ラブライブ!サンシャイン!!〜約七年も眠っていたペルソナ使い〜 作:しがみの
十両編成の電車が山沿いの線路を疾走していた。インバータからは甲高い音が響いており、車体や台車が悲鳴をあげている。
『ご乗車、ありがとうございました。間もなく、終点、沼津、沼津です。お出口は右側です。静岡、浜松方面、御殿場線はお乗り換えです。本日は熱海、来栖駅間での信号故障の影響で約30分遅れての到着です。お急ぎのお客様には、ご迷惑をおかけいたしました。』
車掌の放送は車両から出されるの騒音により聞きづらくなっていた。電車は、駅に止まらないのかと思われる速度で終着駅に滑り込み始めた。インバータからなる甲高い音は鳴らなくなったが、今度は車輪とブレーキが擦れる甲高い音が響いた。走行中も停車もうるさい。まあ、遅延を少しでも解消するためにこんな走り方なのだろう。
『ご乗車ありがとうございました。終点、沼津、沼津です。お忘れ物ないよう、お降りください。この電車は、折り返し、東日本線直通、宇都宮行きになります。発車時刻は・・・』
私は沼津のホームに降り立った。時刻は20時28分。かなり遅れて到着してしまった。あねはづる線内のポイントが故障してしまったからだ。私が巌戸台に引っ越してきた日もあの路線はポイント故障で大幅に遅延していた。あねはづるの線路脆すぎだろ。更にそれだけではなく、さっき私が乗っていた電車も信号故障で遅延した。もしかしたら私は鉄道との相性が悪いのかもしれない。しかも、桐条先輩に車を買って貰ったのだが、その車は荷物とともに先に持ってかれた。しかも車は旅館の駐車場じゃなくて近くの月極駐車場に停めてあるらしい。もうどうにでもなれ。
私は携帯を出し、メールを見て待ち合わせ場所である南口に向かい、自動改札機を抜けた。
「えーっと・・・〝十千万旅館〟と書かれてる黒のワゴン・・・。」
ロータリーを見回すと、タクシー乗り場の先あたりにメールに書いてあったワゴン車と同じ車が止まっており、おっとりとした黒髪ロングの女性が一人、車のそばに立っていた。
「あの、十千万旅館の方ですか?」
「あ、はい。もしかして結城さんですか?」
話しかけると、確かに十千万旅館の人だった。見た目的に私と同じくらいの歳らしい。
「はい。」
「旅館までお連れしますね。」
私は十千万旅館の人に言われた様にワゴン車の後部座席に座った。車はゆっくりと走り出し、暗空の下、光り輝く繁華街のメインストリートを走り始めた。
「私は
「結城琴音です。二年間お世話になります。」
「部屋は妹の部屋の横でもいい?」
「あ、はい。」
「二年間暮らすんだから敬語じゃなくていいのに。」
「いや、まだ高校二年生なんで、敬語じゃなくちゃダメかなって・・・。」
「アハハ。別にいいのに。」
そうこうしているうちに車は駿河湾沿いを走り、一つの地区に来た。車はその地区の細い道に入り始めた。どうやらこの地区が私の暮らす地区らしい。途中にある月極駐車場に私の車らしきのが見えたからだ。車は和風建築の建物の前の駐車場に停車した。美渡さんと私は降りると正面の出入口ではなく、脇にある別の出入口のドアを開けた。どうやら従業員用の玄関らしい。
「ただいま。」
「お邪魔します。」
「へー。かなりの美少女ねー。」
中に入ると明るいブラウン系の短い髪の女性とオレンジ色の髪の毛でアホ毛が特徴的な女性が出て来た。ん?オレンジのアホ毛の子はなんか順平と似たような匂いがする・・・。気のせいかな・・・?
「へ?なにジロジロ見てるんですか?」
「いやー、綺麗だったからさー。」
そう答えながらもまだまだジロジロ見てくる。特に胸のあたり。
「あ、私は高海
「結城琴音です。よろしくお願いします。」
何故胸を見ながら自己紹介するんだよ。美渡さん。オッサンの臭いがそのうち臭うようになるぞ。
「私は高海
「結城琴音だよ。よろしく!!!」
千佳は元気そうに言っていた。やっぱり順平と似てる。あ・・・、志満さんと美渡さんは千歌と私たちに対する態度が違うじゃねーかという顔で見ていたが気にしないでおこう。いや、こういう時はこう思うのがいいと思う。そっとしておこう。
「今日は疲れてるでしょ?今日は早く休んでね。明日とか明後日は荷物の整理に使って。本格的に手伝うのは3日後から。あと、学校は4日後から登校できるから。」
「わかりました!!!」
志満さんから説明され、私は割り当てられた自室に足を踏み入れた。
・・・。
段ボールが一つ増えている。箱には〝沼田市産リンゴ〟と書かれている。
開封してみると中にはアタッシュケースが三つと手紙が入っていた。どうやら美鶴先輩からの手紙らしい。どれどれ・・・
・・・。どうやら、影時間が終わってないらしい。手紙に書かれている内容では少しずつ範囲は減っているのだが、まだヨーロッパ、アフリカ、南米と北米の大西洋側、アジアのヨーロッパ側の地域しか影時間は無くなってない。全て無くなるまではあと二年程かかるのだ。タルタロスの問題は解決できたのだが、今は別の問題が出てきたのだ。実は、沼津には昔桐条グループの研究所があったのだ。が、辰巳ポートアイランドでの爆発事故直後にその研究所は閉鎖され、今はホテルが建っているらしい。もし、そのホテルの場所でシャドウが暴れたりしたら召喚機で駆除してほしいのだ。今のところ、シャドウの反応は通常の弱いシャドウしかないのだが。
ってか、召喚機を三つ預けるって、こっちで適正者を見つけろってこと!?大変だ・・・。まあ、今はとっととお風呂に入って寝よう。
私はそう思いながら開いたスーツケースから寝間着を取り出し、浴室へと向かっていった。
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入浴が終わり、ベッドに潜り込んだ私は、スマートフォンの時計機能で秒針の針を見つめていた。
現在、23時59分55秒。
56・・・、
57・・・、
58・・・、
59・・・!!!
しかし、液晶画面は0時0分0秒を刻む前にブラックアウトした。いや、してしまったというのが正しいのだろう。暗闇で包まれていた部屋は緑色に包まれており、窓からは不気味な光を出している月、そして、ライトを消し、道のど真ん中で停車している車が見える。間違いなく影時間だ。
私はベッドから起きると完全に静寂した旅館の廊下に出た。まず最初に志満さんの部屋。棺桶。適性なし。次、美渡さん。棺桶。適性なし。
次、千歌の部屋。
・・・!!!
人が居る感じがする。
私は障子に耳を当てると、部屋の中から寝息が聞こえる。多分適性ありか・・・。
私は障子から耳を離すと、自室に戻っていった。だが、部屋には別の人の気配が・・・。
「久しぶりだね。」
そこには囚人服みたいな服を着た少年の姿があった。間違い。ファルロスだ。
「新しい場所での生活が始まったみたいだね。でも、この場所にも試練が訪れる。気をつけて。試練は一度だけじゃないから。じゃ、また来るね。」
ファルロスは私が一言も発する時間を与えずに前に消えていった。早い!!!早すぎるぅ!!!
私はファルロスがいないことを確かめると、ベッドに入り、すぐに眠りについた。