉は取材を始めた。
司令官について!
「多分、艦隊の誰よりも知っている自信があるわ。なんたって初期艦ですもの!」ドヤァ
『随分強調しますね』
「ここは譲れないわ」
「好きか嫌いか?」
「好きでもあるけれど嫌いでもある…かしら。」
『育成する艦娘がいないときは、殆どベッタリなのにですか?』
『先程も、思わず本音が出ていたような…』
「・・・・・訂正するわ。『好き』の方が比重が多いでしょうね」
司令官のどこに苦手意識を?
「そうねぇ・・・」
「初対面の時かしら・・・」
『と、いいますと?』
「この鎮守府がある島が鎮守府設立以前は深海棲艦達の重要拠点、いわゆる泊地だったのは知ってた?」
『なにそれ、初耳です!!』
「大規模作戦の完遂によって奪還した泊地に大規模な鎮守府が設立されるから、着任する提督に選ばれたという事で大本営から派遣されたんだけど…」
『けど?』
「目の前に広がっていたのは、鎮守府を背に戦っている司令官たちと『傷だらけの深海棲艦の連合艦隊』だったわ…」
『なんです、その状況!?』
青葉は、まるで意味がわからんぞ! とばかりに机に身を乗り出し叢雲を問い詰める。
「顔が近いって」
『余りにも『訳が分からないよ…』な出会いだったもので…』
「まぁ、そう思うのも無理はないわ」
「掻い摘んで説明すると
①大本営、奪還した元泊地に鎮守府設立
②私がそこに配属される
③泊地を取り返さんと、泊地近海の手負いの深海棲艦が即席の連合艦隊を組んで、鎮守府を襲撃
④叢雲が到着するよりも前に、提督たちが鎮守府に着任
⑤深海棲艦が鎮守府を襲撃
⑥司令官たちが迎撃しているときに私が居合わせる」
が、一連の流れね」
『なんとまぁ、波乱な幕開けだったと?』
「そうね…」
「ちなみに事件の顛末は…まぁ、分かり切ったようなものですが」
「ゲジマユ状態の司令官たちのゲージ技の大盤振る舞いによって瞬く間に勝敗は決したわ」
「無双シリーズのザコ兵よろしく吹っ飛んでいく深海棲艦たちに同情するわ」トオイメ
「そうですか…」