転生したら転性した挙句に篠ノ之箒に成っていたISプラス2期   作:銭湯妖精 島風

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終わり と 始まり

 

 

 

その日は朝 起きてから妙に胸騒ぎがしていたが、いつもの様に身支度をして、束さんの研究室へ向かうと、いつもは楽しそうに作業をしているが、今日は違い少し真面目な表情の束さんが待っていた

 

「・・・おはようございます」

 

少し戸惑いながら挨拶をすると

 

「おはようマドっち、今日は私と2人で外出するよ」

 

「え?はい、分かりました」

 

いつに無く真剣な表情をしている束さんの言葉に頷く

 

彼女は私と2人で、と言ったが それは束さんと私の2人で という事だ

 

 

普通の外出ならクロエか箒が束さんの共をする筈だし、仕事関係ならアクアビットの社員の誰かが随伴するだろう

 

それなのに私を指定する訳を私は必死に考え、幾つかの候補を立ててみるが、IS関係でレギンレイズ・ジュリアの模擬戦とかなら楽しそうに笑んでる筈だ

 

なら、フェストゥム関係か?だが、仮にフェストゥム関係なら私と2人だけな訳が無い、それこそ社員が数人は随伴する筈

 

そして最後の可能性、それは・・・

 

「・・・行先は、折村家ですか?」

 

恐る恐る束さんに尋ねると、彼女は少し驚いた表情をし

 

「よく分かったね、やっぱり君は箒ちゃんと同類なんだね」

 

そう言い近付いて来て身を固くしている私の頭を撫でる

 

私は頭を撫でられながら様々な感情や思考で混乱してしまっていてされるがままになってしまう

 

あえて触れていなかった部分である実家の事に向き合う日がやって来たからだ

 

身勝手な行いをした俺を両親は どう思っているのか不安で仕方ない

 

その結果で息子である事を勝手に捨て、娘となった自分を受け入れて貰える筈が無いと思っているし、今更どんな顔して会えばいいのだろうか?

 

そもそも今の自分が折村マドカと分かってくれるのだろうか?

 

そんな思考が頭を支配し、空調が効いていて快適な筈の研究室で汗が止まらず呼吸が浅くなる

 

「大丈夫、大丈夫だよマドカ。どんな結果でも君の居場所は此処に有るから」

 

そう言い束さんは、私を優しく抱きしめてくれる

 

それによって少しだが持ち直す事が出来た

 

「・・・ありがとうございます束さん」

 

「気にしなくて良いよ、さぁ行こうか」

 

束さんにお礼を言うと抱き締めるのをやめて、私の手を握り促してくる。それに頷き私は束さんと共にアクアビットの社屋出入り口へ歩む

 

 

束さんに手を引かれ歩む事数分、出入り口に到達すると そこにはIS学園で仕事をしている筈の千冬姉さんが車を背に腕を組んで仁王立ちで立っていた、心なしか目付きが鋭い気がするのは 気のせいだと思いたい

 

一先ず5m程距離を開けて立ち止まった束さんの横に立って束さんの顔を見てみると、彼女も少し驚いている様子だったので束さんは千冬姉さんを呼んでいなかった様だ

 

「待っていたぞ束」

 

何か声が低くて殺気と言うか何か冷たいナニカが混ざってる声色で束さんへ言う千冬姉さんに

 

「待ち合わせした覚えは無いけど?ちーちゃん?」

 

対照的に明るい声色で束さんは答えると千冬姉さんは眉間にシワを寄せ更に目付きが鋭くなり

 

「お前と化かし合いするつもりは無い、本題に入らせて貰う。折村家に行くのだろう?私も連れて行け、代わりに運転手をする」

 

なんとも高価そうな車の屋根を軽く小突きながら千冬姉さんは言う

 

「分かった、助かるよ。束さんペーパーだからタクシー使うつもりだったし。色々とちーちゃんが居れば安心だしね?」

 

ニコニコしながら束さんは答え、車の後部座席に乗り込み、私は引っ張り込まれ束さんの隣に座る。千冬姉さんはソレを確認してから運転席に乗り込み折村家へ向けて車を発進させた

 

 

人里離れたアクアビットから出て数時間掛けて目的地の折村家にやってきた

 

そこには純日本家屋が有り、築は100年を超えているとかいないとか

 

そんな自分が生まれ育った家の立派な門の前に立ち竦む

 

再び不安や恐れに支配され前に踏み出せずにいる私の頭を不器用に撫でる手に横を見ると千冬姉さんが居て

 

「大丈夫だマドカ、気休めになるか分からんが お前は私の家族で大事な妹だ。今から何が起ころうとも私や一夏、束や箒、クロエが お前の味方でいよう、必ずだ」

 

私に優しく微笑んで言い千冬姉さんは、再び不器用に頭を撫でてくれる

 

「さぁ行こう、君が再び歩む為に」

 

そう言い束さんは私の手を引き門をくぐり敷地内に入り、千冬姉さんはヤレヤレと言った表情で付いてくる

 

数十秒歩き玄関に到着すると、玄関の戸は開いていてお手伝いさんが待っていて靴を脱ぎ応接間に通される

 

そこには既に私の父親が座って待っていたので、入って直ぐに正面に正座で座ると束さんと千冬姉さんが私の両サイドに座り父さんを見据える

 

数秒の沈黙の後

 

「本日は、お時間を頂きありがとうございます。早速ですが本題に入らせて頂きますが構いませんか?」

 

束さんが口を開き、事務的な口調と声色で話を始め、父さんの頷きを了解の意と捉え再び口を開く

 

「貴方達の息子である折村マドカを救う為に結んだ契約の通り、私は全力を持って救いました。無論、法に触れる行為も有ります」

 

そう言い束さんは何処からとも無く契約書らしき紙を取り出し、両親の前に置く

 

父さんは契約書を手に取り自分の横に置き

 

「・・・まさか息子が娘に変わったなんて冗談を言うつもりでは有りませんよね?篠ノ之博士」

 

代わりにファイルに入った書類の様な紙を束さんの前に置き尋ねる

 

 

「冗談だと思いますか?私は冗談は言いますが、つまらない冗談を言う趣味は無いつもりですよ折村さん」

 

そう言い父さんと束さんが睨み合う形になり、どうしていいか分からなくなる

 

とはいえ、息子が娘に変わったなんて普通は笑えない冗談でしか無いだろう

 

認めたくないのも無理は無い、無いが自分を否定された様で逃げ出したい気持ちで一杯になり私は自分のスカートの布を強く握りしめ堪える

 

「篠ノ之博士、貴女の様に世間一般からかけ離れたモノの物差しで測られた出来事を我々凡人が全てを受け入れる事は無理です。故に私は、この子が息子のマドカと認める事は現時点では出来ない」

 

そう断言した父さんの言葉を聞き、私は我慢出来ずに応接間を飛び出し、廊下を早歩きで進み裏庭が見える縁側に崩れる様に座り込み溢れる涙を拭うが後から後から溢れて自分の服を濡らす

 

 

 

-------

 

 

マドカが我慢出来ずに応接間から出て行ったので追おうとしたが、束に腕を掴まれ静止されてしまった

 

「・・・なぜ止める束」

 

「想定内だからだよ、ちーちゃん。今は此処に居て?ね?」

 

そう珍しく真面目な表情で言う束の言葉に従い再び腰を落とすと、父親が頭を下げ

 

「篠ノ之博士、契約に従い茶番に付き合わせてしまい申し訳有りませんでした」

 

「いえいえ、これぐらい大した事では無いですから。頭を上げて下さい」

 

先程の一触即発な空気は消え失せて束は和やかな雰囲気を纏って父親へ頭を上げさせる

 

「電話でも言いましたが、改めてマドカを救って頂きありがとうございます。貴女が手を差し伸べて下さらなければ、マドカに家業を継がさなければならない所でした。本当にありがとうございます」

 

 

一先ず表情を繕い混乱していない雰囲気を出しておいて状況を整理する

 

父親はマドカに家業を継いで欲しく無い、そこに束が現れマドカを救う&家業を継がなくて良い様にした

 

そして父親はマドカが息子から娘になった事を認めている、と

 

ダメだ、全く茶番を演じた理由が分からんぞ

 

「あ、ちーちゃんにも説明しておかなきゃだった」

 

思い出したかの様に束が手を打つと

 

「それは私から話します篠ノ之博士」

 

父親が束を静止し、口を開く

 

「我々の家業が何か、そこから全てを話す。許してくれとは言わない、恨んでくれて構わない、だがマドカの事を頼みたい」

 

私を真っ直ぐ見据えて父親は言う、それに無言で頷き

 

「我々の家系は代々日本の暗部をしてきた家系で、日本には我々の様な裏社会の家業を生業としている家が幾つも有る、私は我が子に血塗れの裏社会では無く日の当たる場所で幸せを得て欲しいと願っていた、だが普通のやり方で私の代で廃業するのは様々な危険や問題が有って難しかった。だが篠ノ之博士のお陰で私の代で暗部は廃業に出来る事になった、そしてマドカを表の世界へ送り出す用意も出来た」

 

 

家業の事を話し、マドカに家業を継がなくてよくなった事を喜んでいる父親の表情を見て

 

まだ母さんが生きていて一夏も産まれておらず私が小さかった頃、父は不器用ながらも私を愛していてくれたのを思い出す

 

きっと父が母さんの死後 私達に会いに来なかったのは、私達に危険が及ばない様にしたからなのだろう

 

そう私は父を信じたい

 

「身勝手を承知でお願いだ、マドカをお願いします」

 

そう言い父は私へ頭を下げる

 

「無論だ、マドカは私の妹だ。妹の幸せを願うのは姉として当然だ」

 

私の言葉に頭を上げ父は安心した様子で微かに笑む

 

「では折村さん、公には折村マドカは死亡した事にしておきました。戸籍の改竄も問題無く終わりましたし、手紙もお預かりします。本当にコレで良かったのですか?」

 

ファイルを手に持ち何処かに仕舞い込み父に束が尋ねる

 

「構いません、マドカは優しい子です。私達を残して自分だけ、とは考えないでしょう。きっと家業を継ぐと言います、だから私は息子が娘に変わったなんて認めません」

 

そう優しい声色で言う

 

「分かりました、時期を見て手紙を渡します」

 

そう言い束は立ち上がり

 

「安心してください、あの子は必ず幸せにしてみせます。ではもう会う事は無いでしょう。さようなら」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

応接間を出る束に続き廊下に出て、来た道と違う道順を進み泣き疲れてしまったのか眠っているマドカを優しく抱いて折村家を出る

 

「束、ありがとう」

 

「なんで ちーちゃんがお礼を言うの?」

 

後部座席に束を座らせ、マドカに膝枕をさせて運転席に座り束にお礼を言うと、クスクスと笑みながら束が言う

 

「お前、ワザと私に情報が流れる様に仕組んだだろう?私と父親の確執もなくさせる為に」

 

車を発進させ、マドカが起きない様に細心の注意を払いながら安全運転でアクアビットへ車を走らせる

 

「まぁね、最初に契約した時に色々と聞き出したしねぇ。愛にも色々な形があるんだなって思ったよ」

 

束はマドカの頭を優しく撫で、苦笑する

 

「・・・そうだな」

 

いつになるかは私には分からないが、マドカも時が来れば真実を知るだろう

 

折村マドカではなく、織斑マドカとして生きて行く事で幸せを願う人が居る事を

 

 

さてマドカが起きたらメンタルケアが必要だろうな、強がっている割に弱めだしなマドカは

 

 

一先ずアキヒロ辺りと筋トレでもさせてみるか?

 

まぁ良い、あとで一夏に相談してみよう

 

 






おまたせしました

少し無理矢理にですが、家の問題を解決?させました


ほんと、これで良いのか不安ですが

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