転生したら転性した挙句に篠ノ之箒に成っていたISプラス2期   作:銭湯妖精 島風

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ユア・ネーム・イズ

 

 

 

銀の福音との戦闘時間は約1時間程度、しかも大半が追いかけっこだったが実戦を経験した事が有る者は誰1人としておらず、肉体的疲労より精神的疲労が優っていた

 

それを帰還時に見て取った千冬さんは、私達へ午後からは休む様に指示を出し、同化されて重体のナターシャ・ファイルス(福音の中身)を救急隊に搬送をお願いしていた

 

 

そんな訳で、私は真昼間から天然温泉へ入っている

 

「・・・ふぅ」

 

昨夜はクラスメイトや同級生で溢れていて少し窮屈だったが、今は使用人数が極めて低いので、のびのび露天風呂に浸かる事が出来ているし、アキヒロも男湯で足を伸ばせる筈だ。物理的に

 

 

「こんな大きなお風呂を、こんな少人数で使うなんて凄く贅沢だね」

 

「そうだな、だが男湯のアキヒロは1人だから、更に贅沢だと思うぞ?」

 

髪を結い上げ湯船に付けない様にした一夏が私の横に座り言うので、返答し肩をすくめる

 

「確かにね。ねぇ箒・・・すんなり行き過ぎてない?」

 

「あぁ、私もそう思う」

 

私の言葉に苦笑した後、真面目な表情へ変わったので、一夏も違和感の様な物を感じている様だ

 

「恐らく、また何か起きる」

 

何でか知らないが、いつもなら姿を消している乙姫が私の側に居続けているのだから、まだ終わりでは無いのだろう

 

「流石に1日に2回も実戦は無いと思うがな?」

 

肩をすくめて一夏に言った瞬間、何かが落ちた轟音と沖の方に水柱が上がり、少し居たたまれなくなってしまった

 

「・・・何か落ちて来たね?箒」

 

「・・・そうだな、まぁ戦闘になるとは限らないぞ?」

 

一夏が私を生暖かい目で見てくるので顔を逸らしながら、立ち上がり水柱が上がった沖を見ると、手足が長いが長く全体のバランスが悪い黒色のISが両手に戦斧を1つずつ持ち立っていて、肩の一部が稼働し此方に発砲して来て、男湯の海側の柵?が吹っ飛んだ

 

「あちらは やる気まんまんみたいだね?」

 

「くっ・・・なんて日だ!!」

 

一夏からの生暖かい目が強くなったのを感じ、私は思わず柵に拳を叩きつけ叫んでしまった

 

「そろそろ真面目にするか。乙姫アレは?」

 

未だ千冬さんから召集が掛からないのは私の事を考えてくれているのだろう、砂浜に点在しているラファールと打鉄に教師陣が搭乗する為に急ピッチで作業をしている同級生と姉さんが見える

 

それを眺めながら乙姫に尋ねると

 

「敵よ、対話が出来る存在がいるフェストゥムの方が、まだマシね」

 

「要は話し合いでは解決出来ない訳か」

 

本当になんて日だ

 

一先ず悠長に温泉を堪能している訳にも行かなくなってしまったので、支度をして浴場を出て千冬さんの所に向かう

 

数分もせずに総合指令所(仮)に辿り着くと皆考える事は同じ様でアキヒロ以外は揃っていたので、私と一夏も加わる

 

「お前達も見たと思うが、突如としてアンノウンが出現した。奴は此方の呼びかけに対して発砲で返して来た、その事により奴を敵性認定し奴の捕縛 又は 排除を決定した。幸いまだ怪我人は居ない、今の内に生徒の避難と教師陣の出撃を行う、お前達には避難の支援について貰う、フランクランドは既に砂浜に降りて行動中だ」

 

グシオンの売りの一つ、やたら頑丈なのは言うまでも無く撤退支援を行うのに適している

 

文字通り身を呈して銃弾などから守る事が出来る

 

更に防御型の紅椿と防御用パッケージを装備しているラファール・リヴァイヴ・カスタムIIもいる

 

うん、隙は無いかも知れないな

 

「では状況開始だ、暫くすれば援軍が到着する予定になっている」

 

私達は千冬さんの言葉を聞き行動を開始する

 

旅館を出てISを展開し、砂浜へ降りて作業を完了した同級生から予想出来る安全地帯へ避難誘導を開始する

 

「姉さん、アイツをどう見る?」

 

イージスをいつでも使える様にしながら姉さんの横に立って尋ねる

 

「そうだね〜、異質かな?憎悪と悪意と殺意の塊」

 

次々と出撃していく教師陣を見送りながら姉さんは真面目な表情で答える

 

「正直、打鉄やラファール・リヴァイヴで止められるか微妙かも知れないね」

 

そう言い姉さんは爪を噛みそうな程、忌々しそうな表情をする

 

「姉さん、避難しよう。此処じゃ危ないからな」

 

教師陣がアンノウンと接敵し戦闘を開始し、流れ弾が飛んで来たのでイージスを展開し流れ弾が姉さんに当たらない様にして、姉さんに避難を促す

 

「そうだね、ありがとう箒ちゃん」

 

「当たり前の事をしているだけだよ姉さん、私達は姉妹なんだから」

 

姉さんは にこり と笑み、避難する同級生に混ざり避難を開始する

 

とりあえず防御に関しては譲れないので、イージスを駆使して流れ弾を防ぎながら戦いの行方を見ていると、何とか連携でアンノウンを抑えていたが、1人が捕まり連携が崩れ1人ずつ落とされて海中に沈んで行った

 

「千冬さん、教師陣のISが全機落ちました、私が抑えます」

 

「ダメだ、今お前が持ち場を離れると被害が増える可能性が高い、堪えてくれ」

 

イージスを使えばアンノウンを密封して拘束出来る、だが接近する為に防御出来る位置が変わるから千冬さんは止めたのだろう

 

私が歯痒さを感じていると

 

「大丈夫だよ箒ちゃん、援軍が到着したから」

 

「お待たせしました束様」

 

アクアビット製の輸送機が私達の頭上を通過し、クロエの声が聞こえ、輸送機から見覚えのある機体が降下しアンノウン・・・グレイズ・アインと戦闘を開始する

 

「・・・姉さん、もしかしてジュリアに乗ってるのって」

 

「私では有りませんよ箒様」

 

まるで舞う様に戦うレギンレイズ・ジュリアと荒々しく戦うグレイズ・アインの様子を見て姉さんに尋ねるが、クロエから答えが返ってきて私の疑問は更に増える

 

「ジュリアを扱いきれる者は中々いないだろう?アクアビットには姉さんとクロエ以外に居ない筈だ・・・まさか」

 

「うん、新しく見つけて来たんだ。ジュリアを扱える人を」

 

姉さんの行動力には驚かされてばかりだが、まぁいつもの事だし納得しておこう

 

そんなこんな驚いていると、グレイズ・アインは見事に解体され凄い咆哮を上げて爆発四散し海に散った

 

それから敵を排除し終わった為、教師陣の救援活動などをし、怪我人はいたものの、死人はグレイズ・アインのみの結果だった

 

一先ずアキヒロをグレイズ・アインにブツけていたらアキヒロは重症だったかも知れない、うん

 

 

色々と作業をして全てが終了したのは日が沈む頃だった

 

とりあえず碌な誕生日じゃなかった事を旅館から少し離れた岩場で沈む夕日を眺めながら黄昏ていると

 

「此処に居たんだね」

 

「あぁ、どうした?一夏」

 

少し奥まっているから旅館からは見えてはいなかった筈だが、一夏が現れたので疑問に思いつつ尋ねると

 

「箒に渡したい物が有るんだ」

 

そう言う一夏の手には箱が有り彼女の表情は真剣そのものだ

 

「・・・あぁ」

 

その雰囲気に私は佇まいを正し彼女へ向き直る

 

「箒、私 織斑一夏と日本で同性婚が認められたら結婚して下さい。認められなくても死ぬまで側に居て欲しい」

 

一夏は片膝をついて箱を開け私へプロポーズをしてきた、だが私の答えなんて既に決まっている

 

一夏と初めて会ったあの日から、ずっと答えは、気持ちは変わっていない

 

「もちろんだ一夏、私は・・・篠ノ之 箒は織斑一夏を世界の誰よりも愛しています」

 

私は片膝をついている一夏を抱きしめ、一夏も私を抱きしめ返してくれる

 

 

はい、そうなると、次は何をするか分かるな?

 

そう口付けだよ

 

そりゃぁもう盛り上がるさ、チュッチュ、チュッチュするさ

 

旅館じゃナニは出来ないから此処でしてしまおうか、とか考え始めて何か視線を感じて私と一夏は2人して視線を感じる方を見たら、アキヒロ以外の いつものメンバーが岩の影から見ていた

 

セシリアと鈴は顔を赤くしてガン見、シャルロットはラウラの目を手で塞ぎながら顔を赤くして若干伏し目がち、ラウラは目を塞がれて不満そうだった

 

 

そんな感じで何か色々とチカラが抜けてしまってナニする雰囲気では無くなってしまったが、まぁいいだろう

 

一夏と言う最愛の人が側にいて、信用出来る愉快な仲間がいて、頼れ過ぎる義姉がいて、色々と良からぬ事もするが私を愛してくれる優しい姉がいる

 

多分、この先も色々な事件に巻き込まれるだろうが、私は構わないと思う

 

今、私は幸せを感じでいる

 

きっと、この先も幸せだと思う

 

 

それに今日は七夕、短冊に願い事をするのも悪くないかも知れない

 

 

未来は未定、不安はある、人生ハードモードかもしれない、だが私は逃げない

 

それが私が篠ノ之箒になったケジメなのだと思う

 

 

 

 

- end -






本編は、これにて完結です

仕事が早めに片付いて体力に余裕が有れば番外を最低1話は書くつもりです


これまで本作を読んで頂きありがとうございます

新作の構想も進めていますので、気長にお待ちください

詳しくは、活動報告に書いています、コメント等あると大変嬉しく思います

最後に、改めて

ありがとうございました


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