幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活 作:軍曹(K-6)
屋上という空間から全力逃走を図ったツナは、放課後。どこかの神社で、怒った炎真の大地の炎で押し潰されていた。
「痛い! 痛いよ、炎真君!?」
「ツナ君、なんで君がボンゴレ十代目なの?」
「いや、知ったのはオレもつい最近で・・・」
「そういう事じゃなくて、何でツナ君が“あの”ボンゴレの子孫なの!?」
「知らない知らない知りません! そんな、血の繋がりに文句言われても!」
「・・・どうして? 真美だけがその事を知ってたの!?」
「そっち!? まさかの妹に嫉妬!?」
今もなお炎真の後ろで小さく舌を出してごめんね。と謝っている真美に、ツナはしゃべったね!? と、思うが先にバラしたのはこちら側なのであの指切りは無効だ。
「僕達親友だよね!? どうして相談してくれなかったの!!」
「だって・・・さぁ・・・。炎真君達はさぁ・・・ボンゴレ嫌ってたじゃん? しかもそのボス候補が俺じゃん? なんか、申し訳ないなぁーって」
「・・・・・・ツナ君。申し訳ないって気持ちがあるなら協力して」
「な、何に・・・・・・?」
「ボンゴレの壊滅と、シモンの宝の回収に」
「え゙?」
「お兄ちゃんは普通に継承式を開いてくれれば良い。そこで、“罪”を引き出して欲しいの」
「ここでこうやって僕達が言ってるけど、みんなツナ君に怒ってたから、少しでも反省しているなら僕達に協力して欲しい」
「分かった。大地の炎でぶっ飛ばされるよりはマシだよ」
ツナは軽い調子でそう頷く。それが、どんなことを意味するかはよく分かった上で。
「あ、でも。俺の守護者を傷付けないでね? リングを破壊するためなら仕方ないとは思うけど、なるべく軽傷で済ませてくれる?」
「ツナ君以外、僕達はどうでもいいんだけど?」
「霧の守護者は骸。それだけでも優しくしてくれる?」
「分かった。ツナ君にとってボンゴレの守護者も友達だっていいたいんでしょ?」
「正解。真美ちゃんも分かっ・・・た・・・?」
「ツナ君を無理矢理十代目にしようとするボンゴレに手加減しなくちゃいけないの!? どうして!?」
「俺が大人しい方が好みだから・・・?」
「分かった!」
チョロイン・・・。とツナは思ったが口にはしない。ツナは身体中の汚れを落とすと立ち上がる。
「じゃあ俺、凪の所に行ってくる」
「え?」
「アイツ、放っておくと麦チョコしか食わねーから。犬とか千種とかに食事面の注意を促してるんだけど、上手く行ってるのかの確認にね」
「凪って・・・?」
「黒曜の女の子だよ。俺の霧の守護者の片割れ。骸の本体が復讐者の牢獄にいるからね。凪がいないとアイツは現界できない」
「へぇ・・・・・・」
(あれれ~? 真美ちゃんの目のハイライトが仕事をしてない気がするぞ~?)
と、そこに雲属性の炎を纏ったペスカファミリーの殺し屋がやってきたが、不機嫌な真美の大地の炎で地平線の向こうにぶっ飛ばされた。
「あーあ。真美の機嫌を損ねるから・・・」
「俺?」
「違うよ。まぁ三割はツナ君が原因だろうけど。三人だけのこのほんわかした空間を潰されたのがよほど気に入らなかったんだと思う」
「へぇ・・・・・・」(敵に回したくねーッ!)
―――暫くしたある日。
「あぁ・・・うん。そういう事で・・・なんか知らないけどボンゴレⅨ世に会うことになって・・・。うん。また・・・・・・」
ツナは豪華ホテルに来ていた。
「こちらです。綱吉様。九代目は最上階におりますので」
最上階を貸し切っているボンゴレ九代目に若干引きつつ、日本人に王宮のような広い部屋は似合わない。縮こまった小室で十分である。などと結論を出していた
「こっちじゃ、こっち。よく来たね。綱吉君」
「・・・家庭菜園!?
「お茶にしよう」
「はぁ・・・」
高級そうなソファに座り、ツナはお茶をいただいていた。
「えーっと、実はですね九代目・・・」
「好きにしなさい。綱吉君の人生だ」
「へっ? ・・・あぁ、これがレジェンド超直感・・・・・・」
「君がいかにボンゴレボスになるのを嫌がっているかは、よーく分かってるつもりじゃ。リボーンから聞いているだけではない。未来で起きたこと全て、大空のアルコバレーノに教えて貰ったからのう」
「ユニに?」
「うむ。各地で地震が起きた日にわしは夢を見た。白蘭と君達の長い戦いの夢をね」
「夢っすか」
見られてたのね。あの戦い。ツナはそう思って黄昏れた。
「それが真実で、納得するまで時間はかからなかったよ。そして、あの戦いで沢田綱吉というボンゴレの十代目候補は、マフィアのボスには向いていないと、改めて確信したよ」
「はぁ」
「弱虫で、優柔不断で、優しくて、仲間を想い過ぎる」
(自分より強い人間を探す → 一人はイヤだ。ですか)
(確かに優柔不断だよね。マルチタスクを使ってどれだけ悩んでるか)
(お前等黙ってなさい)
ツナは意外と図星な事と、ユニがそこまで自分のことを見透かしていたと言う事実で顔が少し赤くなる。
「しかし、だからこそ。綱吉くんなら今の肥大化してしまったボンゴレファミリーを、本来の在るべき姿に戻せるかもしれない」
「自警団に・・・ですか?」
「君がやってきたことによく似ているんじゃよ。変わったのはそれ以降のボンゴレじゃ」
「・・・」
「おっ、そーじゃ。見せてくれんかの? Ⅰ世から授かった原型と言われるボンゴレリングを」
「あ、はい」
「ほう、これが・・・。Ⅱ世以降どのボスでも手にできなかったこのリングを君に託したということは、やはりⅠ世もわしと同じ考えのようじゃな。今のボンゴレを壊して欲しいんじゃよ」
「あの、お話ししたいことは・・・。実は
「?」
そしてツナは口を開いた。
「Ⅰ世に栄えるも滅びるも好きにしろ。って言われた時、じゃあ俺が壊しちゃえば継がなきゃいけないマフィアなんか無くなるじゃないか。って思ったんです」
「ツナ、お前・・・」
「でも、それをすると、ボンゴレっていう抑止力を失った他のマフィアがどう動くか分からない。って言うのが不安の一つなんです。マフィアがヤクザのように義理人情に溢れていたら、良いんですけど・・・。ヤクザでは堅気の人間に手を出すのは御法度ですから」
「綱吉君。わしは、君なら出来ると信じておる。純粋なボンゴレの意志を継ぐことを」
「九代目。アナタが見たがっているボンゴレが見れるかどうか俺には分かりません。でも、ボンゴレの権力を俺にください。全世界を、制圧し裏から支配するだけの力を俺に」
「!?」
「ツナ!」
「見せてあげますよ。『無血支配』での世界征服を」
ツナは継承式を受ける旨を、そのように伝えてホテルを去った。