幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活 作:軍曹(K-6)
雲の守護者戦
結果から言って、それは一瞬で終わった。
が、もちろん雲雀がモスカだけで満足するわけもなく、原作通り。モスカは暴走を始めていた。
(あーあーあー。面倒だなー。どうしようか。まあいいや、全力全開でぶっ壊す!)
覚悟を決めてツナは突っ込んだ。
ピンチに現われたヒーローを演出して。
「よう。お前等、これいったいどういう状況?」
「じ、十代目!!」
ツナは憎ったらしいほどの子どもっぽい笑みを浮かべて。
「来いよ木偶の坊。銃なんか捨ててかかってこい」
ツナはどんな相手でも
(ま、いつも通りこれでもかと言うほど手を抜いてやれば良いんだよ)
ツナはニヤリと笑って本当にいつも通り拳を繰り出した。その拳圧は、何度も何度も放ってきた。原理は放つ自分自身でも分からない。ただ、幾度となく放って。その放ち方で、寸止めをすると何が起きるか、ツナはよく知っている。
その一撃は、神を宿した拳で振るわれた。
肉体以外の全てを破壊するその物理法則もへったくれもない神の鉄槌が、非人道的な機械の化け物に叩き込まれた。
ゴーラ・モスカの外側を吹き飛ばし、中に入っていた。動力源とされていた九代目が地面に落ちる。
「・・・えーっと。このおじいさん誰だっけ」
「九代目!」
「ああ。そうだ九代目だ。・・・ってことはこのおじいさんが俺が十代目を継ぐよう仕向けたの? なんか許せねぇ」
「くだらねー事言ってる場合か」
「ロマーリオ! 九代目を診てくれ!」
「わかった、ボス!」
「「九代目っ!」」
更にディーノ達やバジルも合流し、九代目の介抱に加わる。
慌ただしい大人達を光のない目で見つめていたツナは、不意にXANXUSに視線を向けた。
「ねぇ。お前はこんな事してナニがしたいの?」
「沢田綱吉。てめェはじじいに手をかけた」
「まあ、俺は助けたつもりだけど」
「・・・」
「瀕死の状態まで追い込んだのはお前達だし、まあもし俺が、俺じゃなかったら。望み通りの結果になったかもしれないね。でもあえて言わせてもらうよ『だから、僕は悪くない』」
「・・・・・・そう・・・だ・・・。悪いのは・・・・・・、私だ・・・・・・」
「ノーノ・・・」
「やっと会えたね・・・、綱吉君・・・」
「できれば違う形で会いたかったです」
「すまない・・・。こんな事になったのは全て私の弱さ故のこと・・・私の弱さが・・・・・・。XANXUSを長い眠りから目覚めさせてしまった・・・・・・」
「!!」
「え。なに、アイツ吸血鬼とか?」
「ツナ・・・オメーな・・・・・・」
「綱吉君・・・。・・・・・・いつも・・・、いつも君のことは・・・、リボーンから聞いていたよ・・・。・・・・・・好きな女の子のことや・・・学校のこと・・・・・・友達のこと・・・・・・。君は、マフィアのボスとしては・・・・・・あまりにも不釣り合いな心を持った子だ・・・・・・。君が、今まで一度だって喜んで戦っていないことも知っているよ・・・・・・。いつも、眉間にシワを寄せ・・・・・・祈るように、拳をふるう・・・。だからこそ私は君を・・・・・・、ボンゴレ十代目に選んだ・・・・・・」
「ノーノ・・・?」
「すまない・・・。だが、君で・・・・・・よかった・・・」
「ノーノ。ちょっ・・・ノーノ!!」
ツナはなんか自分の評価が大変なことになってるなーとか思いながら、リボーン本当に余計なことも伝えてるなーとか。様々などうでもいい思惑の中、ただ一つ。浮かんでくる思いがあった。
「よくも九代目を!!!」
「は?」
「9代目へのこの卑劣な仕打ちは、“実子”であるこの俺と崇高なるボンゴレ精神への挑戦と受け取った。・・・
「な!? ・・・何言ってやがる! お前が9代目を!!」
「これが目的だったのか!」
獄寺達が叫ぶ中、ツナはXANXUSをじっと見つめる。沸々と、何かがわき上がってくる。
「憶測での発言は慎んでください」
「全ての発言は我々が公式に記録しています」
今まで黙っていたチェルベッロ機関の二人が口を開いた。
「あいつら・・・!」
「やはりチェルベッロはXANXUS側についていたんだ!」
山本と獄寺が怒りの形相で叫ぶ。
「・・・好きにしやがれ。俺はもうキレてんだ」
「「!!」」
リボーンの怒気を含んだ言葉に、チェルベッロ達が怯む。
「九代目との誓いだ。俺は手をださねェ・・・生徒の勝負にはな。俺がそう言っても、戦いが嫌いな? 俺の生徒がどーするのかは知らねーけどな」
「XANXUS。大空のボンゴレリングは・・・・・・、返してもらう・・・・・・。お前に、九代目の後は継がせない!! ―――こんな事をしてまで、お前がボンゴレボスになろうって言うんなら・・・まずはそのふざけた幻想をぶち殺すっ!!」
「ツナ。よく言ったぞ。最後のは余計かもしれねーけど」
「ボンゴレの歴史に刻んでやる。XANXUSに楯突いた愚かなチビが一人いたとな」
「誰が豆粒ドチビかァ―――ッ!!」
「?! どうしたツナ!」
「言ってみたかった」
「自由だな。相変わらず」
「・・・一人じゃあないぜ! 十代目の意思は」
「俺達の意思だ!!」
「・・・個人的に」
「素直じゃないなぁ雲雀さん」
「うるさいよ草食恐竜」
「あはは・・・。じゃあボンゴレの歴史にこう刻んどいて。XANXUSに楯突いて、見事に打ち破った愚かだった少年がいたってね!」
「・・・・・・」
「来るかガキ共!!」
「いいねぇ」
「反逆者どもを根絶やしにしろ」
低く呟いたXANXUSの言葉に、ヴァリアーの面々が殺気を膨らませた。
その時、チェルベッロから制止の声があがった。
「お待ちください! 9代目の弔い合戦は」
「我々が取り仕切ります」
「なぁ!?」
「我々はボンゴレリングの行方を見届ける義務があります」
「何言ってやがる!XANXUSの犬が!!」
獄寺が叫び、チェルベッロを睨みつける。が、
「口を慎んでください。我々は9代目の勅命を受けています。我々の認証無くしてはリングの移動は認められません」
そう言ってチェルベッロが見せた死炎印が押された証書を憎々しげに見やり、バジルが叫ぶ。
「よくもぬけぬけと! その死炎印は9代目に無理やり押させたものだな!」
「我々は勝利者が次期ボンゴレボスとなるこの戦いを」
「「大空のリング戦と位置づけます」」
「すなわち、今まで行ってきたリング戦の七戦目ということになります」
「いかがでしょうか、XANXUS様」
「・・・悪くねェ」
「なんで毎回毎回誰も俺に確認を取らずに事を進めるのかなー。ま、良いけどね」
「それでは明晩、並中に守護者全員でお集まりください」
「あーらら、モドキに執行猶予を与えちゃったよ」
「なに!」
「テメー・・・!!」
「フッ。明日が喜劇の最終章だ。せいぜい足掻け」
指で弾いた大空のハーフボンゴレリングが、ツナの手に収まった。
それを確認したXANXUSは、憤怒の炎が放つ眩い光と共に姿を消した。
「・・・遅かったか!!」
「ディーノさん!」
「跳ね馬!」
「お前等!! 九代目とケガ人を!!」
キャッバローネの手により九代目は運ばれていく。
バォン。と、空間が歪む音がした。ツナが守護者戦を提案したあの日放った拳が空間を引き裂いたのと似たような音が。その音の発生源はツナの右手。強く握られたそれが、音を生み出した。
(掌に高速で握り潰された空気が音を出した・・・。ツナ、お前は・・・
「―――ねぇリボーン。今、俺が強すぎる。って考えたでしょ」
「! ・・・なんで分かった」
「その考えだけは、簡単に読み取れるよ。何度も何度も聞いてきた。『お前は強い』って言われてきた。だから、その考えだけは誰が考えてても分かる」
「・・・・・・そうか」
「知ってる? 最強と無敵は違うって」
「ああ。最強はもっとも強いだけ、無敵は敵がいないそれだけの強さ」
「俺はこう思う。無敵になったひとの周りには・・・さ。“
「・・・・・・なるほどな。ツナにしちゃまともな考えじゃねーか。とにかく、今日は学校に行けよ」
「あ、うん」
「自分が帰ってくるべき
「・・・うん」
この小説の雲雀さんはツナに対して好意的です。