幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活 作:軍曹(K-6)
「おい、獄寺。それ・・・」
「ん? あぁ、
獄寺はそう言いつつ、テーブルの上でケースを開ける。ツナも気になるのかのぞき込むように近づいてきた。
「メモ帳、筆記用具に、タバコ、ハンカチ・・・髑髏のアクセサリー・・・なんだ・・・? これ」
コケむした箱と、封筒を発見する獄寺。
「手紙?」
「はい。十年経っても紙の手紙かよ・・・。!?」
「何が書いてあるの・・・? 絵? これなら紙の手紙で納得だね」
「これはG文字だ!!」
「G文字?」
「ゴクデラ文字といって、中一の時授業中にオレが考え出した暗号です」
「何やってんの、授業中に・・・」
ツナは授業をマジメに受けろよと続けたかったが、自分のことを棚に上げるわけにも行かず、口を閉じた。
「えーと・・・。シュ・・・ゴ・・・シャ・・・ハ・・・・・・シュウ・・・ゴウ・・・。ダメだ、途中で読めなくなってます」
「守護者は集合? ・・・まぁ、そのまま捉えて召集命令でも出すんだろうね」
「かもしれませんね・・・」
「それで、こっちは・・・ボロっちぃけど、匣兵器?」
ツナが獄寺の手の上に乗るコケむした箱を指して言う。
「あ、そういや・・・アイツ、スゲーのを見つけたって言ってたような」
「スゲーの、か・・・コレは死ぬ気の炎で開くんだろ?」
獄寺がそう訊けば、山本は獄寺やツナの前にリングをはめた手を差し出す。
「人間の体には、血液だけじゃなく見えない生命エネルギーも波動となって駆け巡っている。リングにはそれを死ぬ気の炎に変換して生成する力があるんだ。・・・こんなふうにな」
山本が填めたリングに青い炎がボッと燃え上がり、彼はそれを匣兵器の穴にはめた。すると、青い炎をまとった燕が山本の肩に乗る。
「それ、ラル・ミルチのムカデは紫の炎だったぞ」
「そう言えばバジル君の死ぬ気の炎と同じ色・・・」
「あ。言い忘れてた。この波動には七つの種類があって、自分の素質に合致した波動が出るようになってる・・・。守護者の役割と同じと思ってもらえれば」
ツナと獄寺の疑問に答え、山本は燕を匣兵器の中に戻した。
「獄寺君。鬼が出るか蛇が出るか分からないけど、その匣兵器開けてみない?」
「これをっスか?」
「そうそう。どうやら俺達はミルフィーユって言うマフィアを倒さないと過去に戻れそうにもないからね。この時代の戦い方を知っておかなきゃ。俺には必要なさそうだけど」
「ハハ。十代目は無敵っスから」
「あと、ミルフィーユじゃなくてミルフィオーレな」
「え。そうなの? あっぶね。向こうの人に失礼になる所だった」
「えっと・・・リングに炎を・・・」
獄寺はぐっと拳を握りしめてリングに集中するが、リングには何の反応もない。
「獄寺、イメージだ。覚悟を炎に変える、そうイメージしろ」
山本が口を開く。
「覚悟・・・か。なるほどな」
山本のアドバイスを聞いて、笑った獄寺は、肩の荷が下りたようにリングに視線を向けた。
獄寺はとうの昔に覚悟ができていた。沢田綱吉の守護者として、自らの命を無駄にせず、ボスをファミリーごと守り抜く。それが獄寺の覚悟だった。
その瞬間。赤く荒々しい炎が獄寺のボンゴレリングに灯される。
山本の静かな青い炎とは全く違うその形状に、獄寺は守護者の役割を思い出した。
「常に攻撃の核となり休むことのない怒濤の嵐・・・か。だったスよね?」
「合ってるよ?」
「属性を持つ死ぬ気の炎にはそれぞれ特徴的な力があって、大空は調和、嵐は分解、雨は沈静、晴は活性、雷は硬化、雲は増殖、霧は構築だ。匣兵器もそれに合わせた力を持つ場合が多いんだ」
「ってコトは、俺は・・・・・・、分解の力を持ってるってわけだ。物質の“分解”っていうんなら、攻撃力は結構ある方なのか?」
「そうだな。嵐は攻撃力で言うなら六属性随一だ。・・・・・・大空は絶対数が少ないから、比較対象には出来ねェし」
「大空は貴重なんだねー」
「十代目、開けてみてもいいですか?」
「うん。いいよ」
ツナに何故か確認をとった獄寺は見よう見まねで匣兵器に炎を注入する。そして、匣兵器が開くと、獄寺の腕にドクロ型のガントレットのようなものが装着された。
「イ・・・・・・イカスぜ」
「そういうデザイン好きなんだね・・・流石獄寺君というか何というか・・・」
「ハハッ、こういうトコは俺の知ってる獄寺のまんまなのなー」
「で? 結局どう使うんだ? コレ・・・」
獄寺が使用方法に首を傾げた時、ガントレットの上部に文字が浮かび出る。
「・・・あ? 弾を食わせろ?」
「弾になりそうなものなんてあったかな?」
「うーん・・・ダイナマイトとか食わせてみます?」
「いいね!」
「・・・おい、オメェら。分かってると思うがここで試すなよ?」
今にも何かやっちまいそうな雰囲気のツナと獄寺にリボーンが注意をすれば、二人して心底残念そうな表情をうかべた。
「そうっスね・・・、ここじゃ危ねェでしょうし。ヤるなら思いっきり撃てるトコがイイっス」
「ハァ。いい的さえあればなぁ・・・。獄寺君にぶっ放させるのに」
ツナはため息をついてぶつぶつと文句を言ったあと、空気を変えるためにも一度手を叩いて明言する。
「じゃ、とりあえず守護者を集めよう」
「はい!」
「そうだな」
「ま、ツナもいることだし特に心配してねーが、死ぬなよ」
「なーに。お前達はこの時代の俺達が失ったすんげー力を持ってんじゃねーか」
「失った? 力・・・?」
「・・・・・・お前達は希望と共に来てくれたんだ。ボンゴレリングっていうな」
―――外。
ツナ達が次にでた地上は先程の森ではなく、五丁目にある工場跡だった。
「で、山本。結局ボンゴレリングはどうなったの?」
「あー。大分前にリングを砕いて捨てちまったんだ」
「捨てた? また誰が・・・」
「うちのボスさ」
「あ、俺がしたんだ。まぁいいや」
「軽いっすね」
「必要ないって思って砕いたんだろうよ。今じゃ必要不可欠になってるみたいだけど」
「そのとーり」
と、その時。視線の先で爆発が起きる。
「「「!!」」」
「こっちです!」
「急いで!」
「?」
噴煙の中から飛び出してきた声にツナが「目を凝らす」。
「あ。ランボ、イーピン!!」
「誰かを連れてるな」
「それって・・・・・・」
「京子さん、ハルさん。逃げて!! ここは私が!!」
「でも!!」
そこに嵐の炎が叩き込まれ、再度爆発を起こす。
「きゃあ!!」
「上か!!」
「あれって下手な兵器より強いんじゃ無いの・・・? 厳重な取り締まりが必要だね・・・」
「とどめを刺してこい」
「まかしてよ。
そこには炎をまとったブーツで空を飛ぶ、隊服なのだろう揃いの黒の服を着た男達がいた。