幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活 作:軍曹(K-6)
第三十七話 消えたリボーン
全てはあの日に始まった。
「待って!」
ツナは制服を着て朝から走っていた。
「待ってよ。二人とも!」
「沢田殿! リボーンさん!」
「ボンゴレか」
「な、何も言わずにイタリアに帰るなんて・・・」
「すいません。急な招集がかかったんです。みなさん、お忙しいと思いまして・・・」
「オレは、湿っぽいのが苦手でな」
「ランチア。クロームに聞いたんだが、お前が骸に呼ばれてきたってのは本当か?」
リボーンのその言葉にランチアは何か思う所があったようだが、すぐに取り繕う。
「・・・。いいや。骸とはあれ以来一切接触がない。ただ、大空戦の前日に妙な虫の知らせがあったのは確かだ。奴に長時間操られていたために、他の人間よりも奴の考えを感じ取りやすくなっていたとしたら、皮肉だな」
「・・・ランチアさん」
「気にするな。骸を許す気はないが、これでお前の役に立てたのならば本望だ」
「また・・・亡くなられたファミリーの家を回る旅ですか?」
「ああ。一生をかけて償う事しか、オレにはできんのでな」
「・・・・・・」
「そうだ。こいつをお前にやろう」
「へ?」
ツナはランチアから黒い指輪を受け取った。
「オレのボスの形見だ・・・・・・。ボンゴレリング程立派なもんじゃねーけどな」
「は!? そんな大事なもの・・・!」
「遠慮はするな。これはオレの意志だ・・・・・・」
「これは拙者からです。沢田殿に合うか分かりませんが、もしもの時使ってください」
「へ?」
「見送りはここまでで結構です」
「ああ」
「で、でも」
「あ」
ツナが引き留めようとした所で、彼の足元を黒いアフロが通り抜ける。
「ランボさんもピクニック行く!!」
「あ! こら! ランボッ!!」
「では」
「・・・気を付けて!」
「バイプゥ~!」
「ったくランボは・・・」
「本当ウゼーな。・・・ところでバジルに何もらったんだ?」
「ん? ・・・そう言えば・・・。! これは・・・、死ぬ気丸!」
「アメ玉っ」
ランボの反応を無視してツナは落ち込む。
「これ・・・もらっても使い道ないよ・・・」
「そんな事は・・・あるかもな。オメーは自分の意志で死ぬ気になれる。だが、とっさの時にそれを飲めばいいだろ」
「なるほど・・・」
「ちょうだい」
「アメ玉じゃないんだぞ!? 食べたら死ぬ気になるからダメだ!」
「それに死ぬ程ウザくなる」
「あら。リボーン! 今のコチンときた」
「・・・それを言うならカチンだろ?」
「チンコ?」
「どんな耳してんだよ」
「やっぱウゼーな。・・・・・・」
リボーンの手の中でレオンが何かに形を変えていた。
「暴蛇烈覇!!」
「ぐぴゃ」
「蛇鋼球!?」
「が・・・ま・・・、うあぁあぁ!!」
「何やってんだよリボーン・・・」
「堪忍袋の緒が切れた」
「キレやすいなぁ・・・。ランボはまだ退院して日が浅いんだぞ・・・?」
「リボーンのバカ者がー!! タレマユのくせに!!」
「十年バズーカ!? ちょっ待てランボ!」
ツナが慌てて止める横で、リボーンは地面から手頃な石をとった。
「星になれ」
「ぐぴゃっ!!!」
リボーンが投げた石で十年バズーカはあらぬ方向に撃たれ、弾が方向転換してツナ達の方に飛んでくる。
「と、飛んできた・・・」
「ん・・・・・・? やべーな。動けねぇ」
「は? ・・・じゃあ未来を楽しんでおいでよ。未来のオレがどんな人か教えてね」
「ふざけてねーで助け―――」
リボーンがそう言うが、時既に遅し。ミサイルはリボーンに直撃し、煙を上げて消滅した。
しかし。
煙が晴れたその場所には10年後どころか、現在のリボーンすらも存在していなかった。
「あれ。リボーン・・・? 消えた・・・? 十年後ってリボーンいないの・・・? ま、五分後には帰ってくんだろ! なーんだ期待したのに損した気分だぜ。かーえろ」
―――翌日。
ツナは私服で街中を駆け回っていた。音速の域で。
「なーんでリボンヌは帰ってこないかなー?」
そんな風に飛び回っていると、ツナは遠くに獄寺達を見つけた。
「なんで獄寺さんもツナさん家行くんですか!?」
「通販で買った土産の生八つ橋をお渡しするんだ!!」
「通販はお土産じゃないです!」
「ちょっといい。二人とも」
「ツナさん!」
「十代目!!」
「あのさ。リボーン見なかった?」
「はひ?」
「リボーンさんが、どーかしたんスか?」
「実はさ、帰ってこないんだよ」
「帰ってこない?」
「十年バズーカに撃たれたのは昨日だよ? ・・・まだ帰ってこない」
「昨日!? ・・・っていうか十年バズーカって何ですか?」
「知らないなら知らないでいいよ・・・」
ハルは知らないんだったなー・・・。なんて遠い目をしながらツナは言う。
「・・・ッ。とにかくリボーンさんを探しましょう!」
「あ、そうだね」
「はひ・・・」
「オレは学校に行きます!」
「ハルは山本さん家に!」
「じゃあ・・・、俺は公園の方でも」
ツナはそう言いながら跳んだ瞬間。名案が出てきた。
(大人ランボに聞けば一発じゃん!)
靴を履いたまま窓から帰宅し、ランボに話しかける。
「ランボ! 十年バズーカで入れ替わってくれないか!?」
「何言ってんのツナ。ランボさんは十年バズーカなんてシ・リ・マ・セ・ン」
「ランボが知らなくてもこっちは知ってるんだ! 急いでるんだ。貸してくれ!」
頭から出ている十年バズーカを引っこ抜いて、ランボと奪い合うツナ。その拍子に十年バズーカは発射された。
(あ。・・・これもしかして未来行くヤツ? 十年後かー。どんな風なんだろ?)
そして、ツナは十年後に転移した。
「ソロモンよ! 私は帰ってき痛ァッ!?」
勢い良く身を起こしたツナは天井に頭をぶつけた。
「・・・いやいや。棺桶じゃん。俺は確かに吸血鬼だけどさぁ・・・」
ツナはぶつぶつ文句を言いながら狭い箱の蓋を外す。
「もしかしなくても十年後・・・。これはあれだ、俺氏死亡www」
「あ・・・・・・、あなたは・・・!」