幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活 作:軍曹(K-6)
「は・・・?」
「知らないなら教えてやるよ・・・。ボンゴレリングには歴代ボンゴレボスの魂が眠ってる。その中で、一番おちゃめで一番ウザいボンゴレⅠ世が、俺の夢にほぼ毎日出てきてるって言ってんだ!」
「ウソはいけないなぁ。そんな幻、俺達が信じると思ってるわけ?」
「そんなことは考えてない。俺がそんな戯れ言を言うのはこのリングがあるからかもな」
(・・・あれは、ツナ君が僕にリングを壊せって言ってる?)
「だけどなぁ・・・」
(あ、違った。ただ文句言いたいだけだ)
ツナは強く拳を握った後、見せつけるように拳を突き出して、
「このリングがあるからアイツは人の夢に出てくるし、人の眠りを妨げて武勇伝を聞かせてくるんだ! 外して寝れば良いって思ったヤツ! いるだろ! 何度も試したさ。でもなぁ、何故かやつは俺の夢の中に出てくるんだよ!」
「あ。それオレが嵌めてたぞ」
「リッッッボォオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!! お前か! お前なのか! 俺の安眠を邪魔してたのはぁあぁあぁあぁあ!!」
「わ、悪ぃ! 悪いと思ってるから今はシモンに集中してくれ!」
ツナは一度気を落ち着けて、炎真に相対する。
「・・・何をするか、なんて言うことは無粋だから聞かない方が良いか? 炎真」
「別に聞いても聞かなくてもどっちでも良い」
「だろうね。こういう時って、ケンカと一緒だと俺は思う」
「だよね」
「「拳をぶつけ合って納得させる!」」
炎真とツナの拳が激突する。それと同時、援護に入ろうとした守護者達を真美の大地の重力が翻弄する。
「エンマぁあああああ!!」
「ツナヨシぃいいいいい!!」
(大空の死ぬ気の炎単体じゃ無理か!)
(行くよ!)
重力に吹き飛ばされたツナは、天井に背中を打ち付ける。
(ッ! お兄ちゃん!)
(ごめん、ツナ君!)
「ま・け・る・かぁあああ!!」
炎を強く強く灯し、何とか天井を蹴って立ち上がろうとするツナ。だが、重力に押し潰され、上手く立ち上がれない。
「帰ろう、アーデルハイト。簡単に殺しちゃいそうだよ」
「そうだな。息の根を止めることなどいつでも出来る。奴らに味わわせるべきは、生き地獄」
「クロームちゃんも連れて行くよ。デートする約束してるからね~ん♪」
「ふざけんな!」
ツナは強く手を合わせる。そして合わせた手を天井に叩き付けた。すると、天井が輝き炎真に向かってツナを押し出した。
「!! 遅い!」
「ガッ!」
ツナのボンゴレリングも砕け、彼の体は床に倒れた。
「帰りましょう。聖地へ」
「・・・・・・くっ」
「おい、ツナ!! しっかりしろ!! ツナ――――!!」
「おい、しっかりしろ!!」
「タンカを急げ!!」
「怪我人多数だ!!」
「恭弥! 大丈夫か!!」
「寄らないで。平気だよ、プライド以外はね」
「大丈夫ですか!?」
「何の・・・これしき!!」
「動かないでください!!」
「俺なんかより、十代目!! 十代目!! 大丈夫スか!?」
「ツナ」
「・・・うん。大丈夫」
―――その頃。
シモン島に向かう船の中。
「ねぇ、お兄ちゃん。わざわざ偽物で倒された意味は?」
「偽物なら炎真に負けても別に腹立たないし、それに。俺の強さを知ってる連中に、炎真に挑むのは無謀、と知らせられるから。かな」
「本当、焦ったんだからね? ツナ君がいきなり俺達を攻撃して、リングを壊せなんて言うから」
「そっちの方が、面白いんだよ」
「面白!?」
「結局沢田はそういう考え方をするのだな!」
「俺は嫌いじゃない」
「・・・んん。じゃあ予定通り、みんな俺達に試練を与える感じで。俺がいなくなったらこの船のカモフラージュが消えるから、そこんトコよろしく!」
そう言ってツナは消えた。唯一ジュリーが不審そうな目を向けていたのにもきっちりと気付いていた。
―――継承式会場。
「わしは何と言うことをしてしまったんじゃ・・・・・・。死んでも償いきれぬ・・・」
「九代目!」
「九代目・・・」
「九代目・・・」
「・・・・・・」
「まだ光は消えとりゃせんぞ」
「「「「!?」」」」
「モノ見えぬこの眼にもしっかりと届いておる」
「!! あなたは・・・!!」
「九代目の小僧よ。老いぼれたのぉ」
ツナ達の前に目に黒い布を巻き、マントを羽織ったしわがれたおじいさんが現われた。
「タルボじじ様!! おいでくださっていたのですか!?」
「羊の世話でちと遅れたがのぉ」
「なんだ? あのキッタネージジィは・・・」
「九代目の知り合いっぽいけど」
「奴はボンゴレに仕える最古の彫金師、タルボだ」
「ちょーきんしとは何だ?」
「金属を加工し、アクセサリーをつくる職人のことだぞ。めったに姿を見せない仙人みたいなじーさんでな、いつからボンゴレに仕えているのかも謎なんだ。Ⅰ世の頃から仕えてるって事もあるぐらいだ」
「へぇ~」
ボンゴレリングに話しかけるタルボじじに、十代目ファミリーは怪訝な顔をするが、すぐにいつも通りに戻る。
「おい、九代目よ。どーするね? ボンゴレリングは生まれ変わりたがっとるぞ」
「生まれ変わる?」
「・・・ということは、タルボじじ様。まだボンゴレリングは・・・」
「死んじゃおらん。ガワが壊れとるだけじゃ」
「なんと!」
「「?」」
「お~?」
「?」
「お前が十代目のボンゴレかい」
「てっ」
タルボがツナを杖でつつく。
「ふぉっほっほっ。リングの言う通りの男じゃ」
「いててっ。リングが? 着けてもいない相手に向かってしゃべるんですか?」
「んな事も知らんで着けとったのか。優れたリングには魂が宿る、魂あれば感じるところもある。その声を聞いてやるのがわしの生業じゃ。ボンゴレリングは次の可能性を示しておるぞ」
「ハァ。ボンゴレリングの強化でもするんですか?」
「そうじゃ。お前達は獣のリングを持っておるようじゃの。わしに見せてくれんか?」
「アニマルリングのことですか?」
「そうじゃ、それとお前さんは
言われてツナ達はナッツ達アニマルリングをタルボに渡す。
「なるほどのう・・・・・・。こやつ等の魂も必要じゃ」
「必要?」
「もちろん奴のあれも必須じゃがな」
マントを翼のように広げたタルボ、そこには無数の袋や瓶があった。
「ん。あったあった、これじゃ。ボンゴレⅠ世の血“罰”じゃ」
「Ⅰ世の血・・・?」
「“罰”!!?」
「よし。これで材料は全て揃ったわい。成功すればボンゴレリングは今までに無い力を手に入れるじゃろう。だが、失敗すればボンゴレは魂を失い、もう二度と光り輝くことはないじゃろう。確率は五分と五分じゃ。どうするんじゃ十代目よ」
「それ、悩むこと? お願いします。このままボンゴレリングがなかったら困るんです」