幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活 作:軍曹(K-6)
コンタクトレンズを何故か目に入れることになったツナは数秒迷った後、綺麗に入れていた。
「よし、始めて」
「あい」
手錠を壊し、視界を確認するツナ。その視界はコンタクトの透過性が弱く、霞んでいた。
「どうだツナ」
「視界が霞んでる」
「やはり調整に時間が必要だな」
「じゃあ頼む」
一方で。
幻騎士と対峙した山本は、相手から漏れ出した殺気に少々気圧される。だが、
(ツナの物理的暴力の殺気に比べたら全然甘いッ!)
上から押さえつけるものだったり、横から殴りつけるようなものだったり、様々なバリエーションの殺気を笑顔で飛ばしてくる人間が彼等のボスだ。そうそう生半可なことで竦んだりするように鍛えられてはいない。
そしてこれが一番重要だが、山本はリボーンとの修行の後完成度を確かめるためにツナと模擬戦をし、数十回にわたって負けている。数百本の刀を地に刺した状態で戦う、ツナの無限一刀流とは名ばかりの刀による払いの連撃で。
だからこそ、山本は幻騎士程度の剣速なら余裕で見切れる(体がバラバラになって避けているのか切れているのか分からない。なんて事が無いから)し、幻騎士の使う霧の幻覚もクロームとの戦闘で見抜き方を心得ている。
それ故、彼が負けることはなかった。ツナのアドバイスもあったから。
【「あの
そう、だからこそ。
「なぜ、幻覚だと分かった・・・!」
「こちとらあんたより一億倍・・・いや、それ以上の強さの相手と戦ったことがあるんだ。こんな所で負けてらんねーよ」
だが、山本の体力も限界に近かった。
「ハハッ・・・剣の腕では負けなかったけど・・・何か負けた気分だ・・・」
「いや、お前は勝った。剣士としては、な」
「僕の名前はヤ○坊♪ 僕の名前はマ○坊♪ 二人合わせて○ン○ーだ♪ 君と僕とでヤ○マ○だ♪ 大きなものから小さなものまで・・・・・・」
ツナはそう歌いながら服を乾かしていた。その後ろでリボーンがスパナに質問をしていた。
「確か時空間移動がらみの・・・所謂タイムトラベル」
「タイムトラベル!?」
(デロリアン乗ってみたいな・・・)
「あ・・・」
「やっと点と点が繋がったぞ」
リボーンがなにか言っているが、ツナには聞こえてこなかった。何故なら、
『申し訳ございませんでしたァ――――――ッ!!』
「うるせっ」
元気いっぱいの電脳少女が全力で謝罪してきたからだ。耳元で。
『いやはや失敗ですよ失敗。見逃してました。死ぬ気の炎による強制回路構築で向こうに主導権とられちゃいました』
「取り返してこいよ。馬鹿音」
『あ、もちろんもうコピー体が向かってますよ? 簡単に突破してくれてます。コンピューター側が手に落ちるのも時間の問題っすよゲッヘッヘ』
「何という悪い笑みだろうか。果たして女の子がこんな笑い方をして良いものだろうか。いや、駄目だ(反語)」
ツナは一度軽く地面を蹴ると、ハイパーモードになった。
「見つけたよ。何にしても時既に遅しさ。あんた達はここで永遠におねんねするんだからさ」
「・・・・・・。アイリスと死茎隊・・・」
「スパナ、下がってろ」
「・・・やめとけボンゴレ。死茎隊は今のあんたが敵う相手じゃない」
「そうか? 知ってるだろ、ツナはお前のキング・モスカと相打ち(笑)するほどの強さだぞ」
「だからだ。前に死茎隊の戦闘データを拝借してキング・モスカとの戦闘シミュレーションをやったことがあるが・・・、ボロ負けだった」
「へぇ・・・」
「ふーん。死の忠告をしてやるなんてお利口じゃないかスパナ。ま、どっちみち裏切り者のあんたもここで死ぬけどね」
「え・・・」
「さぁ、行くよ。下僕ども。燃えてきな!!」
アイリスと呼ばれた女性が振るったムチで叩かれた死茎隊は、その肉体を数倍にも膨らませた。
「キモっ。何それ」
「増強ってさ」
「で・・・出た・・・。死茎隊、雲の肉体増殖」
(雲属性の炎による増殖で肉体の強化ってとこ? 何にせよ、気持ち悪いのには変わらないけど。涎垂らすな汚いなぁ)
「何だありゃ・・・。人間なのか?」
「・・・・・・・・・。元々はね」
「さあ、ひねっといで。下僕ども」
「プルァ!!」
「かけ声までキモい!!」
次々と繰り出されるその奇妙なかけ声に、悪寒が走っていたツナはあっけなく壁を突き抜ける勢いで吹き飛ばされる。
「・・・・・・・・・・・・・・・。だから、ムリだって・・・」
「本当にあいつ等人間なのか?」
「死茎隊。ミルフィオーレ人体覚醒部の被験体だ・・・。改造された肉体が全身を覆う特殊なスーツとアイリスのムチの雲の炎によって異常な体質変化を起こし、人体に眠る攻撃能力が覚醒しあーなってる」
「人体実験か・・・。ひでーことしやがるな」
「・・・・・・・・・それは少し違う。あいつ等は自ら進んで肉体の改造をしたんだ。
あの被験体達は元々人体覚醒部の博士だった。四人の共通点は一人の助手に惚れていたこと・・・、アイリスだ。彼等は、一番アイリスを喜ばせるのは自分だと、競うようにそれぞれ自分の体にメスを入れ肉体を改造していった・・・。
アレはそのなれの果ての姿・・・。生きがいは殺戮と・・・、妖花アイリス」
「よーくやったよ下僕ども」
その言葉に死茎隊はアイリスに群がるようにうめきを上げる。
「歪な関係だな」
「さぁ、ボンゴレは壁の向こうだよ。開けてやるから腕ごとかっさらっといで!!」
その言葉の通り、部屋を仕切っていた壁が開いていく。開いた先には、ツナギから乗り込む時着てきた服に着替えたツナが立っていた。
「へぇ。中々しぶといじゃないか」
「スパナ、何をしている。早くコンタクトを完成させてくれ」
「え。・・・・・・・・・」
(アイツ・・・)
「完成時間が変わらねぇのがポリシーなんだろ? 早くつくれ、スパナ」
「・・・・・・でも、死茎隊はキング・モスカより強いって言ったろ? ムダなあがきだ」
「ツナが遊びだした」
「?」
「ツナが遊びだしたら誰も勝てねぇぞ」
「いいや、ムダさね。やっちまいな」
大空の炎の推進力を使わずに駆けだしたツナは、襲いかかる死茎隊の腕をワンパンで吹き飛ばすと、肉体に近づいてその拳を叩き込む。
(硬くて柔らかい・・・ッ!? 手加減しすぎたな・・・)
その後も攻撃をかわしながら、一体また一体と確実に攻撃を当てていくツナ。
「何だい? どーなってんだい!?」
「ウチの知るボンゴレとは・・・まるで動きが違う・・・」
「キング・モスカ戦とでは、違う所が二つあるからな。一つはツナが遊んでるってことだ。あの時のツナは足止め役で時間稼ぎなどが目的だった」
「でもあれは、本気とかのレベルじゃない」
「ああ。アイツは今も本気じゃねーぞ。それでも戦えるのはもう一つの理由。相手が機械じゃなく生きた人間だってことだ。生身の人間だからこそ見せる動きや考えの予兆というものがある。ツナはそれを感じ取ってんだ。これが
―――超直感!!!」