幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活 作:軍曹(K-6)
「いってらっしゃーい!」
「いってきまーす」
ツナは一週間ぶりに並盛中学に登校していた。といっても毎晩来ていたのだが、昼間来ていなかったので何となく違和感はある。
「・・・・・・」
「おはようツナ君!」
ツナが屋上で黄昏れていると、後ろから声をかけられた。
「京子ちゃん。おはよう」
「! ・・・・・・。あ・・・、リボーン君がここにいるって」
「リボンヌが?」
「・・・ツナ君。みんな、何してるの?」
「知りたい?」
ツナの問いに京子はこくりと頷いた。
「じゃあ、誰にも内緒にするって約束して。絶対に言わないって。もちろん了平さんにも」
「うん。分かった」
ツナは話した。ダメダメな自分のところに家庭教師として、マフィアのボスが殺し屋を送ってきたこと。そして、色んな事に巻き込まれたこと。今回の戦いも、その延長線上だということ。
「・・・と、こんな感じ。でも安心して、了平さんにもう怪我はさせないから。危ない目には遭わせないから。例え、この命に代えてでも」
「・・・ツナ君もだよ」
「へ?」
「ツナ君も。ちゃんと笑顔で帰ってくるんだよ! いい!?」
「・・・分かった。山本も獄寺君も、雲雀さんも了平さんも、ランボもクロームも。みんな笑って帰る、この日常に。俺は帰ってくるよ、京子ちゃんに笑顔を見せに。ね」
「・・・・・・。あ、えと。そ、そうだ! これ、ツナ君に」
「お守り・・・もしかして」
「そ、そう。ツナ君達の戦いでケガ人が多いでしょ? だから安全祈願! と必勝祈願も!」
「ありがとう! オレ、次の戦い。負けるわけにはいかないから」
「うん。絶対、勝って帰ってきてね」
「了解しました。ご主人様」
ポン。と、ツナの手が京子の頭に乗る。天然な京子は自分が抱く気持ちに気付けていないが、顔が熱くなるのを感じ、その場の撤退を試みたが、屋上にハルが入ってきて逃亡は叶わなかった。
「ツナさん!」
「ハル。どうしてここに?」
「今日学校がお昼からなんで、お守りを配るために潜入しちゃいました!」
「潜入って・・・並中の制服着てるし・・・」
「ビアンキさんが用意してくれたんですよー」
「殺しに比べればチョロいもんよ」
「ツナ兄」
「無駄なものに無駄な技術を注いでるんじゃねーよ・・・。見つかったらどうする気だ・・・」
「そん時はそん時よ」
「ポイズンクッキングはダメだからな! 一般人に向けたら絶対ダメだからな!!」
「分かってるわよ」
「絶対分かってないな! その顔は!」
―――そして、最終決戦の夜は来た。
獄寺達は並中への道を歩いていた。
「・・・あの。ディーノ殿から聞いた話なのですが・・・。ゆりかご以前・・・ボンゴレボス候補は沢田殿も含め六人いたらしいです。そしてその中でも年長の三人は誰もが十分な才能に恵まれていましたが、九代目と門外顧問を除く上層部の全員が支持したのはXANXUSだったそうです・・・・・・・・・。それほどXANXUSのボスとしての資質は圧倒的だと・・・・・・」
「おい・・・その恵まれた三人に十代目は・・・?」
「入っていません」
「うむ」
「なるほどな」
「ま、なかあねえ話だろーな」
「・・・ところで極限に疑問なのだが」
「はい?」
「その“最後の一人”はどんな奴なんだ?」
「最後の一人・・・?」
「・・・恵まれた三人・十代目・XANXUS。確かにもう一人候補が余るな」
「どんな人間か。それは誰にも分からないそうです。その力を強く継いでいた少年の父親が、彼を連れて遠くに逃げたそうなので」
「・・・臆病者。って事か?」
「ただ、ボンゴレが調べた所。少年の祖父がこう言ったそうです。ヤツは天災だ。死ぬ気の炎も重力も操って見せた。と」
「「「重力?」」」
「詳しいことは分かりませんが、小学校に上がる前の子どもが大人を簡単に投げ飛ばして見せたそうです」
「化け物かよ・・・・・・」
そして。守護者全員が集められた。
大まかなルールが説明され、リングが回収された。
「それでは大空戦のルールを説明いたします」
「大空戦は他の守護者同様、リングを完成させることが勝利条件の一つとなります。今回のフィールドは学校全体」
「・・・広ぇな」
「広大なフィールドでの戦いを観戦できるよう、各所に小型カメラを設置し、観覧席以外にも大型ディスプレイを」
「そして守護者の皆様にはカメラ搭載型モニター付きリストバンドを用意しました」
「・・・なるほど、小型テレビか」
了平が感心したようにリストバントを見つめる。
「ハハッ。ツナがドアップだぜ」
「え?」
山本も与えられたリストバンドの機能を楽しむ様子を見せる。
「・・・では守護者の皆様は、リストバンドを装着し次第、以前各守護者戦が行われたフィールドに移動してください」
「フィールドだと? ・・・今更、どういうことだ?」
「質問は受け付けません。従わなければ失格となります」
「ったく、ムカつく女だぜ」
「観てるだけじゃなさそうじゃん、楽しみ」
「では、やるなら今しかないか・・・」
「え?」
「円陣だな」
「気合い入れましょう!」
「そうか。そうだね」
「あ。お前達はそこにいればよいからな。十メートルルールに改訂したからよいんだ!」
「なにそれ」
「十メートル以内に入ったものは円陣を組んだと見なす極限ルールだ」
「すっげ!」
「よーし。行くぜ!!」
「「「沢田ファイッ!!」」」
「「「「オ―――!!!」」」」
「では、後で」
「ボス、気をつけて」
「頑張れよ!」
「・・・Zzz」
「無茶すんな」
「・・・(怒)」
(じ、十メートルルールに怒ってる・・・?)
「いよいよだな!」
「! ・・・シャマル! コロネロ!?」
「骨拾いに来てやったぞ」
「野次飛ばしに来たぞ」
「感じ悪!! っていうかオレが負けるの前提?」
「守護者全員、各フィールドへ到着したようです。
「各フィールドに設けられたポールの上には、フィールドと同じ種類のリングがそれぞれ置いてあります」
「まさか、また奪いあえって言うんじゃねぇだろうな」
己のフィールドで呟いた獄寺に向かい、ヤル気満々のベルがナイフを取り出す。
「ってことはさ―――俺達も闘えちゃうわけ?」
「どうぞ、ご自由に」
「・・・ただし、できればの話ですが」
その言葉と共にリストバンドが“作動”した。途端に苦しみ出した守護者達の様子に、ツナは気付く。
「・・・リストバンドに、何を仕込んだ!?」
「毒です」
「なんだって!?」
「毒!?」
「デスヒーターと呼ばれるこの毒は瞬時に神経を麻痺させ、立つことすら困難にします。そして全身を貫く燃えるような痛みは徐々に増していき、30分で絶命します」
「なんだってこんな事するんだ!? これは大空戦だろ!?」
「大空であるボスの使命だからです」
「全てに染まりつつ全てを飲み込み包容する。つまり、ボス同士で守護者の命を賭けて闘えってこと? うわっまどろっこしい」
「毒の進行を止める方法はただ一つ。守護者のしているリストバンドに同種類のリングを差し込めば、内蔵されたデスヒーターの解毒薬が投与される仕組みになっています」
「ナルホドな。この戦いでは大空のリングだけじゃなく、他の守護者のリングも奪い合わなきゃなんねーのか」
「大空戦の勝利条件はただ一つ全てのボンゴレリングを手に入れることです」
「このチェーンに全てのボンゴレリングをセットできます」
「分かった。急ごう。そうこうしてる内にみんなが!」
「では、最後に一つだけ。勝負開始後は一切の部外者の外部からの干渉を禁止します特殊弾もしかりです」
「了解したぞ」
リボーンがそう言った後、ツナの用意が完全にできる前にXANXUSが攻撃を加えた。
吹き飛ばされたツナは、校舎の壁を破壊してとまる。
「沢田殿!」
「ざ、XANXUS様! まだ・・・!」
「早く始めたいと言ったのは向こうだぜ」
「は・・・、それでは・・・!」
「しかし今の攻撃で沢田氏が・・・」
「卑怯だぞ、XANXUS!!」
「あぁ? 特殊弾を撃つ前はマズかったか?」
「舐めんなよ。俺を誰だと思ってる」
瓦礫の中から炎が吹き出し、ツナが姿を見せる。
「沢田殿!!」
「ツナ、XANXUSは片手間に戦える相手じゃねーと思え。六人の守護者を救出しながらの交戦はいくらお前でも命取りとなる。まず・・・・・・」
「分かってる・・・・・。先にこいつを片付ける」